2014/03/16

ドイツのチャレンジとウクライナ - 続:ウクライナ抜き

 ドイツエネルギー事情について、公開資料ベースで調べてみた。明らかになったのは、2013年の二酸化炭素排出量が2012年より10%以上増えていることだ。原因のひとつめは原子力発電シェア低下、ふたつめは石炭火力発電のシェア拡大である。

 この石炭火力シェアの拡大は、ロシアに頼らざるを得ない天然ガスや石油による発電シェアの縮小の裏返しとも言える。一時期は40%を超えていたドイツ発電シェアに占めるロシア産燃料の比率は、2013年には30%弱まで下がっている。

 石炭火力の燃料としてのコスト競争力は依然高い。特に不純物の少ない良質な石炭のニーズは今も高い。北朝鮮の中共への主要輸出品が良質な石炭であることは有名だ。

 反面、良質な石炭とはすなわち純度の高い炭素ということであり、酸化反応である燃焼によって発生するのは炭素酸化物ということになる。つまり、燃やした分だけきっちりと炭酸ガスが発生する訳だ。石炭の発生エネルギーあたりの炭酸ガス排出量は、ざっくり天然ガスの倍である。ただし、天然ガスが同じ地球温暖化ガスであるメタンを含む事を考えると、地球温暖化に対する影響を単に炭酸ガス量だけで判断し、石炭を一方的に悪者にすべきではない。

 シェールガス革命などと言うが、革命とは採掘技術の発達によってコスト競争力を得たということに過ぎない。シェールガスの採掘、燃焼にはメタン排出が避けられず、地球温暖化、広くは地球気候変動はのインパクトはむしろ石炭よりも大きい可能性が指摘されている。

 それでもドイツのチャレンジは続く。

 太陽電池の価格は中国製品の登場で一度は低下したものの、続いて起こったことは太陽電池メーカーの過激なまでの淘汰であり、ついに今月には中国太陽電池メーカーが債務不履行(デフォルト)を起こすに至る。鉄鋼、レアメタルもそうだが、中共企業は市場を散々に荒らしておいて結局自滅もするという困った振る舞いが多い。

 一技術屋の判断として、現行の太陽電池技術の延長上には薔薇色の未来はない。発電効率が少なくとも4倍になるような技術的な跳躍が必要だ。これが実現できれば、本当の「革命」までもう一歩だろう。蓄電池技術も未だ「革命」には届かない。

 意外なところから両方の革命を一気に為し得るような大発見とか出てきたりして…ちょっとこれはファンタジーかもね。

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