2021/05/26

EV普及の道筋が見えない件

 2000年よりちょっと前、会社の上司から「某電力会社の30歳代幹部候補生が結構異動している」との話を聞いた。異動先は某自動車会社などと共同で立ち上げた電気自動車の実証プログラムらしい。が現在、電力会社とEVとを組み合わせた話が話題に上ることは無い。EV普及に電力会社が何らかの役割を果そうとうする気配も全く感じられない。

 バブル崩壊後とは言え、当時の電力会社には未だ勢いもお金もあった。ただ技術開発や戦略の失敗もあった。「オール電化の家」も不幸な失敗の一つだろう。

 さて、上記の電気自動車の実証プログラムの結果は如何なものだったのか?不幸にして私はその詳細どころか概略すら知らない。知っていることと言えば、プログラムに参加した幹部候補生と当時呼ばれた人達が今や幹部となり、一部はその能力の高さ故に厄介で長期的な別のプログラムに従事しているらしいという噂だけだ。東日本大震災が某電力会社の経営及び将来ビジョンに与えた影響は本当に大きそうだ。あと、日本型ではあるものの、電力自由化の有無の影響は無視できないと考えている。例えEV普及が「国策」となろうとも、電力自由化までされてそれに従う義務は無い。もはや経済合理性が意思決定の重要因子だ。

 私に言わせれば、日本はEV普及に関して一種の「先食い」をし、優秀な人材も投入したが、結局構想されたであろうエコシステムはモノにならなかった。私の記憶だと、初期EVの普及開始と家庭用ガスヒートポンプの本格普及は同時期が構想されていた筈だ。しかしかつて近所で時折見かけていたテスラやシボレー・ボルトも見なくなって久しく、EVと言えばリーフぐらいしか走っていない。ちなみにリーフを製造する会社の2000年ごろの経営状態と言えば未だ酷い有様で、EV実証プログラムへの参加なんて考えられなかった。少なくともEVに関しては、この20年で自動車会社間の力関係の逆転が起きたと言える。

 北関東に住む人間の視点からは、余裕が無いのかやる気が無いのかは不明だが、某電力会社がEV普及に何らかコミットする状況は感じ取れない。同様に他の電力会社からも特に感じるものは無い。どうやら電力会社が「充電スタンド」を建ててはくれなさそうだ。多少逆張り気味の国と言えば、原発がいっぱい稼働していて国営電力会社と(実質)国営自動車会社を持つ欧州の某国ぐらいだろうか。ちなみに当時は、水素の形での電力貯蔵も当時のEVエコシステムの一端を担うことが期待された。現在はもう研究されていないようだが、水素ガスを吸着する(内部に溜め込む)合金の開発研究が研究室レベルで盛んだった時期がある。

 かつての日本でのEV普及のシナリオには、電力会社が寄与する部分が多い形で起草された。が、今はかつてのシナリオで電力会社が占めていた部分を埋める存在が見えない。これが私にとって「EV普及の道筋が見えない」理由だ。

2021/05/25

SONY WH-1000XM3、DAWモニタリング用に復帰する

 DAW触ってる限りはモニタリング用ヘッドフォンを物色し続けるんだろうなぁ。

 で、エントリタイトル記載の状況発生の原因なのだが、もちろん一つではなくてざっくり以下の3点に集約される。

  1. DAW(Cubase Pro)を動かしているPCのBIOSがアップデートされたら、ヘッドフォン端子の挙動がおかしくなった。
  2. DAW(Cubase Pro)を11にバージョンアップしたら、BluetoothヘッドフォンがDAWのアウトプットに指定できなくなった。
  3. DAWのモニタリング用ヘッドフォンについて改めて考える機会があった。

 まず前段について簡単に記す。

 2019年に購入したヘッドフォンSONY WH-1000XM3は、ノイズキャンセリング機能には文句のつけようがないのだが、如何せん周波数応答特性に「味付け」が過ぎた。ここで言う「味付け」とはメーカーが意図的に施した周波数応答特性の調整を指す。低音の強調とかが典型的な例だ。味付けが過ぎることの問題は、聞こえる音が音楽の作り手、送り手が意図したものからどんどん離れていくところにある。逆から言えば、「味付け」が過ぎるヘッドフォンで「いい感じ」に聞こえる音は、他のヘッドフォンやスピーカーで再生した際に聞くに堪えないものになる可能性があると言うことだ。故に、SONY WH-1000XM3はDAWのモニタリング用ヘッドフォン、特にマスタリング時にはとても使えないと言う残念な結論に一旦至った。まぁ、下調べが足らんかったと言えばそれまでなのだが、まさかあの価格帯で、しかもノイズキャンセリング機能を売りにする製品で、あんな強い「味付け」が為されていようとは思わなかった。

 じゃあマスタリング以外での使い勝手はどうかと言うと、Bluetooth接続によるレイテンシ(ここでは、音の再生遅れ)が大きくて輪をかけて使えない。聞こえる音の音量などの変化とDAW上のメーターの上下動とのズレの所為だけで、私は数分で酔ってしまう。

 とは言え高い買い物ではあったし、PCならば周波数応答特性はいじれなくもない。そこで昨年当初に試したのがSonarworks Reference4 Headphone Editionと言うソフトの試用版だ

 このソフト、測定結果に基づくプリセットデータがあれば、ヘッドフォンの周波数応答特性を「味付けが無い状態(以下、周波数応答特性がフラットな状態、または単にフラットな状態、と言う)」に限りなく近づけてくれる。別の言い方をすれば、作り手、送り手が意図した音に近づけてくれる(筈)。あくまで「私の耳」での話だが、ソフトを介して特性をフラット化したSONY WH-1000XM3とSennheiser HD599(半開放型)との音は様々な音源で区別ができなかった。敢えて分かる差があるとすれば、クローズハイハットのような高周波数を含む音の輪郭がSONY WH-1000XM3の方がはっきり聞こえる(粒立ちが良く聞こえる)ぐらいだろうか。が、これは密閉型+ノイズキャンセリング機能のおかげが大だろう。とは言えBluetooth接続のレイテンシの大きさは如何ともし難く、加えてSonarworks Reference4を介することでも追加のレイテンシが発生するから、やはりDAW操作時のモニタリング用途には使えないとの結論に至った。

 ただ、DAW操作時のモニタリングのメイン機として使っているSennheiser HD599の周波数応答特性にもSonarworks Reference4を介せば私の耳でもすぐ分かるレベルの「味付け」は有ったので、暫くしてSonarworks Reference4 Headphone Editionを購入した。ちなみにこのソフトにはDAW用のプラグインも同梱されている・・・と言うか、本製品の真価が本当に問われるのはDAW上でだろう。

 これでやっと前段の説明終了だ。DAWのモニタリング用途も意図してSONY WH-1000XM3を購入したものの、1年以上も塩漬け放置状態となっていたと言うことだ。では、SONY WH-1000XM3の復帰?を促した上述の3つの原因に触れていこう。

 まず原因その1。私のメインPCはDell社の2020年モデルなのだが、最近うっかりBIOSをアップデートしてしまった。具体的には1.0.5から2.0.11へのアップデートだ。不用意なBIOSのアップデートを原因とするオンボードのオーディオ機能の不具合に悩まされる経験が重なったことからBIOSのアップデートは避けてきたのだが、今回はMicrosoftアップデート内に紛れてアップデータが配信されてしまい、チェック漏れから万事休すとなった。

 今回のバージョンのBIOSでもオーディオ周りに幾つか不具合が発生している。例えばPC動作中にフロントのヘッドフォン端子からヘッドフォンを一旦抜くと、ヘッドフォンを刺し直そうが別のヘッドフォンを刺そうがOSがヘッドフォンを認識しない。より厳密には、OSから見てヘッドフォン端子自体が無い状態となる。ヘッドフォンの再認識には、ヘッドフォンを端子に刺した状態での再起動が必要だ。このような状態発生のひとつの回避方法は、ヘッドフォン用の延長ケーブルをPCフロントのヘッドフォン端子に刺して絶対抜かず、ヘッドフォンの交換は延長ケーブル経由とすることである。もうこの時点でハードウェアとOSの連携が取れなくなっていることが分かる。この連携を担うものこそがBIOSなのは言うまでもない。

 結果として延長ケーブルのメス側端子が常にが手元にある状態となり(PC本体はお気持ち遮音と綺麗なエアフロー経路の確保を目的とした簡便な仕切り板の向こう、1m強離れたところに置いてある)、ヘッドフォンの交換の億劫感がエラく下がった。

 次いで原因その2。メインDAWであるCubase Proのバージョン11へのアップデートに合わせてGeneric ASIOドライバーもアップデートされたが、BluetoothヘッドフォンがDAWのアウトプットの選択肢として表示されなくなった。ASIO4ALLやFLStudioASIOと言った他のASIOドライバーでは選択肢として表示されるので、これはOSではなくドライバーの問題だろう。ただ私の環境では、DAWとASIOドライバーとの相性からGeneric ASIOドライバー以外の選択肢は無いので、SONY WH-1000XM3をCubase Proで使いたければ有線接続するしかない・・・ん?、有線接続ならBluetooth接続を原因とするレイテンシは気にしなくて良くなるぞ、アレ?

 最後に原因その3。まず、Sonarworks Reference4 Headphone Editionを後継製品のSoundID Reference Headphone Editionに最近アップグレードした。利用しているオンライン決済サービスからのクーポンなどを最大限活用し、かなりお得にアップグレードできた。次いで、Youtubeでお勧めされたシユウさんの動画 「【最強ヘッドホン】全ての音が見える『YAMAHA HPH-MT8』は、聴いてるだけで音作りが上手くなるぐらいヤバい。」を観て、さらにSonarworks Reference4でYAMAHA HPH-MT8の周波数応答特性を確認したところ「(少なくとも周波数応答特性に関しては)成程!」となったことが大きい。

 SONY WH-1000XM3の周波数応答特性は下図の紫のラインだ。黒い水平な直線が「味付け」の無いフラットな特性であり、私がモニタリング用ヘッドフォンに求めている理想の特性、作り手や送り手の意図した音が再現できる特性だ。50Hz以下の領域でも実際よりも大きな音で再生する特性となっているので、音がモコモコし易い。また1k~5kHz付近の音を実際よりも小さく再生する特性は多くのヘッドフォンで見られるが、6dbを超える再生音量の低減はやり過ぎだ。

対してYAMAHA HPH-MT8の周波数応答特性は下図の通りで、明らかにSONY WH-1000XM3よりもフラットだ。

 

 周波数応答特性がフラットな方が「音が良くなり得る」或いは「聞き心地が良くなり得る」理由は考えてみれば単純で、「プロが楽曲のマスタリング時などに使用している機器の音周波数応答特性が基本的にフラット」であるからに他ならない。作り手、送り手の意図通りの音が再現されるから、と言い直しても良い。

 「じゃぁさっさとYAMAHA HPH-MT8を買ったら?」と思ったあなたは正しい。だがヘッドフォンは実際に装着してみないと分からないことも多く、新型コロナ禍下の田舎暮らしの身にはなかなか実物に触る機会が作れない。まぁ金銭的に余裕が出てくれば、実物を触らないまま何かをポチりそうであることは否定しない。

 一方、「SoundID Reference Headphone Editionとやらがあれば、別にYAMAHA HPH-MT8なんて買う必要なくね?」と思ったあなたもかなり正しい。実際、ここで触れていないものも含めて様々な要因から現状の私はそういうポジションを取っている。故に「有線接続前提で」SONY WH-1000XM3がDAWモニタリング用に復帰した訳だ。何のかんのとノイズキャンセリング機能の利点はバカにできない、バッテリーの持ちも良い。物理的にはやっぱり重いけどね。

 とは言え、SoundID Referenceにもレイテンシがある。20~60ms台なので基本打ち込みしかしない私には許容範囲だが、録音する人には耐えがたいレイテンシだろう。故に「SoundID Referenceがあれば良くね?」と言うのはあくまで私のようなDAWの使い方をしている人間にしか当てはまらない訳で、YAMAHA HPH-MT8とかを使って低レイテンシとフラットな周波数応答特性の音を両立するのが王道なのは変わらない。

2021/05/19

6/1からのYouTube利用規約更新に対する危惧

 いや、マジな話。つい最近発表された「6/1からのYouTubeの利用規約更新」の内容の一部が議論を呼んでいるみたい、と言うか、この種の文章の常として具体性を欠きぎみの文章に対して憶測が止まない、と言ったところだろうか。[追記(2021/5/20)] 米国では先行適用されているみたいですね。でも「ゆっくり」を例に挙げるまでも無く、日本のYouTubeの「文化」には多くの固有性があるのも事実。[追記ここまで]

 YouTubeの規約ページからコピーしてきた問題の部分は以下の通りだ。日本語訳は私によることは留意されたい。

You grant to YouTube the right to monetize your Content on the Service (and such monetization may include displaying ads on or within Content or charging users a fee for access). This Agreement does not entitle you to any payments.

YouTubeサービス[原文は "the Service"]上のあなたのコンテンツを収益化する権利を、あなたはYouTubeに対して与えるものとします。(そしてそのような収益化では、広告をコンテント内やコンテント上に表示する場合や、ユーザーにコンテントへのアクセス料を課す場合があります。)この契約は、あなたに支払いを受ける権利を与えるものではありません。

 まず最初の一文は書きっぷりは結構具体的なので内容は明確だろう。2番目のカッコ内の文章も具体的と言えば具体的なのだが、"may"や"or"の使用のせいで具体的な収益化手法についてはYouTube側にほぼ無制限のフリーハンドを与えている。最後の文章の意味は単純で、所謂「パートナープログラム」などを介して収益をYouTubeと分け合うことにしている以外のコンテンツ制作者には、どれだけ彼らのコンテンツからYouTubeが収益を得ても一銭も払わないよ、と書いてある。

 さて、私のように収益化を考えるどころか視聴者がいなくても良いよと本気で考えているYouTubeチャンネル所有者は、営利企業であるYouTubeにとっては自社インフラに寄生するフリーライダーに過ぎない。そんな存在に対して自社インフラの利用を許すことは、皮肉無しで何とも慈悲深いことだとは思う。だが、90年代のハッカー文化に接し、その観点からプラットフォーマーとしてのこれまでのYouTubeのあり方を「良し」としてきた身としては思いは複雑だ。そして、とっても大きな別の危惧がある。

 私にとっての「良し」とは何だったか。将来のクリエイターにとって理想的なプラットフォームの一つの形は、無料または低価格で利用でき、制限が極力少ないことだ。少なくとも2、3年前までのYouTubeはそんなプラットフォームだった。

 JASRACとの包括契約は、少なくとも国内においては、カバー曲のアップロードに関わる権利問題を実効的にクリアにした。そうすることで弾いてみたネタやボーカロイドカバー楽曲のアップロードが可能となった。ただし収益化は不可能、YouTubeからJASRACへの支払いは生じるので、基本的にYouTube側に旨味は無い(動画の右下にカバーの原曲の小さなバナー広告が表示されていた時代もあったが)。

 収益化も「パートナープログラム」を介した形とし、クリエーター自体や彼らの創作物に対するリスペクトを感じさせる流儀を採用した。実態のほどは別にして、「クリエーターとは共存共栄、ここで生まれ、育ち、成功してください。そして商業的に成功した際には得た利益の一部を分けてください」と言うようなマインド、或いはマインドの欠片を感じさせてくれていた。ただ繰り返すが、この2、3年、「パートナープログラム」の成功以降は微妙にYouTubeの姿勢は変わってきた。

 実のところ、経済的視点からは「可能ならば私のコンテンツを収益化し、収益をYouTubeが全て持っていってくれて構わない」と言うのが私の考えだ。真面目な話、私のチャンネルには再生回数が1.7M回以上の動画が1本あるのだが(関連エントリ)、私は言わずもがなYouTubeはその動画自体からは1セントも収益を得ていない。ピーク時には2、3再生/秒を数日続けていたから、この動画再生のためだけにYouTubeが使った電力も馬鹿になるまい。儲けてもらって構わない。

 だが、この動画の収益化には解決しなけらばならない問題がある。登場物の意匠や楽曲の使用に関わるややこしい権利問題だ。典型的な逆パターンが「ゆっくり音声+フリーor自作立ち絵+魔王魂さん+いらすとやさん(10枚以内)によるコンテンツ」と言えよう。

 ここまで来れば、「YouTube上の全てのコンテンツの収益化」の現実性はほぼ権利問題に依存することが分かるだろう。もう一歩踏み込めば、「収益化に解決すべき権利問題が存在するコンテンツ」はYouTubeにとって経済的価値が無いどころか、不良資産として悪目立ちしかねない。ボーカロイドカバー楽曲はそのものズバリだ。

 今回の規約変更により、YouTube上のコンテンツは経済的観点から三分化される。収益化するもの、収益化できるがまだ収益化していないもの、そして収益化が経済的に見合わないものだ。前出の「収益化に解決すべき権利問題が存在するコンテンツ」は3つ目のコンテンツ種に当たる。このような状況に対してYouTubeが具体的にどう対応していくのか、有り体に言ってしまえばこれまでの「無料・自由」がそれぞれどのように変えられていくか、はまさに今後のYouTubeの有り様、ひいては利用者・視聴者の文化も決める。私のような「収益化が経済的に見合わない」コンテンツだらけのフリーライダーの扱いが今後どうなるかは全く見通せないが、「収益化できるがまだ収益化していないもの」の芽やコンテンツの多様化を支え得る現在「の」フリーライダーを切ることがあっては誰も幸せにならない。

 さて経済や経営関連の書籍を多数お読みの方なら結構共鳴して頂けるのではないかと思うのだが「米国のIT企業経営者はこの種の選択を必ず誤る」。彼らは実は「文化」を誤解しているか、理解していないため、従来のファンからの愛と忠誠心を失うのだ。特にプラットフォーマーは自身で「文化」を作ることはなく、作っているのはユーザーなのがミソだ。プラットフォーマーが絶対「老舗」になれない所以である。

2021/05/18

1001エントリ目!

とは言っても、私にとってもあなたにとっても特に意味は無いだろう。ホントに意味が無い。

 当ブログは、契約しているインターネットプロバイダの無料サービス上で始めた。開始時のタイトルには最後の「*」は無く、元ネタはマンガ「鋼の錬金術師」の確か1巻のカバー折り返し部の荒川弘氏の一文からだ。始めた時期は東日本大震災よりも早い2009年ごろで、位置付けは鬱病からのリハビリの一環だった。故にエントリの内容は雑多だし、マネタイズは考慮すらしたことない(Googleさんには申し訳ない)。アピアランスは見直すたびにスマホフレンドリーから遠ざかっている。ビュー数も、知れているなんてレベルを遥かに下回る。昨今はGoogleとBingのクローラぐらいしかアクセスしていないと思われるエントリも多いが、少なくとも今の私にとってはそれで充分に価値がある。どんなに細いものとは言え、不特定多数との接点があることそれ自体が今後何らかの価値を生み出す可能性を「否定はしない」だけだ。

 趣味でも自己満足でもなく、自己承認欲求とは無縁で、正直何のために続けているのかも分からない。ただ、「世の中、良く分かんねぇことばっかりだなぁ」といった個人的思いのはけ口として利用することはままある。書かないだけで、実体験でもネタ自体には実は困っていない。匿名性は担保するが、「たまたま飲み屋のカウンターで席が隣り合った身も知らぬサラリーマン」ぐらいのレベルの匿名性が望ましい。別な言い方をすれば、「匿名性を傘に着て」とか「匿名を良いことに」とか後ろ指をさされるようなことは絶対したくない、って感じだ。あと「口だけにはなるな」、かな。

 2000年代はサラリーマンとしての仕事が忙しく、狭い世界とはいえ社内外で多少顔も売れて名指しで仕事を受けることも増えたりしたので、自己承認欲求が十分に満たされていたのは偽らざるところだった。加えて3Dモデリングに関しても、ホントにピンポイントの分野内だけ(ただしVFX業界のプロもいる)でだが高評価も得ていた(10年前の自作のモノに対して、つい最近になっても"You're the best at creating BSG models!"なんてコメントがもらえるとは、何て幸せなことだろう!)。故に本ブログもYoutubeチャンネルも、「まぁ、気に入ってくれる人が一人でもいればね」ぐらいの距離感でいじってきたし、放置したことは無いし、それらはこれからも変わらないだろうとは思う。1000本もあれば1本ぐらいは「当たり」のエントリもあるしね。

 そして本ブログやYoutubeチャンネルを辞めると決めたり、放置状態にならざるを得ないと判断した場合には、予告の上躊躇無くコンテンツを全削除するだろうと確信する。ホント、東日本大震災が私から奪ったものの一つは、間違いなく「自分の作ったモノや為したコトへの執着」と言えるだろう。いやぁ、諸行無常。取り組んだ物事は、自他ともに認められる形できっちり終わらせてナンボだと心から思う。為したコトを他者と共有できるように仕上げることは、本当に新しいコトを始めるために必須なものだ。

 閑話休題。

  2014年のプロバイダでのサービス終了に合わせて現在のGoogleのサービスに引っ越した訳だが、その際に鬱症状に関連するそれ以前のエントリを基本的に削除した。結果として2012年より前のエントリはもはやどこにも存在しない。2005~2012年は3DCGモデリングを趣味としつつ、主にカナダの3DCGコミュニティのスレッドに入り浸っていた(英語を勉強しながらなので、個人的には十分厳しめで時間も喰うチャレンジだった)ので、そもそもエントリ数からして少なかった。

 アーカイブの欄を見ると、年によってエントリ数の増減が激しい。しかし、2019年を除けばエントリ数の大小に健康状態の影響はほぼ無い。むしろ、ネタの有る無し、生活が忙しかったかどうかの影響の方が大きい。

 まぁ1001エントリ目ではあるが、昨日に1エントリだけ非公開にしたので、現在公開されているのは1000エントリだけだ。投稿当時は気にならなかったんだけどね、改めて読むとちょっと下ネタが行きすぎかなってのを見つけちゃいましてね。

2021/05/16

ディストーションvstプラグイン「なに?!?」

 う~ん。「vstプラグイン」と言ってもDAW触ってない人には何のことすら分からんだろうしねぇ。個人的にはディストーションはほとんど使わないから出来の方は分からんし、「ネタとして面白いか?」と言うのも微妙だし、まぁ「あ、知ってますよ、それ。」って後で私が言えるためのアリバイ作りのためのエントリだね、今回は。

 あ、今回が1000エントリ目ですよ、本ブログ。 「非公開にするぐらいなら全部消す」主義なので、公開分だけで正真正銘1000エントリです。

 改めまして、「なに!?!」又は"NANI"はディストーションプラグインだ。Youtubeのおすすめにレビュー動画が出てきたのでその存在を知った。そのプラグイン昔からあったやん、と言われても私が知ったのは今日だ、今日なんだ、こればっかりは仕方ない。レビューアーが"but in all seriousness・・・(いや、マジで)"っぽい表現を使っていて、モノのネタ部分のせいでノリ自体に苦慮している様がうかがえるが、このエントリを書いている私だってそうだ。

 価格は$20(税抜き)で、レビュー動画の詳細欄にディスカウントコード(-10%とか)が書かれていたりするので、購入を考える場合は是非チェックを忘れずに。公式ページはここ、無料のデモバージョンもある。複数マシンで同時使用可のライセンス、ライフタイムフリー(一生涯無償バージョンアップ)ということなので、使い続けるならお安いのは確か。購入版は修正無し(Uncensored)、バージョンアップはアートワークのアップデートも含むとか辺りは、取り合えず笑って流しておきますね。

 プラグイン自体の説明は面倒くさいから吹っ飛ばして私自身がちゃんと触っている訳ではないので飛ばして、公式ページからコピーでお茶を濁しておこうを紹介しておこう。

"If only I had a plugin with large anime breasts"
- Every producer.

「アニメ調巨乳を備えたプラグインさえあればなぁ…」

- 全てのプロデューサー


  いや、ディストーションの良し悪しは本当に分からんのですよ、いやマジで。でも、レビュー動画内の音を聞いていると、なんか感じ良さそうではある。ただこのネタ・・・ロケットパンチ回収問題みたいなもので・・・服が元に戻る描写や元に戻ること自体に色々引っかかりを感じてしまう自分が居る。我ながら本当に面倒くさいヤツなのだ。そのような視点からは、空中元素固定装置の偉大さはコスモクリーナーに勝るとも劣らないのな。じゃぁ「揺れるのはどう?」と問われれば、「好みの揺れ方はある」とまずは答えておこう・・・俺は揺れる方が好

 あと、購入は18歳以上になってからだぜ!・・・と思いきや、ボタンは「無視(DENY)」と「確認(CONFIRM)」しかないじゃないですか、やだー。

2021/05/13

最悪(かもしれない)に備えよ(、ですか)

  報道「全国で9割以上が英国由来の変異株に置き換わり 感染研まとめ」の内容が本当なら、現在の日本で感染が広がっているCOVID-19はイギリス変異株ということになる。ちなみに大阪とその周辺がほぼ100%、東京とその周辺が90%以上と推測されているそうだ。

 私はインド二重変異株が蔓延開始していて、新規感染者の20%ぐらいを既に占めているのではないかと思っていたので、報道された調査結果には驚いた。今後のインド二重変異株の勢力拡大によって、感染状況が更に悪くなり得るということだからだ。この波に対して、最初の均等配布で人口分をカバーできた小規模自治体を除いて、ワクチン接種は全く間に合わない。

 感染状況の報道を見ていると、私の住む地方都市周辺でも「家族三世代(全員?)感染」、「事業所(職場)クラスター」を思わせる感染例が珍しくなくなってきた。従来株では意外に見られてこなかった事例に思われる。若年感染者の増加と感染拡大要因化や、従来の感染対策では不十分な状況の発生が懸念される。若年感染者経由での妊娠女性の感染者数増加も危惧される。

 イギリス変異株ですらそうなってしまうような感染対策下では、インド二重変異株への置き換わり後にどこまで感染状況が悪化するかは予測し難い。感染者増大と若年層への感染拡大、猫の介在機会の増大は更なる突然変異機会の増大も招く。まぁ、インド二重突然変異株に勝る高感染力、短潜伏期間、弱毒を兼ね備えた突然変異株の出現機会はゼロではないけどさ。

 約2か月後(7/20ごろ)の日本は阿鼻叫喚な状況かも知れんね、マジで。 狙ってやってる(何を?)なら、色々と良いタイミングかもね。

2021/05/10

35年越しに某映画に登場した「THOR計画」の命名理由に思い当たる

 本エントリは何時にも増してブログ主にしか意味ないよ。

 米国映画「ブルーサンダー(1983)」は好きな映画で、DVDはまだ手放してはいない。初見はTV放映された吹き替え版で、音楽の処理に東北新社っぽさ(他の映画の楽曲を使ったり、オリジナルから抜いたりする)もあったし、高島忠夫氏が「監督のジョン・バダムはハイテク・スリラー映画の鬼才と呼ばれる」と紹介しているみたいな朧げな記憶もあるから、1986年のゴールデン洋画劇場版でほぼ間違いない。

 私の見るところ、当時ですら「もはや失われつつある」と当の米国人にも認識されつつあっただろう「古き良きナイーブ(初心な)な米国」流の正義漢を描く映画である。主要な二人の正義漢の名前に「フランク=正直者」、「グッド=良い人」といった、「やっていることは正しいのだが、融通の利かない人」っぽい感じを与える単語が入っているのは過剰なまでに意図的なものだろうと思う。

 さて、映画のタイトルにもなっている「ブルーサンダー」は、ロサンジェルスオリンピックを目前に警察に導入された紺色に塗られた対テロヘリコプターの愛称である。暴動鎮圧用と言うものの機首下にはガトリング砲が装備され、素人目には軍用戦闘ヘリコプターと区別はつかないだろう。映画のストーリーは、「ブルーサンダー」導入の本当の目的、上記の正義漢らにすれば「悪の陰謀」にしか見えない「実験計画」を軸に展開する。

 ここでやっと本エントリの本題に入る。その「実験計画」こそが「THOR計画」だ。当時の吹き替え版では「ソア」と発音されたそれは、"Tactical Helicopter Offensive Reaction"の略だ。本題とは関係ないので計画の内容にはここでは踏み込まないが、当時、吹き替え版を見ながら「ソア」と言う発音にも省略前の文章(劇中のブラウン管ディスプレイに表示される)にもイマイチ無理矢理感を感じてしっくりこなかったのだ。

 アクロニム(文章を構成する単語の頭文字を並べて作った語句)の作成に挑んだことのある人なら分かると思うが、最終的に得られるアクロニムが格好良くなるなら、元の文章が多少変になっても気にしないだろう。"THOR"にもそんな座りの悪さを感じたのだ。裏を返せば「"THOR"ありきなのは何故か?」と言う印象を持ったということだ。

 それから約35年、ついに理由っぽいものに気づいた。

 きっかけは何のことはない、「ブルーサンダー」のサントラを久しぶりに聞いたことだ。映画冒頭に主人公が「自分が正気かどうかを確認するシーン」があるが、 そのシーンの楽曲を耳にした瞬間に閃いた。

 "thor"の発音の日本語への置き換えは、かつては「ソア(ソゥア)」が主流だったが、現在は「ソー」が増えている。"Thor"は「マイティ・ソー」の「ソー」、米語においても固有名詞として北欧神話の雷神「トール」を指すと同時に「雷」の意味も持つ。もっと言えば、英語の"thunder(雷)"の語源ですらある。なお、米語でもそれぞれの日本語表記に対応した2つの発音がある。

 なんともはや、「ソア計画」は「雷計画」又は「雷神計画」だったのだ。「"THOR"ありきなのは何故か?」の答えはきっと、脚本家、監督、或いは「ソア計画」に携わっている劇中人物の何れかが「雷づくし」を意図したのだろう。だから"The special"とも呼ばれた「THOR計画」のキーアイテムたるヘリコプターは、「トールのハンマー」が放つ「青い雷」と名づけられたのだ・・・なんてね。

 なんとも何かをこじらせた感がある結論になっちゃったなぁ。

 「そんなのとっとと気づけ」とは言わないで欲しい。80年代に「ソア」と来ると、トヨタの「ソアラ」あたりを連想してしまうのだ。そうなると雷どころか太陽の方に意識が行ってしまう。ただし、ソアラと太陽とを関連付けるのは、日本語での語感に引っ張られた勘違いに過ぎないことを後に知る。また当時ファンタジー系書籍を読んでいた人間にとって雷神トールの綴りは、北欧系の「TOR」が普通だったのだ。

 ちなみに80年代前半のアクション映画の主人公にはベトナム戦争帰還者が多い。「ブルーサンダー」もそうだし、「ランボー」や「ファイヤーフォックス」もそうだ。彼らは時に「ベトナムでの記憶」に苦しめられる(所謂、ナム・フラッシュバック)が、実戦経験を生かしてかちょっとやそっとの逆境には動じずに迷わず的確な手を打つ。そこに「有り得ないこと」を劇中で何とか成立させるマジックが生まれた時代だったんだねぇ。

2021/05/05

暗号解読!?

 三崎律日/Alt F4さんの動画シリーズ「世界の奇書をゆっくり解説」の今回のネタは「Liber Primus」だ。と言うか、「Liber Primus」という本?の登場までの経過(「Cicada3301」によるネット上の騒ぎ)の紹介が実はメインストーリーだ。だが当然のように暗号解読や素数の具体的な話が何度も出てくるし、個々のエピソードを深掘り気味に取り扱っているので、1回の視聴で騒ぎの全体像を把握するのはなかなかに難しいと感じた。

 ちなみに私が「Cicada3301」に関する話を知ったのは、ゆっくりまっちゃさんの動画「【ゆっくり解説】インターネット上最大の謎『cicada3301』について語るぜ」のおかげだ。上記の「暗号解読や素数の話?」となった人はこちらの動画を先に観て、騒ぎの流れ全体をコンパクトに押さえておくのも良いかと思う。

 さて、今回の動画の最後近く、三崎律日/Alt F4さんは視聴者に「暗号」を出した。40桁の数字である。視聴者への挑戦と言うよりもサービスという感じだ。当然、解読に挑戦した。

 結果から言うと、約30分で解くことができた。ただし解読の最後のステップは自力では乗り越えられず、私よりも更に30分程度早く解読した人(つまり私の着手時には解いていた・・・)の動画へのコメントに助けられた。コメントを一見して「あ!」となったときの感覚は独特のものだ。

 動画のコメントを追い、ネットで情報を拾っていけば解読はできるだろうが、やはり「知っていることが多い」人の方が解読には有利だ。解読の流れは大まかに以下のようになる。

  1. 40桁の暗号数字列を4桁毎に分ける。4桁の数字は動画の再生時間を表しており、前の2桁が分、後ろの2桁が秒となる。10点の時間が順番通りに並んでいるのは解読者へのサービスだろう。6を超える数字が少ないことから時間の可能性を類推し易いとは思うが、時間(4桁の数字)の並びが入れ替えられているとそれに気づきにくくなるのは間違いない。

  2. 10点の時間にはそれぞれ画面内に4文字のアルファベット列が表示されるので、これらをメモした。ここで私が幸運だったのは、4文字のアルファベット列がBase64でエンコードされた文字列の可能性にメモを一瞥して気づいたことだ。20世紀にSJISにしか対応していない(海外からのメールは確実に化ける)困ったメーラーを使う組織に属していたことがあり、海外とのやり取りにBase64でエンコードしたテキストを使うことが多かったからだ。つまり、要らん苦労の所為でBase64でエンコードされた文字列を見慣れていた訳だ。

    デコード前文字列:azE1eTBuMDUzazQxNWgxXzJfazRuazB1azN0dDMx

  3. ウェブ上のツールを使ってBase64テキストをデコードした。が、一見意味があるような文字列にならなかった。分かったことは、数字の2が独立して現れる("_2_")こと、一見「カ〇〇ウ」とローマ字読みできそうな文字列があることだ(アンダースコア"_"を根拠無く『空白、ブランク、スペース』と解釈したのも単なる幸運だ)。そこで上記の「私よりも更に30分程度早く解読した人」のコメント中の"leet"と言う単語に気づいた。その次の瞬間には文字列は読め、解読成功を確信した。スッと読めたのは、三崎律日/Alt F4さんが既に自著を出版していることを知っていたことが大きい。

    私の解読結果(白文字):奇書の世界史 2 刊行決定 (k15y0n053k415h1_2_k4nk0uk3tt31)

 と言うような流れで暗号解読に成功した訳だが、幸運はBase64を使った経験と三崎律日/Alt F4さんの活動についてちょっとした情報を知っていたこと、そして"Leet"と言われればそれが何かが分かるぐらいの知識があったことだろう。逆に「Base64って何?」「Leetって何?」では遠回りが避けられず、解くことをあきらめた可能性が高かったろう。

 ちょっと話がずれるが、古代文字の解読にはその文字が記述している言語が分かっていることが重要だ。エジプトのヒエログリフ(古代エジプト文字の一書体)を解読したシャンポリオンは言語の天才でもあり、ヒエログリフが記述していた古代コプト語に関する知識があったらしい。マヤ文字の解読も、古代マヤ語の直系の可能性が高い方言が特定されてから加速した。ちなみにエジプト文字もマヤ文字も表音文字である。私は「解読結果として得られるものはローマ字表記の日本語だろう」と仮定して解読に着手した訳だが、それ故に"Leet"に思い至れなかったとも言える。

 解読結果をある程度予測できていれば、厳密な解読でなくても良ければ"Leet"は解読に不要だ。これは"Leet"を使わないと言うことではなく、「一般的な"Leet"が使われていることを意識しないまま、"Leet"を使ってしまう」と言うことだ。この場合、"Leet"は一種の換字暗号として取り使われていることになる。ちなみに"Leet"は「見た目が近い別の文字(または文字列)に置き換えるもの」なので、上記の通り「一見『カ〇〇ウ』とローマ字読みできそうな文字列がある」なんてことが当たり前に起こる。|V|とタイプしても人の目ならMに見えなくもないでしょ?だから暗号としては弱い。でもコンピュータにとってはそうじゃないところがミソだ。

 上述の通り"_2_"と「カンコウ」が見つかれば、「あぁ、あの本の第2巻/集が刊行されるのか」という推測は十分できる。これは三崎律日/Alt F4さんが自著の出版歴を持つこと、その本が動画と関係あることを私が知っているからだ。ならば探すべきは第1巻/集の書名である「奇書の世界史」換言すればk、i、s、y、o、n、e、a(ヘボン式なら更にh)がどの文字に置き換えられているかを特定することだ。「カンコウ」がもしその通りならば、kとnとuはそのまま、aは4、oは0、までの変換ルールが得られたことになり、焦点は、sは5、iは1、eは3、yとhはそのまま、の変換ルールで良いのかと言う点に集約される。何故ならこれらルールに従えば、得られている文字列の先頭が「kisyonosekaishi_2」となるからだ。更に、tはそのまま、の変換ルールを加えれば、全文が意味ある文章として読める。この一連の流れは、第二次世界大戦中に英国がドイツのエニグマ暗号の解読キー(厳密には暗号化ローターの初期設定。毎日変更される)を総当り法で解く際に、例えば通信文の最後に高確率で「ハイル・ヒトラー」という文字列が入っていることを利用して解読を効率化したことにも似ている。

 ただ、これら文字変換ルールが正しい保証が全くない。少なくとも既存のルールに従ったものでなければ、他者も同じ結果を得る保証にならない。そこで"Leet"だ。"Leet"は規格化されたりといった「唯一の変換ルール群」ではないが、「広く使われている変換ルール群」と言う意味で標準化されていると言える(デファクトスタンダートってやつだ)。だから、文字列を大文字に変換した上で、Wikipediaに掲載されている"Leet"の変換表との齟齬が無ければ良いこととした。

 なお、"Leet"の文字変換は基本的に1対1ではない。だから、原文中で同じ文字でも"Leet"適用時にはそれぞれ別の文字に変換しても良い。解かれたくない場合は特にそうだ。でもそうしていないあたりが、この暗号が動画視聴者へのサービスであるひとつの証左と言えよう。

 ただ、大文字も当然扱えるBase64のデコード結果が小文字と数字の文字列なのに、基本的には大文字表記を対象とする"Leet"(例えば、4はAにはまぁ見た目近いがaにはほど遠い)を適用させるってあたりはちょっと意地悪な一捻りとは言えるかも。まぁ、大文字だとほとんど見た目で読めちゃうのが"Leet"だからねぇ。

 本日の成果はこの暗号解読です、うむ~。とか言いつつ、この解読が間違っていたらどうしましょうかね。

2021/05/04

30倍ならスペイン風邪ちっく

 本エントリの内容は、それこそ子供のころに読んだ本やここ10年ほどにネット上で見た内容を多く含むので、間違いや勘違いが含まれている可能性があるよ。エントリタイトルを眺めながら「『インドア系ならトラックメイカー』と意外に発声時のリズムが似てる」と思うとか、俺って馬鹿だなぁ。

 さて、

昨日、COVID-19の二重変異インド株の感染力(という謎のワード)が既存COVID-19の30倍という文章をネットで見た。また、インド国内ではこの二重変異株がイギリス変異株(感染力?が5倍)やブラジル変異株をほぼ駆逐してしまったとの調査結果もあるようだ。

 なお、最近のインドでの感染爆発の原因として大規模宗教行事の実施が挙げられ、その実施を止められなかったモディ政権への国民の求心力低下まで起きた。が、やはり二重変異インド株の登場が感染爆発の主因のようである。

 で、30倍と言えば、個人的にはスペイン風邪ウィルスの増殖速度に関わる数字だ。スペイン風邪の正体(変異インフルエンザ)が判明したのは1990年代も末期らしい。正体探しのブレークスルーは、いろんなものが埋まっていることで有名なシベリア、ツンドラ地域で発見された「スペイン風邪で亡くなった人のミイラ」だったそうだ。

 ミイラの調査から、スペイン風邪がインフルエンザの一種であるウィルス性感染症であることばかりか、分子生物学的特徴も特定された。そして分子生物学的特徴とやらから「再現」されたスペイン風邪ウィルスは、毎年流行しているようなインフルエンザの30倍の増殖速度を実験で(おそらくガラス容器内で)示したそうだ。結果、感染源からは一定時間あたりの数にして従来の30倍のウィルスが放出される可能性が示唆される。

 体内に取り込んだら感染に至ってしまうウィルス数が従来株と同じなら、まぁ感染力30倍となると言えなくもない・・・問題は、二重変異インド株は免疫系を回避する(免疫系が感染を検出するタイミングが遅れたり、検出に必要なウィルス数が上がる)特性があることだ。感染力が謎ワードなのは、後者の免疫系に関わる因子を考慮してるのかどうかが分からない、「書き手は意味を理解しているのか?」と疑わざるを得ない記述があふれていることに尽きる。

 改めて書こう、そうは言っても30倍だ。ついに来た感がある。これ以上増殖速度が上がると感染即短期間で死亡となってしまい、流行できないままウィルス自体が死滅してしまうだろうという気がする。免疫系が気づく前に終わり、では人間の身体にできることは全く無い。

 では、感染力?が同等?となったスペイン風邪による日本のダメージはどのようなものだったか。死者数/感染者は約1.7%(世界的には10~20%の範囲の数字を目にしてきた)と決して高い印象は受けないが、累計感染者数は当時の国民約5500万人のほぼ半分とされ、死者数で見ると決して馬鹿にならない、いやはや。

  ただ現時点で目にした情報に基づけば、日本において二重変異インド株はスペイン風邪程の感染者は出さない可能性が高いと見ている。理由は簡単、伝わっているスペイン風邪の毒性よりも、二重変異インド株の毒性の方がかなり高いからだ。潜伏期間は短く、発症から2日程で発熱などの症状は治まって一旦回復したように見せておいて、本番の症状はそれ以降だそうだ。[追記3/15]インド二重変異株については、潜伏期間はむしろ長い(3週間以上もあり得る)と報道内容が変わってきている。従って、「発症から重症化」までの期間が短かくなったと理解しておくべきかと思う。[追記 ここまで] 当初からCOVID-19は体中の血管にダメージを与えて多臓器不全を引き起こすと言われてきたが、二重変異インド株の本番の症状はまさにそのようなものだという。肺炎はウィルスが増殖中の場所で起こるごく初期の症状に過ぎない。

 今回の感染症に関する我が家のモットーは1年前から「罹ったら負け」。二重変異インド株の登場、加えて国内にも侵入済とのことで、その意味はますます現実味を帯びてきた。自分はともかく(どうせもう意識が無い)、家族がトリアージの対象になるような状況は考えるのも嫌だ。