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2023/06/14

聴いてみたいの

[追記:2023/6/18の7:30ごろ] クラファン達成!製作者Osamu Sugiyama a.k.a Staris自身の生配信効果は大きかったかも。チャットを介して製作者当人(当人曰く、結果として今の日本では珍しい200人の人にレコードを売った男)が視聴者とやり取りをしたり、そのやり取りを聞いている別の視聴者にも「購入しようかな?どうしようかな?」と考えさせつつ、人柄の良さとか今回のリリースに対する強い意欲とかも併せて伝わってくる生配信でした。[追記ここまで]

 少なくともハイレゾ音源周りについては、極めて実証主義的なところがこの方の動画のミソ。で、聴いてみたいなこのEP。クラファンもあと10日(~6/24 24:00)、気になったら是非。アナログ盤だけでなくデジタル版がダウンロードできますよ。

2023/06/09

一筋縄ではいかないヘッドホン選び

 今回は知人への生存表明のようなエントリ。内容は個人の趣味・指向の話で、間違ってもレビュー記事なんかじゃない。

 病気でうんうん唸ること約4年、最新ヘッドホンがSonyのWH-1000XM3だったなんて有様だった。本機のノイキャン機能は現時点でも結構通用する優れモノだが、音は産廃モノだ。ただ、マスタリングした楽曲が「本機でもちゃんと聴くに堪える音になっているか」の判断は、この種の音作りに慣れた耳が多い現実を前にしては無視できない。故に手放せない。

 さて、直近のエントリでは、外出用のイヤホン(カナル型/インナー型ヘッドホン)の選択での悩み(ただし結論は無し)や、ひょんな弾みで購入したら色々世界観が変わってしまった携帯用DAC・Fiio BTR7について触れた。本エントリでは、現時点のヘッドホン環境について簡単に触れるに留める。そこに至る顛末に特に面白いことが無いから仕方ないじゃないですか。あと、「お金持ち!」と思う方もおられようが、関連する出費はもうすぐ貰えるボーナスを当然のように当てにしている。ネットでの購入ではあらゆるところであらゆるタイミングでセールに直面することになるが、個人的な結論は「買うべきといったん腹を括ったモノの購入は次のセールで買うべし」である。運が良いのか、半年~1年単位で見れば極めて高確率で最安値を引いているし、「在庫なしでがっくり」という目にも会ってきていない。

 私がヘッドホンに求めるのは、音の定位感や粒立ちが明確な極めてモニター寄りの特性だ。実はSenheiserのHD599も持っているが、購入は発売直後と大概昔だし、そもそもピュアにリスニング用として入手したものだ。結果としては先の産廃と同様、マスタリング音源のチェック用リファレンスとして最適な一品だ。これで聴いて「駄目だこりゃ」となるような音源は本当に駄目だろう。あと本エントリでは触れないが、リスニング用途にはBluetoothヘッドホンも数本入手している。

 さて、このような特性を求める理由はもちろんモニター用途で使用するためでもあるが、リスニング用途時、或いは普段使い時の機器構成や接続構成との相性もある。モニター用途の場合はDAWを動かしているPCに接続したオーディオインターフェースへの有線直刺しとなるが、外出時や普段使いでの構成は全く違う。常に再生機器とヘッドホンの間にDACが入るが、これは再生機器であるタブレットのDACがどう見ても音楽再生向きではないからだ。機器や接続の構成はざっくり下記の2パターンだ。

 ①再生機器→USBケーブル→DAC(Fiio BTR7 or iFi GRYPHON) →有線→ヘッドホン
 ②
再生機器→Bluetooth(LDAC)→DAC(Fiio BTR7) →有線→ヘッドホン

①は自宅での基本構成だ。iFi GRYPHONは基本的に持ち出さない半据え置き状態で、現行所有する唯一のMQAフルデコーダ搭載機器だ。②は外出時の基本構成だ。以下の記載内容は、これら構成での使用が前提となる。

 で、本題。

 まずオーバーイヤー型ヘッドホンは、audio-technica ATH-M70x一択だ。これまではYamaha HPH-MP8がこの位置を占めていたが、つい先月購入していきなり音の粒立ちの良さに打ちのめされた。例えば、音数の多いYoasobiの「アイドル」の音の見え方がHPH-MP8と全く違う。

 ただしこれは良い悪いではなく、個人の好みと聴く楽曲との相性が絡んでいるのは間違いない。再生周波数特性に明確な違いがあるのだから聴こえ方が違うのは当然で、主観ながらHPH-MP8が70年代のスタジオのモニタースピーカーのそれに近く、ATH-M70xは現在の一般的なリスニング用ヘッドホンに寄せてあるように思える。ならば、如何にも今時の音作りになっているだろう「アイドル」の聞こえ方が違うことに不思議はない。

 すいません、audio-technicaさん。量販店に並ぶなんとかBASSなどの製品群を目にしながら舐めてかかってました。本当にすいませんでした。

 がっかりと言うか判断に困っているのがSONYのMDR-MV1だ。オープン型で、その軽さとも相まって2時間位装着していても疲れは感じない。自宅での使用なので環境がノイジーではなく、音量を上げなくても良いのもそれに拍車をかけているだろう。幾つかのレビューで見た通り、縦方向の音の分離は良い。が、粒立ちは余り強くなく、輪郭のボケが気になる。360 Reality Audioへの対応なんかはどうでも良いとなると、再生周波数特性が近めな(スタジオモニター的な)HPH-MP8に対するメリットが見えないのだ。軽さやオープンであることだけでは、価格差を埋めるには不十分だと感じる。悪くはないんだよ、良いところが見えない。

 次いでカナル型ヘッドホンはSenheiser IE 400 Pro推しだ。カナル型ヘッドホンは壊すこともあるだろう外出先での使用が前提なので、正直5万円でも高いと考えている。実は本機の購入は今週なのだが、②の構成でとあるライブ音源を聞いていた際にリアルに「こんな音が鳴っていたのか!」体験をしてしまったことで、一気に一推し製品となった。購入の理由は、まず価格(-24%引ぐらい)、とあるYouTube動画での好意的な紹介だ。更に直近の一推しがリケーブルしたSenheiser IE 100 Proだったので、レビューでの相対的な評価が判断材料にし易かったことも結果的に購入するとの判断にプラスに働いている。

 Senheiser IE 100 Proは1万円未満で買えたので3本持ちで、1本がリケーブルしたもの、1本が純正Bluetoothユニットに接続したもの(LDACをサポートしていない機器とapt X AdaptiveでBluetooth接続しないといけない場合がある)、残り1本が純正ケーブル使用品だ。3本ともイヤーピースはAZLA SednaEarfit Crystal(L)にしてある。チビのくせに外耳道が広いみたいで、これぐらいぴっちりと耳を塞ぐイヤーピースを使わないと低音が生かせない。リケーブルしたものは明らかに高音のキレが良くなったので、きっちり出ている低音を逃さないようにしないと音のバランスが悪くなるので尚更イヤーピースの選択は重要だ。

 「推し」という表現を使った理由はイヤーピースの変更が前提、手放しではお勧めできるかどうかに疑問が残るからだ。だが事実として、同じ上記のイヤーピースを用いた条件の下、リケーブルしたIE 100 Proでも聞き取れなかった音(間奏でのボーカルの『微かな』ハミング、「懐かしのバイアーナ(Live at Aoi Heya, Shibuya - November 2007)」、blue marbleのアルバム「ヴァレリー(Remastered)」収録)がIE 400 Proでは思わず聞こえたのだから仕方ない。

 IE 100 Proも悪いモノとは全く思わない。「そんな音(周波数成分)無いだろう」みたいなヘッドホンが当たり前に存在する中、再生音の周波数特性はともかくも誤魔化しの無い音を綺麗に出している(と信じている)のは重要だ。これは「駄目な音源はちゃんと駄目に聴こえるだろう」と言う意味でもあり、つまりは私が求めている特性だ。複数のレビューを参照すると、①音の分解能(定位や粒立ち)、再生周波数特性ともにIE 400 Proの方が一枚も二枚も上手、②IE 400 Proの再生周波数特性はIE 100 Proの中域を持ち上げた感じに近い(IE 400 Pro基準だとややドンシャリ寄りと言うことか?)、③最後は個人の好みによる、と言った辺りの評価が見えてくる。③は「どっちも持っておいてその時の気分で選べば?」と言っていると解釈してもらって構わない。そういうレビューが案外あると言うことだ。

 さて、本エントリは上記の「リアルに『こんな音が鳴っていたのか!」』体験をしてしまった」ところからの流れで書いている。では他のヘッドホンでもその音が聴こえるか試してみましょうか!

2023/04/18

FiiOのBTR7がゲームチェンジャー過ぎた

 タイトルの通り。

 有線ヘッドホンに求める音への要求が全く変わってしまい、有線ヘッドホン選びはこの2ヵ月ほど混沌状態のままだ。気が付くとBTR7は2台持ち、要は故障などによるBTR7ロスが怖過ぎるのだ。音の鋭さが良い。かつての憧れ、iFi Audio Gryphonの音は余りに眠く、代替にはなれない(ただしMQA音源再生時は一味違う)。他のドングル型DACも駄目だ。

 現状、外出時のインナーヘッドホンは4.4mmバランスにリケーブルしたSenheiser IE 100 Proで、LDAC接続したBTR7との組み合わせが大前提、イヤーピースも低音の漏れを最小限に抑えるべく選びに選んだものだ。沼だ沼…

2023/02/19

一筋縄ではいかない外出時用ヘッドホン選び(承前)

 さて、iPod touchシリーズの終焉と言う外部要因に強いられる形で外出時の音楽鑑賞環境の見直しを始めて久しい。当面の再生環境は8inch級画面のAndroidタブレット+Musicolet(ローカル音楽ファイル再生に特化した音楽再生アプリ)で固まり、次はインナーイヤーヘッドホンをどうするかとなったのだが、ひょんな弾みで色々と面白いと言うか個人的には興味深い経験をする羽目に陥っている。「ひょんな弾み」とは、「勘違いから」FiiOのBTR7と言うBluetoothレシーバー/USB接続DACを購入してしまったことを指すのだが、本エントリではそこは取り合えずすっ飛ばす。

 外出時、特に特急列車移動中に音楽を聴く際に使っているヘッドホンはPioneer SE-CH9Tだ。2017年春ごろにハイレゾ対応を謳って発売された有線式インナーイヤーヘッドホンで、事前知識も入れず、視聴もせず、近所の大型家電量販店にふらっと立ち寄って直観にのみ従って価格も気にせず購入したものだ。所謂「SHURE掛け」に戸惑ったものの、音はまさに私が求めていたものだった。一聴して余りに音が気に入ってしまったため、当日のうちに改めて件の家電量販店に車を走らせてもう一本追加購入してしまった程だ。なお追加購入品は今でも未使用のまま保管してある。あと5年以上前の製品を未だ使っている理由の一つは、2018~2021年は体調を崩していてヘッドホンの更新どころではなかったからである。

 先行するエントリでは再生環境にSoundID(ちょっと特殊なヘッドホン向けイコライザーアプリ)が必須と書いたが、それはノイズキャンセリング機能やドライバーなどは(恐らく)優れているのに、正気を疑わざるを得ない音の味付けをされる某SONY社の可哀そうな製品を使う場合の話だ。実際、SoundIDを通して鳴らした某SONY社製ヘッドホンの音は概して好みではある。

 と、SoundIDが何をするアプリかを知っている人ならば、この時点で私が好む音の方向性は分かるだろう。ヘッドホンなどの音響機器メーカーがユーザーに押し付ける迷惑な「味付け」、例えば低音域を強調するといったもの、を極力排した、作り手や送り手の意図したものに近い筈だと信じられる音だ。業務用のモニターヘッドホンの音かと言われればそれは違うと明言できる。が、極めてモニターヘッドホン寄りの、リスニングヘッドホンの音と言うことにはなる。粒立ちの良い音、分離の良い音を好んでいるのは間違いない。別の言い方をすれば、ヘッドホンの味付けが適切に効力を発揮するためには音源自体が味付けされていないことが前提となる訳で、私が欲しい音はその「味付けされることも想定した、味付けの無い音源自体の素の音」となる。それはモニターヘッドホンやモニタースピーカーをも使ってプロが作った、リスニングヘッドホンやスピーカーの為の音の筈だ。

 オーバーイヤーヘッドホンになるが、Yamaha HPH-MP8の低音域を多少持ち上げると割とそんな音となるのではないかと思っている(異論は認める)。SoundIDのメーカーであるSonarworks社が測定したYamaha HPH-MP8の再生周波数特性(SoundIDで確認できる)は低音域の再生時レベルがやや下がっているので、SoundIDを通してこの部分のレベルを少し上げてやると「少なくとも低域は」良い塩梅となる。まぁ8kHz以上の高音域は少し下げ過ぎな感じもするが、これは私が加齢で高音が聞こえにくくなっている所為かも知れない。

 ではPioneer SE-CH9Tの音はどうかと言うと、上記のSoundIDを通した際のYamaha HPH-MP8の音の変化の説明を基準にすれば、高音域は下げず、低音域をもう少し(+2デシベル~25%増しくらい?聴覚上音量が2倍大きく聞こえるのが+6デシベル)持ち上げた上で、全体の音の粒立ちを少し抑えた感じだろうか。長時間聞いていても疲れないぐらいに高音域、低音域ともにまろやかで、特に「刺さるような高音」が良い塩梅に無い。ただし音の分離はあくまで良い。

 まぁそんなに言うならPioneer SE-CH9Tを使い続ければ良いんじゃない?、と思ったあなた、あなたは完全に正しい。そして、エゴ丸出しのこんな文章をここまで読んでくれてありがとう、とも言いたい。だが、エントリタイトルが指す内容の本番はまだ先だ。

 未使用の予備を所有しているとは言えPioneer SE-CH9Tは既にカタログ落ちして久しく、ネット上の評判やレビューをチェックする限りは、使われている技術はともかく、音の味付けまで含めて考えると直系と呼べる後継製品は見当たらない。故に、仕事柄「一歩先の状況に対して手を打っておく」ことが習い性となっている身としては、「私にとってのPioneer SE-CH9Tの後継品」を見つけるまではイマイチ落ち着かない。加えて先に触れたFiiOのBTR7の導入で、音楽プレーヤーアプリが動作しているタブレットと有線ヘッドホンとの接続方法は「タブレットのヘッドホン端子に直接プラグを刺す」だけではなくなった。当然、接続方法によって音も変わる。後継候補品もそれは同じで、更に接続する機器がサポートするBluetoothのオーディオコーデックの違いも加わり、混沌の度は深まるばかりとなったのだった。

 ちなみに選んだ後継候補品はSennheiser IE 100 Pro、モニターヘッドホンだがネット上ではリスニングユースでも評判が良いロングセラー品だ。まさに現在テスト中で、この土日の自由な時間はほぼIE 100 Proの視聴で潰れている。とは言え本製品には既に問題が判明している。昨日Sennheiser社のウェブページにアクセスしたところ、ん~カタログ落ちしたん?・・・続く。

2022/12/29

2022 - 2023

 プロジェクトは未だ終わってもいないし、辞めてもいない。2160pのオリジナルのイメージはこちら(グーグルドライブ)からどうぞ。

 今年の最期はアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」に持ってかれた感じ。音楽モノは基本ハズレが少ないというのが認識だが、本作については楽曲の質の高さ、他の要素との親和性・整合性のレベルの高さがまず桁違い。作り手の熱?にもあてられてか、第一話の虹夏がひとりの手を引いて公園から連れ出すシーン辺りでもうメロメロって言うね。
 
 最終回にも新曲ぶち込んでくるとはなぁ・・・と言うか、途中からきっとそうくるだろうなぁと期待させられたのも事実。が、ラストにもう一発あるとかね。それも予想と言うか、まさに「それ」を早くから期待していた人も多かったのは、送り手-受け手感のシンクロニシティっぽくて個人的には興味深かった。まぁ、分かる人は一話の段階で最終話のサブタイトルぐらいは予測できた筈、私はアジカンはほとんど聞いていないのでいきなりは予測できませんでしたねぇ。

 片や、Future Funkの文脈でこんなのばっかり聞いていた時期も・・・

2022/12/03

クロージング:どこそこダイレクトの商売

 昨日、発注品が届いた。NECの8インチタブレットだ。Lenovoが聯想がなどとどーのこーの言うでない、かつて日本IBMにThinkPadを発注した際には、IBMロゴ付きのPC本体がLenovoのロゴの段ボール箱に入って届いたものだ。購入確定から到着まで30日、ダイレクトショップのページに書かれていた「(予約品なので)最短4週間で発送」は伊達ではなかったようだ。

 触ってみて直ぐに分かるのは「(CPU)パワーないなぁ」と言うことだ。とは言えそれは納得済での購入だ。用途は携帯音楽プレイヤーだから、SoundID(ちょっと特殊なヘッドフォン向けイコライザー、必須)とMusicolet(ローカル音楽ファイル再生に特化した音楽プレイヤーアプリ、超お気に入り)の同時起動に耐えれば良い。iPod Touchが商品ラインナップから消えたことに対する対応だが、Musicolet在りきの選択肢とも言える。

 「ローカルにファイルを置いてある聞きたい曲を、まさに聞きたい時に聞く」という配信全盛時代に逆行する私のスタイルは、実のところプレイリスト在りきのiPod Touchとも相性は悪かった。そういう私のiPod Touchへの不満に見事にリーチしたのがMusicoletだった訳だ。音はSoundIDでいじるのが前提だし、やはりプレイリスト使用が前提とならざるを得ないWalkmanシリーズは最初っから対象外だった(あ、今はAndroid DAPになっちゃってるのか?と後で気づいたので追記・・・5年近い社会との隔絶は如何ともし難し)。

 256GBのmicroSDカードも取り付け(音楽ライブラリは現在90GB)、PC上の音楽ライブラリとのシンクロも自宅wifi経由で設定し、さぁ準備は整った!

 なおナビゲーション方法には、Android11のデフォルトであるジェスチャーではなく昔ながらの3ボタン(◁〇□)を選んだ。「設定>ユーザー補助>システム ナビゲーション」でナビゲーション方法は切り替えられるのだが、ネット上のいろんなところのレビューを見る限りそれを知らないまま不満を抱えたつつジェスチャーを使っている人も少なくないようだ。用途が限られた私の使い方だと、通知の設定を追い込むことで3ボタンの方が操作の手間数が少なくできるのだが、通知設定を追い込まず、さらに画面がより小さい場合は、ジェスチャーに分がある気がしなくもない(←iPhoneユーザーなのでスマホ級の画面サイズでのAndroidの操作感が分からない)。ジェスチャー ナビゲーションが未だなじまない人は是非お試しあれ。

2022/08/15

YAMAHA HPH-MT8の購入をお考えの方は、是非試着(視聴ではない)を

 約1年ほど前から機会があれば絶対視聴したいと思っていたヘッドホン、YAMAHA HPH-MT8を先週購入した。Amazonの「おすすめ商品」に唐突に出て来たのを見ていったん天を仰いだが、1分と経たずにポチってしまった。結局視聴はしないままだった。

 さて、YAMAHA HPH-MT8はスタジオモニターヘッドホンと銘打つだけあって、なんとかベースとかいった類の特定の周波数域の再生音量をブーストするような味付けはされていない。そのうち別エントリで触れることもあるかもしれないが、私の耳の特性には昔からちょっと癖があって、低域(400Hzぐらい以下)の感度が周囲の人より高い。以前は感覚的にそうだとしか言えない状態だったが、最近はヘッドホンの再生特性をイコライザ経由で自分好みに調節できるアプリ、ツールが有り、自分の耳の特性が定量的に測定できるようになった。なので、今は一種の測定結果に基づいて自信をもってそうだと言えるようになった。

 そんなアプリの代表がSoundIDで、PC(これだけは有料)、スマホ、タブレット、携帯音楽プレーヤーと、ヘッドホンで音楽を聴く可能性のあるデバイスには漏れなくインストールしてある。SoundIDを使うことで、ヘッドホンが違っても「自分好みに聞こえる」状態を実現できる。要は、なんとかベースの類を全てキャンセルできると言うことだ。ただし、そのような処理のためにCPUパワー(≒電力)を余分に食うし、デバイスによっては目に見えて分かる再生遅延がある。

 YAMAHA HPH-MT8への期待は「SoundIDを介さずとも使えるもの、SoundIDが不要なもの」だった。この観点からはほぼ満点だ。PCでDAWを使う場合など、モニタリング用途ではもうこれ一択になるだろうし、ワイヤードで問題無い自宅での普段使いにも重宝しそうだ。

 が、問題が二つある。

 一点目はどうしようもない、残念なもので、ケーブル、ハウジングやカップが衣類などに触れて擦れたり、それらに指で触れたりした際にカップ内に響くゴソゴソといった音が所有するヘッドホンの中ではひときわ大きい。頭が埋もれるようなクッションと併用していると、頭や体をちょっと動かすだけでゴソゴソ聞こえて煩わしい。

 二点目は全く想定外だったもので、アームを全く伸ばさない最短状態でもカップの押し付け圧が足らず、ヘッドフォンが直ぐにずり落ちてしまう。挙句には耳たぶ上部にぶら下がっている感じになってしまい、耳たぶ周りが直ぐに痛くなる有様だった。なので、現在はミニタオルの「リボン」を付けている。脳天に接する部分に7~8mmのクッションを入れて、この脳天でもヘッドフォンを支えようという苦肉の策だ(写真では少し片側に寄せてあるけど)。

 自らを小顔とは言わないが、なりが小さい(衣類のサイズはSのほぼ上限)ことは純然たる事実だ。それでも二点目の問題はちょっとマズい気がする。例えばあくまで個人的な経験則だが、私よりも頭の小さな女性は成人でも少なくない。小柄との自覚がある方でYAMAHA HPH-MT8の購入をお考えの向きには、是非試着(当然ながら視聴も)をお勧めする。

2021/11/04

小林泉美さんのアルバム6タイトル、再販!

 再販なのか、再販の再販なのか。2021年リマスター版が再販に当たるのか、などと私の頭の中にクエスチョンマークは尽きないが、まあ、ね。

 「何故、今?」という経緯については「もうそういうの止めんてくんないか」感はあるのだが、 小林泉美さんのアルバム6タイトルが今月下旬にあらためてリリースされることは目出度い。特にきっかけがあった訳でもないのに氏の作品や氏自身についてより多くの人に知ってもらいたい、と言う一リスナー、一ファンとしての思いがこの数年私の中で大きくなってきていたので、なんかちょっと嬉しくもある。

 アニメ「うる星やつら」への楽曲提供などがあるためか、同氏の楽曲そのものに触れたことのある人は多いように思う。ただ、氏自身の音楽活動自体や比喩的な意味での「顔」を正確に知る人の数は、楽曲に触れたことのある人の数に比べれば余りに少ないのではないかとも同時に思う。私にしても氏に対する初期の認識は「ポップな楽曲を次々生み出すフェアライトCMI使い」だったが、80年代にレコード漁りをしているうちに「おや、ちょっと違うぞ」となったクチだ。今回再販されるタイトルは、基本的にデビューから「一時的に完全にフェアライト使い」になる直前までの作品群だ。演奏家としてはキーボディストということになるんだろうが、とにかく音の一つ一つが聴いてて疲れてしまうぐらい切っ先鋭く、刺激的な楽曲が少なくない。

 ちなみにフェアライトCMIはサンプラー・シーケンサー機能付きの一種の高級シンセサイザーだ。知っている人は知っている、東海林修氏らによるカバーアルバムシリーズである「デジタルトリップ」シリーズのほぼ唯一の音源であり、映画「フルメタル・ジャケット」のサントラでも使われている。なお某書によれば、「デジタルトリップ」の「デジタル」はスタジオが新規購入した「デジタルレコーダー」から採ったもので、シリーズ自体がこのレコーダーの購入費回収手段として企画されたものだという。突然ながら、映画「トップガン2」予告編冒頭の「ゴーン」というベル系の音は個人的には実にフェアライトCMIの音っぽい。

 フェアライトCMIは「一人オーケストラが可能」と当時言われたが、むしろ作詞・作曲、演奏からプロデュースまで一貫した楽曲製作作業が可能なマルチな才能を持つ人々に、まさにそのように使いこなされた印象が本当に強い。そして小林泉美氏もそんな使いこなしをさらりとこなしてしまった一人だと思う。先に高級シンセサイザーとの表現を使ったが、実際のところフェアライトCMIは音楽制作のためのワークステーションとでも呼ぶべき存在であって、現在において対応するのはDAWなのかも知れないなとふと思う。

 閑話休題。

 今回の再販は6タイトルで、内5タイトルについてはレコードを持っているし、iTunesライブラリにも取り込み済だ。ボーナストラックの多さはちょっとズルいぐらいで所有しているタイトルについても購入を考えてしまうぐらいなのだが、それはさておいても問題は所有していない1タイトルを購入するかどうかだ。現時点でCD以外の媒体でのリリースの情報が無いので、先の大地震以来はCD1枚と言えども持ち物を増やしたく身としてはなかなかに悩ましい。

 あと、個人的には映画「翔んだカップル(1980)」のサントラのデジタル再販を強く希望! 実家にレコードは有る筈なのだが・・・

2021/04/13

2018年8月25日、越谷レイクタウンで何があったの?

 Youtubeのあなたへのおすすめが最近変な方向でヒットを飛ばすようになった。エントリタイトルの通り、越谷レイクタウンで何があった?現場に居たら半笑いにはなるかもしれんけど、ワイ爺さん大悶絶ですわ。あ、発音インチキだけど今でも歌えるよ!

Foooo!

2021/04/10

パール兄弟「洪水デート」

 「パール兄弟」は音楽の供給媒体がレコードからCDへと徐々に移行していた時代のバンド。だから彼らの曲は私にとっては青春時代の曲、何の例えでもなく失恋が原因で部屋に閉じこもっていた時に聞いていた曲・・・と綺麗にまとめたいところだが、「洪水デート」と言う私の大のお気に入りの彼らの曲は、アルバム「PEARL TRON」に収録された「DISCO鎮魂巻」と言うメドレー形式の曲中の一曲だった。単独の録音がないかと当時探したが、ついに見つからなかった。別音源の記憶(イントロ部の記憶)もあるのだが、30年以上前の記憶なのでもうそれが正しいという自信は無い。

 ちなみに、アルバム「PEARL TRON」のレコードは直ぐに出てくる。っつーか、どこにあるか分かっている。

 どうしてこんなことを書くことになったかと言うと、ギターの窪田晴男さんの「洪水デート」の弾き語り調動画を、本当に偶然に偶然が重なってYoutubeで見つけたから。今日もちまちまと不愉快なことが結構あったんだけど、そんなことは全て忘れて今はなんとも幸せ。

 ちなみに窪田晴男さんは、映画「王立宇宙軍」の音楽にも参加し、サントラでは「戦争」というタイトルが付けられた楽曲のギターを担当していたと記憶している。共和国リマダ駐留軍の新型ジェット機の登場、空戦開始からロケット発射直前の最終打ち上げカウントダウン開始までを含む戦闘シーン、ストーリー展開上のクライマックスを飾る楽曲だ。ただ編集の関係か、映画ではサントラ盤には収録されているイントロ部が使われていない、贅沢と言うか残念と言うか何やってんだよっつーか、映画っぽくないところと言える。まぁ、プロデューサーによれば音楽担当者とは多少あったようで、その影響の可能背は高いわな。この楽曲流れたとたん、当時いっしょに劇場に行った友人と「泣きのギターきたー!」と盛り上がった。そう言われることを当人はどう思うのかは分からないけれども、当時の仲間内の認識はそうだったんですよ。

 この「洪水デート」の動画とのたまたまの出会いでの大事な収穫は、作曲がベース/住職さんのバカボン鈴木さんだと分かったこと。上述のようにメドレー形式の楽曲中の一曲だったので、レコードのライナーノートではどの曲が誰の作曲かがイマイチ分からなかったんですよ。いやぁ、曲自体も弾き語りも良い、良いな。歌詞については敢えて保留、ガチで思い出補正入っちゃってるから・・・泣いちゃうぞ・・・

2020/07/16

チャリティーサウンドパック COMMUNITY DRIVE

 Native Instruments社が"COMMUNITY DRIVE"というチャリティーサウンドパックを提供中だ。もちろん、Native Instruments社製品を持ってないと本領が発揮できるものではないんだけどね。

 具体的な内容はリンク先で確認して頂くとして、要は「多くのプロミュージシャンの協力を得て無償でダウンロードできるサウンドパックを用意したよ、是非使ってね。そしてCOVID-19の影響を受けているミュージシャンやアーティストへの支援を目的としたNative Instruments社が主催する募金活動にもご協力を!」って感じかな。なおNative Instruments社自身も既にこの募金活動の対象への寄付をしており、更に支援を厚くすべくこの募金プロジェクトを立ち上げたとのことだ。

 私がこの活動を知ったのはNative Instruments社からのメールで、早速サウンドパックを有り難く頂戴するとともに、最少額レベルだけれども寄付もさせて頂いた。参加アーチスト(=サウンドパックへのデータ提供者)の顔ぶれを見渡した際、"BT"とか(暫く楽曲を聴いていないけど)知っているアーチストの顔がちらほら見られたりもあって、ちょっと素通りできなかったんだよなぁ・・・

2020/07/08

リブートしてた?!Nadège

 "Nadège(ナデージュ)"は1990年代に少なくとも6枚はアルバムをリリースしたフレンチポップユニットで、今だにお気に入りだ。クラブサウンド寄りと言って良いだろう作りのトラックと、透明感のあるボーカルの組み合わせは、オリジナル曲、カバー曲問わず、私にとってはどの楽曲もユニークで魅力的であり続けている。1枚ジャケ買いしたら大当たり・・・そんなユニットだ。

 引っ越しやら震災やら病気やらをきっかけに、時には泣く泣く、多くのCDを処分してきた(2000年ごろは1000枚以上所有していたが、今は100枚未満だ)。そんな中、"Nadège"のアルバムのCDで当時入手したものは写真の様に現在も全て手元にある(元喫煙者の所有物故のジャケットの汚れが恥ずかしいので、写真はモノクロに加工させてもらった)。なおiTunes導入時に所有していたが現時点で所有していないCDは、データのみライブラリに加えられたのち全て灰と化した(筈である)・・・私の住む自治体ではCDは可燃ごみなのですよ。

 さて、

 Nadègeの楽曲は、お洒落どうこうではなくて、トラック、ボーカル共から感じる繊細さ(みたいな何か)が聴いていて本当に気持ち良いのだ。アルバムとして聴くのが良いのだ。「アルバムをアルバムとして聴く」ことが当たり前だった時代の最終期に、或いは20世紀末に聴いていたユニットのひとつ、と言える。

 そして1999年リリースのアルバム"Saveurs"を最後に、私のレコード/CDコレクションに"Nadège"の楽曲が追加されることは無く、当然、iTunesにも追加された楽曲は無い・・・と言うか、つい1時間ほど前まで無かった。

 きっかけはiPodとPC上のライブラリとの同期作業だった。現行のメイン使用機の容量は128MBだが、いよいよ容量自体が厳しくなってきた。そこで転送する楽曲を減らそうとiTunesライブラリの内容をチェックしていたところ、よりにもよってアルバム"Saveurs"がiTunesライブラリに追加されていないことに気付いた。CDは持っているからあっさりとライブラリへのインポートはできたのだが、余りにあっさりだったため、何か時間が余った感じになってしまった。

 と言うような何ともない流れで、何の気無しに、何も期待せず、iTunesストアで"Nadège"を検索してみたところ・・・怪しい楽曲がヒットした。iTunesストアを利用するようになってから約15年間、何度か検索しつつも無かったことだ。

 "Nadège"は2018年に活動をリブートしていた、19年ぶりと言う。しかも和製ユニットだったって言うね、おフランスのユニットだとばっかり思ってましたよ。

 さて、新譜"pas a pas"(正確には"pas à pas"かな?困ったことにiTunesストアでは"pss a pas"と曲名が間違っている)は全4曲中2曲がセルフカバーだ。上記したように「私が怪しいと感じた」原因は、カバー曲のタイトルを私が知っていたからに他ならない。

 さて新譜を聴いてみて驚いたのは、19年の時を挟みながらボーカルに違和感が無い、紛れも無く"Nadège"だ、と言うところだ。対してトラックはかなり大人しくなっている。作りに感じる繊細さは変わらないものの、かつては時折感じさせられた「粗削りなようなちょっと飛ばし過ぎなような」凸凹感は全くと言って良いほど無い。まぁ19年経ってますから、ね。

 新譜収録の"Syrah"はセルフカバーだ。
 で、こちらが1997年のオリジナルの"Syrah"。

2020/06/13

懐かし!"Pump Up the Volume"

 知人に対しては生存報告みたいなエントリ。

 "M/A/R/R/S"の1987年の楽曲"Pump Up the Volume"のPVがYoutubeでRecommendされた。懐かしいなぁ・・・っつーか、特に冒頭は恥ずかしいやらなんやらで思わずのたうち回りそうになります。"Culture Beat"の1991年の楽曲"The Hyped Affect"の0:55あたり以降しばらくとかも思わず思い出したりしつつね。

 ググってみて「"M/A/R/R/S"が"Colourbox"と"A.R. Kane"の2つのグループからなるユニット」と知って今度はびっくり、どちらのグループも良く聴いてましたね。特に"A.R. Kane"のアルバム"i"はお気に入りで、未だCDも持ってます。

 "Pump Up the Volume"は音質がより良いバージョンを埋め込んでおきます。イントロ部にマスターテープがアナログなのかなチックなクロストーク(?)っぽい音が微かに聴こえますよ。
  ちなみに"A.R. Kane"のイチのお気に入りは1989年のこれ、今でも良く聴きます。

2020/04/06

We'll meet again.

 またお会いしましょう。

 同タイトルの曲を知ったのはスタンリー・キューブリック監督の映画「博士の異常な愛情」のエンディングだ。そして、その曲が第二次世界大戦開戦の年に英国で作られたことや、戦後にはソビエト連邦による核攻撃後の英国政府の国民向けラジオ放送のオープニング曲に選ばれていたことを後に知る。"We'll meet again."または"We will meet again."という表現は、英国や英国民にとって「直面した危機に、多くの死も伴いつつも全力で立ち向かい続ける自らの姿」と不可分なものとなっているかのようにも見える。もしそうなら、この表現の持つ重みは実は半端なものではありえない。数え切れない数の犠牲が避けられないことへの覚悟、といったような様々な意味を言外にまとっているだろうからだ。

 BBC News JapanのYouTube Channelに、英国エリザベス女王のメッセージが日本語字幕付きで公開された。その表現はメッセージ終了の最後の10秒でやはりと言うべきか使われた。

2020/01/13

俺ルールとか正義感とか著作権とか悲しいやら訳分からんやら

 「他者の俺ルールが理解できない、そんなものに基づく非難や攻撃に苦しめられてきた」と過去に言っていた人が、自身の俺ルール丸出しとか見えない無根拠な主張を含む文章を書き。それを読みながら感じざるを得ない一種の悲しみ。あなたもそうか、そうなったか。

 文献資料に基づくオリジナル性・研究性の極めて高いコンテンツを作っている人が、別件では一個人の見解に過ぎないネット上の不確かな情報を無批判にそのまま拡散し。そんな様を見ながら感じざるを得ない一種の悲しみ。あなたもそうか、そうなったか。

 今は一種の悲しみを感じるだけの個人の行為だ。しかしネット上では、類似の行為が相互にエコーチェンバー現象を起こせば直ぐにでも特定の個人、団体の攻撃に変質し得る。起こり得る最悪のシナリオの一つは、攻撃の対象側には何ら非が無いこと、攻撃者の大部分が実は攻撃の理由に対して無関係な人間であること。かくて無自覚の加害者たる攻撃者は勝手に溜飲を下げ、被害者は加害者扱いを強いられる。

  原因は無知やリテラシー不足(主に訓練不足)、そしておそらくは薄っぺらくて純粋な「正義感」。「正義感」或いは「類似の何か」の介在を考えなければ、「大量の無関係な人間が加害者になる」ことは説明しにくい。他方、小集団による攻撃ならば「悪意」の介在がまず考えられるが。あと、「善意」と「正義感」とは別物ですぞ。

 ことネット上においては、どうも日本人は「正義感」を振りかざしてやりすぎることが多いように見える。ネット上で大量の日本人(厳密には日本語の書き言葉を使う人達)が一斉に「正義感」を振りかざす様は、内容の是非に因らず、時に大韓民国での国民情緒法に基づく政策の執行やアラブの春の初期の浮かれ具合に重なって見える。本や映画でしか知らない、紅衛兵たちにも、オンカーに思想教育された子供たちにも。

 「正義感」自体は否定しないが、私は小学低学年時代に意識して使うのをやめた。それまでも、それ以降も、私の周りで「正義感」を振りかざす人間が間違った対象をただただ攻撃だけする様を、リアルな世界でも少なからず見て来た。時に教師も然り。慣習、法よりも感情を優先し、或いは慣習、法を知らないまま感情のみに従い、特定の人間を攻撃する。始まりは「正義感」かもしれないが、結局は「俺ルールを声高に振りかざしているだけ」に直ぐに堕する。大学でのサークルの分裂の原因なんて、大抵はそんなものだ。

 「正義感」だけで始まったものはその初期から論理性も内実も伴わないため、始まりの「状況」とは無関係に行きつく先は同じものとならざるを得ない。「攻撃の手を緩めるな!」か、「飽きたから止める」かだ。シャーデンフロイデや類似の因子が混入すると、更に目も当てられない状況を呈する。

 ただリアルな世界では、薄っぺらい正義感にのみ依拠するような連中自身の薄っぺらさを論理的、直感的を問わずあっさり見抜く人間が多く(多かった)、かつ周囲に影響力があるようなデキる人間ほどそんなもには加担しないものだった。このため、実際のところは真っ赤な顔の人間の数が3人ほどまで減ったところで騒ぎは収まり、リアルなコミュニティ内での自身の立場の変化に気づいて逆に真っ青になるのが常だった。リアルでは「逃げる」と言う手のコストは高い、匿名性は使えない。片やネット上では、「逃げる」こと自体のコストは皆無に等しく、匿名性は当たり前のように行使される。

 少し話は飛躍する。欧米まで含めてのネット上では「正義感」はどのように行使されているだろうか。例えば著作権絡みで、私が具体例を知っているものではどうだったろうか。

 2010年ごろ、私は自作の3DCGモデルデータを米国、カナダのサイトで英文の使用許諾条件テキストファイル付きで無料で公開した。公開におけるデータ使用条件は実効的に一つ、「商用利用をしてはならない」だった(リンク)。が、程なくして「あなたのデータを自作と称して(Mesh theftやModel theftと呼ばれる行為)販売している人がいる」とのメールを受け取るようになった。 経過は省略するが、英、米、カナダ、ブラジルなどの人々(大部分はプロ/アマ3DCGモデラー、アマチュアフィジカルモデラー、プロ/アマCGIアーティスト、コミュニティの管理者など)が許諾条件違反を起こした人間に行使した「正義感」に根ざした行動はせいぜい当人をたしなめるレベルであり、攻撃は全くしなかった。その代り、権利所有者(つまり私)に、とにかく早く、正確な状況を知らせ、情報を共有する努力を尽くしてくれた。

 これは、「許諾条件違反を非難したり、状況の是正を関係する個人、団体、組織に要求する権利を有している人間が居るとすれば、それは権利所有者のみである」という慣習の存在と、関連する法律にその精神が反映されていることについてのコンセンサスが彼らにあったからだ。逆説的に言うと、この時に私が状況を是正する行動を起こさなければ、「許諾条件違反が許される」「私の持つ著作権は無視してよい」といった「前例、先例」を権利所有者自身が作ってしまうことになるのだ。「前例、先例」が重なるとやがて「慣習」と呼ばれる一種のコンセンサスとなる。このプロセスは国際法の成立過程と基本的に同じものだ。かくてほぼ1年の期間内に、4件の許諾条件違反に私自身が対応することになった。自分の権利は自分で守らなければならないのだ。

  許諾条件違反を起こした人間はのらりくらりと言い訳を繰り返し、時に気味悪いがまでにへりくだる、というのが洋の東西を問わずデフォルトだ。これら4件に関しては許諾条件違反を起こした人間の国籍が全て同じだったが、それ自体に意味を見出すつもりはない。ただ、やっぱりドイツとは関わらない方が良いという思いをいっそう強くしたことだけは白状しよう。

 さて、事に当たっての私の対応は単純だ。許諾条件違反者が利用しているサービス(3DCGモデル販売や3Dプリントサービス、例えばSHAPEWAYS社)の提供企業のサポート窓口に、許諾条件違反者が著作権の所在について虚偽の申告をしている旨を証拠(厳密にはネット上の大量のログ類の場所)を付けて通知しただけだった。この手が有効なのは、権利所有者自身からの通知だからだ。

 営利企業であれば権利関係のトラブルを本当に嫌う。どのサービスも対応が早く、テンプレなのだろうが実に丁寧な文章のメールでの連絡とともに、許諾条件違反者へのサービスが停止した。許諾条件違反者は使用していた複数のサービスからほぼ一斉に締め出され、捨て台詞を残して「逃げた」。許諾条件違反者の最初のセールストークから逃亡までのログは、私の具体的な対応のログとともに幾つかのネットコミュニティのスレッドに残った。

 一例としてこのスレッドがある。本スレッドの3ページ目の下端から2つ目のエントリで「私のモデルを使って金銭を得ようとした者」が長々と経過を主張しているが、この内容を信じる理由がなかった。と言うのも、1~2ページ目で彼が内容を編集・削除したエントリが複数あるが、それらの記述と矛盾する内容だったからだ。私の登場は2ページ目の2つ目のエントリだが、その前後で彼の発言内容は一変した。とまれ私の要求は「私のモデルを使って金銭を得るな」の一点のみなので、彼の主張する経過の真偽なんか私にとってはどうでもよいことなのは明らかだろう。スレッドからは分からないが、結局彼は私の要求に従わなかった。故に、彼が利用していたサービスの提供企業に、上述したように私が直接アプローチすることになった。

 ただ、編集・削除したエントリには私を名指しで煽ったり、半ば罵倒するような記述もあったから、私が彼に立腹していなかったかと言えば嘘になる。まさか当人が現れるとは思わず、調子に乗り過ぎたのだろう。彼は引き続いて「自分のアカウントが何者かに利用された」との主張を他のコミュニティのスレッドも含めて始めたが、多数の人間に主張の矛盾点を指摘された上に、私がメールのやり取りを通じて仕掛けた「罠」にも嵌ってさらに矛盾点が露呈、墓穴をより深く掘ることとなった。彼の主張をbollocks(たわごと、でたらめ、キン〇マ・・・)と揶揄する人間もいた。

 で、上述したような経緯を知る人が新たな許諾条件違反者を見つけた際、上記したようなスレッドのリンクを教えると直ぐに「逃げた」こともあったそうだ。許諾条件違反者に「こりゃ面倒くさいことになりそうだな」と思わせるだけの「前例、先例」作りに成功し、結果として「自動的に作動する自分の権利を守る仕組み」みたいなものも形成されたと言うことだろう。私のモデルをレンダリングした画像もネットに多数挙がったし、私のモデルをインポートしたゲームmodもある。全て無料で見たり、入手することができる。ただもう10年モノなので、最近は私のものの方がオリジナルであることを知らない人も増えている。

 これを武勇伝とするつもりは毛頭無い、と言うか、後に書いてあるように大局的には敗北にしかならなかったのだ。私自身が著作権絡みで自ら能動的に動き、一定の結果を得た、ということを分かってもらいたいだけだ。ただの脳内シミュレーションなどではない。外ならず私自身が経験したことなのだ。

 ちなみに、リンクを示したスレッドの中には「(こんなことが繰り返されると)益々モデルデータが公開されなくなる」と言った類の嘆きがある。私も自身のモデルデータの新規公開は止めたし、優れたモデルほど公開されなくなっていった。この辺り、3DCGコミュニティの縮小を早める一要因となったと個人的には考えている。そもそも私が自身のモデルデータを公開したのは、先達が公開してくれたモデルデータから多くを学んだことに対する感謝、恩返しの気持ちからだった。世代から世代へのノウハウ伝達を1サイクル進めることに関与したかった。しかし他の因子も重なり、3DCGコミュニティではその種のサイクルはほぼ失われた。自身の所有する権利を守ることに私や多くの3DCGモデラーは成功した。だがそれらは所詮局地的・一時的勝利に過ぎず、3DCGコミュニティ全体としては行動に移った人間の少なさもあって完全な負け戦となった。当事者である権利所有者が動かなければ、自らや自らの属するコミュニティの権利は守れないのだ。

 で、言いたいことは単純だ。なお以下の内容は法理上は間違っている可能性もあるが、肌感覚・経験則から実効的と信じているものだ。
  • 著作権はどこかへの登録などの如何なる手順をも踏む必要無く創作物に付随して発生し、契約などを介して他者に移譲などしない限り、その所有を認められる。が、それ故に、所有する権利を保護する仕組みはない。著作権所有者は所有する権利を自ら保護しなければならない。換言すれば、コスト(時間、手間、金銭)をかけることなく所有する権利が保護されるとの認識は、法的にも実際的にも誤っている。
  • 著作権所有者が自身の所有する権利を保護するためには、不幸にしてコストを払う必要が生じ得る。あらかじめコストをかける方法の例としては、自作曲の演奏権を管理団体に移管する(金銭支払いというコストが発生)ことが挙げられる。権利管理を他者に移管していない場合や移管できない権利が侵害された場合には、個々の権利侵害事案に権利所有者自身が対応する(時間、手間というコストが発生)必要がある。
  • 著作権の侵害を訴え、望ましくない状況を是正する権利を有するのは、基本的に著作権所有者又は著作権管理者のみである(少なくとも、著作権所有者または管理者ではない人間の権利侵害の訴えに企業等が対応する必然性は皆無である)。俗な言い方をすると、著作権所有者でも著作権管理者でもない人間は、他人の著作権が侵害されている状態に対して何かを主張する「権利」も「理由」も「資格」も本質的に有しない。「正義感」にかられた「匿名の人間」の立場は、まさにそう言うものである。
「解釈」することなく、「読解」して欲しい。 私は誰も攻撃、非難していない。敢えて「正義感」にかられてみた「匿名の人間」として、やりすぎている「正義感」にかられた「匿名の人間」に対して、「やりすぎですよ」、「やり方が違いますよ」と言っているに過ぎない。

 他者の有する権利の侵害に対して「正義感」にかられたのなら、権利所有者に状況を知らせ、状況を正すための行動を促し、具体的に権利者を手助けして欲しい。ネットを介してで十分、権利所有者とともに自らもリアルな世界に関与するのだ。「匿名の人間」のままネット上で完結する形で誰かを攻撃するような「安全圏から石を投げる」だけのような卑怯な行為はしないで欲しい、誰も得をしないから、誰も幸せにならないから。攻撃相手を間違えていると、自身が加害者となるばかりか、権利所有者など関連する人間も巻き込まれて加害者視されるリスクにも留意して欲しい。その「権利」も「理由」も「資格」も本質的に有せずに「匿名性」を保ちつつ他者を攻撃する人間は、リアルな世界では大抵「下劣な卑怯者」、良くても「間抜けなお調子者」とみなされる、と言う点も付記しておこう。

 そして、権利所有者が自ら所有する権利を守るために動かないのであれば、そのような権利は誰にも守られない、と言う「慣習」又は「世の現実」を受け入れよう。ついでに「正義感」なんて捨ててしまおう。「安全圏から石を投げる」ような攻撃は、相手に時間を与えるだけで無益だ。「論理」と「実績」だけが武器になる。「事実」なんて誰にも分からない。ネットは特性として権利侵害を助長するばかりで展開も早いので、「前例、先例」といった「実績」はすぐに積みあがる。「悪い奴ら」ほどネット上のサービスやシステムの利用法に長けている。だから権利所有者側も、少なくとも「悪い奴ら」と同じレベルでネットを利用しなければ負ける。

 例えばNoCopyrightSoundsがYouTubeを楽曲の公開先に使う理由についても一考してみて欲しい。著作権フリーの楽曲を自社サイトで提供するサービスが、自身のYouTubeチャンネルを別途持つことの利点は何だろうか?特定の動画がYouTubeのサービスにアップロードされた日時をYouTube自身が疑うだろうか?片やとあるサイト上のhtmlファイルに書きこまれている日時の信頼性を、誰が、どうやってYouTubeに保証してくれる?

 最後に、上で触れた「リテラシー不足(主に訓練不足)」についてのピンポイントな補足。

 例えばYouTube動画での使用音楽に対する権利侵害通知に関しては、国内の「個人」がネット上に公開している情報だけでなく、Redditなどもチェックして、海外でやり取りされているナマの情報や、それらやり取りの結果を反映して信頼性が高められたまとめ情報も参照して欲しいと思う。特に「権利詐欺団体」などと呼ばれるものについては、まじめにチェックして欲しい。

 Redditの特定のスレッドが例として挙げられるような、知識を収集し、信頼性の高い情報にまとめ、更にアップデートを続けるネット上のコミュニティは、日本には(日本語では)存在しない。従って、YouTubeのような国際的なサービスに関する信頼性が高くて有用な情報は、よほどの幸運に恵まれない限り日本語では得られない。

 ネット上に流通している日本語の「権利詐欺団体リスト」なるものの特定の系統は、例えば30年を超える歴史を持ち実態もある海外の演奏権管理団体を含んでいる。そしてそのようなリストを拡散する者、そのリストに載っているから件の演奏権管理団体を権利詐欺団体とみなして攻撃する者が未だに現れる。その演奏権管理団体が含まれていない「日本語」の「権利詐欺団体リスト」の方が系統としては多いように私には見えるのだが。

 またあるブログでは、100年を超える歴史を持ち実態もある海外の演奏権管理団体を権利詐欺団体と攻撃したり、権利侵害に関する問い合わせ先メールアドレスが同じという一点を理由として複数の団体を権利詐欺団体と見做している。成程、問い合わせ先メールアドレスが皆同じというのは確かに怪しい。が、この段階ではまだ怪しいだけだ。少し考えてみて欲しい。YouTubeにアップロードされた動画で使われた楽曲の権利管理という新しくてコストもかかる業務を、作曲権や演奏権の管理を作曲者らから委託された団体が自身で行っているものだろうか。

 実際のところ、「YouTubeにアップロードされた動画で使われた楽曲の権利管理」をサービスとして提供する会社(大抵はAppleやAmazonなどへの楽曲ライセンス提供および管理サービスも行っている)は無数に存在し、かつそのような会社はそれぞれ複数の顧客を持つ。YouTubeからの権利侵害通知に対する問い合わせ先はまずそのようなサービス提供会社の専用窓口となるから、複数の権利侵害通知に対する問い合わせ先メールアドレスが同じという状況は決して不思議なものではない。加えて「単一の楽曲」に対する複数の権利侵害通知の場合、申告者が複数でも国籍や管理権利の範囲が異なる系列会社である可能性が高く、当然同じ管理サービス提供会社を使っている可能性も高い。権利侵害通知がカナダ、米国、アルゼンチンなど複数国の団体、組織からのものであっても、管理サービス提供会社は米国内の一社ということは十分にあり得る、と言うことだ。この場合、問い合わせ先メールアドレスが同一となるのはむしろ当然と言える。

 音楽の著作権及び隣接権の構成は結構ややこしいためか、「YouTube動画での使用音楽に対する権利侵害通知」に関する日本語で書かれた個人のブログには、(自分に有利なような)誤解や知識不足に基づく誤った記述や、やたらと感情的で実効的に無意味な記述が少なくない。第一の原因としては、(上で既に触れてしまった)演奏権/上演権、編曲権など様々な権利の存在を知らない、理解していないことが挙げられる。

 また「動画中で演奏している楽曲の著作権」の権利侵害通知に対して、やっきになって「動画の著作権」をくどくど主張するというイタ過ぎるブログもある。そもそもの状況が「読解」できておらず、誤った「解釈」にただ拘泥し続ける様は読んでてツラいまでにイタい。

 日本人なら文脈から忖度して話がかみ合ってないことを察してあげられるが、論理のみで忖度などしない米国人なら「動画中で演奏している楽曲の著作権が自分にある」という有り得ない主張をしていると理解するか、主張の一部とて理解できないかのいずれかだろう。ブログに埋め込まれたYouTubeへの不服申し立てフォームのスナップショットを見ると、チェックされている項目は「自分に全ての権利がある」に相当するものだった。この対応、実は「相手をする価値もない、バレバレな嘘をつく変な奴」と思われても仕方ないものなのである。

 念の為に繰り返すが、ここでのYouTubeからの通知は「動画中で演奏している楽曲の著作権」の権利侵害である。件のフォーム入力結果を受け取ったYouTube側の人はビックリしただろうなぁ、世界的にヒットした楽曲の作曲権を、無名の日本人が突如主張した訳だからね。

 あと言うまでもないことだが、捻じれはもう一つある。他者が権利を持つ楽曲を動画中で演奏している以上、動画自体の権利所有者が動画作成者(ここでは演奏者でもあり、アップロード者でもある)のみである筈がない。権利侵害通知がたとえ「動画の著作権」に対するものであったとしても、不服申し立てフォームでチェックした項目は間違っているのである。

 片やネット上で正確な情報にまで至っていながら、その情報の誤読から結論を(自分に不利なように)間違えているという逆に残念なブログもある。日本語文章を素直に読解すれば良かっただけなのだが。

 時に公共の敵の如く嫌われるJASRACだが、彼らのウェブサイトに掲載されている著作権、隣接権の説明はなんだかんだ言って良くまとまっており、音楽著作権の理解が必要と考える向きには一度は目を通しておくことをお勧めする。JASRACはかっちり理論武装しているから、説明はそりゃ正確で簡潔、歪められてもいない。

 以前に音楽教室からの徴収について騒ぎがあったが、JASRACの音楽著作権の説明を頭に入れておけば法的な議論が実質的に発生しなかった理由、「正義感」に基づくような声に全く頓着しなかった理由は直ぐに理解できる。徴収額の根拠はともかく、演奏権に基づく徴収自体は完全に合法だからだ。自身の著作権(演奏権を当然含む)の管理をJASRACに委託した人達、すなわちJASRACが耳を傾け得る個人や法人から成る数少ない集団の一つ、のほぼすべての構成員がそれに異を唱えなかったからだ。

 個人的な理解(=JASRACになったつもりで考えたこと)ではあるが、JASRACが踏み込んだこととは、まず「音楽教室から徴収しないという法的根拠の無い慣習を止めたこと」、そして本丸は「法的根拠の無い慣習は止められる、という実績を作ったこと」である。いやぁ、エグいエグい。

 他方、プロの演奏家/上演者自身の書くブログなどの文章は、自身を守るためにも権利に関する理解が厳密かつ正確であることや実体験も反映しているため、記載内容の信頼性が極めて高い。プロのピアニストという職業が如何に様々な権利侵害のリスクにさらされているのかに驚くとともに、「Vocaloidを使ったカバー曲をYouTubeにアップロードしている自分」が「複数の権利侵害から慣習的に大目にみられているという事実」に背筋が凍る思いもする。替え歌も勝手な訳詞も1声を2声にするようなちょっとした演奏の変更も、音楽著作権・隣接権を杓子定規に適用していくと実はアウト、しかも・・・とかね。

2020/01/08

続・SONY WH-1000XM3、結構ウマくない - Sonarworks Reference 4を使ってみる

 使ってみる、と言っても試用版。

 先行するエントリ「SONY WH-1000XM3、結構ウマくない」を書きながら、「こんな時のために何かソフトがあった筈・・・あった筈・・・」ともやもやしていたのだが、正月にそれを思い出した。

 Sonarworks社のReferenceシリーズだ。

 調べてみると現在はReference 4 Headphone Editionという製品があり、WH-1000MX3もサポートされていることが分かった。Reference 4 Headphone Editionは所謂キャリブレーション・ソフトウェアで、ヘッドホン毎の再生周波数特性を揃えることができる。つまり、マスタリングにおいてターゲットとされる環境での音を、リーズナブルな価格帯のヘッドホンでシミュレートしようというものだ。Windows10であればOSレベルでもキャリブレーションはサポートされ、当然ながらOSレベルのキャリブレーションと排他的に動作するDAW用プラグインも用意されている。

 なお、WH-1000MX3のキャリブレーションデータが用意されていたのは有線時のみだ。

 で、試用版を使ってみた結果なのだが、思わず笑ってしまうぐらい音は別物になった。失笑レベルではなく、思わずのけぞってしまい、椅子に座っていたらそのまま笑いながら後ろに倒れてしまいそうなぐらいの衝撃的な結果だった。ちゃぶ台PC設置環境で助かった。

 まずキャリブレーションしない場合、事前に測定済の再生周波数特性がソフトウェアのウインドウ上に表示されている。40~300Hz、5~15kHzが結構持ち上げられている一方、1~5kHz、15kHz以上が低い。先のエントリで触れた疑われる再生周波数特性は、当たらずとも遠からずと言ったところだろう。「低域盛り過ぎ」という他の方のレビューも基本的に正しい。が問題は、グラフ縦方向の分布幅が±6dbを越えるいう点にありそうだ。この分布幅は、そういう製品であるとの説明が無い以上、大きすぎると思う。±6dbと言うのは、それぞれ音量2倍、1/2倍に相当するのだ。このため、本来は同じ音量で再生されるべき音が、周波数が違うと4倍以上も音量に差が発生し得る。ちなみにSENNHEISER HD599の再生周波数特性は、形状こそ60Hz以上の範囲では似たり寄ったりだが、上下方向ともに6dbを超えてはいない。
  楽曲を再生しながらキャリブレーションをONにし、まずは再生周波数特性をフラットとする。ベース、バスドラ、スネア、ボーカルと全ての聴こえ方が変わる。全体に音の横、奥行き方向の分布の幅が小さくなるが、音の重なりが無くなり音毎の分離はむしろ良くなる。バスドラは奥に引っ込み、ベース音も奥に引っ込むと同時に音自体も変わることがあり、ボーカルは前に出てきてやや広がり、スネアの音は別物になる。1~5kHzの特性がボーカルやスネアに効いている感じだ。iTunesで購入した楽曲も自分のカバー曲も同じ印象で、ピアノ、ストリングス、女声スキャットなどは生まれ変わる。Stelvio CiprianiのMary's Theme(iTunesでも買えるよ!)なんて、ホント別物になる。宇宙戦艦ヤマトの楽曲群も蘇るね!ただし、ベース持ち上げ気味の味付けの音に慣れた耳のせいか、癖の無い分、音に若干味気無さも感じる。
  次いでPredefined Target CurvesをONにする。 ざっくり言ってマスタリング時に参照すべき特性の一つで、見ての通り再生周波数特性は全体としてやや右下がりだ。フラットな場合と比べて音の味気無さは弱まり、「ああ、コ↓レ↑コ↓レ↑」感が出てくる。「グラフィックイコライザーなどで好みの音に加工するのが当然」のリスナーやベースブースト系ヘッドホンのユーザーに聴かれても、この辺りの特性でマスタリングしておけば破綻はしなさそうに思える。

 と言う訳で、SONY WH-1000XM3、より客観的見地からも結構ウマくないと言うことになってしまった。ちなみにReference 4 Headphone Editionは€99、意地張って親戚にお年玉とか出しちゃった金の無い身にはすぐには手は出せないなぁ・・・。

2019/11/26

SONY WH-1000XM3、結構ウマくない

2019/12/21:デスクトップPCとの接続状況の確認結果を追記しました。また最終的な使用感には影響しませんでしたが、iPod touchもペアリング相手として使ってみた旨も追記しました。

2020/1/8 : 関連エントリ「続・SONY WH-1000XM3、結構ウマくない - Sonarworks Reference 4を使ってみる」


 SONY WH-1000XM3はBluetooth接続のワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン/ヘッドセット、結構いい値段する。色々めぐり合わせがあって購入し、1ヵ月程使っている。連続使用可能時間やノイズキャンセリング機能には全く不満はない。

 主なペアリング相手はデスクトップPC(Windows10)で、Bluetooth通信チップやドライバ用ライブラリはQualcomm社製、通信コーデックはaptXだ。体感の遅延は50~75msとBluetoothとしては悪くないが、リアルタイム性が要求されるゲームや大部分のDAW作業には辛い。

 ただDAW作業であっても、「イコライザーやフェーダーを操作しては聴く」を繰り返すような最終マスタリング作業を「時折部屋中を踊りながら」行うには問題ない、と言うか、購入時の主な使用目的こそそれだった。が、音質と言うか音の味付けと言うか、音そのものがマスタリング作業向けとは言えなかった・・・と言うのが本エントリで書きたいことの一つだ。

 あとApple iPod touch(第6世代)もペアリング相手として使ってみた。なおSONYの専用アプリは使用しなかったほか、iPod touchがデフォルトで持つ音質を変え得る機能も一切使用しなかった。

 ちなみに普段使いのヘッドホンはPanasonic PR-HD5(密閉型)とSENNHEISER HD599(開放型)及びPioneer SE-CH9T(インナーイヤー型)、スピーカーはBauXar Marty 101(タイムドメインスピーカー)だ。当然これらのヘッドホン、スピーカー間でも音質に違いはあるが、結論に先立って書いてしまうと、WH-1000XM3はとびぬけて音質が違う。

 なおタイムドメインスピーカーにはネガティブな人も多いようだが、個人的に本品はスピーカーとして良くできていると思う。楽曲のジャンルも選ばず、音楽以外にも十分対応し、良く音が通るため低音量で使える。高さ30cm程度と大きくはなく、配置もルーズで良いので置き場所には困らない。なお「タイムドメイン万歳!」などとは微塵も考えていない事は断っておく。昔々Maxellが出していたタイムドメインスピーカーの音は本体を叩き壊したくなるほど酷いものだったし、「タイムドメイン」は理論(セオリー)ではなく手法(メソッドまたはテクニック)というのが数式も追っかけた上での私の結論である。蛇足ながら一実験屋、計測屋としての立場から言わせてもらうと、ゼロ信号をきっちり出せるハードウェアの設計という視点からはタイムドメインの考え方は面白く、テクニックとして一つの解答になっていると思う。

 閑話休題。

 まずはデスクトップPCとの接続状態のチェックである。WH-1000XM3のWindows10での接続形態はヘッドセットとヘッドホンがある。Windows10の仕様なのかWH-1000XM3の仕様なのかは知らないが、ペアリング直後はヘッドセットとして接続される(下図の下から2番目)。この状態での音質はノイズ交じりで低域も出ておらず、音楽視聴にはとても耐えられない。が、その後10秒も経つとヘッドホンに自動的に切り替わり(下図の一番下)、音質は向上する。ヘッドホンとして接続されているかどうかは、下図に示すようにサウンドのプロパティから確認できる。
 次いで 、後で触れるDAW(ざっくり言えば音楽制作アプリのこと、ここでは具体的にSteinberg CubasePro10)とWH-1000XM3との接続を確認する。大抵のDAWは、ヘッドホンなどの入出力デバイスとの入出力信号(音声信号)のやり取りをASIOと呼ばれる規格に基づき行う。ASIOはWindows10などのOSの音声処理機能をバイパスするので、DAW上でWH-1000XM3を出力先(アウト)先と明示的に指定する必要がある。下図はWH-1000XM3チェック時のASIOの接続状態で、「ヘッドホン(WH-1000XM3)」の状況がアクティブ(=接続中)となっており、ちゃんと出力先として指定されていていることが分かる。
と言う訳で、デスクトップPCとの接続は問題なさそうだ。

 音楽などの再生アプリ、環境は以下の通りだ。

  • Apple iTunes 12.10.3.1 (AAC、AIFF、MP3形式ほか)
  • SoundEngine Free  5.21 (Wave形式)
  • Steinberg CubasePro10.0.30
  • SoundCloud/Firefox 71.0
  • YouTube/Firefox 71.0
 既存の楽曲に加え、本件用のリファレンス音源を1曲用意した。リファレンス音源はDAW上でマスタリング段階にあるボーカル無しカバー曲で、iZotope社のTonal Balance Controlというツールで「周波数分布(バランス)が楽曲としてかなり良好」と確認できたものだ(下図参照、詳細は省きます・・・)。
 リファレンス音源はWave形式でDAWから書き出した後、AAC、AIFF、mp3などの形式に変換して再生アプリ、環境毎に適するものを用いた。

 古くは「ドンシャリ」に代表されるように、本格的な業務用であってもヘッドホンの音質には大なり小なり意図的な調整がされていることが多い。まぁ、そのため本当かどうか分かったもんじゃない「原音忠実」の代わりにリファレンス(参照)やスタンダート(標準)とされる製品があるんだろうし、逆に低音を盛ったような特定の音の味付けを売りとする製品も実現できる訳だ。当然、WH-1000XM3も音質に意図的な調整がされている筈だ。何しろ密閉型ヘッドホンとしては特段重くもなく、大きくもない。「原音忠実」を目指そうにも重量、形状や寸法に余裕がないし、そもそもそれがユーザニーズに合致しているかも分からない。

 WH-1000XM3は「高音質」を謳うが、あらためて考えてみると「いやそれ実際具体的にはどういう事だ」となる。少なくとも「原音忠実」ではないし、そうも言っていない。高サンプリングレート、高ビットレートなら高音質だということにはならない。が、値段もそこそこ、最適化機能付きノイズキャンセリングということで、多少なりとも「原音忠実」寄りの調整を期待してしまったのがそもそもの問題、間違いだったのである。実のところ、音質に関しては「専用アプリやOSの機能で調整してね」とばかりにユーザに丸投げしているだけだった・・・ように見える。もしそうなら「音楽を聴くための機器」としての性能は担保されていないように思える。技術的には素晴らしいハード、でしかない誰得製品と言うことである。

 「これは音質にかなり癖がある」ということには使い始めて直ぐに気が付いた。この辺はDAWをいじってきた経験やそもそも周波数分布や音の定位(左右の位置)などに癖のある楽曲を聴くことが多い事も影響しているのだろう。サイン波だけで作った現代音楽作品(例えばRichard MaxfieldのSine Music [A Swarm of Butterfiles Encountered Over the Ocean])の聴こえ方は周波数特性をダイレクトに反映してしまう。Satoru Wonoのアルバム「Sonata for Sine Wave and White Noise」なんかもそう。また自分でマスタリングした楽曲となれば、聴こえ方の変化には敏感とならざるを得ない。と言うか、「誰だこれマスタリングしたのは!」級に(部分的に)聴こえ方が別物になった楽曲もあった。

 そこで購入前には検索すらしなかったネット上のWH-1000XM3の製品レビューをチェックした。音質に関する指摘に限定すれば、「低域盛り過ぎ」とのレビューが多い。が、私の結論は似て非なるもの、「高域が痩せている」だ。これはデスクトップPC、iPod touchともに共通だ。そしてこの特性が、「低域をやや盛っていることが多い」他のヘッドホンやスピーカーと「明らかに違うと感じる」一つの原因となっていると考える。

 バスドラムやベースといった低域の音(例えば1kHz未満)はちゃんと出ていて、それらの残響音(エフェクトで言えばリバーブ)の広がり具合も良く分かる。一方、高域(例えば4~6kHz以上)は残響音の有無すら良く分からなくなり、原音自体も低域に埋もれて普段使いのヘッドホンやPC接続のスピーカーより聴こえにくい。低域はいい具合にウェット(残響がある)だが高域ではデッド(残響がない)な変なスタジオに入ったような気分だ。この聴こえ方は、「低域を盛った」製品での聴こえ方とも明らかに違う。高域のキレが悪い癖に低域の残響はちゃんと出るので、全体としてモコモコした音質になり易い。救いかつ問題なのは定位(音の左右位置)の左右の分離が良いので、低域の音が配置され易い中央付近以外の高域の音はそこそこ聴こえる。

 あくまでイメージだけど、グラフィックイコライザーで言えばこんな感じ。まず「低域が盛られている」
次いで「高域が痩せている」
まぁ実際のところは
ではないかと疑っている。最後の場合だと一応「低域を盛っている」ことにもなる。繰り返すけど、あくまでイメージね。

 結果としてどのようなことが起こっちゃたのか、或いはどうして「高域が痩せている」という結論に至ったかについて触れていこう。

・DAW上でドラムの音が決められない

 さてベースやドラムといった所謂リズム隊は曲の骨組みであり、DAWを用いた楽曲制作では初期でいったん詰めることが多い。この際、時折スピーカーや他のヘッドホンでも聴くことを繰り返す。このルーチンにWH-1000XM3を組み込んだとたん、スネアドラムの音が決められなくなった。言うまでもなくスネアドラムの音は高域の音を含み、自分の持つイメージの実現には音の選択のみならず、イコライジングやコンプレッサ、リバーブなどのエフェクト、定位までもいじる必要がある。簡単に言ってしまえば、WH-1000XM3だけスネアドラムの聴こえ方が極端に違うことが決められない原因だ。WH-1000XM3で良い感じにスネアドラムの音を調整すると、他のヘッドホンではやたらとシャリシャリした音になり、残響も強過ぎる。

・かつて自分でマスタリングした楽曲の聴こえ方が変わる

 YouTubeにMegpoidなどのVocaloidを使った楽曲をアップロードしているが、根が捻くれている所為なのか、意図的に聴きにくく(流し聴きにくく)している楽曲もある。ある楽曲では、フレーズの高音部でのみぶーんといった耳障りな自励振動音が乗るようなシンセサイザー音をわざわざ作って使ってたりしている。年寄りの自分が聴いても未だに「ひいいいいっ」となってしまうレベルだから、若い人の良い耳には数秒とは言えキツイのではないかと思う。ところがWH-1000XM3ではその耳障りな音が全く聴こえない、本当に全くだ。わざわざ入れたフック(引っかかり)が消えてしまうとなると、曲として別物と言える。

・ ピアノ、ストリングスがおいしくない

 ピアノ、ストリングスの音は高周波成分を多く含む。高周波成分が多いのは所謂アタック時、音の鳴り始めだが、残響音や共振音を介してアタック時以降の音の響きを複雑なものとしてくれる。音がリッチで「おいしい」状態だ。が、WH-1000XM3ではピアノ、ストリングスが多々おいしくなくなる。ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲作品43~第18変奏」なんて酷い有様となる。有名な曲なので、タイトルは知らなくても聴いたことはある人は多い筈。ちなみに下に引用した動画は著作権的に無難そうだっただけで、好きだとか良いとか思うバージョンではありませんので念の為。あと、Megpoidのおいしい周波数域はピアノのそれに結構近いんですよ、つまり・・・(嘆息)


・もともと極端な周波数分布の楽曲はその味が失われる

 特にゲンナリさせられることになった例がXeno & OaklanderのBlueという楽曲。この曲、結構モコモコした状態で始まり、次いで輪郭のはっきりしたチキチキした音が加わる。ざっくり言えば、冒頭は低域音だけ、次いで高域音が追加で、ボーカル登場直前までは中域音抜きという形。WH-1000XM3では終始モコモコ、チキチキした音の持つ低域音との強いコントラスト(音量が大きいと耳が痛く感じるくらい、ただ下の動画ではレコードプレーヤーの針が痛んでいるのか高域はあまり強く出ていない)が完全に潰れてしまう。台無しですね。

・実は音の定位(左右の位置)がおかしい

  TPS(三人称視点シューティング)やFPS(一人称視点シューティング)といったゲームでは音も重要だ。特に足音などが聴こえてくる向き、の重要性は馬鹿にならない。「Tom Clancy's The Division」というTPSの場合、WH-1000XM3では足音などが聴こえてくる向きと足音の主の画面上での位置とのずれが他のヘッドホンより目立って大きい。また足音の主の移動による聴こえてくる足音の向きの変化がスムースではない。イメージとしてはWH-1000XM3は足音を真横に置きたがっている感じ。音の左右分離が良く聴こえるように音場を制御した結果、音場自体を破壊しているのではと疑ってしまう。

 Edgard Varèseの「Poem Electronique」も、あらためて聴くとWH-1000XM3だけ時折音の定位が他のヘッドホンやスピーカーと違うことが確認できている。足音の話と同じく、音が右からだけまたは左からだけとか極端に振れる。ピーガリガリバキューン系の楽曲(作品)なので再生する場合は音量注意。
 という感じで、SONY WH-1000XM3は使い方を選ぶなぁという残念な結論。安かったとしても音楽好きには勧められないなぁとすら思う。オーケストラ曲、弦楽曲、ピアノ曲、女性ボーカル曲は確実に殺される。金属弦を使ったカンテレの音はスッカスカでモニョモニョした何か別の音に変えられる。

 ノイズキャンセリング機能など含めワイヤレスヘッドセットとしては結構出来は良いと思うんですがねぇ。

2019/08/31

London ElektricityとLogisticsの新譜が楽しみ

 それぞれのタイトルは"Building Better Worlds"(10/25リリース)と"Waveforms EP"(9/13リリース)。

 既に公開されている両者の楽曲を聴いての印象は、それぞれ「歌詞込みでLondon Elektricityの曲にしか聴こえない」「Logisticsの曲にしか聴こえない」というもの。新規性にはやや欠けるかも知れないけれども、「変わらないアーチスト色の強い楽曲」を好む身としては実に好印象。まだ公開されていない楽曲でその辺りを色々と裏切って(新境地を見せて)くれれば尚良し、ってところでしょうか。

 "Build A Better World"の撮影場所は札幌市内の「テイネオリンピア遊園地」みたいですね。

2019/02/22

まさかここまで・・・

 そもそもは睡眠障害である。

 なかなか寝付けない(入眠障害)、夜中に何度も目が覚める(中途覚醒)、そもそも眠りが浅い(熟眠障害)、本来の起床時間の三時間ほど前に目が覚めてその後は寝られない(早朝覚醒)と、主要な症状は全て経験した。特に熟眠障害はポリグラフなどの検査結果から客観的に確認され、発症から一週間と経たずに入院となった。ホント、「このままでは死ぬ」と思った。睡眠不足は体調から明らか、とにかく眠い・・・なのに寝られない、仮眠もできない、これが私の睡眠障害の基本的症状である。

 現在の睡眠障害の症状は早朝覚醒のみと言って良い・・・が、その上に別の症状が乗っかっている。とにかく日中は頭が痛くて動けない。酷い脳貧血の症状に似ていて、多少の吐き気も伴う。効き方の急変で1月に使用を中止せざるを得なかった薬の影響ではないかと言う思いが、個人的には未だ拭えない。ちなみに顔なじみの薬剤師さんの見立ては「更年期障害のようなもの」であり、きっぱり「症状はこれから徐々に軽くなります」と言う。そう言える理由を聞くと「多くの患者さんを見てきたし、(更年期障害は)自分も経験しましたから分かります」とのこと。「その言葉、信じちゃいますよ」と言うと「信じて!(ニッコリ)」とこれまたきっぱり。疑う理由も無いし、自律神経失調っぽい症状も出ているから思い当たらない訳でも無いので、ここは信じておこうと思う。

 が、こんな調子では休むばかりでサラリーマン稼業は続けられない。と言う訳で上司の判断もあり暫く会社を休むことになった。数か月単位の入院、加療を前提とした処置である。とにかく合う薬が見つからなかったという経緯の結果だから、考えている今後の治療方法には最後の手段感が避け難くある。文句無しのハイリターンが期待できる反面、基本命がけとはならないにしてもリスクの程は全く分からない。

 来週から本格的にドタバタすることになりそうだ。ついては多少なりとも日中の頭痛等は緩んで欲しい。また暫く、世間から遠ざかることになりそうだ。

 あ、今日は処分準備中だったiPod(80GB)を取り出してきて、頭痛の中ライブラリを復旧した。この世代のiPodにはカメラが付いていないのが肝なのだ。いざ入院となると、プライバシー保護の観点からカメラ付き機器は持ち込めないことが多いのである。実際、先の入院ではカメラ付き故にiPod touchは病院預かりとなってしまった。

 あと、特に関係ないけど、最近よく聞いてる曲とか貼っときますか・・・古めが多いなぁ(笑)

 (オマケ)称えよ!資本論、ウォッカ、ソビエト熊!