VF-1A "バルキリー" & VE-1 "エリントシーカー"

ストンウェル&ベルコム VF-1A "バルキリー"
男ならこれを駆れ!量産型っぽさがカッコいいのだ。ミンメイとバルキリーとの共通点はどう見ても足首が無いこと



製作覚書き

 私は「超時空要塞マクロス」のファンではない。続編も含めて「歌の力」みたいなものに一分の理こそ見出せても、「歌姫の力」みたいなテーマは空疎さしか感じられず全く共感できないのが原因。対して羽田健太郎氏の音楽は文句なく最高の仕事。「ヤマト」に「イスカンダル」「無限に広がる大宇宙」あれば「マクロス」に「ドッグ・ファイター」ありですよ。

 事の発端はiTunesとYoutube、2008年夏のことである。手持ちのCDのiTunesライブラリへの取り込みが完了したので、アナログレコード音源のデジタル化に着手した。その際に目に留まったのが「超時空要塞マクロス Vol.1」である。同日深夜、Youtubeで個人による3DCGを用いたバルキリーの変形アニメーションを見る。が、変形プロセスが記憶と一致しない。理由はググってみて直ぐに分かった。件のCGアニメーションにおける変形プロセスは「完全変形トイ」のそれだったのである。なるほど、既にトイで実績のある変形機構であれば立体としての成立性に問題はない。が、変形機構の変更は、機構に関わる構造物の本来のデザインからの逸脱をも引き起こしているはずである。

 しばしば勘違いされるので先に予防線を張っておくが、私は「本来のデザインからの逸脱」を悪しと言いたい訳ではない。これは善し悪しとは全く関係のない単なる事実である。以下を読めば分かる通り、本モデルにおいても変形に関係しないディテールはむしろ積極的により現代的な要素で置き換えている。

 現行の3DCGの利点であり欠点または限界の一つは、計算コストの高い物理計算を逐次行う場合を除いて、物体同士の干渉や重力といった物理現象とは無縁であることである。 トイの変形機構の3DCGによる再現自体は否定しないものの、この種の物理的制限の無い3DCGでそれをやることで元々のデザインの一部を捨てるのはトレードオフとは思えない。とある外国人にして"a sort of ANIME magic"(animation mgicではないところが実は重要)と言わしめたバルキリーの変形に作画設定資料図版に極力基づく原理主義的アプローチで3DCGモデルは何処まで肉薄できるか、目指すところをカッコ良く言えばそんなところである。でも実際は線がごにょごにょしていて立体形状がさっぱり読み取れなかったり、図版間で不整合があったりで、そうは問屋が卸さなかった訳ですが。さらに実はダルダルでしたよ~という辺りは、無理をしてでも以降を読んで頂ければ充分伝わる筈。とにかく最後まで到達したことだけは誉めて欲しい、お願いだから。

 大抵の3Dモデラーアプリのユーザーインターフェースは三面図+パース図で「三面図使いなさいよ」と言わんばかりだが、フィクション、特にアニメ起源の素材の立体化には三面図が有っても使わないのが主義。その代わり、モデラー上での寸法参照用のラフモデル作成には時間をかける。今回のモデルのミソは変形だから、全体形状のバランスはもちろんのこと、変形後の部品間の寸法の整合性もこの時点で徹底的に詰めておく必要がある。また、平面で良い箇所と三次元曲面必須の箇所を見極めるのもこのフェーズで重要な点、どうしたってポリゴン数は少ないに越したことはない。で、別モデルの作成も並行しながら1カ月ばかりかけて、とはいっても実質は6時間位なのだが、出来たのが下図。「ざっくり」という表現が実に相応しい。とは言え、肘関節位置以外は最後までのこのラフモデルのプロポーションが踏襲されたのだから我ながらグッジョブ。
 
 ラフモデルで露わになった問題点は二つ。一つは、ファイターモード以外ではバックパックとなる部位の折たたみ箇所を二重関節にしないと部品間の干渉が発生すること。もう一つは、バトロイドモードで頭部~肩間にある胸と背中をつなぐ部材の前後方向長さが意外に長く、そのままでは胴体が前後方向で厚くなり過ぎること。上図のモデルでは、バックパック折りたたみ箇所は既に二重関節化済み、バトロイドモードでの胴体厚みは何らかの対策を施した後の寸法としてある。二重関節の具体的構造は「完全変形トイ」をググった時の記憶も参考にしつつ機械屋の視点から決定したもので、特定のトイの構造を踏襲している訳ではない。結局、着手時から完成に至るまで「どこそこのトイの形状をマネしたね」という類のコメントに悩まされ続けるのだが、VE-1のカラースキームに「やまと」のトイの画像を参照したという事実を除けば全く既存トイの形状やバランスは参照していない。だって作画設定資料の図版という一次資料があるんだもの。

 ラフモデルは出来たものの、並行して製作を進めていた別モデルが思いのほか好評で「早く次作れよ」的圧力が日増しに強くなってきた。そのため別モデルの製作と世界観の展開に専念、完結までとにかく持っていくこととし、バルキリーはほぼ3年放置される。再開は2011年夏。

 さて本モデリング着手であるが、まず「なぜモデル化するのがA型なのか」という点に触れておく。結論から先に言うと「A型以外の頭部デザインに興味がないから、百歩譲ってもJ型まで」。バルキリーのデザイン上の革新性が変形にあることに異論は無いが、個人的にはA型やJ型の頭部形状が、特に横から見た時の形状が全く人の頭部っぽくないことの方が衝撃だった。S型の頭部形状は単独ではカッコいいデザインなのだろうが、その形状が人の頭部のそれに近いが故に私にとっての「バルキリーの頭部」っぽさはとうに失われているし、加えて個人的にはさっぱりカッコよく見えないことがダメ押しとなる。ここでバルキリーとしてのデザインの魅力が最大限に露わになる瞬間は、頭部デザインを変更していった時に「バルキリー」に見えなくなる直前である。ここは個人的な感覚の話なので異論はあって当然だが、頭部デザインのみをよりシンプルになる方向、S型→J型→A型→VE-1のデザイン、と変えていくとVE-1デザインで戦闘メカ感、すなわちバルキリー感が失われる。よって、バルキリーであることの必要条件は全て備えつつ、失ってもバルキリーであることが変わらない要素を最も備えていないのがA型、という認識なのである。換言すれば、A型は全身これバルキリー、これに何を加えてもバルキリーらしさの向上には寄与しませんが何か引いたらバルキリーでなくなりますよ、という存在に「最も近い」ということ。純度高めが良いのですよ。

 形状やディテールは基本的にTVシリーズ用の作画設定資料に則り、出来る限り全体図で提示されている要素しか考慮しないこととした。また、機能的に納得できない、或いは機能性の感じられないディテールは極力排除することとした。とは言え、ディテールをとことん剥ぐとのっぺりしてしまうため、アクセント的に黒色が入るディテールは適宜加えることとし、特に劇場版設定で機能的に納得できるディテールで代替できる場合はむしろそれを取り込んだ。結果、完成品はTV版と劇場版のキメラとなるが、物語上の機能或いは小道具としてはコクピットインテリアを除けばTV、劇場映画のどちらに登場しても問題無いものになる筈である。とあるところで「ディテールが足りない」とコメントを貰ったことがあるが、「無くてもバルキリーであることが変わらないレベルのディテールなんて要らないよ」というのがあくまで基本スタンス、ディテールなんて足そうと思えばいくらでの足せるものでしかないからねぇ。なおバルキリーの重要なデザインアイコン、マイナスドライバー用ネジの頭を思わせるアウトラインを持つ部材は、ワイヤ固定用フックと機体ユニット接合機構のロック解除用ハンドルを兼用する部品と見なした。後付け的にスラスター機能が付与されたに聞くが、個人的にはとても機能しそうに思えない、というかそれならもっと良い形状があるだろうという流体、燃焼に関する知識、経験から当然のように不採用とした。あと、明らかにF-14から導入されたと思われる'70~'80年代的ディテールは、F/A-18E/F、F-35A/B/Cを参考に'90年代後半的ディティールへ極力置き換えている。機首両脇などのセンサーっぽい物にはそれぞれFLIR/LANTERN/EOTS/IRSTなどの実用化済みの軍用センサユニットが持つ機能を再割り当てしたが、まぁ、これはモデリング作業時のディテール処理で悩まないための予防措置である。

 ファイターモードにおいて重要なデザインラインは機首からキャノピー後方までの曲線、曲面であることにそうそう異論は無いと思う。この如何にも快感則に従って引かれただろう曲線の再現は個人的にはさして難しくなかった、なんたって快感則に従えば良いだけだから。(F-111の持つ曲面にも近いことは認めるが、横広なコクピット下付近の横処理が違う。後に知ることになるが、F-14の初期モックアップの機首形状が実は近い)むしろ断面形状をどの程度角ばった感じにするかの方が問題だった。劇場版設定図版のコクピット付近の拡大図では、前面キャノピーの前縁と機体との間に段差が設けてあり、連続して繋がっていない。これにより、きれいな曲面を持つキャノピーと、上面がほぼ平面となってやや角ばった断面形を持つキャノピー前縁より前の部分との接続が、立体として合理的に処理されている。が、TV版設定資料図版の全体図には当然対応するディテールは描かれていないのでこの形状は採用せず、おそらく最も機首断面が丸い部類となろう解釈に落とし込んだ。間隙フラップ、エレボン(かな?)、スポイラー、前縁スラットといった可動部はこの時点でアニメーション用のリグ組み込みを前提に別部品としてある。翼断面形状は可変後退翼機であるF-14とF-111のそれらを参照して無難なところで纏めた。この時点でバトロイドモードにおける脚部、エアインテイクからベクターノズルまではまだプレースホルダー(寸法参照のための仮モデル)である。
 
 さて脚部の変形だが、真面目に作画設定資料図版から追いこんでも蛇腹状の部位がちゃんと機能するとは思えない。悩む時間も惜しいので何のてらいもなく3DCGマジックを発動させる。脚部の部品構成は下図の通り、赤と水色の部品が蛇腹状の部位である。図を見れば一目了然、蛇腹状部位にはガウォークモード時の形状である曲がり部が既に仕込まれている。
 左端の真っ直ぐな状態から第1ステップで2ヶ所を回転させる。この時の回転軸は蛇腹部位の曲がり部の曲率中心である。続く第2ステップで水色の蛇腹部をエアインテイク側に引っ込める。以上の2ステップの変形を同時に行うと中央の図のように変に膝が長い状態は現れない。ニーパッドは常に浮いた状態で、我ながらいい加減なものである。その代わり、ガウォークモード変形後に見えてしまう部分のディテールを作画設定資料に基づいて多少追いこんでおこう。こここそ「完全変形トイ」が宿命的に捨てなけらばならない部分だからだ。
ちなみにこれが「膝なげーよ」状態。しかしながら「膝が長い」とは如何なる日本語ぞ。
 バトロイドモードへの変形も寸法的には問題なし。ラフモデルで寸法を詰めておくと本当に後が楽である
 
 並行してランディングギア、コクピット、バックパックなどのディテールも作り込む。とにかく悩まず考えず作画設定資料を横目に手を動かすのみ。この時点でのコクピットインテリアはTV版のデザインを基本的に踏襲したもの。バトロイドモードでのコクピットレイアウト変更は再現可能(ただし、パイロットは頭をキャノピーに一度はぶつけなければならない)だったが、どうせ外からは見えないので早々にやらないことにしてしまう。パイロットシート背後の銀色っぽい部分が、バトロイドモード時の上部モニターの背面である。
と、ここまで来ると仮のリグのひとつも組み込みたくなる。そこで頭部および両腕の部分を単一のコンフォーマル・ウェポンベイで置き換えた"VF/A-1"をでっちあげ、リグを組み込んだ。テストムービーではスポイラー以外の動かせるところは全て動かしてみた。 動かすのが楽しくなってモデリングが進まなくなるとマズいので、作業時間は延べ8時間に限定(レンダリングは会社に行ってる間に実行するので作業時間には含まない)、悩むようならそれはやらない、などの自分で決めた様々な縛りの中でのベストエフォートとした。個人的にバルキリーのデザインの魅力は当時も今も「ダサカッコ良さ」なので、2011年ではカッコ良さが若干微妙にならざるを得ないサーフィンサウンド寄りの曲を、それもライブ版をBGMに選ぶ。"Jack the Ripper"自体はけだし名曲ですぞ。
















さて、するするっと順調に事が進んだのはここまで。バトロイドモードでの寸法確認を始めたところで大失敗に気付いた。バトロイドの胸に当たる部品の襟首に当たる部分は正面から見て凹んでいるが、この凹みが深すぎたのだ。頭部が肩の高さまで埋まってしまい、横を向くことができないのは当然として、とにかく見た目がカッコ悪い、と言うか悪すぎる。原因はこの凹みの寸法・形状を「快感則」を優先して再決定したことで、ラフモデル通りの寸法としておけば何ら問題はなかったのだ。結局、胸に当たる部品だけでなくコクピット周りも作り直さなくてはならなくなった。が、どうせ作り直すならばということで、劇場版で1カットしか出てこなかった2シーターバリエーションであるVE-1 エリントシーカーを先に作ることにした。製作過程は後半のVE-1関連の記述を参照願いたいが、ここで重要なのは以降のモデリング作業では劇場版作画設定資料からの意匠導入が顕著となったことである。エリントシーカーでは主翼も作り直さなければならなかったが、それこそ劇場版のデザイン意匠の導入そのものである。

 コクピット周り、胸部および頭部の参照モデルを作り、バトロイドモードでのバランスをチェックしたのが下図(明るい灰色の部品が新規作成部分)。エリントシーカー製作では変形は考慮しなかったので、関連する作り込みはしていない。このため、胴体前後を繋ぐ部品などはまだプレースホルダーである。コクピットインテリアはエリントシーカーで作ったものをそのまま導入、すなわち劇場版設定を踏襲したコクピットとなった。主翼も作り直し、ライトとの取り合いが微妙な前縁スラットは削除、翼端には劇場版で大活躍の小型スラスターを設けた。バランスチェック結果は満足のいくものとなったので先を急ぐことにする。これなら首も回せますよ。
 
 頭部モデルを劇場版設定寄りの意匠を導入しつつさくさくと製作、変形に必要な首根元周りもけっこう適当に処理してしまう。ファイターモード時の機体と頭部センサユニットの出っ張り部分(前面のカメラっぽい出っ張り部分)との段差が気になり、フェアリング処理として可動式のフタを付けることにした。これは本来のデザインからの逸脱では?と言われればその通りなのだが、こうした方がファイターモード時の形状が作画設定資料の機体全体図版のそれに近くなるのも事実。
 ミサイル、ガンポッドも製作し、ファイターモードで見える部品が全てそろったことからファイターモードでの全体形状をチェックする。全体形状チェックの比較対象はTV版の全体図、すなわち最も初期に描かれたと思われるバルキリーの形状だ。まぁ悪く無いんじゃないですかっつーか良くないですか。
 
 さてガウォークモードへの変形時の肩の動きだが、動き方は分かる。が、④で肩が90度起き上がる部分の機械的構造がさっぱり掴めない。なんとなく④での形状に近くできる構造を思いはついたものの、肩が起き上がる前の部品間の干渉が多すぎてウマくない。本来はここで意地でも作画設定資料図版で示唆されている構造に肉薄すべきなのだが、ここに至って着手時の理想は都合良く忘れ去ることにする。部品構成を頭の中でクリーンナップ、部品点数を大幅に減らした上で、部品間の干渉が発生しない範囲で構造をでっち上げることとした。また、主翼付け根付近のフェアリング構造の一部を折りたたむことで肩と機体との干渉を回避した。
 
 肩~腕の変形構造は取り合えず解決してしまったので、気兼ねなく機体内部のディテールを追いこんでいく。バックパックの折りたたみ部を二重関節としたために本来のデザインには存在しない部品にもディテールを加えてそれらしくした。バトロイドモード時のキャノピーカバーも作ったが、可動部構造が思いつけなかったためニーパッド同様に浮いたままに任せてしまう。ホント、着手時の理想は完全に忘れられている。
 
 理想を忘れれば身は軽い。胴体前後を繋ぐ部位にはしれーっと伸縮構造を組み込んでしまう。この部位の寸法やディテールは作画設定資料図版間で一貫性があまり取られていない、と言うより徐々に変化しているとの印象が強い。機械構造強度を真面目に考えるとあり得ない処理だが、とにかくシャフトを可能な限り太くすることで許してたもれ。
 手は劇場版の設定に準じ、親指と小指の付け根を90度内側に折り込めるようにした。折り込むとモデル上は部品間の干渉が発生するが、手のひらの黒い部分が柔らかい物体で適宜変形するよ、ということであれば干渉は無くなる。
機体のモデリング作業はこれで終了(実際は面取りが気に食わなくて、肩から腕までを一から作り直している)、3モード変形用のリグを組み込んで簡単なポーズ取りテスト。悪くないでしょっつーか良くないですか。
 
 A型っぽい濃いアイボリー系のカラースキームでテクスチャを貼り込み、リグはFollowerプラグインを用いて全変形プロセスが3つのNULLオブジェクトの回転で制御できるように整理。毎度の如くボン(骨)の数は数えない。Lightwave3Dを触り始めた時分に「ボンがもう100個を超えちゃったよ、凄いでしょ。」みたいなことを書いてた外人さんが居たが、今にしてみれば数的にはどうってことないし、動き的にはボンは30個もあれば充分だったろうと思える。とにかく論理的にやらないとリグ構成は容易に破綻してしまう。今回はリグ構成がややこしくなるのが明確だったので早い段階で構成を階層化し、各階層レベルでチェックを繰り返した上で全体リグに組み込む方法を取った。モデル製作時の部品毎のレイヤー分けも最初からリグの階層構造を念頭に決定した。仕事もそうだが、着手までにどこまで具体的に考えておけるかがアウトプットまでの時間短縮のカギである、と改めて思う次第。
 さて、ここまで丁寧に読んで頂けた奇特な方なら既にお気づきであろう、ガウォークモード時の曲げ部分を既に持つ膝蛇腹部のままではバトロイドモードで膝が曲げられない。という訳で、膝蛇腹部だけはバトロイドモード専用のモデルも作成した。バトロイドモードのバランスは、人間に比べて太股に相当する部分が極端に短い。そこで二重関節、かつ下側の関節がより大きく曲がる構造の膝蛇腹部を新たに作成した。これまでもっとややこしい関節をモデル化してきた経験は伊達ではなく形状取りは一発でOK、結果は下図の如く結構満足のできるものとなった。ポーズ取り時には「銀河旋風ブライガー」や「機甲創世記モスピーダ」のOPソングが頭の中で鳴ってたりしてマス。
で、バトロイド変形までは3モード用のリグ、バトロイド変形後は膝から下のみ専用膝蛇腹部と二重関節リグを用いたアニメーションである。まぁ見てつかぁさい。BGMは「ドッグ・ファイター」(未許可使用)ですよ。

 ところで、ガウォークモードからバトロイドモードへの変形時に消えた部品または部位があったことにお気づきだろうか。要するに各モードのスタイリングを優先してズルをしている訳だが、根っこには「ANIME magic」がある。つまり、TVシリーズや劇場版の作画でも同様の誤魔化しが行われているということである。想像するに、誤魔化しが不可能な「完全変形トイ」では消えた部品/部位は最初っから無い筈だ。

 続いてFASTパックも製作した。案の上「やまとのトイの形状を採用したね」とのコメントを頂くが、実際には作画設定資料図版しか参照していない。ググればすぐに確認はできそうだが、面倒臭いし別に益も無いので未だに確認していない。なお、ハンドル状部品の周囲ぐるりには"PULL AND TURN RIGHT TO UNLOCK CONNECTOR(引っ張ってから右へ回すと接続部のロック解除)"と書いてある。ワイヤフックでもあること考えると本当は"PULL(引く)"ではなく"PUSH(押す)"、右ネジ的には"TURN LEFT(左へ回す)"とすべきなのだが、何故か最初に間違い、これも面倒臭いので直さないまま今日に至っている。

  関連リンク:Foundation3D - Stonewell/Bellcom VF-1 Variants


(2012/11/23-25記-東海林修/デジタルトリップ 超時空要塞マクロスを聞きながら)


新中州重工 VE-1 "エリントシーカー" 
初恋の相手は銀縁眼鏡+松田聖子カット、それとは無関係にタンデム2シート+レーダードームが大好き


製作覚書き


 理由は不明だが、とにかくタンデム2シート+大型レドーム付の小型機が好きなのである。と言っても現実にそんな機体があったなんて記憶はなく、敢えて挙げればAH-64D アパッチ・ロングボウといったレーダー付戦闘ヘリコプターが近いぐらい。ただMiG-25RUには是非小型でも張りぼてでも良いからレドーム付けてくんないかな~と昔から思っている。"Battlestar Galactica"のViper Mk.VIIには勝手に小型レドームを付けちゃったりしていて、「オレだったらそうはしないけどな」とのコメントも頂きつつも、世界中の約2名からは別途高評価を頂いている。

 私の記憶が正確ならば、VE-1エリントシーカーは劇場版に1カット、それもファイターモードの後ろ姿しか出てこない。レドームを回転させつつ、マクロスに主砲の砲撃目標を指示していた筈。また、このカットの原画は庵野秀明氏だと人から聞いた記憶があるのだが、実際どうだったんでしょ。とまぁ、本来はどマイナーなバルキリーの一バリエーションで終わっていた筈なのだが、所謂「完全変形トイ」も発売されているところを見るに知名度はそこそこあるみたい。

 「タンデム2シート」、「大型レドーム」、「小型機」と三拍子そろった素敵なバルキリーバリエーションなのだが、3DCGモデル製作など着手直前まで考えたこともなかった。VF-1Aのページで触れているように、製作のきっかけはVF-1Aモデル製作時の部品寸法ミスである。「どうせコクピット周りのモデルは一から作り直しなんだから、ついでに2シーターバリエーションも作っちゃえってばよ」という訳である。が、手元の作画設定資料をチェックしてもバトロイドモードとFASTパック(ELINTパック?)付ファイターモードの2枚の図版しか参照図が見つからない。「完全変形トイ」の写真もググれば入手できただろうが、どうせ同じ図版が参照されている筈だということで2枚の作画設定図版のみを参照しつつ、見えない部分はでっち上げることとした。また、好きなのは「小型機」、変形の必然性が思いつけない、変形機能を作り込むのが面倒臭い等々の個人的には至極真っ当な理由から、サポートする形状はファイターモードのみとした。ただしFASTパックの着脱はできんとつまらんよね。

 で、エリントシーカー製作着手直前のVF-1Aのモデルが下図。大気圏内飛行時の純粋なファイターモードからFASTパック装着時のファイターモードとガウォークモードの中間的なモードへの変形は既に可能としてある。まぁ、そうでもなければエリントシーカーに取り組もうなんて絶対考えない。取りかかる前から姿勢が既にダルダルなのである。
 どうもサクサクとモデリング作業は進んだようで、製作途中の画像が意外に少ない。いきなりコクピット周りは完成。コクピットインテリアはVF-1の劇場版設定図版に極力従っている。後席でも操縦できるようにしてあるが、真面目なところ後席にはヘッドアップディスプレイ(HUD)が必要だったかも知れない。キャノピーの約1cm内側にHUD代わりの仮想スクリーンがあるように処理している。下図ではスクリーン上のイメージが結構歪んでいるが、これはコクピット内全景を1枚に収めるため広角寄りのカメラ設定にしてあるため。パイロット視点位置から一般的な人間の視野角で見ればそれなり、と言うかパイロット視点で平面状に見えるようにテクスチャーをマッピングしてある。
 新規作成部分にもパネル分割を施す。キャノピーの膨らみ具合は狙い通りの仕上がりだが、見てお分かりの通り、後席のパイロット頭上がかなり窮屈そうである。が、ダルダルなのでそのまま流す。VF-1Aもそうだが、とにかくコクピット周りの形状に苦労した記憶がない。
 作画設定資料を1分程睨んでから10分程度のモデリング作業、を繰り返す。悩まず考えずディテールを加えていくため70%程度は結局でっち上げ。エリントシーカーの特徴である主翼端付近の膨らみも再現、小型スラスターも加える。作画設定資料で使われている目ん玉マークをFASTパックに付けてみるとなんだか完成した気分に…思わず手が止まるのでソッコーで外す。
 テクスチャーの貼り付け開始、並行してネットでF-35の画像を漁っていたのが原因で灰色ベースのシンプルなカラースキームを選ぶ。なんの根拠もないままマーキング類は米海兵隊とロシア空軍のキメラになってしまう。パイロットを乗せてみるとコクピットの窮屈さ具合が良く分かる。
 FASTパックにもテクスチャーを施して無事完成。ARMD-05所属機なので、ゼントラーディ軍の地球攻撃時に撃墜された模様。製作覚書きと言いながら、今回は覚書きにほとんどなりませんでした~。




(2012/11/27-29記 - なっちゃんPEAK/Shall We Dance?を聞きながら)

2 件のコメント:

  1. 良い出来だと思います!

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  2. 自分もバルキリーのCGを作りたく、色々調べていてここにたどり着きました。
    参考にさせて頂きたいと思いますm(_ _)m。

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