2014/07/24

ウクライナ情勢、EUの足並みの乱れ

 ウクライナ、ロシアに対するEU(欧州連合)の足並みの乱れがTVなどで報道されている。足並みの乱れの原因のひとつはフランスの対ロシア姿勢で、ロシアから受注した強襲揚陸艦の輸出を控えていることが大きいとのことだ。強襲揚陸艦の件は知っていたのでここまでは完全に予想通りの展開で、特に新しい事項ではない。この辺りは実利を押し出して憚らない如何にもフランスっぽい姿勢と言えよう。

 個人的に興味があるのは実はドイツの姿勢なのだが、そのあたりの情報はまだ入手できていない。なぜドイツを気にするかというと、概して紛争地域の宗教、宗派によって態度がまるっきり違うからだ。ウクライナはキリスト教でも東方正教会が強いが、ドイツはローマ・カトリックが強い。宗教的観点からは、おそらくドイツはこの紛争に「興味が無い」。しかし、過去エントリでも触れているように、ドイツの発電源にロシア発、ウクライナ経由の天然ガスの占める割合は依然として高い。従って、ドイツはロシアを気遣って余り目立たないように振る舞っている可能性が高いと見ている。

 かつてのボスニア・ヘルチェゴビナ紛争にはNATO(北大西洋条約機構)が介入したが、この紛争はイスラム教、ローマ・カトリック及び正教会の対立という側面も持っている。この点も踏まえれば、NATO介入の意味合いも違って見えてこよう。NATOとして結束して事にあたっていても、参加国の思惑や背景にある動機は異なっていて当たり前だ。そこには「人道上の理由」などのナイーブかつ曖昧な要素は、良い意味でイギリスなどを除けば、意外に含まれていないように見える。

 経済規模及び産業構造、軍事、人口比/民族比及び規模、宗教、地政学的地理などなど、諸々のファクターを踏まえないと紛争に関して迂闊なことは口にできない、してはいけない。本日の某報道番組内での古○氏のコメントは以前にも増して最悪、何も知らないことを良い事に薄っぺらい言葉を並べるだけで、リアリティ(適切な現状認識)が全く感じられない。

 これはあくまで私見だが、イギリスの有様から冷徹で時に場当たり的なリアリズムを差し引くと、一見ナイーブかつ能天気なお花畑状態が現れる。中東諸国の国境線、現在のパレスチナ問題の原因、一度は示したナチスドイツへの融和的な態度など例には困らない。古○氏の有様はリアリティを伴わないが故に本質的に満開のお花畑、一見したイギリスの有様のようだ。紛争の原因を作ることはあっても、紛争解決には全く役に立たない。本来持ち得る力を言葉に付与する資格も力も全く感じられない。言葉を殺し、全てを他人事として語るだけだ。イギリスやアメリカが時に「良心的」に振る舞えるのは、リアリティに裏付けられた損得勘定ができるが故である。

 古○氏の2時間のしゃべりよりも、1秒にも満たないイギリスのイエス/ノー、ドイツのヤー/ナイン、ロシアのダー/ニエットの方が含む内容が遥かに大きいことは明らかだ・・・と書いてしまったところでイギリス、ドイツ、ロシアに心からの謝罪の言葉を贈ります。

 「あんなのと較べて御免なさい」

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