2021/09/12

メインPC、CPUクーラー交換!(その4・アフターサーヴィス)

 約1年間に購入したDELL XPS 8940(Intel Core i7-10700)のCPU冷却性能向上及び静音化作業に一区切りがついた。そもそものは6月、たまたま調べたCPU温度の余りの高さに驚いたことから始まった話だ。

 CPUの最高出力を制限することでなんとか誤魔化そうとするところから始まり、色々調べた結果として根本的な対策が必要と判断し、CPUクーラーとケースファンの交換にまで至った。おかげで実効的に使えるCPUパワーの大幅な向上と、静音化が実現できた。ただこの根底には、「そもそもDELL XPS 8940の熱設計が余りに酷い」という悲しい現実がある。海外(≒米国)ではこの問題は多数の個人、メディアのレビューでボッコボコなまでに叩かれており、ほぼ一般知化していると言えるが、同時に参考となる具体的な対策の情報にも事欠かないところがミソだ。また、ことXPS 8940(及びゲーミング用PCバリアントのG5)に関しては流通数が少なくないこともあってか、パーツメーカーが自社製品のマーケティングに陽に(=案件)陰に(=ステマ)に利用している節もある。

 私の見たところ、日米のユーザーのメーカーPCとの付き合い方には結構違いがある。ざっくり言ってしまえば、日本でメーカーPCを買うような人間は製品に多少問題があってもそれに気付かないか、気付いても部品交換までやろうとはしない傾向が強い。またメーカーPCを購入する層と自作派層との間には、「しゃべる言葉が違う」レベルの距離が日本ではある。一方米国はメーカーPCだろうが問題や改善の余地があれば徹底的に弄り、SNSで情報発信したりもする。それは弄り代の少ないDELL製品であっても同様だ。特定のメーカーPCの改良でしか使えない特殊部品の3Dプリンタ用データが無料で利用できるCreative Commons下で公開されている状況からもそれは明らかのように見える。このような状況は日本文化にはほぼ根付いていないハッカー文化の発露にも思える。ガレージでダクトテープを使って・・・といった感じの「改造は日常」というDIY文化の延長だ。

 CPUクーラーの選定には価格.comの日本人の書いたレビューを参考としたが、今回は見送った対策を含めてそれ以外の対策は主に米国人の手になるYouTube動画を参考とした。動画の良さは、英語が聞き取れなくとも画を観ていれば必要な情報が手に入る点だ。

 ただ、少なくともYouTube動画に限ってみれば、PC用パーツのレビューの内容の充実具合や役立ち度は日本人の手になるものが突出して高い。海外、時に米国人によるものは結構淡白で、「使ってみたよ」「ちゃんと取り付けられたよ」「ちゃんと動いたよ」辺りで終わってしまうものが多い。ジャンク品主体のネタ動画ですら定番ベンチマークプログラムを一通り回してしまいがちな日本人自作erってのは世界的に見れば特殊で、愛すべき存在じゃないかと正直思う。

 さて、きっかけから作業終了までの関連エントリは以下だ。

これらに記載した内容と、3.5インチHDDの取り付け位置変更がやった作業の全てだ。

 後で写真も示すが、出荷時の3.5インチHDDの取り付け位置はフロントパネルの裏側の専用ベイで、ケースの空気流入口の一部を塞いでいる。これをケース天井に沿ったもう一ヶ所の3.5インチHDD専用ベイへ移動することで、ケースへの空気流入がよりスムースにできる可能性があった。結果から言うと、ケースファンの騒音が僅かだが明らかに低減した。理由の説明は長くなるので省くが、「力づくで風量を確保する用途には向かない」この種のファンでは、上流側の流れの抵抗が小さい方がファンの駆動系への負荷が下がって静音化し易い。

 換気扇は屋外の風が強いとファン自体は逆回転しなくても短期的に逆流が発生し、時にファンの回転が遅くなったり止まったりする。このような状況下でファンを駆動するモーター軸には逆回転方向の強い負荷がかかっているのは間違いなく、モーターが異音を発したり振動したりする原因となる。HDDの移動は、これとは逆の状況を作る効果を多少なりとも生み出したようだ、きっと、おそらく、多分。

 では手を入れる前の状態の写真・・・と言いたいところだが、当然のように撮影なんかしていなかったので 「パソコン徹底比較購入ガイド」さんのXPS 8940のレビューページから無断引用させて頂く。撮影範囲はケース内の上側3/5ぐらいで、撮影範囲の最下部の水平の基板がグラフィックボード、写真外のその更に下に電源がある。

 写真の上下は実際の上下と一致しており、右側がフロントになる。写真右端の箱状部分が使用中の3.5インチHDDベイで、写真右上の横に細長い口を開いた金属箱部分が未使用の3.5インチHDDベイだ。また、写真左上の空きベイは2.5インチHDD用だ。写真中央がCPUクーラーのファン、写真左側のファンがケースファンだ。

 で、現在の状態が下の写真だ。

3.5インチHDDの移動によって新規CPUクーラーのファンの正面、メモリの空気入口側の空間がより広くなり、メモリの冷却は良くなっていそうだ。他方、写真ではCPUクーラーのすぐ下に位置するSSD(マザーボード基板高さ)の冷却が現状で十分かはイマイチ分からない。モニターしている温度を見る限りは問題無さそうだが、ヒートシンクぐらいは正直付けたくなっている。なお3.5インチHDDの移動によるCPU温度低下は70℃付近で1℃程度と無視できるレベルだ。

 下の別アングルの写真を見ると、CPUクーラーのファン、CPUクーラーのヒートシンク、ケースファンがほぼ同軸の一直線上に並んでいることが分かる。両ファンとも最大風量は約45CFNと同等なので綺麗なエアフロー形成が期待できそうだが、ケース閉止時にはヒートシンクとケースファンの間辺りだけ局所的にケース表面が温かくなるので、ケースファン上流側では大き目の安定した循環流ができているかも知れない。

 騒音だが、ここではiOSアプリで測定したデシベル値(単位はdb)を参考として示す。校正した値ではないので絶対値の正確度は不明だが、大小関係は信用できるだろう。

  • 部屋のバックグラウンド:14~21db
  • ダイソン ホット・アンド・クール(送風のみ・送風量1及び5、側面・距離30cm):32~37db及び41~45db
  • XPS 8940(ターボブースト出力無制限・100%出力時、正面・距離30cm):41~43db
  • パナソニック 電子レンジ(500W、正面・距離30cm):48~50db

別エントリで既に述べているが、一連の対策で騒音は(安いのであまり静かではなさそうな)電子レンジの作動音よりも低く抑えられたようだ。なお、40~45dbはオフィスでの会話レベルだそうだ。

 最後に解決済だが想定外だった騒音について記しておく。それはケースのビリビリいう共振だ。振動源はファンではなく取り付け位置を変更した3.5インチHDDで、マウンタをケース(シャーシ)に固定する2本のネジのうち1本の締め付けが緩んだことが原因で上手くない振動を発生してしまっていたようだ。このため、緩んだネジを締め直すことでケースの振動はあっさり消えた。

 ミニタワーとはいえペラペラした凹凸の無い華奢なケースとの印象を持っていたので、原因が分かった際には正直さもありなんとは思った。昔のフルタワーのXPSでは「XPSロゴ」でケース側壁に凹凸(タブ)を設けたりして、剛性を向上したり共振周波数を高くしていたものだが・・・この辺りも改善の余地がある安さの秘密なのかもしれない。

p.s.:現在の私の構成では、DELL社のファームウェアレベルの構成機器チェックでケースファンが「互換性が無い」と判定されるが、使用においては問題無さそうだ。とあるYouTube動画中でも、同じファンに交換した人が同様の事例を報告している(と言うか、ファン交換作業の動画末に、そのディスプレイ画面をノーコメント・長回しで大写しで挿入)。「互換性が無い」と判断された場合は、機器名や問題の内容が二次元バーコード付きでディスプレイに表示される。ここで鳴らされるのはビープ音といった警告系の音ではなく、キーボードの様々なランプの点滅と同期した小音量の音楽なのが和みポイント(?)だ。

2021/09/07

メインPC、CPUクーラー交換!(その3・おまけ)

 メインPCとして使っているDell XPS 8940(Intel Core i7-10700)のCPUクーラーを交換し、実効性ある結果を得た件については既に述べた。今回は「その後」の話だ。

 CPUクーラー交換後に気になったのがファン音だ。特にCPU出力100Wを超えたあたりから聞こえ始めるブーンといった音が大きく、かつ聞いていて落ち着かなかった。遠心式ポンプやスクリューコンプレッサと言った高速回転機器と仕事上長く付き合ってきたためか、回転軸のブレや潤滑不良を想起させるこの種の音はとにかく苦手なのだ。CPUクーラーの交換で、60Wを超えるCPU出力でもCPU温度をほぼ気にせずに長時間・連続運転できるようになったからこそ生じた問題だ。

 そこでケースの側面板を外して様々なCPU出力で運転してみたところ、件の音の源がケースのリア排気ファン(以下、ケースファン)であることが分かった。出荷時のケースファンはFOXCONN PVA080F12Hで、ファン径80mm、最大4200rpmという高回転数によって最大風量45FCNを叩き出すちょっと癖のある製品だ。ファン回転数は4-pin PWM制御で、低負荷時には回転数を抑えて文字通りの静音運転を実現する。が、高回転運転で風量を稼ぐ仕様なので、高負荷時には色々と音を立ててしまうのは避けられない。ブーンといった音もその一つだ。悪い製品ではないとは思うのだが、積極的に使いたいCPU出力域で五月蠅いのは頂けない。

 と言う訳で、ケースファンをnoctua NF-A9 PWMに交換した。ファン径は一回り大きい92mmだが、最大回転数が2000rpmなので最大風量は約45CFNで交換前と変わらない。静音化のみを目的とした割切った選択だが、選択理由は「ピンと来てしまったから」としか説明できない。公開スペック並べてみると、noctua NF-A9は同径ファンを用いた他製品と比べて最も低ノイズという訳でもなく、正直価格は高めだ。なおDell XPS 8940のケースには80mmケースファン用の取り付け穴だけでなく92mmケースファン用の取り付け穴も用意されているので、noctua NF-A9への交換には何の障害もなかった。

 交換結果を簡単に言えば、CPUの使用可能範囲全域(CPU出力174W以下=CPUの100%性能動作時の出力以下)で、ケースファン音はCPUクーラーのファン音よりも常に小さくなった。当然、ブーンといった不安感を誘う音は無くなった。

 ファン購入費を十二分に取り返したぞ、これは。

 「ファン音が五月蠅い、ファンが壊れるんじゃないかと不安になる」という理由でCPU出力を敢えて抑えて運用する、という選択肢は、睡眠時の連続・全力運転時を除いてもはや無くなった。

 ケースファン交換前はCPU出力120Wでもその音からファンが壊れないか不安になったものだったが、今や170Wでも「廻ってんなぁ」ぐらいにしか思わなくなった。実際、CPU出力120W時のファン音は、半開きのドアを通して隣接するキッチンから聞こえる電子レンジの作動音よりも小さくなってしまったぐらいだ、なんともはや。しかも、CPUパッケージ温度が72℃に達する110Wを超えると、ファン回転数が最大値に達しているようでファン音の大きさはもうCPU出力を上げても変わらない。

 ファン音が静かになったので、取り合えず普段使い時のCPUのターボブースト最大出力を75Wから95Wに上げた。ここで普段使いとは「3DCGIアプリのリアルタイムプレビューが常に動作しており、作業時間の1/3以上でCPU使用率が100%」といった使い方だ。典型的な動作クロックは4.1GHz、CPUコアパッケージ温度は基本的に68℃未満が維持され、CINEBENCH R23のマルチCPUスコアは10169と10000を越える。

 なお、ベンチのベストスコアは12245@ワット数無制限・・・CPUパッケージ温度が90℃にいっちゃうので長時間連続運転には敢えて使わない。が、爆音とまでは言えないレベルのファン音でCPUの性能が100%出せる冷却性能が得られたことは、PCとしては別物になったと言える。CPUクーラー交換前はCPUパッケージ温度が上限値の100℃に達するためCPU出力が110Wまでしか上がらず、CPUクーラー交換後はCPU出力無制限で運転できるようにはなったもののファン音は大きいわケースも共振するわで120W越えの運転はヒヤヒヤしながらだった。が、ケースファンの交換後はCPU出力無制限(実際には174W付近でフルパワーに到達)での運転でも「頑張って廻っとる、国内ブランド安物電子レンジよりは静か」な感じのファン音しかしなくなった。必要な物品の購入コストが約¥3600(CPUクーラー)+¥220(ネジ)+約¥2200(リアケースファン)でこれは安い、安くない?


  では最後はおまけのおまけ。

  • ケース側面板を外しただけで、ケースファン無しでもCPUパッケージ温度が6~7℃下がるCPU出力域があった。世間の評判通り、Dell XPS 8940のエアフロー設計を含む熱設計は余り褒められたものではなさそうだ。

  • 海外の動画などを観ていると、Dell XPS 8940についてはフロントにケースファンを2個追加する例も珍しく無い。そんな中、フロントパネル裏のHDD(HDD自体の冷却を意図してか、ケースの吸気口の一部を実質的に塞ぐ形で設置されている)を外してまでその位置にケースファンを取り付ける理由が分からなった。実はこの位置のケースファンは、サイドフロー型CPUクーラー使用時にはそのファンと向かい合う。つまり、CPUクーラーに吸気したばかりの外気を直接吹き付けるような形となるのだ。なお、もう一つの追加ファンはグラボに吸気を直接吹き付けるためのものだ。

    ケース側面板を外した方がCPUが良く冷える理由は明確ではないが、側面板が取り付けられている状態ではケース内に循環流が発生しており、CPUクーラーのファンの吸気にクーラー下流の高温の空気が混ざっている可能性などが考えられそうだ。今回のケースファン交換では風量は変えていないのでケース内エアフローへの影響は極めて小さいだろうから、CPUパッケージ温度に影響が見られなかったのは当然と思える。半面、ケース内エアフローに改善余地があるのは明らかだろう。

    まずはHDDの位置、変えてみる?

2021/09/03

NHKニュースの岸田連呼

 菅自民党総裁が次期総裁選に不出馬の報、病院の待合室でNHKニュースで知る。

 菅政権の個人的評価は少なくとも1ヵ月先にならないと出来ないが、経済ブレーンの顔触れが究極的に気に食わないだけで、ネガティブな要素はほとんど出ないと思う。この難しい時期に大変だなと心から思う反面、下手に平時だと経済政策辺りで批判的とならざるを得なくなっていたかもしれないとは思う。名は秘すけれど3人ほど道連れにしていただければ無条件に最高評価する。その際は是非自分だけ浮かび上がってきて頂きたい、まだ終わりじゃないですよ。

 ま、むっちゃくちゃ政局を動かしつつ(多くの人にフリーハンドを与えつつ)、国政への影響を最小限にするという意味では、結構良い手かもねとは思った。だからこそ、終わりじゃないですよ、身を切ったこの判断を評価する人はきっといるよ、と言いたい。状況についていけてない野党の無残さには本当に目を覆う。

 それはさておき、

NHKの岸田連呼には閉口した。(NHKの報道によれば)岸田氏の反安倍姿勢が野党並みの低レベルで心底呆れた。なお、私の見たところ、岸田氏の方針には基本的に「国益」の概念が無い。昔から聞くのは、「省益」を調整すると「国益」が入る隙間がなくなるそうだ。岸田氏の方針はどうかな?

 あ、あと岸田氏の方針には「NHKを今後どう扱うか」が無いよな。この辺り、はっきりとしたところ知りたいねぇ。少なくともスーパーハイビジョンとか意味無いものへの投資は一切切って欲しいね。

2021/09/02

引いてる引いてる

 「引いてる感」が凄く出てて笑えないっつーね。

 VTuberとかシーン含めてさっぱり興味無い人間がこの動画に至る経緯は単なる流れだから省くとして、VTuberが「視聴者からの『告白』を受け付ける」といった類のライブからの運営自体による一部切り出し。「子ども時代の笑えるやらかし」とは一味も二味も違う告白の内容にVTuber"Koro"が引く感じがね、凄くてね。因みにこのVTuberの中の人はしゃべらない形態なので念の為。

 あ、英語は特に訳さないよ。

 これ自体はネタっぽいとも言えるけれども、若かりし頃に海外のフリーホスティングサイトで2D絵サイトをやってたころの経験からはガチなヤツもいると言える。ヤバいリクエストは本当にヤバかった。わざわざ「海外」のサービスを使っていた時点でコンテンツの方向性はお察しで、現在の欧米の感覚では絵柄的に〇ポと見られても仕方無さそうな絵への食いつきは、"HENTAI"と言う表現が未だ使われていなかった当時ですら一味違った。感想メールの内容に「そのような目で見られているのか!」とショックを受けてサイトから削除した絵も少なくなかったぐらいだ。でもさ、北欧ではほんの2、3年前までマジもんの児〇が作られてたんだぜ、当時はさ。

 オリジナルはtwitchのライブだ。これを観ると、上記の動画が時間軸ではほぼ編集無しで、"Koro"の顔がクローズアップされたり、チャットの内容が追加されたりしているだけだと分かる。音楽も含めて間の良さはライブ譲りなのだ。

2021/08/31

分かってない。

 某所での新型コロナワクチン職域接種開始の報道を読んで唖然。

 インタビューを受けた接種者曰く、「地元に気軽に帰れるようになるためにもなるべく早く打ちたかった。(後略)」。

 この人、ワクチン接種の意味やワクチン戦略そのものを全く理解していない。加えれば、最近は以前より議論に上がるようになった「スプレッダーになる可能性」も知らないのではないか。ワクチン接種は接種者は守ることにはなるけれど、接種者が感染防止のための行動を緩めれば、緩めた分だけ周囲の人が感染する可能性を上げるのは変わらないんですよ~、分かってないでしょ。接種者の地元が今後危険になりそうな予感。

 さて、私はワクチンパスポートに反対ではないが、そんなものは「それに実効的な意味があると信じて、何らかの判断に使おうとする頭が悪い人間や組織や国」から非合理的な不利益を被らないためには必要だとは考えている。パスポート所有者が得をするような制度はそもそも間違っていると思うよ、国内だけの話ならなおさら「損をしない」ラインまででやめておかないとアカン。

2021/08/29

情報操作の香り

 仮定の話をしよう。

 某省は現状が気に食わない。私に言わせれば政権の意図をサボタージュでご破算とし、更に失策を重ね続けているのだから自業自得でしかないのだが、彼らが気に食わないのはしようがない。そんな某省にとっては与党党首の党内求心力の低下や政権支持率の低下は世論操作の絶好のチャンスだ。

 仮定の話を続けよう。

 とは言え、某省が自らの罪、無能、怠惰などと呼ばれることになるかも知れないことを他者に忘れてもらうためには生贄が必要だ。生贄の一方は省内の現場の人間で、彼らは馬車馬のように働くことになる。もう一方は外部の今ひとつ気に入らないが敵とは言えない組織だ。仮に日本医師会としよう、仮定の話だ。

 仮定の話は続く。

 某省にはなんだかんだと友達は多い。その中には日本医師会(仮名)と距離を持つ者もいる。そこで、その友人に文章をお願いしてネットに上げる。日本医師会(仮名)を生贄に、現在の新型コロナの対策組織の一新を提案する。政権の力が弱ったところを狙って、これまでの自らの罪、無能、怠惰に免罪符を与え、自らの意図に従ってくれる組織の確立、新型コロナ対策組織の乗っ取りが目的だ。

 仮定の話はもうちょっとだけ続くんじゃ。

 だからその種の文章にネットや印刷媒体で出会った時には、上記のような可能性も考慮して欲しい。特に日本医師会(仮名)の責任を追及しながら、厚労省(仮名)の責任には一切触れず、あまつさえ厚労省(仮名)の影響力がより強くなるような提案が為されている場合は要注意だ。論理的なのに客観性が欠如しているような文章は、その意図故にそうならざるを得ない可能性を疑うだけの価値がある。

 さて、

新型コロナ感染症を2類とするか5類とするかの議論とか、ウィズコロナ(新型コロナウィルスとの共存)政策の可否は、治療法の確立や有効な治療薬の存在次第だ。これらが存在して始めて、新型コロナウィルスは初期治療が肝の厄介な風邪と見做し得る。先の安倍政権の新型コロナ対策ではアビガンがフォーカスされたが、これが有効な治療薬となっていれば比較的早期に新型コロナ感染症が全ての病院で取り扱い可とできた可能性があったかもしれない。そうなっていたら、何類とするかの議論はそもそも無意味となり、国としても経済を回すウィズコロナ政策に舵を切ることができる。少なくとも先の安倍政権ではそのようなシナリオも想定していた筈だ。

 が、実際にはそうはならなかった。一時期言われていたようなワクチン利権か、それともアビガン自体が客観的にも相応しいものでなかったのか、そうならなかった原因は未だに有耶無耶だ。実際のところ、日本の新型コロナ政策の迷走、或いは明示的ではない本質的な方針転換はこの辺りから始まったと個人的には見る。ウィズコロナ政策を前提とした政権とワクチン政策を推し進める勢力の政権に対するサボタージュ?をどうしても疑ってしまう所以だ。ワクチン政策の本質にはゼロコロナ政策が横たわっている。

 とある専門家の言行を悪く言う人、評価しない人の中には、対策にはざっくりウィズコロナとゼロコロナの二つの考えがあることを理解していない人が多いように見える。現場を知る専門家が両者の考えに基づく複数の対策を状況に合わせて切り替え、時には混合して適用、時に地域ごとに使い分けなんてことは当たり前だ。感染抑制のためなら全方位に忖度しないのも当たり前だ。

 最近、仮定の話のような情報操作臭い文章にまた新たに触れた。書き手の権威が徐々に上がり、文章の論理展開などもよりしっかりしてきている。だが上記の仮定の話を思い出してもらえれば、避けられない客観性の欠如や誘導の可能性に気づけるだろうと思う。客観性の欠如や文章発表のタイミングは、文章自体や書き手の本来の意図の推定に重要なヒントとなる。新型コロナウィルスの感染拡大や治療といった身近な話にあっても、私たちは情報戦の中にあると思って良い。特定の人達を「彼らは医師とは言え学者ですから」とさも能力不足のように表現するのは明らかに印象操作がある。「感染対策の現場経験と結果を出してきた実績があるかどうか」と言う評価軸から見れば、書き手こそが「経験も実績も無い」存在でしかなく、その文章は「良くても評論」にしかなれない。論文や提言を装った煽情的な評論は、プロパガンダの一手法としてはひとつの典型だ。ゲッベルス的と言うよりも毛沢東的なやり方とも言える。

 昨今はフェス関連で香ばしい話が多いが、未だに補助金などを出していた中央省庁の見識の無さや無責任さ、現行の新型コロナ対策(ゼロコロナ政策)とのミスマッチな行動への言及がマスコミ等でもほとんど無く、今後もそうであろうことは個人的には全く解せない(「何故そうなのか」は個人的な経験から分かる)。これは「今後出しません」「補助を取り消します」といった現在打ち出している今後の対応とは完全に切り離して論じられる話だ。

 まぁ、現政権もゼロコロナ的政策への転換を明言せぬまま「経済を回す」なんて言ってたりするから、国民皆が混乱するのも分かるけどね。個人的には、政権が中央省庁に舐められてるだけっぽく見えるだけですけど。

 広くまんべんなく当事者の姿勢、これまでの行動の是非を評価せずに特定の当事者の責任のみを追及し、かつ評価対象外の影響力が強くなるような主張、結論を導く文章は、どんなに論理的であっても「結論ありき」の文章である可能性を疑うべきだ。特定の当事者の影響力を高めるべきと主張するなら、他の当事者を下げるのではなく、件の当事者を具体的な事実を持って上げるのが競争原理化にある民間組織内ではもはや正道だ。「現与党にお灸をすえる」なんて投票行動もそれを導く思考も同様で、もはや情報リテラシーが無く勉強していない、思考停止しかしていないという状況の裏返しでしかない。

 日本医師会(仮名)の責任を追及するマスコミが現れ、インフルエンサーwとやらがそれに合わせて踊ること自体は日常茶飯事なので半笑いしつつ流すとして、あなたまでが自分の権利をわざわざ投げ出してまで踊る理由は全く無いんですよ。

2021/08/28

Kill all Killer services AGAIN; Kill'em all ABSOLUTELY!

 Dell XPS 8940には"Killer Control Center"及び/またはその関連サービスがプレインストールされていました。このソフトウェアサービス群はネットワーク通信の優先順位などを制御して通信速度を最適化するとされるものですが、実際にはYouTubeなどの特定のサイトに接続できなくなったり、IPv4接続だけ一時的に使えなくなる場合があるなど、ただただ迷惑なものでした。そもそも有線接続、高速回線環境下ではもはや通信速度のボトルネックはPC外にあり、そのような制御は無意味です。そこで別エントリで書いたように、"Killer Control Center"及び/またはその関連サービスは全て停止していました。

 ところが、KillerネットワークサービスのドライバがWindowsアップデート経由でアップデートされたとたん、停止していたサービスが有効化され、不具合が再発しました。Windowsアップデートでドライバが提供される時点で何か関連サービスが動いていた可能性も考えられることから、関連サービスそのものの完全削除に踏み切りました。

 削除したサービスは最終的に6つでした。うち1つは他サービスとの依存関係が一切なく、サービス名から明らかに削除済みのアプリ"Killer Control Center"下で動くものだったので躊躇なく削除しました。一方、残り5つはネットワーク関連の複数のサービスと依存関連があったため、依存関係のあるサービス、ドライバーの機能、内容を一つ一つ確認しながらの慎重な削除作業となりました。

 サービスの削除はリスキーでそれに伴う不具合の責任なんて取れませんから具体的な削除対象や削除手順にここでは触れませんが、サービス削除に"sc"コマンドを使ったことだけは記しておきます。同じようなことをしようと考えている方は「Windows10 サービス 削除」辺りでググってみてくださいね。因みに"sc"コマンドは、サービス登録の解除だけでなく、不要となったレジストリのエントリも削除するとのことです。レジストリが汚くなるのが嫌いな方には嬉しい機能ですが、本来削除してはいけないサービスを削除してしまった際の手動復旧が極めて困難となるので念の為。

 上記のサービス削除から1週間経ちましたが、現時点で不具合は一切出ていません。むしろ通信速度が上がっているのではないか、と思わざるを得ないことも起きています。従来は並行して運用しているLinuxPCにfast.comで測定した通信速度は常に10~15%負けていましたが、上記のサービス削除後は5%程度の負けまで差が詰まりました。

 あと、サービス削除作業中にやはり迷惑プレインストールソフトである"WAVES | MaxxAudio Pro"関連サービスも見つけたので、併せてそのサービスも削除しました。こちらの方は特に変わった事はありませんが、もしかしたらSoundIDのパラメータ変更時に発生していたノイズが消えたかも・・・未だ確信はありませんけど。

2021/08/27

中華人民共和国で共産主義革命間近か?

 中華人民共和国において、「共同富裕」の名の下、富裕層や大企業の財産、資産を一般人民へ再配分する方向との報道多数あり。ついに共産主義革命による、拝金主義に走ったほどほどに腐った資本主義の崩壊を我々は目にすることになるのか?独裁政権故に為し得る上からの革命により、衣替えのレベルの気軽さで、アジアの大陸に誕生経緯が正当な社会主義国家が爆誕することになるのか?

 余り厳密ではない理解だが、レーニン的な社会主義と共産主義との違いは政府の有無によるとされる。最終形態足る共産主義では消費者は生産手段、配送手段を有しているから、自ら欲するところものは自ら入手できる。製品や生産に必要なリソースはユビキタスであり、オンデマンドで地域民に供給される。必要なのは地域毎の自治組織で、国家政府は小さくて十分だ。世界が皆共産主義となれば、国家は要らない。国に求められる機能は、軍事と外交ぐらいだからだ。ところがこのような理想的な状況を実現する前段階足る社会主義では、生産手段や配送手段は国家が保有、管理することで、製品や生産に必要なリソースがユビキタスであり、オンデマンドで地域民に供給されるように見える状態を作る必要がある。共産主義状態のシミュレートに莫大な人工とリソースをぶち込むのが、社会主義が取り得る一形態だ。この実現には、大きくて強権的な政府と、巨大な官僚機構と、反革命分子に対応するための治安組織が必要となる。

 私の目にはロシア革命は1回目は帝政の打倒、2回目は共産主義政党内の多数派(ボルシェビキ)と少数派(メンシェビキ)との内ゲバにしか見えず、資本主義の破綻の要素は二の次三の次にしか見えない。ここでは、「働いたら負け」を実践しつつ自分に金が無いことを憂い続けたとの説も有力なカール・マルクス大先生の妄想は実現されていない。

 少なくとも朝鮮戦争開始までに毛沢東が「資本論」を読んだという記述を書籍でもネットでも見たことが無い。中共による中華人民共和国の建国にソ連は基本的に関与していないので、自力で共産主義革命とされるものを為した中共とその指導者毛沢東へのスターリンの感情は複雑だったようだ。そのため、スターリンは毛沢東と会う機会を基本的に作らなかったし、毛沢東のモスクワ訪問時の扱いもかなりぞんざいだったようだ。毛沢東と面会した側近から毛沢東思想の概要を聞いたスターリンはそれを「単なる封建主義」と切って捨てたとの話もある。中華人民共和国建国は国共内戦の勝利の結果であり、その経緯も内容もマルクス大々先生唱えた共産主義革命とは程遠いものと思う。

 今回の「共同富裕」こそ、マルクス大々々先生が望んだ、行き過ぎた資本主義に対する歴史初の共産主義革命の狼煙ではなかろうか。ついに来るのか、ついにやろうってのか。

 アホらし。

2021/08/23

パキスタン因子

 私の妄想世界にようこそ。

 アフガニスタン・タリバン報道官が中共との良好な関係性について言及、との由。中共としてはアフガニスタン・タリバンが中共の新疆ウィグル政策に干渉してこなければ良いだけなのでおべんちゃらの一つぐらいは言っといた方が良いだろうなどと短絡的に考えてそうな一方、本気、リップサービスを問わずアフガニスタン・タリバン側には中共に仲良しアピールされても害しかない。歴史的に軍閥が割拠する時代を知っていながら、そのような状況下で起こりがちな各勢力の口先だけの駆け引きの罠にいきなり巻き込まれている辺りに、中共の劣化具合、如何にも頭の悪い感じを見てしまう。

 現パキスタン政権は中共と友好的で、中共の新疆ウィグル政策に対して特に何も言ってこなかった。また、現行のアフガニスタン・タリバンの大口スポンサーでもある。故に、パキスタンがアフガニスタン・タリバンへの強い影響力を維持している限り、中共はアフガニスタン・タリバンによる新疆ウィグル政策への干渉は心配しなくても良い筈なのだ。ならば中共の懸念事項、言わばアフガニスタン情勢に対するパキスタン因子について考えてみる。

 上でパキスタン「政権」と書いたことには意味がある。まず少なくない数のパキスタン国民が中共の新疆ウィグル政策を是としていないとされる。更にパキスタン・タリバンは明確に中共の新疆ウィグル政策に反発しており、少なくとも最近は中共融和主義的なアフガニスタン・タリバンと敵対関係にあるとされる。パキスタンは内部に反中共勢力を潜在的に抱えていると言って良く、中共からの金が切れればパキスタン政権が親中共姿勢を維持することは難しくなるし、維持する必要性も実質的に無くなる。

 一方、中共との関係が悪化した場合の仲良し相手探しは厄介だ。インドは宿敵だ。米国はインドへの接近とこれまでの経緯により反パキスタンの立場をそう簡単には翻せない。所謂テロとの戦いの初期までは、パキスタン政権は少なくとも表面的には親米路線を採っていた。パキスタン空軍が対テロ戦での運用を前提としてF-16を所有しているのはそのためである。特にパキスタン情報部はCIAに深く食い込んでいて、CIAがいかにも喜びそうな偽情報が大量に混入されていたことが後に判明するが、米国にとってアフガニスタンやアルカイダに関する情報をもたらす重要な情報源としての地位を確立していた。この辺りはCIAの歴史やパキスタン情報部の手引きも得て成功させたタリバンのCIA出先機関への自爆テロを取り扱った書籍など、複数のソースから確認できる。

 CIAはパキスタン情報部の上層部の人間の金づるにされたばかりか、少なくない数の現場上級職員をパキスタン情報部の手引きや黙認によって失っている。まぁこのころのCIAも酷いもので、テロとの戦い後のアフガニスタンの指導者候補として確保していた人物は単なる詐欺師だったしね。挙句にウサマ・ビン・ラディンはパキスタン国内で潜伏中に殺害された。このオペレーションに関して米国はパキスタンに何ら通知しておらず、パキスタンの主権侵害は明確だ。とは言え、オペレーションの成功によってまさにテロ支援国家であることが明らかになったパキスタンに対し、国際社会は基本的に冷淡だった、かなり引いた。これはしゃーない。誤魔化しはいけない。例外は中共だった。インドの敵の敵は味方という軸からみればそれなりに筋は通る組み合わせだが、この状態が醸し出すパキスタンの行き止まり感は半端ない。

 インドとロシアとの仲は悪くなく、共同開発された最新ステルス機Su-57の主要「機体」設計者15人中8人がインドからの派遣者だったとの情報もあるし、開発費の一部も負担している。因みにエンジン設計からはインド人技術者は完全に排除されている。インドはSu-57を採用していないが、これはロシア側がインド側の仕様変更要求をひとつとして受け入れなかったことが原因とされる。このため、上記のインドからの8人の派遣者は、機体完成を待たずに帰国したそうだ。インド型含む輸出型Su-57開発着手の報道もあったが、新型コロナ禍もあってか続報は無い。少なくとも兵器関連では、インドとロシアの間でこの種の話は少なくない。ロシアがこの関係性の維持を求めるなら、ロシアもパキスタンは相手にしない。

 支離滅裂なドイツや隠れ独裁国家を除く欧州諸国も親中共であるうちは組めない。英国はちょっと特殊な立ち位置になるが、米国との同盟関係を優先するだろう。トルコはイキり過ぎが祟って実質的な経済制裁下に置かれ始めており、これ以上欧州諸国ばかりでなく他のイスラム国家の機嫌を損ねるのは上手くない。あとイランだが、反アフガニスタン・タリバンぐらいしか共通点の無い集団である北部連合(連合結成自体はインドの関与があるとされるが、様々な民族、部族の集合体なので、構成勢力全てが親インドとはならない。ペルシャのアイデンティティを持つ民族、部族による勢力は、連合参加前からイランの影響や支援を受けている)のスポンサーの一角とされるので、パキスタンは敵だ。現在、アフガニスタン国内でタリバンと戦闘中なのはアフガニスタン政府正規軍と北部連合の成り行きまかせの混合体なので、反タリバンだからと言ってこれら勢力を簡単に支持する国が現れないのは当然だ。例えば米国のスタンスはそもそも反アフガニスタン・タリバンではないし、イラン影響下の勢力や地方軍閥を支持する筈も無い。

 と言う訳で現パキスタン政権は中共と仲良くするしかないのだが、内部に反中共勢力を抱えているため国内外ともに中共との親密さをアピールしないしされたくない。ところが中華人民共和国外交部は、カブール陥落前後からパキスタンとの親密アピールを強化し始めた。その影響か、単に先行するアフガニスタン情勢の影響か、パキスタン・タリバンの対華人テロの報にこの数日触れる機会が増えた気がする。ここで中共がいつもの手、警察の派遣、などやろうものならパキスタン国民の多くを怒らせるだろう。

 またアフガニスタン内の今後の勢力分布の変化は不透明だが、敗走したアフガニスタン・タリバン勢力が国外脱出を図ることも今後あり得る。パキスタンへの越境は以前からあるものだが、規模の問題がある。大規模越境はパキスタン国内の治安悪化や国民の不満を引き起こす可能性が高く、パキスタン・タリバンを勢いづけることにもなりかねない。パキスタン、そしてアフガニスタン・タリバンの地獄は、敗走したアフガニスタン・タリバン勢が中華人民共和国国境付近まで追い詰められた後に始まることになるかもしれない。中共が越境を許す筈も無く、人民解放軍の銃口は敗走するアフガニスタン・タリバン勢に向けられる。敵失を狙うなら、北部連合はアフガニスタン・タリバンを中華人民共和国国境に向けて追い詰め、慈悲は一切示さず、安易に殲滅しないようにすべきと言えよう。国境警備兵を全て女性とするように、誰か中共をそそのかしておいてくれないだろうか。

 アフガニスタン・タリバンの友好勢力の繋がりはパキスタン経由で、北部連合の友好勢力の繋がりは時にイラン経由で、それぞれ中共に至る。そしてアフガニスタン・タリバンと中部連合は今まさに戦闘中である。もちろん、もし北部連合勢が中華人民共和国国境付近まで追い詰められた場合には、人民解放軍の銃口は今度は北部連合に向く。ただイランの政権基盤は堅牢で、北部連合との関係性も曖昧なので、北部連合勢が人民解放軍に殲滅されたぐらいではぐらつかない。対してパキスタンは既に対華人テロも複数発生しているなど、中共、国内ともに対応を誤ると政権基盤が揺らぐ可能性が否定できない。つまりアフガニスタン・タリバンは最大のスポンサーを失いかねないのだ。これが不確実性がいっぱいのパキスタン因子だ。

 要は中共がテキトー過ぎで、加えて人民含めて人命を軽く見過ぎているのよ、めんどくせぇ。

2021/08/21

感染者数雑感

 ある老年の主張;新型コロナは風邪だ!だから何度でも罹るぞ、何度でも苦しむぞ。

 さて、

1日当たりの新型コロナ感染者数を見続けていて得た一つの経験則があった。それは、東京都の感染者数を3.3倍すると全国の感染者数に極めて近くなることだ。以前は東京都の発表時間が突出して早かったから、その時点で全国での数字を予測する方法として使っていた。大阪で感染爆発があった時期を除き、3.3倍はつい最近まで有効だった。だが今週は約5倍付近を推移している。

 人数比が変わった理由は、東京都が感染経路の追跡を止めたことだと考えている。濃厚接触者のPCR検査を止めたので、従来なら感染者としてカウントされて医療処置の対象となった「自覚症状の無い感染者」が検査されぬままカウントされなくなったためだ。検査数限界説よりも私はこっちの考えを押す。検査を受けないまま独身者などが自宅で新型コロナで亡くなるケースが発生すれば、それだけ「自覚症状の無い(無くなる直前まで無かった)感染者」の増加の可能性は高まる。

 本日は東京都が約5,000人、全国が約25,000人で、人数比は5倍となる。現在でも3.3倍の筈だと仮定すると、感染経路を追跡しない新方針によってカウントされなくなった「自覚症状の無い感染者」の数をAとした場合に次式の関係が成立する。

 (5000+A)×3.3 = 25000+A;東京の感染者数の3.3倍が全国での感染者と一致

上式を解くと、A=3695.6・・・ ≒3700となる。ならば、旧方針での東京都の感染者数は約8,700人(=5000+3700)、全国の感染者は約28,700人(=25000+3700)となる。旧方針のままならば、東京都の感染者1日1万人も近いやに思われる。感染者数の増加は全く衰えていない。8000人越えは、個人的な直観(私の脳のディープラーニングの賜物?)とも一致する。

 「自覚症状の無い感染者」を感染検査の対象とせず、結果として感染者としてカウントしない国もある。今はどうか知らないが、かつての台湾などがそうだ。従って東京都の方針変更を良し悪しで論ずるつもりは毛頭ない。しかし、方針転換が以降で発表する数字にどのような影響をどの程度与えるかもちゃんと説明すべきだったと思う。少なくとも感染者人数について過去の数字と今の数字は直接比較できないですよ、と明言する必要、いや責任が今でもあると考える。数字が様々な意思決定に関わる以上、それを怠ることは将来的に印象操作や数字詐欺のそしりを受け得ることも覚悟しておいて欲しい。今の日本ではいきなり襲われて吊るされるようなことが無いからといって、本件に関しては東京都は首長も職員もやることが適当に過ぎる。

 何カ月にわたる東京都の感染人数を並べてみると、最近の感染者数は頭打ちっぽく見えなくもない。が、件の東京都の検査対象範囲の変更は、それを疑ってかかるに十分な影響を持つものだ。「自覚症状の無い感染者」の一部はスプレッダーとなるので、都内のスプレッダーは確実に増えている。難儀なことだ。あくまで相対的な話だが、今回の東京都の方針変更は、防疫の観点からは検査数を意図的に絞るよりも筋が悪い。この種の緩和措置は、本来はスプレッダーを無効化する施策、人流の制御、と組合せでやらないと「感染拡大施策」にしかならない。人流の制限はできないんだから、せめてワクチン接種施策に「実効的な」手を入れるぐらいしろよと言いたい。「若者の接種拡大に向けてアプリがー渋谷でー」なんてのは「やってる感」すらもはや感じられらない。

 お金だけでなく時間すら無駄にして、次に来る波の規模をただただ大きくしているだけではないか、これでは。さざ波は線形波だから、100個重なれば高さは100倍、1000個重なれば高さは1000倍だ。

 都知事の「自分のこととして考えて行動してください」という言葉の受け取り方のレベルは人様々だが、私は背筋が凍る思いがした。 この発言を私は無責任とは思わない。東京都にも知事にも弾が無い。問題は、聴き手の防疫意識によって発言の意味の解釈がきれいにばらけそうという意味も含めて言葉選びのセンスが良すぎたことだ。「上手く言ってやろう」みたいな色気を出していない時の都知事の言葉選びのセンスはエレガントだと思う。今回は合理性に裏打ちされた冷徹さといったむき出しの毒がある。「好きにするぜ」と言う人に対して「お好きにどうぞ」と答えた、なんて生易しいレベルの話では無い。「トリアージすらしないよ」と答えているような感じかな。私の解釈はこうだ。

「あなたやあなたの大事な人々が感染したり、感染症状で苦しんだり、感染の後遺症で苦しんだりしないかどうかは、あなたやあなたの周囲の人々の行動次第ですからね。ちゃんとそう言いましたよ」

ん~、ちょっと違うかなぁ。

「どんなに感染防止に頑張っても、○○一人の所為で台無しになり得ます。○○と関わらないことや、○○と関わっても感染するリスクを最小化する行動を個々人の判断でしてください。この意味が分かる賢明な皆さん、感染することなくこの禍を乗り越え、○○が××された世界でまたお会いしましょう。」

何気にデルタ株の特長の本質的なところ突いた発言だと思うよ。一旦家庭に持ち込まれれば家族全員感染はほぼ必至、はそれまでの変異株と本質的に違う。感染力の強さの大小よりも、それが感染経路やスピードをどう変えてしまうかの理解の方が防疫上はより本質的だ。古めのエントリで危惧したように、妊婦さんが罹患した話はその後の展開の可能性を考えてしまってどうしても感情が動く。

 ネットには「○○発見機」なんて表現があるけど、今後ますます○○の危険行動に巻き込まれないことが罹患したくない人の行動規範の主軸になっていく。積極的に自粛生活、一般的な感染防止策を実施している人がワクチン接種まで済ませたら、もうそれくらいしかできること無いでしょ。そんな状態で「自覚症状の無い感染者」は増えてるとかね、洒落にもならない。ここでの冷徹さってのは「家族であっても○○は切れ」ぐらいのレベルのものね。

 一方、色々な資料に目を通した個人的な印象として、尾身先生は学者こそむしろ持っていそうなこの種の冷徹さをお持ちでないようだ。疫病対策の第一線を見てきた先生には、この種の冷徹さは今回の疫病の「後遺症をも残す社会的な症状」みたいに見えているのかも知れないなぁと思ったり思わなかったり。つまり東京都知事も私も新型コロナウィルスに「社会的に罹患」しているかもしれないと言うことだ。

 国語現代文の素養、大事。「国語現代文教育、大事」と言いたいところだが、最近の教師は僕らの世代のころとは違ってちゃんとしてるのかな?