2013/10/17

奥さん、論文査読お願いします。:ワン・モア・タイム

 「これから英語の技術論文を書きます」という人に真面目な話をしておきませふ。私が査読する場合は下記の内容にはこだわりますよ。

 論文の1ページ目は大抵、タイトル、オーサー(ズ)、アブストラクト、イントロダクションまでしか収まらない。ここで「読む人」の立場から一種の模範的な1ページ目の書き方について書いておこう。
  • タイトルは本文を全部書いてから決めても良いぐらい重要だ。「タイトルに偽りあり」な論文はほぼ間違いなく中身も酷い。タイトルはまさに「つかみ」だが、アブストラクトやイントロダクションの文章とはイタレーションが必要だ。
  • タイトルで論文に興味を持った人は、アブストラクトを読んでさらに読むべきかを考えるか、アブストラクトをとばしてイントロダクションに入る(コンクルージョン(ズ)は1ページ目には含まれないからここでは「いきなりコンクルージョン(ズ)」の経路は省く)。
    ここで気にして欲しいことは、アブストラクトなりイントロダクションなりを読む人は、間違いなくタイトルを先に読んでいる。だから、アブストラクトやイントロダクションの冒頭で、タイトルで述べている内容に直接触れる必要はない。タイトルとほぼ同じ文章がそのまま書かれていると「オーサー(ズ)は頭が悪い」と思われる可能性を覚悟して良い。実際、アブストラクトの1文目を読んで一気に残りを読む気が失せた論文には事欠かない。
つまり、アブストラクトはタイトルから続けて読まれることを前提に書こう。極端な話、タイトルに書いてあることは書かなくても良い。アブストラクトはタイトルと切り離された状態で読まれることはないと見做して良い。タイトルとアブストラクトを続けて読んだ時にしっくりこない場合はタイトルが拙いと考えるべきだ。より具体的には、タイトルにアブストラクトに書いた方が良い内容が含まれているか、タイトルに書くべき内容が含まれていないか、といったところだろう。

 気持ちは分かるのだが、「タイトルで背伸びし過ぎて」いてアブストラクトとの整合性が悪い場合が多々見受けられる。

 イントロダクションも同様にタイトルから続けて読まれることを前提に書こう。だから、タイトルと同じことをいきなり書くべきではない。また、イントロダクションの出だしの内容は、タイトルを読んだ人がすっと話に入っていけるように書こう。イントロダクションの出だしとタイトルとのミスマッチ(関係性が見えない)を感じたならば、やはりタイトルが拙い可能性も考慮しよう。

2013/10/16

近況、十三度。:台風一過編

  • 台風最接近のタイミングで病院へ。強風に翻弄されながらも、なんとか傘で雨を避けながら2km強を徒歩で移動。病院では10分ほど停電、最低限の電源は確保されているようで窓口などでの混乱はなし。病院から出るともう地面が乾き始めていて、どうやら台風は通過したよう。
    帰り道で通行止め。見ると送電線のけっこう高い位置に車のカバーらしき大きな布が引っかかっている。周囲区画は未だ停電中のようで、交通信号も沈黙、先の震災での情況が頭をよぎる、電気が使えるのは有難いもの。途中で立ち寄ったコンビニも停電区画内にあったが、レジ用の非常電源は確保されているということで昼飯購入。
    自宅の区画は既に停電から復旧済みで一安心。午後からは出勤。

  • 病院への外出時に携帯電話を持ちだし忘れ。自宅へ帰ると迷惑メールが届いていて、先の震災時の腹立たしい経験を思い出す。
    私の居住地域は3日以上停電したのだが、もちろん基地局も停電でダウンしていて携帯電話は使えない。停電復旧直後は、取り敢えず近所の自販機へ水購入に走ったものだ。
    水入手後に自宅へ帰ると、3、4日分の迷惑メールが携帯電話に届き始める。纏めて届かず、5分おきぐらいに1つづつぽつぽつ届いてそのたびに着信音が鳴るのはかなりウザい、当然メール内容もウザい。加えて通話自体はまだ混んでいて、実家への連絡もままならない。そこへダメ押しのように新たな迷惑メールが届く。
    当たり前だが、迷惑メールは「空気を読まない」。状況によってはどうしようもなく腹が立つものだ。

2013/10/13

うちのiPod touchさん

 今回は私信。

 遠方の友人との電話で、「ついに音楽ライブラリが64GBのiPod touchでも本格的にきつくなってきた、ホーム画面は殺風景だよ」と言ったところ、「んじゃ、見せろ」と。とは言え、実は壁紙だけには少しこだわりがあり、1台毎に違うテーマ、というか違う作家さんの画像データを同期させています。

 アプリもムービーもビデオも今週中盤から全部削除したので、使うのはミュージック、時計、カレンダーぐらい。1台にはアプリとして「ポルトガル語-日本語辞典」だけは入れてありますが。

 1台は長大中さんの絵が壁紙です。複数の画風を持つ人で、「紅衛兵&筆のタッチが残っていてギリギリ写真じゃないことが分かる」という辺りが私のストライクゾーン。一種の制服フェチなのかも知れませんが、皆が同じ服を着るという状況下でこそ個々人の個性が強く出るような気がします。

 ちなみに紅衛兵や文化大革命については、一時期手に入る本は全て読んだ気がします。タイトルは失念しましたが、中国共産党が正式に文化大革命を総括した分厚い論文の日本語版も読みました。知り合いの中国出身の研究者と文化大革命について話をしたことがありますが、極めて否定的な見解を持っていました。個人的には、引き続く「下放」が残した多くの禍根が印象的でした。下放をテーマとした女性視点の映画として米国映画「シュウシュウの季節」があります。ほぼ同時期に中国で製作された「初恋のきた道」と較べてみるのも一興ですぞ。

 もう1台は中村佑介さんのイラストが壁紙です。私が画集を持っている作家さんは、高畠華宵、リキテンシュタイン、そして中村さんの三人だけです。

アクセス解析:検索ワードラウンドアップ:番外その1

 アクセス解析がちょっと面白いので、毎日チェックすることにしました。件数の少ない検索ワードは二、三日で表示されなくなるので、適宜こんな感じで挙げていきます。
  • ios7.0.2って何ですが?
    「何です?」ではなく「何です?」
    ?? 
    キーボード入力ミスとかをあげつらうつもりは毛頭無くて、「何故こんな検索ワードでこのブログが?」という驚き。

"ENOLA GAY/OMD"カラオケ

 146BPM, 44.1kHz/16bit .wav形式。ダウンロードできるので、お気に召しましたら如何様にも使って頂いてけっこうです。ただし、ダウンロード後の取り扱いに起因するいかなる結果にも、私は一切責任を持ちませんが。

 途中でうっすら入っている声は、ハリー・トルーマン大統領(当時)の広島への原爆投下に関する演説の冒頭です。原爆の取り扱いは被曝された方のことも考えればセンシティブにならざるを得ず、ある種の極めて時代的な能天気さへの皮肉として取り扱っているとしても、トルーマン大統領の演説を挿入すること自体に不快感を覚える方もいるでしょう。

 一言だけ言っておきたいのは、私の持つ戦争や核兵器への嫌悪感はおそらく一般的な日本人より遥かに強いだろうと思うということです。私の片方の親の田舎が広島ということもあり、幼少期より原爆や空襲の体験談を聞く機会も多かったのです。また、片方の祖父は南方の小さな島で玉砕、帰らぬ人となったのです。

2013/10/12

FIAT車3台

 さて、今日は朝から隣町に出かける用事があった。隣町への車の移動にはこれまでは国道1本しか経路が無かったのだが、半年ほど前にバイパス道が開通した。今日の移動にはバイパス道を初めて使おうと思っていたのだが、左折で従来通りの国道、右折でバイパスという交差点で左折してしまった。

 理由は、自分の目の前で連続して左折した2台の車がFIAT車だったせいである。1台目が初代PANDA、2台目がおそらく初代PUNTO(いわゆる鉄仮面)、そして私の愛車が2代目PANDA(2004年型)だ。

 カーディーラーの担当者が言っていたのだが、「対向車線を走る車の中で70台に1台以上の割合で見かける車種には、『物珍しさ』を感じなくなる」のだそうだ。近年はFIAT 500がそれなりに売れているが、それより前の世代のFIAT車の国内登録台数は全車種合わせても1/70に遥かに及ばないだろう。おそらく私にとっては一生で一度の機会、「FIAT車3台が続けて走ってます」という状況作りの誘惑に勝てなかったのだ。

1台目


2台目 "Don't You Want Me Baby?"


3台目 "Don't Call Me Baby."

2013/10/10

映画「キャプテンハーロック」ってどうだったの?

 観てもいない映画について触れるのは個人的にはルール違反なのだが、ちょいと思うところだけは書いておこうと思う。

 事実誤認があった場合はごめんなさい。

 「キャプテンハーロック」に関する情報で、正直びっくり半分がっかり半分だった点がある。CGキャラの動きがモーションキャプチャによるものということだ。個人的な意見だけど、キャプチャデータを使っちゃったら「アニメ」じゃない、おそらく"Animation"でもない。「幾らなんでも今時それは無いだろう」、というのが偽らざる感想だ。

 ディズニーに魂売っちゃおうが、Pixer Animation Studioでは3DCGキャラの動きは今だっていわゆる「手付け」だ。CGキャラの等身がどうのとかいう問題じゃない、"Animation Studio"と名乗るのは伊達ではないのだ。アニメーターの経歴もあり、昨今は3DCG演出で存在感のある板野一郎氏も、3DCGキャラの動きはやはり「手付け」が基本だとの考えと聞く。

 私は「キャラの動きにモーションキャプチャデータを使った3DCG作品」を否定したい訳ではない。

 単に、「キャラの動きにモーションキャプチャデータを使った3DCGムービーが作品たり得るなんていう考え自体が大いなる間違いで勘違い、最初っから踏み外してる。加えて言えば、そんなもんに金を出す人間の感性には言葉もない」と言いたいのだ。

 テクスチャーに頼りきったCGキャラ+モーションキャプチャデータによる動き、この組み合わせはPCやコンソールゲーム機のゲーム中ムービーの「かつての」定番手法だ。そのような手法を使いながら「作品たり得るもの」が作れるだけの力量がある人間は、力量があるが故にそんな手法は選ばないだろう。裏を返せば「そのような手法を選んだ」時点で、おそらく製作サイドに私が期待する「力量」はないということだ。

 更に被せるならば、「私が期待する力量」とは「想像力+創造力」である。或いは本人が本当にやりたいことをやりつつ、どうでも良いメロドラマを追加することで大ヒット映画をでっち上げてしまったジェームズ・キャメロン氏が持つような一種の「ずるさ」だ。

 モーションキャプチャ技術は、そもそも3DCGムービー製作のコスト(お金だけでなく時間も)低減のための技術だ。

「キャプチャデータをどう加工し、映像と言う最終的なアウトプットにどれだけの要素を新たに付加できるか」、

「最初」の勝負どころはそこにある。面白いもの、新しいものはその更に先にまで進まなければ手に入らない。キャプチャデータをそのまま使っただけでは何も生み出されない、出来上がりは物理エンジンのデモ映像レベルが関の山だ。30年来のSIGGRAPHウォッチャーとしては、「18年前だったら『凄い!』と言えたかもしれない」って感じかな。

 ちなみにモーションキャプチャ使って製作費30億円って、モーション手付けだと人件費膨らんで100億円とかかかるってことですか?節税対策?なんか変なお金の流れとか無いですか?

Native Instrument社にしてやられる

 "Native Instrument"(以下、NI)はドイツの会社で、モジュラー形式のソフトシンセ、ソフトサンプラー、エフェクターやDJソフトなどを開発、販売している。ここで言うモジュラー形式とは、まずプラットフォームと部品があって、ユーザーが部品の構成をプラットフォーム上で自由に編集できるというものだ。例えば"Reaktor"というプラットフォーム製品の場合、ユーザーは部品を組み合わせてソフトシンセを組み上げることができる。

 NIの商売の巧みなところのひとつは、「部品構成は編集できないが再生だけはできる」ソフトを無料配布し、「編集済みの部品群データ(なんて呼べば良いの?)」を商品として販売していることだ。上述の"Reaktor"の場合、再生専用の"Reaktor Player"が無料配布されている。「編集済みの部品群データ」は良い意味で所詮プリセットデータでしかないから、価格はそこそこに抑えることができるのが強みだ。

 私は"Razor"というソフトシンセ(のデータ)を"Reaktor Player"上で走らせて使っているが、重い(CPU負荷が高い)、不安定、という感は否めない。モジュラー形式というのは自由度の高さでは魅力的なコンセプトだが、リアルタイム性が要求される分野ではまだまだCPUパワーの向上が必要かと思う。JAVAアプリをイメージして欲しい。様々なハードウェア上で動作するものの、動作速度はネイティブコード(特定のハードウェア用の実行形式)には遥かに劣る。

 さてここからが本題。

 NIの製品で"Guitar Rig"というプラットフォーム製品がある。このプラットフォーム上の部品はギターアンプや各種エフェクターである。ユーザーは用意されているアンプ(実在するアンプの特性をシミュレートしたものもある)やエフェクターを好きなだけ組み合わせ、それぞれのパラメータを設定することで、望みの音作りにいそしめる、という趣向である。

 私がこれまで使用していたバージョンは"Guitar Rig 4 LE"というものだったのだが、アップデートパッチを当てたところエラいことになった。これまで見たことの無いアンプやエフェクターが追加され、"Guitar Rig 5"なんてものもインストールされていたのだ。

 「あぁ、アップデートで追加されたのね、有難いねぇ」などと思ったら大間違い。新しいアンプやエフェクターは上位バージョンの"Guitar Rig 5 Pro"で導入されたもので、インストールされた"Guitar Rig 5"の大部分のアンプやエフェクターは30分しか使えないデモ版なのだ。

 困ったことに、追加されたアンプやエフェクターに限って結構良い感じに音をいじってくれる。更に困ったことに、デモ版のあるプリセットが、ここ2週間程試行錯誤を繰り返していた音作りを一気に解決してしまったのだ。お金で解決できる問題は(納得できる額であれば)お金で解決するのが大人の特権であり、悪い癖だ。結局"Guitar Rig 4 LE"を"Guitar Rig 5 Pro"へとアップグレードした。

 偶然の巡り合わせがあったとは言え、アップデートパッチにかこつけてNIにしてやられたのは確かだろう。トロイの木馬も同然である。

 最後に、"Guitar Rig 4 LE"や"Guitar Rig 4"ユーザーで、「ボーカル向けプリセット」を"Vocaloid Editor 3"上で使っている人は要注意。

 "Guitar Rig 4 LE"は"Vocaloid Editor 3"上でも動作するし、実際重宝する。編集時の音が良ければボーカロイド編集作業もノレるというものだ。が、"Guitar Rig 5 Pro"にアップグレードしても「ボーカル向けプリセット」は増えないし、"Guitar Rig 5"自体も"Vocaloid Editor 3"上では使えないようだ。これらはかなり期待外れだったことは明言しておきたい。

2013/10/06

映画の大好きなオープニング3題

 今回のエントリはちょっとまったりと。すっと思い出せる「映画の大好きなオープニング3題」のご紹介です。「大好きな映画」のオープニングではありませんので念の為。

 まずは"The Billion Dollar Brain"。英国と言えばエスピオナージ(スパイ)映画ですが、本作もそんな一本。まぁ、映画のストーリーは原作小説のそれから大きく逸脱して、悪い意味で007寄りになってしまってます。製作のHarry Saltzmanは007シリーズの共同製作者でもあります。オープニングタイトルはコラージュなどを駆使した如何にも当時に多かった形式ですが、本作のものも出来は秀逸です。
 次いでは007シリーズから"Golden Eye"。「ゴールデンアイ制御システム」の如何にも実在しなさそうな佇まいや、ファムケ・ヤンセン演じるのゼニア・オナトップ(すげー名前!)の暴れっぷり(?)とか、何気に好きな作品です。オープニングタイトルは「ソビエト連邦崩壊」という状況をダイレクトに反映したものですが、煙、拳銃の銃口を女性の口から出すなど絵作りはフェチ度が高いと言うかかなり変態的です。まぁ、悪く言えば品がない、ということなんですが。
 最後は"Contact"。尺が長めなので少しダレるところもありますが、基本的には良作でしょう。オープニングタイトルは衛星軌道ぐらいから見下ろした地球の夜側の画、(映画製作時の)今時のラジオ放送っぽい感じの音で始まります。画面の地球が小さくなるにつれラジオらしき音声の内容が古くなっていき、やがて音は無くなります。つまり、画面に映し出されている宇宙空間は、人類がラジオを使い始めた時点の電波すら届いていないぐらい遠いということです。地球からのラジオ電波が届いていないのですから、その空間からの光も地球には届いていません。そして、その宇宙空間の情景を少女時代の主人公は想像力という力で見ています、といった感じのカットでオープニングタイトルは終わります。劇中で、主人公はそんな地球からはるか離れた宇宙の情景を実際に目にすることになるのです。

アクセス解析:検索ワードラウンドアップ

 久々に当ブログのアクセス解析結果を見てみてびっくり、アクセス数が5倍以上に増えている。理由は簡単で、みんなiOS7でエラい目にあっているようです。あなたは決して一人ではないですよ。

 という訳で、当ブログのアクセス解析から分かったみんなが使う検索キーワードまとめ(ラウンドアップ)です。件数よりもインパクト重視ですけどね。
  • iPod touch iOS7 不具合 アップデート
     アクセス数増大の最大要因はiOS7。
     個人的にはiOS7.0.2はかなり良いんではないかという気がしてきました。iOS7.0は無かったことするべきです、あはは。iOS7にアップデートするとカバーフロー表示がアルバムジャケットのタイル表示に置き換えられますが、これも割と使い易い気がしてきてます。ジェスチャでジャケットの拡大・縮小もできるしね。むしろiTunesのアルバム表示も同じようにできないか(アルバムタイトルとか表示しない)っていうぐらいの気分になってます。
     ただし、iOS7ではスワイプや拡大・縮小のジェスチャとか、各画面で要求される操作が整理されていなくて、「こうしたいんだけどどうすりゃいいの?」という状態に何度も陥っています。操作に関しては仕様が論理的ではありませんし、iOS6を基準にすると直感的でもありません。Apple製品ですからそのうち良くなります、iOS8が楽しみです。
     iOS6が基本的に横スワイプとタップだけで操作するように出来ていた訳ですが、iOS7はそうじゃないということを受け入れなければなりません。今回ばかりはMicrosoftチックでもあきらめましょう。「やりたいことははっきりしているのにどう操作すれば良いか分からない」という状態を生むというのは一種の不具合ではありますが、そもそもAppleってそんなしっかりした製品作った試しは無いでしょ?いつものことです。

  • iOS702 アイコン 色
     やっぱりちょっとケバい気はしますよね。個人的にはiPod touchは音楽プレーヤーとしてしか使ってませんから、起動後2~3秒を我慢すればケバケバしい赤い文字にイライラするだけで済みますよ。

  • ios7 アップデート 音質劣化
     iOSアップデートと同時期にそれまで使っていた既に型落ちヘッドフォンを壊してしまったので、iOS変更による音質変化は分かりません。あのビットレートのAAC音源では音質なんか気にしてもしようが無いかとも思いますが如何でしょうか。

  • iPod touch ios7.0.2  右にスライドで検索
     iOS7では縦スワイプで検索です。
    3つまであるどのホーム画面からでも検索にアクセスできるようになったという意味では、こちらの方法の方が合理的ではないでしょうか。iOS6のスワイプは一次元的、iOS7のスワイプは二次元的とも言えるかもしれませんね。

  • ios7でもカバーフローを使いたいios7 横にするとアルバム画面になってしまう
     カバーフローは過去のものです。ダサいです。使うべきではありません…とは言えないよなぁ。気持ちは分かります。
     iOS6でも画面を横にするとカバーフロー画面になりませんでしたっけ?

  • iPhone 脱獄 ios7.0.2
     脱獄???

  • iTunes 11.1 応答なし
     まるで潜水艦が出てくる戦争映画のタイトルみたいです。日常茶飯事なので私は全く気にしていません。
    そもそもAppleってそんなしっかりした製品作った試しは無いでしょ?いつものことです。

  • 2199*駄作、宇宙戦艦ヤマト2199 つまらない、2199 酷い
     まぁ、そうでしょう。

     2199のTV放送されたバージョンは過去のものです。ダサいです。観るべきではありません…とは言えないよなぁ。気持ちは分かります。そもそも×××ってそんなしっかりした作品作った試しは無いでしょ?いつものことです。

  • コスモタイガーⅡ 黒い部分
     確かに気になりますよね。ちなみにバンダイのEXモデルでの解釈は私は大嫌いです。
    おそらくあの部分のみだけいじっても、全体として整合性の取れる解釈は無理だろうと思いますが如何でしょうか。

  • イデオン 絶望
     どういう文脈で出てくる検索ワードなのかが全く推定できません。3日に1回はアクセスログに現れます。

  • 初音ミク V3 アクティベート
     アクティベートサーバーはまだ不調なのかな?

2013/10/01

最終回…で、完全新作劇場版ですか…

 「とんち」の意味をを調べると「その場に応じて即座に出る知恵、機知」ということらしい。

 「機知」はけっこうポジティブなニュアンスが強いから、あんまり自分のアイディアを「とんち」と呼ぶのは危険な気がする。本当にそのアイディアが「機知」と呼べるほどのものかどうか、判断は他人に任せた方が公平だ。

 最終回まで見終えて、ついに「とんち」を感じることがなかったことを明言しよう。

 単にご都合主義で、無用に感傷的で、時に演出が過剰に感覚的で、ネタを散々食い散らかしながら大事なところに限って回収しなかったのが「宇宙戦艦ヤマト2199」だ。物語や世界観との整合を欠いた「ちょっとしたアイディア」は「とんち」ではない。物語や世界観の論理性や合理性の欠如は回を重ねるにつれて耐えがたいレベルにまで達し、夢の機械「コスモリバースシステム」は作品の製作者のためにのみ存在することがあからさまとなり、「青い地球の回復」のカットにカタルシスはない。

 夢の機械は「可能性として有りうる世界」を現実とする一種の量子状態観測装置+αのようだ。2199における「波動」は、量子力学における「波動」と「まるで同義と解釈せざるを得ないように」取り扱われている。量子力学的並行宇宙仮説のひとつに基づけば、「地球が青いまま」の並行宇宙は存在確率がほぼ0%ながら存在する。存在確率が小さくともその状態を観測すれば、「地球が青いまま」の宇宙の存在確率は0%か100%の「どちらか」に収斂する。量子力学的並行宇宙仮説で保証されるのは実はここまでだ。

 一方、夢の機械は「必ず」望む並行宇宙の存在確率が100%の状態のみを選びとる(0%に収斂することを排除する)。つまり、夢の機械の機能は「量子力学的並行宇宙仮説で説明可能」かと見えつつ、実は最後の最後で「前提である(かも知れない)量子力学的並行宇宙仮説から当然得られる結果を否定」してしまっているのだ。「存在確率が100%の状態のみを選びとる」ことは、量子力学的並行宇宙仮説の枠組み内では不可能ということだ。

 考察や理解の浅さか、都合の良いところだけのつまみ喰いか、夢の機械はそんなものにしか見えない。「夢の機械は作品の製作者のためにのみ存在する」というのはそういう意味だ。

 そんな夢の機械の存在を前にしては、如何なる物語も成立し得るが故に如何なる物語も意味がない。それは「とんち」ではなく、世間一般では「ずる」と呼ぶ。比較的近いところでは、「エウレカセブンAO」の「クオーツガン」が夢の機械として「ずる」に加担していた。

 「あなたのやりたい事は分かるし、実際にやってるようだね」という言葉を贈ろう。問題は、「宇宙戦艦ヤマト」でそれらをやることの必然性が全くないことだ。私が改変部や新しいアイディアと物語や世界観との整合にこだわり続けた理由はそこにある。これではまるでファンフィルムであって、プロフェッショナルな仕事とは思えない。「木を見て森を見ない」とはこのことだが、OSTの異常なマスタリングなどに照らせば「木すら見ていない」とも思える。力量がなかった、常識がなかった、と堂々と言えるのならばそれはそれで清々しいが、どこまで自覚があるのだろうか。

 儲かる限り、そんな作品でも作られ続ける。だからそのような作品が生まれ続けることに視聴者側にも一定の責任がある。この辺りはちょっともどかしいところだ。

(2013/10/5加筆修正)

2013/09/30

「初音ミクV3 ENGLISH」ってば:補足

 先のエントリで、「初音ミクV3 ENGLISH」、「Megpoid ENGLISH」及び「SONiKA + V3 Vocaloid Engine」の周波数分布特性について触れたけれども、実のところ自分の耳に基づく見解だった。耳には結構自信があるから不安などは感じないものの、やっぱりちゃんと一度定量的に確認しておいた方が良い。という訳で、3つの英語ボーカロイドの同じ英語フレーズ(同じvsqxファイル)の周波数分布を調べてみた。使用したアプリは"Sound Engine FREE"、これは優れモノですよ。

 実際に周波数スペクトルの時間変化を見ても、結論は変わらなかった。赤~オレンジが音声を特徴付ける周波数成分。一番下が音程を決める周波数、下から2つ目より上がフォルマント周波数だ。

 Megpoid Eng.は音程を決める周波数より下の周波数成分が他と較べて低く、こもったような「もこもこ感」が出にくいのは明らか。またMegpoid Eng.とミクV3 Eng.の500~1kHzの中周波数成分の有無の違いは明確だ。「ミクV3では中周波数域をイコライザーで持ち上げても全然美味しくない」のはそもそもその周波数領域がスカスカだからだということが良く分かるねぇ。

 にしても、V3 Editorは何時まで待てばバグフリーになるのかねぇ…

2013/09/29

iOS7.0.2 + iPod touch

 iPod touch(5th Gen)のiOSを7.0.2(11A501)にアップデートした。先に書いておくと、もう1台のiPod touchはまだアップデートしようとはとても思えない。

 実は7.0時代には書き忘れていた不具合があった。縦向きで曲を再生中に本体を横向きにするとカバーフロー相当のアルバムジャケットのタイル表示となるが、7.0時代にはその画面上に再生中の曲の画面が重なって表示されてしまい、アルバムが選べなかった。まぁ、本来これは不具合なんてレベルの話ではないだろう、ベータ版じゃないんだから。

 わざわざ上記の不具合に触れたのは、もちろんiOS7.0.2では解消されているからだ。

 それにしても、ミュージックのアイコンや文字、記号で使われている赤色は別の色に変更できんもんだろうかのぉ…何時見ても気持ち悪いわぁ。

追記(2013/9/30)
アルバムジャケットのタイル表示となるが、7.0時代にはその画面上に再生中の曲の画面が重なって表示されてしまい、アルバムが選べなかった。
おそらく縮小のジェスチャーでアルバム選択ができるようになったのだろう。その時はそこまで気が回らなかったんだけど。

「初音ミクV3 ENGLISH」ってば

 ボーカロイド製品のアクティベーションでは専用サーバーへの接続が必要だ。

 聞くところによると昨日はそのサーバーが高負荷で落ちちゃったんだそうだ。凄いもんだね「初音ミク」は…とか書きつつも、実は私もサーバーダウンの影響を受けた一人。おそらくサーバー復旧前後に何回かアクティベートに挑んだタイミングだったようで、4回ほどネット接続エラーでアクティベーションに失敗。成功するまでに迷惑メールが11件届いちゃったよ、あ、俺のPCちゃんとネットに繋がってるじゃん、あははって感じ。

 これで一気に「初音ミク楽曲の質が向上」なんてことが「もし」起ってしまった場合、その原因分析はちょっと面白いですよ。はたして原因は「初音ミクV3」の出来の良さなのか、それともMacもサポートしたことなのか、とか。大げさに言えば、林檎使いは窓使いよりも本当にセンスが良いのかっつー話にけりがが付くかも知れんよ、ということですよ。俺みたいな元熱狂的林檎使い(SYSTEM6まで)はどっちですか?

 で、知ってる人は知ってるように、俺は基本的に「ボーカロイドはウィスパー系以外は英語バージョンしか買わないよ」という人、ということは裏を返せば「初音ミクV3 ENGLISH」は買っちゃう可能性はある訳で、ハイハイもちろん買いましたよ、と。アクティベーションの件はそういうことです。

 んで、「初音ミクV3 ENGLISH」はどうなのよ、という話なんだが、なんだかなぁ…。自分の中のベンチマークは"VOCALOID2 SONiKA+V3 Voacloid Engine"で、こいつは余裕で超えてもらわないといかんのだけれども、ん~。

 滑舌は明らかに「Megpoid Eng. > 初音ミクV3 Eng.≧ SONiKA+V3 Engine」、これはフォルマント特性とも無関係じゃない。

 "Megpoid Eng."はとにかく声がひっくり返ることが多くて難渋するが、これまで触った限りは"初音ミクV3 Eng."はほとんどひっくり返らない。と言うか、"初音ミクV3 Eng."(そしておそらく「初音ミク」自体)が「声が裏返りっぱなし」なのだろうと。なので編集しててもなかなか味が出ないと言うか、1時間も聞いているともう勘弁というか、触る度に使う気が失せるというか、少なくとも触ってても面白くはないことと、意外に「初音ミク楽曲」では声質自体がいじられてきていないのだなということを身をもって知った次第。

 周波数の話をすると、"VOCALOID2 SONiKA"自体は30Hz以下の低周波数成分が多く、かつ2kHz以上の高周波数成分が少ないので、全体としてもこもこした印象になる。低周波数成分はイコライザーで削れば良いのだが、中周波数成分とのバランスを取るために高周波数成分をイコライザーで持ち上げると音質が全体としてどうしてノイジーになり、さらに音自体が痩せてしまう。結果、「もこもこ」か「(痩せて)スカスカ」かの二者択一とならざるを得ない。"Megpoid Eng."は中~高周波数成分ともに多めで、強めにイコライザーを利かせても音が痩せにくく、声質が変わらない範囲で落とし所を見つけ易い。周波数成分分布は"Megpoid Eng."が実際の人声により近いので、人声を使う場合のノウハウがかなり活用できる。

 "初音ミクV3 Eng."は低、中周波数域ともに低く、もともとからして「痩せた」音だ。確かにこれはいじり代がない。破綻しにくいという意味では使い易いのかもしれないが、引き出しが一個しかないようなもの、というのも如何なものか。

 "VOCALOID2 SONiKA"でも、「もこもこ」と「スカスカ」を重ねて使うという奥の手が実はある。それぞれの音量とリバーブのカットオフ周波数域の設定によっては格段に聞き易い音質になるよ。

 ちなみに"初音ミクV3 Eng."で中周波数域だけ豪快に持ち上げると、個人的には何を言っているのか分からなくなる。要は重要なフォルマント成分が高周波数寄りにあるということだろう。「声が裏返りっぱなし」というのはそういうことだ。おそらく、Skypeとか通しても何を言っているのか分からなくなるんじゃなかろうか。

2013/09/25

"ENOLA GAY/OMD"ボーカロイド用試作オケ

 "Megpoid Eng."の購入を決めた際、カバーなりコピーなりしたい曲が4曲ほどあった。1曲目はすでに最初のバージョンをフィックスした"New Order"の"Bizarre Love Triangle"、そして2曲目が"OMD (Orchestral Manoeuvres in the Dark)"の"Enola Gay(1980)"だ。

 "Enola Gay"は女性の名前で、広島に原爆を投下したB-29爆撃機の愛称だ。歌詞には原爆が爆発した時間である8時15分や、広島型原爆の愛称である"Little Boy"などが散りばめられている。この曲の邦題は「エノラ・ゲイの悲劇」だが、個人的には色々思うところもあって酷い邦題という思いがぬぐえない。

 さて、試作オケだが、いつもの如く音数を節約した劣化版コピーだ。

 ベースには"SynthMaster2.6"を早速投入、さすがにまだスクラッチからの音作りはできないのでイメージに近いプリセット音を選んでフィルタ周りを中心にパラメータをいじり回った。各レイヤーで使えるエフェクター"Ensemble.(アンサンブル)"が結構強力で、少し音を広げたい(ステレオ感を付加したい)場合に実に重宝する。ドラム以外の他の音色3つは「1980年代FM音源シンセのプリセット丸出しみたいな音」という具合にイメージが明確だったので、全て"Z3TA+2"でスクラッチから作った。

 昔の自作MIDIデータも再利用し、おかげで先の連休のうちのほぼ一日で楽曲データ自体は完成した。まぁ、歌メロをボーカロイドで置き換える段階で音色、音量バランスや定位は見直さないといけないだろうけどね。

2013/09/23

iOS7 + iPod touch:補足

 少し他の人のiOS7 + iPod touchrレビューを調べてみると、自分のiPod touchでは見られない不具合も起きているようだ。ちなみに私のiPod touchはいわゆる第5世代64GB(MD718J/A)、iOSバージョンは7.0(11A465)だ。

 不具合と言うのは、「ミュージックビデオを画面縦向きで再生した場合にビデオの縦横比がおかしくなる場合がある、再生中に画面を横向きにすると『アルバムジャケットがタイル状に並べられた画面(iOS6でのカバーフロー画面相当)』になる」というもの。

 私のiPod touchでは上記の不具合は発生しない。

 その代わり、ミュージックビデオは画面の向きに関係なく画面横向きでしか再生されない。つまり、画面を縦にした状態(この時点では画面は縦向きに即した表示である)で再生を開始してもビデオは画面横向きで再生され、本体の向きを変えても(表示の上下方向は適切に入れ替わるが)画面は横向きにしか使われない。

 う~ん

半沢直樹、最終回

 良かったです。う~ん、何が良かったかは極々普通だから別に書かんでも良いでしょう。

 ただ、取締役会での半沢の「東京中央銀行の現状について」の語りは私の持つ「半沢像」らしくないというか、違和感が凄すぎた。ああいうところがスパっと抜けてる感じがこれまで良い塩梅だったのだが、最終回、しかも取締役会でアレはないだろうって気がする。ラストカットにも違和感、出向辞令を聞いての半沢の表情の変化は私の持つ「半沢像」と全くなじまない。

 とはいえ、ラストカットは漠然と撮られたものでは無い筈だ。あの表情の変化が示唆する「半沢のその時の有様や周囲状況の認識」、そこに出向の理由の一端があるのかも知れない。

 半沢も私を含む視聴者の多くも、事の全体像が実は見えていないってことかな?

SynthMaster 2.6、こいつは楽しい

 昨日の「電磁マシマシ」のゲスト、生方則孝さんから紹介のあったトルコのソフトシンセ"KV331 Audio SynthMaster 2.6"が楽し過ぎ。

 「電磁マシマシ」の音声だけ流しながらさっそく評価版をダウンロード、1時間程いじってから迷わず購入した次第。万人に勧められるかと言えば疑問だが、「Cakewalk PsynⅡが大好きだったけど後継のZ3TA+、Z3TA+2がなんか物足りない」、というピンポイントな人には手放しでお勧めする。30個のフリーVSTiプラグインをチェックする暇があるなら…買っちゃえ!

 ファーストインプレッションというか、思ったことをこちょっとだけ。
  • 音作りのフローはオーソドックス。Z3TA+シリーズの音作り経験があれば取扱説明書は不要。ただし、パラメータは多いよ。

  • 購入したのはStandard版、3×50種の追加プリセット込みで$129也。プリセットを追加しないFactory版は$99だが、音作りを学ぶ一番の早道は気に入ったプリセット音の分析に尽きる。Kraftwerk、冨田勲、Wendy Carlosが使った音色を再現したプリセットを中心に追加した。


  • 2オシレータ×2レイヤーなので4オシレータ?と見せて各オシレータの上流にはモジュレータがある。Z3TA+シリーズは6オシレータだけど、上流側のオシレータをモジュレータとして2オシレータ1組で全て使うと3オシレータ相当。基本波形の編集パラメータの多さはZ3TA+2の侮れない強みなのだが、SynthMaster2ではモジュレーション(PM、FM)だけでなく単一のオシレータで私の大好きな加算合成が使える。Z3TA+2で正攻法の加算合成に挑むとオシレータが幾つあっても足りないんだよねぇ。
    ユニゾン機能も強力だ。

  • フィルタのある種のエグさは生方さんの言葉の通り。シンセをいじらない人はフィルタと聞いてもピンとこないと思うけど、実のところグラフィックイコライザーの親戚と言って良い。グラフィックイコライザーは例えば低音域を強調したい時とかに使うけど、フィルターは低音域なり高音域なりをほぼ鳴らなくするものだ。
    シンセのフィルターにしかない特徴は「レゾナンス(共振)を許容するどころか、その効果もパラメータで制御する」こと。レゾナンス成分は元々の波形に含まれていない音だから、グラフィックイコライザーでは絶対発生させちゃいけない。歴史的には「共振しちゃう安いフィルター素子を使ったら面白い音が出せるシンセが生まれた」みたいな背景もあったようなので、フィルター素子の特性がシミュレート可能な機能の登場は必然だったのかもしれない。フィルターのパラメータだけセーブできる機能は、云わば「自分が設計したフィルター」をストックできるみたいなものだよね。

  • 2、3時間調べただけだけど、追加プリセットのパラメータ設定は本当に勉強になる。特に重要なのはCPU負荷を上げずに欲しい音を作るテクニックだ。追加プリセットは作成者毎にグルーピングされているので、作成者毎にパラメータを調べれば癖なりテクニックなりも見えてくる。
    とても驚いたのは「FM音源で作られた音」の再現にFM変調を使っていない場合が多々あること。これは「FM変調後の波形が既に用意されているから」という話じゃない。ソフトシンセは音色製作ツールであって「音色生成過程のシミュレータではない」ということなのだろう。
    何かちょっと目が覚めた感じ、こいつはちょっと厳しい一撃だよなぁ。

iOS7 + iPod touch

 もはやiPod touchなしの日常は考えられなくなっていて、2台を交互に使っている。2台所有しているのは故障対策だが、かの大震災時に懐中電灯代わりに使えた経験によるところも大きい。マグライトも持ってはいたし、充電型電池も備蓄していたけど、家中の物の上下関係がひっくり返った状態では少なくとも初日は手元にある物しか使えなかった。

 さて、iPhone5Sなどの発売に合わせてiOSがバージョンアップされた。iPod touchは音楽プレーヤーとしてしか使っていないから、AudioBusの不具合とかは気にしなくても良い。と言う訳で、まず1台だけ何も考えずにiOS7にアップデートした。アップデート自体はスムースに終了した。

 なるほど、アイコンなどはフラットなデザインとなり、フォントも細くなった。スワイプ操作の応答も結構変わったが、一通りの操作の確認は1時間ほどで終わった。音楽プレーヤーとして使う限りはiOS7へのアップデートは不具合の原因とはならないようだ。

 ただし、デザインの変更でひとつ気に入らないところがある。「見た目」という意味でのインターフェースデザインの変更は、「フォントをカラフルにせざるを得ない」という副作用を引き起こしたようだ。

 iOS6などでは、「シャッフル(再生)」や「リピート(再生)」などの状態は記号ないしアイコンとして表示されていた。国内企業のデジカメなどで「イナズマ」を模したアイコンが「フラッシュ」を表すとか、そういう類の表示と同様だった。が、iOS7ではこの種のアイコン表示をほぼ一掃した。代わりに文字、つまり単語で表示される。問題はこれらの文字が薔薇を彷彿させるような「赤色」ということだ。実はiOSをアップデートしたiPod touchは「青色」である。

 一部の文字や記号の「赤色」と、iPod touch本体の「青色」の相性の悪さは半端ない。気持ち悪いくらいのセンスのない配色ではないかと思う。この「赤色」が変更できないか少し触ってみたが、未だ変更できるかどうかすら分からない。思えばiOS6の文字、記号の配色はグレースケールを基本とし、色味と言えるのはややパステル寄りのオレンジ色ぐらいだった。このオレンジ色の自己主張振りは絶妙で、iPod本体の色とは干渉しなかった。今にして思えば、「オレンジ色のiPod touchがあればなぁ」などと考えていたのはiOS6などが「オレンジ色」を使用していたからかもしれない。フォントが細くなったことも、フォントの色味を強くしなければならない原因となったと想像してしまう。

 使い勝手に不満はない。変なメニューの階層構造も仕様と思って受け入れよう。が、あの「赤色」だけは頂けない、頂けないなぁ。

2013/09/22

2013/09/21 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 冒頭はiOS7話。これはこれで面白かったんだけど、如何せんゲストのお話が面白過ぎ。シンセ好きにはたまらない、何物にも代えがたい濃厚過ぎる貴重回。

 こんなことが起きるから「電磁マシマシ」は逃せない。

 ゲストは生方則孝さん。語られるエピソードひとつひとつが面白いだけでなく。とにかく話自体が面白い。個人的には福田裕彦さんとのユニット「生福(しょうふく)」で出したCD「内容のない音楽会」にシビれたクチ。「うまかろう君」とか「カシオペア風軍艦マーチ」とかジャケットが迷路だったとか、あぁ懐かしい。最初に「なまふく」と読んじゃったというのも痛いながら懐かしい思い出。

 現在はフランス在住で、肩書的にはフリーのサウンドデザイナー兼テルミン奏者とのこと。

 日本を飛び出すことになったきっかけもちょっと「日本的」ではない。多くのCM曲(♪三井のリハウス~とか)を手がけてきたが、手がけたとあるCM曲が当人に何の話もなく新録音され、更にこだわりのハーモニーが改変された。で、最初は穏当に抗議していたのだが、最後には本人曰く「大企業様とケンカした」、つまり損害賠償請求したということらしい。裁判自体は和解で解決したのだが、まぁ、日本の業界では干されるだろうと。う~む。

 印象に残った話題と感想をちょっとだけ。
  • 海外には「懲罰的損害賠償」というのがある。例えば企業から「年収の1割」に相当する被害を受けた場合、「企業の年度収益の1割」が請求できるというもの。額じゃなくて比率であることろが胆。確かにこれがあると米国企業が弁護士いっぱい雇ってるのも当然って感じがするよね。
  • フランスの会社は「一匹狼共同組合」で、休み時間も自由。で、フランスで会社人生活を経験してみたんだけど、「決まった時間に決まった場所に居るという状態が心身ともに負担」になっちゃう性分らしく、「1年3ヶ月でやめちゃいましたけどね」とのこと。
  • トルコのソフトシンセ"SynthMaster"が凄いとのことで、理由を聞いて納得。基本波形の数も多いのだが、まずフィルター特性を無段階で変えられる、さらに特定のデシベル域を意図的に歪ませられる、ということらしい。
    実はこれは凄い。
    実際、Cakewalk Z3TA+→Z3TA+2のフィルタ特性の変化に未だなじめていない自分の現実を前にすると、フィルタ特性はシンセのクセなり個性の重要因子であることは明らか。生方さんは「クセを作れるシンセ」と表現されてたけれど、裏を返すと「個性の無いシンセ」とも言える訳で、シンセの言わば宿命のひとつから逃れてる訳でやっぱり凄い。
    坂本龍一さんも購入したらしい。
    SynthMasterによるヴィンテージシンセの完コピ演奏がSoundcloud上で聞けますよ。
  • アナログシンセMini Moogは音が太いと言われているが、原因はミスでオシレータ出力とフィルタのインピーダンスが合ってないからだそうだ。結果として何が起きるかというと、フィルタが特定のデシベル域が歪んでしまい、レゾナンスを上げても音が痩せないということらしい。つまりクリーンなフィルタ特性では出ない音が太さや個性の秘密ということ。そりゃ「Cakewalk Z3TA+2と私の腕の組み合わせ」如きではあの音は作れませんわ。
  • あ、Lady Gagaのライブバンドのメンバーのシンセ音色もやってるそうな。
  • 世界テルミンフェスティバルとかあるそうな、チリで開催されたりしたそうな。
あとドドンゴとか…

2013/09/21

「アホちゃうか」と言われた話

 食料品を車で買い出した帰り、他の車のドライバーに「アホちゃうか」と言われる。腹は立たないが、ちょっと凹む。かくも人間は分かりあえないか。

 私の主観ではあるが、顛末は以下の通りだ。
  • 信号待ちで車列の中で停車中、反対車線に右折車がいた。方道一車線の道路だから、当然反対車線はつまってしまった。私の車の後ろ半分くらいは、公共施設の入口にかかっていた。この入口の幅は道路より広い。
  • 私の前の車が前進、前との車間をつめて、私の車との間に間隙を作った。件の右折車はその後も動かないので、後方に車間があること、私が前進すれば公共施設の入口のど真ん中に右折車が通過可能な車間が確保できることを確認して前進した。
  • ところが、私が前進した直後に件の右折車が前進を開始、急ブレーキ停車した。結局、右折車は私の車の後方を通って右折したのだが、私の車の脇を抜ける際に「アホちゃうか」と吐き捨てた。
向こう側にどういう言い分があるかは分からないが、こっちの良い分はこうだ。
  • 公共施設や商業施設の入口の前で停車する場合は、反対車線に右折車がいないか確認している。件の右折車は私が「あの車は右折しない」と判断した後にウィンカーを出した。いわゆるサンデードライバーに多いのだが、ブレーキで減速、或いはほとんど止まってからウィンカーを出すのは如何なものか。もし件の車のドライバーが私を見ていれば、ウィンカーを出した瞬間に私が点を仰ぐ姿が見えたはずだし、あと2、3秒早くウィンカーを出してくれていれば右折に必要な車間を取って停止できた。
  • 私の前の車が前進してから、件の右折車は3秒以上反応がなかった。故に、右折車ドライバーが右折に必要な車間がないと判断したと推定し、後方の状況をバックミラーとサイドミラーで確認した。驚いたことに私の後方の原付は私の前の車との車間よりも広い車間を取って停止していた。更に、後方車間位置は公共施設の入口のほぼど真ん中である。
    なぜ件の右折車は、私の前の車が前進してから6秒以上(後方の確認に+2秒、前進に+2秒)も反応しなかったのか、更に私の車の後ろの車間を最初から右折で利用しようとしなかったのか。
申し訳ないが、右折車のドライバーの注意散漫、怠慢としか思えない。「アホちゃうか」という捨て台詞を残すという反応は、自分でもその辺りに気付いての後ろめたさの裏返しではなかったか。

 私の生まれた地域では、下手に「アホちゃうか」とか言おうものなら相手にガラス破片を口に押し込まれてタコ殴りされても文句は言えない。一瞬幼少期の血が騒いだけれども、「アホ」という表現の重みは地域によって全く違うんだよなぁ。

ちょいと驚く

 文脈ははしょるけど、某ニュースTV番組を観ていてコメンテーターの言葉に驚くとともに耳を疑った。

 「『知らないこと』が罪だと思いました。」

 そんなの当たり前だろう。やっと入口まで来ましたね。

2013/09/18

"Bizarre Love Triangle / feat. Megpoid Eng."アゲイン

 先の三連休は台風のせいもあった外出のしようもなかったが、加えて身体が気圧低下に負けてぐったり。3DCGモデリングのリハビリは一向に進まず、いったんギブアップした"Bizarre Love Triangle / feat. Megpoid Eng."をちょいと見直すことに。一から組むのは大変だが、パラメータをちょくちょくいじるのならぐったり状態でもなんとかなる。

 今回は、Cubase+Vocaloid初心者ユーザー向けの覚書きです。

 前回のギブアップの主因は不自然なフォルマントが補正しきれなかったこと。今回のアプローチはフォルマント補正を一から見直し、かつ補正前の音も使うというもの。

 ボーカル音声のミキシングに「ダブリング」と呼ばれる手法がある。これは、ボーカルの別テイク(別の録音)を重ねるというもので、テイク毎の微妙な歌唱の違いで自然なコーラス感を出すことができる。一種の誤魔化しではあるのだが商品として流通している楽曲でも使われている手法であり、「ほどほど上手い歌唱」ほど味が出る可能性がある。

 Cubaseではpitchcorrectというピッチ及びフォルマント補正用VSTが使えるが、どうせならこのVSTを通した場合のボーカロイド歌唱音声と通さない場合のボーカロイド歌唱音声を別トラックで用意して、両トラックの音量バランスを変えて良い辺りを探してみよう。一本調子のつまらない歌唱スタイルにしたくない場合は試す価値は充分にあると思うよ。

 それぞれのトラックから良いとこ取りというのも一つの解だが、今回は補正済み音声をコアに、うっすらと補正前の音声を重ねてみた。もちろん、フォルマントはpitchcorrectでけっこう調整してある。2か所ほどはどうしようもなくて放置状態ではあるのだが。

2013/09/16

近況、十二度。

  • 理由は良く分からないのだが、今晩で「半沢直樹」が最終回と勝手に思い込んでいてアレって感じ。はたして100倍返しとなるか?そりゃなるよ、きっと。ちなみに私の次の代がいわゆる「最後のバブル入社組」、大量に採用したのは良いけれど入社時はバブル崩壊後というアレだ。
    「半沢直樹」は確かにフィクションに過ぎないけれど、「プチ半沢直樹状態」は真面目に働いている限り避けられない。私にとっての「半沢直樹」の面白さは、戦いが宣戦布告をもって明示的に繰り広げられることの一点に尽きる。

  • 会社の後輩から「××分野の本書いて下さいよ」と言われる。何故かと問うと「有名どころは皆古い」と言う。発電プラントからCPU冷却装置、水素燃焼から砂の沈殿、水洗トイレから河川、上下水道まで、出向経験なども手伝ってか手広く半可通なところが件の後輩曰く、「何でも知ってる風」なのだそうだ。

2013/09/15

2013/09/14 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 配信中なのにこんなの書いてるということはもはや観ていないということ、今回は「秋のアイドル祭り」ということでシンセ話には行きそうもないので、Cubase立ち上げてごそごそやっている。この文章も、ヘッドフォンをとっかえひっかえしながら自作曲のミックス具合を確認しつつ打っている。

 ガチで聞いちゃうと案外ミスに気付かないものだし、アイディアも煮詰まってしまう。仕事でもそうだけどチェック作業は頭をいったん切り替えてやった方が絶対効率が良い。極端な時は、自分の楽曲のミックスチェックなのに、バッググラウンドで全く別の楽曲を再生していたりする。今日買ってきたSONYのヘッドフォンがシャリ寄りだということが実に良く分かる…まぁまだエージングしてないからなぁ……

 昼間は小一時間ほど「ゆかどち」の「上澄みと沈殿」のボーカルオンリー音源と格闘。バックトラックはOMD風とか1度ずれてるだけでまんま「時かけ」とかPowerpuff Girlsの主題歌っぽいとか4、5種類の骨格は出来ているんだけど、如何せん歌詞の下ネタ部分を聞くとやる気がガックリ失せてしまう。世代の為せる業か、自分が下品だから下ネタと思ってしまうのか、あははははは。どうせ完成しないならいっそのことディレクトリごとデータは全部捨てちゃおうか…はい、データ消しちゃいました!

2013/09/14

とろいスマホユーザー

 東京出張時にひとつ気になったことがあった。環状線の乗客の乗り降りに要する時間が10年ほど前と較べて明らかに長くなっている。そこで色々と観察してみると何のことはない、スマホをいじっている人間の動き出し、移動速度ともに遅く、加えて先読みせずに移動するから周囲の人の流れを乱すばかり、ということだった。後ろで迷惑顔を隠さない人すらも見かけるほどのレベルなのである。要は「とろいスマホユーザー」の「迷惑行為」が原因のひとつということだ。

 正直、後ろから突き飛ばしてやりたい。スマホかばって顔面血だらけ手首複雑骨折とか、お馬鹿な結果になったりしそうで不安ではあるのだが。

 ここでの「とろい」は「気遣いがない、気がきかない」とほぼ等価の意味で、「できる人がそうすべき時にそうしないという怠慢状態」とも言い換えられる。「故あってできない人がしない状態」は指していないので念の為、逆に「スマートではない行動を取っている状態」という表現はジャストミートだ。

 翻って自分の周囲を見回すと、年齢に関わらず一目置いている人ほど未だガラケーユーザーである比率が高い。とある優秀な若手は「あんなもの何の役にも立たない!」と切って捨てる。個人的には画面内の情報量の少なさにうんざりで、iPad級の画面サイズでも使う気がうせる、調べものがある場合は、同時に使える画面は3つは欲しい。

 「色々と便利ですよ」と言う人もいるが、まぁ話を聞いてもどうもピンとこないというか…
  • 列車の時間とか直ぐに調べられますよ!→
    大事な列車の時間ならば事前に調べておく方がスマート、先読み能力のなさや怠惰さすら感じることがある。
  • TwitterとかFacebookとか何処でもOKですよ!→
    個人的には「一般人のツイート」の99%はノイズでしかないからTwitterなんかどうでも良い。Facebookも見に行くところ次第で、それでもそんなしょっちゅう覗かなくても良いのではないかと思うのだが。
  • Youtube動画とかその場で再生できたりして、話題のネタ振りにも使えますよ!→
    動画をその場で見せるんじゃなくて、どうせなら「相手にその動画を見たくさせる」話術を磨こう。「じゃっ、自分で探してみて!」は私の決まり文句だ。こういうネタ振りで止めておくと、翌日あたりに話相手側から「うれしい逆襲」を食らうこともあってむしろ話が広がるよ。
  • どこでもいつでも仕事の××が確認できます!→
    馬鹿野郎!それは業務機密だろうがっ!ブラウザのキャッシュも消せ!なにぃ!キャッシュの消し方を知らないだとぉ!!!!!!
  • 暇つぶしに重宝します!→
    私はもう人生折り返したから暇なんて無いよ。どう暇を無くすか/作るか、それがスマートだと思うけどねぇ。
「気がきかない人間」は会社ではまず伸びない。東大卒だろうがMIT卒だろうがケンブリッジ大卒だろうが伸びない、というのが経験則だ。東大の博士号を持っていても、5年で「気がきく工専卒」に追い抜かれてしまう。追い抜かれた側も追い抜いた側もスマホユーザーだが、後者から「スマホは便利」なんて言葉を聞いたことがない。追い抜く実力を持った人間には、スマホ経由で手に入る情報なんてほとんど役に立たない。むしろ情報を発信する側に既に立ちつつあるからだ。

 来年度に就活の人、「気がきかないヤツ」と思われたらもうそこでの採用はないよ。

 私が今のスマホに真に望む機能は、「スマートでないユーザーにスマートに振る舞うようリアルタイムにレコメンドする機能」だ。まぁ、そもそもあれらの何処をもって「スマート」フォンなのか未だにさっぱり理解できない、電話機能付きのただの小型インターネット端末じゃないか?

2013/09/13

近況、十一度。

  • 連日の実験立ち合いでへとへと。5:30起床、気温30℃の下で半日作業しっぱなしでは意識して水分を取っても全然トイレに行かないまま。実験結果が良いのが救い、うまく商売に繋がれば言うことなしなのだが。ちったぁ痩せるかもと思いつつも、こう夕食が遅いと元の木阿弥だよなぁ。明日が最終日。
  • 今週は夕食時間を使ってこれまで敢えて無視してきたダブステップ~ポストダブステップ曲の有名どころをネット上でチェック。個人的なツボはやっぱりドラムンベースとダブステップの境界辺り。一部の楽曲で女声ボーカルを結構ポスト処理していたのはちょっとした驚き。ボーカロイドを生っぽくしようとすると面白くなくなるのに、生を素のボーカロイドっぽく加工するとそれはそれで味が出てくるのは何故だろう?

2013/09/08

2013/09/07 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 U-stripでの視聴者数が800超えと多かった様で、番組としては何より。キラーコンテンツがより鮮明になってきたようです。かく言う私は観てませんでしたが…スウィートスポットがちょいと世間一般と違うんだなぁ、やっぱり。

”TOKYO ● 2020”

 2020年のオリンピック東京開催が決まった。善し悪しは問わないが、世界が日本の挙動を見る上で新たなモノサシが加わったのは確かだろう。

 オリンピック開催は発展途上国にとっては社会の安定、経済規模や社会インフラの充実をアピールする場であり、いわゆる先進国にあっては社会的な成熟度、特に近年においては多様性の受容度(例えば人種、性別、宗教などに対して差別がないこと)、環境保護への取り組みなどをデモンストレーションする場としての機能がある。つまり、「オリンピックの有様」は開催国の民度(あまり好きな言葉ではないが)、社会t的・思想的な課題などを浮き彫りにする側面がある。世界はオリンピック自体の成功/失敗だけを見ている訳ではないから、プロパガンダ(政治的宣伝)としての機能はもはや為政者の妄想の中にしかない。むしろ、オリンピック開催に伴う暗部をじっくりと観察されていると心しておく必要がある。

 東京開催決定には、「ちゃんと福島源発事故の対応、震災被災地の復興をやれよ」「震災復興への応援」というメッセージも含まれていると思う。2020年に日本は海外から当てられたモノサシに適う行動を取ったうえで堂々と胸を張れるか否か、テロ対策(防止には外交的スタンスも影響する、つまりソフト+ハードが求められる)も含めて宿題事項はけっこう一杯あるのだ。

 個人的には、「東京オリンピックの開催は平和あってのものである。日本は如何なる武力行使や戦争に対しても反対する。故に、今回は日本は具体的に××といった外交アプローチを取る。同盟国、関係国の協力と情報提供をお願いする」という態度、行動を今後の日本は取ってもいいとすら思っている。また、世界中の紛争地域で「東京オリンピック休戦」とか実現できないものだろうか。そういう「論理性のない休戦提案」を納得づくで受け入れられる人間とは以降も交渉できるはずだ。

 ちなみに福島原発事故対応に関しては、海外との情報共有を目的とした連絡事務所(リエゾンオフィス)がやっと開所準備に入った。余りに遅いとしか言いようがないが、まだ遅れを取り戻す余地は十分にある。

 開催決定後のインタビューに答える猪瀬東京知事の言葉のなかに「ファクト(事実)、エビデンス(具体的な証拠)が海外の方々には伝わる」という表現があった。それは国内向け、あらゆる分野でも本来あるべき姿だと個人的には思う。実のところこのような思考法は日本文化には根付いていないのだが、海外と伍していくには必須のものだ。故に、伝える側だけでなく、受け取る側もそのような思考法を身につける努力が必要になる。この力がなければ海外のモノサシを読むことすらできないし、読む立場の人間の背景によってモノサシの目盛も違うことが理解できない。

 日本の文化は文化として維持しつつ、あらたな思考法も身につける。何かを捨てる必要は全くないし、難しく考える必要もないと思う。

 ファクトとエビデンスに代表されるグローバルスタンダードな思考法と、日本文化に根差すまさに日本の美徳と呼べるもの。

 後者がいわゆるソフトパワーとしての威力を十分に発揮するためには、前者を持つことが必要だ。もし後者を誇りと思うならば、なおさら前者を鍛えよう。

 自らの歴史を「直視できない」とか「ねつ造しちゃう」云々は、前者に照らせば「ファクト」や「エビデンス」がないところでの主張なので論破可能なナンセンスに過ぎず、後者に照らせば「自らの文化に誇るべきものが見つからない」ということなんじゃないだろうか。こういう見方に薄々感づいている人も多いと思うけど、それを「他人に説明できるレベルまでに具体的に言語化」する作業も前者の要求するところなのだ。

 TPPへの参加も同様だろうと思う。TPPの交渉の席は前者に基づく闘技場のようなもので、前者のルールを知らなければ戦うことすらできない。が、争われる内容は後者に相当する国内事情に基づく自国の利益確保だ。後者剥きだしでは議題を交渉のテーブルに乗せることもできないだろう。まぁ、ゲームに確実に勝つ方法のひとつは「ルールを変える」ことだが、武力行使を除けばそれこそ前者の達人にしかできない芸当だろうね。

2013/09/05

近況、十度。

  • 報告書1本がなかなか上げられない。最盛期は1週間で3本上げていたことを思うと、体調はまだ以前に戻ったとは言えないということか。今の状態を新しいデフォルトと割り切る方法もあるが、まだそこまでいけない。とにかく職場の後輩にギャフンと言わされたい、どうせなら引導を渡してくれないか。

  • 「宇宙戦艦ヤマト2199」の次の(最後の)DVD/Blu-rayリリースが1ヶ月後ろ倒しになったが、これはつまりTV放送が完全に先行するということだ。TV放送を観ている同僚に確認したところではもう明らかに追いつかれている。キャラや絵で観ている訳ではないから単にリリースを待つだけなのだが、先のヴォリュームでもあの流通量とあっては、いつものようにリリースされた後にふらりと入った店舗で購入、というスタイルではBlu-rayは入手できないかも知れない。何れにしても最後はきっちり決めて欲しいものだ。期待薄ではあるんだけどね。

  • 「トップをねらえ!」「エヴァ」の功罪のひとつは「作品自体のオリジナル無しで良し」とする製作姿勢の肯定なのだが、要所要所に思わず唸るような捻りが加えられていたり、大抵は引用としての機能しか与えられていない。ここで引用としての機能とは、あくまでオリジナルはオリジナルとした上で作品に取り込んでいるということで、他の方法で代替可能であるにも関わらず「積極的にそれをやる」ということである。代替可能でなければ引用ではなくパクりに過ぎず、作品の世界観と不可分となればオリジナリティやクリエイティビティに関わるゆゆしき問題だ。
    まぁ、「儲かれば何でもあり」というのは絶対的に正しいし、儲かる時点でその作品には存在価値がある、がだ。
    「ガルパン」なんて、自衛隊の総合火力演習の観覧希望者が今年はどっと増えた、という報道から知ったぐらいだから、最近の(深夜)アニメなんかにはさっぱり疎い。今日同僚から「うぽって!!」という作品があることを初めて聞き、内容について更に聞いたところ銃器に基づくキャラ設定に何の捻りもないようで、ネガティブな意味で唸ってしまった。
    帰宅後Youtubeで「うぽって!!」のPVを何本か観たのだが、「銃を撃つときにちゃんと両目を開けてくれていて」ちょっとほっとした。絵面はもう想像通りの今時のフォーマットに忠実で、もうオヤジな俺には他作品とキャラの見分けがつかない。そういう作品に金銭が投入されるという状況はまだ多少面白いが、作品が面白い理由が思いつけない。「展開が読めるもの」しか楽しめないとなると、少なくとも観る側の力量が下がってることになるよねぇ…頭固いんじゃないのとか、負のスパイラルで製作側と視聴側の力量が交互に下がっていくんじゃないかとか、マジ心配。
    来年の採用面接ではこの辺りを学生にネタ振りしてみるか?俺にとっての正解は秘密だ。

  • 愛車の車検が近い。故障したトルクセンサを交換してからは走りはすこぶる快調で、ハイオクとは言え通勤渋滞に毎日巻き込まれつつ燃費17.6km/?は立派、10・15モードのカタログ値より実際の燃費の方が良いんだもの。
    愛車はオートマチックモード付きのクラッチレス5速MT、つまり「車載コンピュータが変速しても大丈夫(トルクが足りる)と判断する限り」はシフトアップ/ダウンがマニュアルで可能だ。トルクバンドの下限が1200回転ぐらいだから、街中では流れに合わせるとき以外は2000回転すら超えない運転も可能だ。まぁ、そもそも回して楽しいエンジンじゃない。が、1200~2500回転域でのアクセルレスポンスの良さはピカイチだよ。
    ちなみにフランス車の購入を考えてる人は必ず燃費を確認しよう。フランスでは排気量で納税額が決まるから、排気量を抑えた高回転型のエンジンが多いようだ。シトロエンなんかは燃費以外はほとんど満点なんだけど、実力燃費6km/?なんて話をオーナーから聞くとねぇ…。

2013/09/03

リビジョンアップ:時をかける少女 feat. Vocaloid3 Megpoid Native

 エントリタイトルの通りリビジョンを0から1へアップ、ステップバイステップでおそらく3までぐらいは行くと思われますデス。

 Megpoidユーザーで「あら、聞いてみたら意外に良いんじゃない」と思ったレベルの方は1ヶ月に一度くらいはここを覗いてみてくださいな、私のMegpoid理解はまだまだ道半ばだし、Tipsみたいなものはのっそり上げてくつもりだから。あと、私と同様に「うっかり/腹をくくってCubase買っちゃったけど使い方が良く分かんねぇ」って方もご一考下さいな。

 自分と同じ苦労を他人がするかも、という状況はつまんないもんね、少なくとも私にとっては。

で、

てな感じ。あはは、一日寝かせて聞き返してみるとアラだらけで自分でも笑っちゃう。聞いてみて、「けっ」と思ったり実際に口にしてしまった方は、以降は読まなくて無問題。もっとレベルの高いところを読みに行こう。

 実のところ、私は他人のボーカロイド曲はほぼ聞かないし、聞くにしてもまず真ん中あたりしか聞かない。理由は三つあって、①音程とかボーカロイドエディターの外でいじり過ぎていて、どれも同じにしか聞こえなくて面白くない場合が多々ある、②おそらく製作者の完成イメージにボーカロイド歌唱(?)が追いついていないせいで、オケに埋もれちゃうぐらいボーカロイドの音量が小さいか、リバーブ(エコー効果みたいなもの)を利かせ過ぎてやはり面白くない場合がある、③言わぬが華、だ。さらに加えると、少なくとも使用楽曲を聞く限り、メジャーどころの「初音ミク」の声にさっぱり魅力を感じない、ということも大きい。

 何れにしても、自作においては基本的に①②は禁じ手としている。もちろん「リバーブ必須」というジャンルの楽曲の場合は別だ。

 「でも上の楽曲ではボーカロイド音声にリバーブかかってるじゃないか!」と思った方は正しい。じゃぁ何処で自分の中で折り合いを付けているかというと、「中央のボーカロイド音声自体にはリバーブを全く利かせない」というところだ。

 ボーカロイド音声に関わる具体的なリバーブの使い方は以下の通りだ。Cubase固有かも知れない用語も含むとは思うけど、まぁ許して欲しい。繰り返しになるけど、下記の内容が用語も含めてスッと頭に入ってこない方は、今後このブログを「たま~に」チェックすると良いことがあるかもしれない。と言うか、私自身が大したレベルじゃないから初心者相手が精一杯ですよ。

  • ボーカロイド音声は中央に配置。これ自体にはイコライザーとコンプレッサーしか利かせていない。

  • 中央のボーカロイド音声を二つのFXトラックに送る。これらFXトラックではリバーブを利かせ、かつ出力はリバーブ成分だけとする。これはMixパラメータが100%ということで、あくまで原音は中央からしか出さないということだ。
    さらにFXトラックの定位をそれぞれ左右100%とした上で、10ms(ミリ秒)程度の時間差が左右で出る設定でシンプルなディレイを利かせる。上の楽曲でのディレイ時間は左右で530msと545msだ。

  • ミックスダウン(最終的な音声データのエクスポート)時に、出力全体にほんのちょっとだけリバーブを利かせる。オケとボーカロイド音声の馴染みを意図したもので、上の楽曲ではプレートリバーブ(というハードウェア)をシミュレートした設定で、Mixパラメータは2%とした。つまり98%は原音のままということだ。ここでMixパラメータはを4%以上とすると②に抵触してしまい、誤魔化し感が出て面白くない楽曲となっちゃう。

ちなみにCubaseにはボーカロイド音声の音程やタイミングなどを調整できるツール群がある。便利なツール達だが現時点ではまだ使わず、ボーカロイドエディター上で何処まで詰められるかがあくまで主眼だ。とは言え、タイミングは1ヶ所(ボーカロイドエディターにまで戻るのが面倒臭いから)、フォルマントも1ヶ所調整せざるを得なかった。この辺りの具体的な内容はそのうち書く予定なので、気になる方は2週間後ぐらいにまた来てね。

 今回はここまで。

2013/09/01

2013/08/31 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 「第2回ビジネス教習所」講師は「バカでも年収1000万円」が16万部突破のバカリーマン日本代表(らしい)伊藤喜之さん。

 言うことが面白いっつーか、正しい。言うだけでなくてその通り振る舞うという一点だけでも十分凄いが、当然当人はもっと凄い。お話のポイントは、
  • 「っぽい」ことが大事。同じことを言っても、やっても、「っぽい」方が、っつかーか「っぽい」ことで説得力が増しちゃう。「っぽく」なければ相手にされないとか、ゼロになり得る訳だ。
  • 「異端児である」こととか、「ズラす」ことが大事。要は、比較対象がなければ収入は当人が決められるし、既存のカテゴリーからズレた(当てはまらない)商品の値段も売る側で決められる。
  • 「フェラーリ理論」は正しい。まず自分から騙そう。夢は持つんじゃなくて、夢がかなったらのifで行動しちゃおう。ちなみに伊藤さんはランボルギーニ買っちゃたそうだ、「奇跡」に出会ったらGOしかない。
とか。個人的には、
  • 成功の糸は木曜日に降りてくる。
はかなり正しい。おそらく、水曜日までで脳が疲れちゃって、木曜日辺りで変な脳内配線が発生し始めちゃう気がする。途中すっ飛ばしてスタートがゴールと直接繋がっちゃうとか、しかもそれが正しかったとか。金曜日はもう脳がもう休んじゃってるんで、とにかく手を動かすことが多いんだわさ。

 ゲストお二人目は声優、諏訪彩花さん。まぁ内容は良い意味でぐだぐだだけど面白い雑談だったのだが、最後の最後で「やっぱり声のプロだなぁ」という展開、うむむ。

 と、いったんエントリを上げたんだけどエンディング直前に衝撃展開。

 inktransさん版Dear Radio没テイク!


時をかける少女 feat. Vocaloid3 Megpoid Native

 いわゆる「時かけ」、あらためて歌詞を噛みしめながら聞くと実に切ない。映画自体は監督が大林宣彦氏だとか一部の俳優の演技に難ありだとか、まぁ色々あるのだが、捨て置けない作品ではある。原田知世さんのセリフ、

 「んも~、意地悪ゴロちゃん!」

は最高なのである。「ゴロちゃん」ではない自分だって言われたいのである。さらに「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で成り下がる、梨の馬鹿めは十八年」というフレーズは未だ覚えているのである。とは言え、

 「土曜日の実験室~!」

というセリフは、やはり大林作品「ねらわれた学園」の

 「私は宇宙!」

には破壊力で及ばない。が、破壊する対象が映画自体だからこれは良いことだ。

 さて、オケであるが、もともとのコンセプトはカイリー・ミノーグの「ロコーモーション(1988)」風を当時自分が持っていた機材のシミュレーションでやろうと。機材と言うのはCASIOのポップキーボードSK-1とHT-700だ。幸い、SK-1のドラム音はネットからサンプル音を入手でき、またネット上に公開されているHT-700をシミュレートしたVSTi "plastique"が素晴らしい出来で、オケ自体の出来上がりがしょぼい原因の全ては自分にあるとしか言いようがない。

 が、ベース、ドラムを一旦組んだ時点でベースにディレイをかけてみたところから軌道は大きく外れ、「ロコモーション」からは実に遠いものになってしまった。しかも、イントロらしきイントロは無く、最後はフェードアウトという淡白さと相成った。

 ま、志が低いんだからしょうがない。

 で、肝心のMegpoid Nativeだが、なにせSONiKAが基準だから文句の付けようが基本的にはない。今回もボーカロイドエディターのほぼデフォルト設定で編集したものをwaveファイルでエクスポート、DAW上ではビブラートの振幅を一部小さくしただけなので、リバーブを外せばほぼボーカロイドエディターで聞ける音と同じだ。個人的にはボーカロイドなんてのはただのインストゥルメント(まぁ言えば楽器)だから、ブレスなんて入れようなんて思いもしない。

 原田さんのオリジナルを記憶の隅っこに置きつつも、ボーカルのメロディーラインはとある女友達のカラオケ歌唱時のものをなぞっている。第2コーラスの「宇宙の海よ~」あたりの節回しにはちょっと癖があるのではないかと思う。ちなみに松任谷由美さんのバージョンは未だ聞いたことがない。

 しかしながら、ボーカロイドも漠然と打ち込んだ訳ではないので、少し気にした部分にも触れておこう。ボーカロイドの歌い出しに違和感を感じたことのある人は試してみて欲しい。

 実際に人間が歌ったボーカルラインを調べてみると、歌い出しから音程がぴったり合っている例はまれだ(調べた範囲ではザ・ピーナッツはほとんど外していない)。じゃあボーカロイドではどうなっているかと言うと、少なくとも今回打ち込んだMegpoid Nativeでは、音程が高い方から入って歌い出しの本来の音程へと至る。他方、絶対音感が無くて正しい音程を探しながら歌っている人間の場合、ほぼ例外なく音程が低い方から入って歌い出しの本来の音程へと至る。だから、少なくとも他人のカラオケ歌唱の記憶と一致する「正しい音程を探しながらの歌い出し」を再現するには、歌い出しの最初の音程は実際より低い音程から入った方が良いことになる。

 そこで今回は、歌い出しの一拍前に1オクターブ低いダミー音をエディター上で入れてみた。ここでダミー音は発音される必要はなく、「発音できない発音記号」を適当に入力しておけば良い。これにより見事に歌い出しは低い音程からとなった。「正しい音程」へ向かう速度は歌唱法の設定やダミー音との距離に依存するから多少の試行錯誤は必要だけど、前述の「歌い出しの違和感」の解消には有効だと思う。

 ちなみに「あ」「ゆ」「な」「た」はMegpoid Nativeの鬼門だということが良く分かった。これは発音が不明瞭で音量も小さくなる傾向があるため、違和感の原因になり易いという意味だ。「時かけ」の歌い出しは第1コーラスが「あなた」、第2コーラスが「ゆ」で実は鬼門直撃なのだが、実際どうなのか気になる人は聞いてみて下さいな。

 ボーカロイドの音声データをいじるのはこれからですからね。

2013/08/30

高床式都市008

 「空中都市008」について色々ググった。

 「空中都市008」は1969~70年にNHKで放映された人形劇シリーズで、ウィキペディアによれば「ひょっこりひょうたん島」の後番組なのだそうだ。調べてみてあらためて分かったのがカラー放送番組だったこと、記憶はモノクロ映像だったからちょっと驚いたというのが正直なところだ。

 興味は「アオゾラ市」こと「空中都市008」の全景、デザインにあった。記憶が全くないのだが、いやだからこそ「空中都市」という言葉の響きに突如無性に引かれたというのが正しい。「空中都市」と言えば「マチュ・ピチュ遺跡」、ジブリの「ラピュタ」、スターウォーズの「クラウド・シティ」などなど幻想的なイメージが強い。

 が、ググってみた結果は意外や意外、「空中都市」は全く空に浮かんでいなかった。バームクーヘンぐらいの高さと直径の比率の円筒の上に、かつての新宿副都心がのっかっているような感じだったのだ。「空中都市」と言うよりは「高床式都市」というのが正直なところ。がっかりはしなかったけど、これにもちょっと驚かされた。

 ちなみに「空中都市008」はアレンジして3DCGのリハビリのネタにするつもりだ。全く別物になるかも知れないけど。

2013/08/28

イプシロンロケット、今日は余りに切ない

 打ち上げ中止となった「イプシロン」、カウントのアナウンスがゼロまで進んだだけにとても切ない。「呆然とする子どもたちの表情」をTVニュースなどで見ると尚更切ない。

 何れにしても「イプシロン」には成功して欲しい。現実問題として「大陸間弾道ミサイル」に転用可能な技術だが、核兵器開発と同様に「できるけどやらない」という姿勢を貫くことは今日的な"Cool Japan"ではないかと思う。

 かつてのスプートニク・ショックの本質は、ソビエト連邦が地球上の如何なる場所に核兵器を投射できる能力を示したところにあった。世界初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げたR-7ロケットは大陸間弾道ミサイルとして開発されたものだが、人類を初めて宇宙に送り出したのみならず、その改良型は国際宇宙ステーションに宇宙飛行士(アストロノーツではなくロシア風にコスモノーツと呼びたい)を輸送できる唯一のロケットとして今も現役だ。

 火力発電所などの発電プラントの監視・運転は既にPC2台(1台はバックアアップ)となって久しいが、ついに人工衛星を投射可能なロケットもPC2台あれば打ち上げられる時代となったのはちょっと寂しい。米国のマーキュリー~ジェミニ~アポロ計画やソビエト連邦のスプートニク~ボストーク~ボスホート計画などの裏では数多くのトンデモない人間ドラマが演じられてきた。漏れ伝わるそれらの一部は実に殺伐としたものだ。だが、ロケット打ち上げ失敗でひとつの町の1/3以上を焼け野原にした(らしい)にも関わらずのほほんとしている某国のエピソードと較べればどれも遥かに人間臭い。

 「イプシロンの成功」とは、ロケット打ち上げレベルでは「人間ドラマが生まれる余地が無い時代」の幕開けなのかも知れない。

 あ、年齢を重ねてから「自分が見た夢」或いは「ドラマが生まれ得た時代に投影した自分の夢」を映画にするようになったら、映画監督としてはその人は多分終わりだよなぁ。

2013/08/27

30分でできる間違ったDAWの使い方

 iTunesでPerfumeのコンピ"LOVE THE WORLD"が購入できるようになっていた。

 ラジオは聞かないし、TVの音楽番組も観ないので、Perfume自体についてはほとんど何も知らない。が、楽曲はヒットしたようなので、取り敢えず視聴できる範囲の印象から2曲ほど購入を判断、聞いてみた。善し悪しは別として、波形を見ると噂通り最初っから最後まで6dbを余裕で振り切っている。クラシカルではあり得ないミックスだ。例えばそんなラヴェルの「ボレロ」が有っちゃいけない。

 ちなみに、以前のエントリでも触れた通り、「宇宙戦艦ヤマト2199」のサントラではオーケストラ楽曲でそれをやるという愚挙に出ていた。宮川先生や演奏者に対して失礼も甚だしいと思うのだけれど。

 さて、「何も知らない」と書いたものの、かって楽曲「ポリリズム」がCMに使われていたことはさすがに知っている。ただ、TVは脇で流していただけだから、何のCMかは未だ知らないし、当時は「ハロプロ楽曲がついに新境地開拓か!?」なんてピント外しまくりの認識だった。Capsuleの初期楽曲はほぼリアルタイムで聞いていながらそんな体たらく、という辺りが実に俺っぽいというか何と言うか。

 で、「チョコレイト・ディスコ」を「間違ったDAWの使い方」のネタに使用させて頂いた。題して「”ディスコ” 超ショートエディット」である。涙を飲んで限界まで短くした「超ショートエディット」だけど、タイトルからどういうものか分かった人は聞かなくていい、人生のムダだから。

2013/08/25

2013/08/24 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 1曲目というか1~3曲目は、パーソナリティ佐野電磁さんが作・編曲を手掛けた諏訪彩花さん&藩めぐみさんによる「エール!!」(ミニアルバム『弱虫ペダル』キャラクターソングCD VOL.2、発売は来月)。

 経緯ははしょるけど、ボーカルの音量違い3曲(基本バージョン、+1.5dbバージョン、+3dbバージョン)という普通じゃない展開。個人的には+3dbバージョンだが、音量と言うよりボーカルの輪郭がよりきっちり出てる方が好みということだ。佐野さんも言っていた通りこの種の話に正解はないけど、余りにボーカルへのリバーブが深くて輪郭がぼけるとオリジナルの声の味もつぶれてしまう感じがしてもったいない感が強い(カラオケでエコー利かせ過ぎみたいなものだ)。

 オケがクラフトワークネタだけに、オリジナルに忠実にボーカルもデッド寄りってのも有りなのではないか、と思うのはちょっと意地悪すぎるかな。

 ゲストはBUBBLE-B feat. Enjo-G。正直「誰?」だったのだが、終わってみればライブで4曲という聞いた(観た)者勝ちの貴重回。俺の部屋にも1回来てくんないか。

 連呼系お笑い寄りはアマチュアバンドなんかでは良くあるパターンなのだが、肩の力の抜け具合と言うか「笑えることやってんだから笑えよ感は希薄なのにとにかく笑える」という味はそうそう出せるもんじゃない。「10年やってたらアルバム1枚分の曲が貯まった」なんて話を聞くと、最初っから肩の力が抜けてるのは明らか。サングラスをかけたライブ時と普通の眼鏡をかけたトーク時で、MCのEnjo-Gさんの背筋の伸び具合や所作全般が明らかに変わるのはなんかおかしかったですよ。

 百の言葉よりとにかく聞いて頂戴ということだが、でも一言だけ。

 iTunesでソッコー全曲買っちゃいました

 あはは。


 撮影時は「禁煙3年目」だったとか。






「発送電分離」について思うこと(その3)

 「消費者にとって良質な電力」とはどういうものか。

 まず商工業の観点から考える。「安価であること」はもちろん必要だろう。加えて重要なのは「安定して供給される」ことではないだろうか。しょっちゅう停電することが分かっている地域に何らかの製造工場を建てようなどというのは賢明な考えとは言えない。また、証券取引など電子化の進んでいる分野も多い。従って、発展途上国では、安定した電力供給が商工業の発展に先行する必要がある。

 日本や米国といった既にグリッド網が整備されている地域においては、電力が「安定して供給される」ということは、「停電が起きない」或いは「停電が起きても短時間で復旧する」ことに対応するだろう。日本の「既存の電力事業者」は電力の安定供給に関して高い実績を持ち、今日に至る経済発展に重要な役割を果たしてきたのは明らかだ。そして、電力が「安価である」こと及び「安定して供給される」ことは、一般家庭においても「良質な電力」と言えると思う。

 問題は、「安価な電力」と「電力の安定供給」は実際のところ独立ではないことだ。

 まず、「安価な電力」について。

 「発送電分離」が言われるのは、電力料金に対して価格競争メカニズムがないがために「電気料金が高止まり」しているのではないか、という考えが前提にある。少なくと「電力自由化」以前の日本においては価格競争メカニズムは全く無かった。しかし、その時代にあっても、「万人に対して電力料金が高止まりしていた」と考えることには抵抗がある。「既存の電力事業者」は担当地域で独占を許されていたものの、担当地域内では同質の電力を消費者に供給しなければならなかった。極端な話、たった一軒の民家のために数kmの送電線を敷設しても、その民家の電気料金が特別に高く設定されることはなかった。ここには一種の「平等感」がある。

 「平等」とは結構難しい概念で、「同じということとは異なる」というのが持論だ。

 卑近な例を出そう。私がとある組織に出向していた際、70人規模の所属する部署のPC更新があった。私はPCに詳しいとされていたため、更新PCの選定を上司から頼まれた。業者からの更新PC案はスタンダードグレードのPCを70台というものであった。しかしながら、その部署のうち20人程はいわゆる管理部門に、残りの50人程は開発部門にそれぞれ属していた。管理部門のPC利用はほぼ文書作成に限られる一方、開発部門では自作の解析プログラムも動かすこともあった。そこで管理部門の人間にはエントリグレードのPCを、開発部門の人間にはハイグレードのPCをそれぞれ予算枠内で選定し、PC更新案を起草した。この案に対して管理部門の一部から不満の声が挙がった。PCのグレードが違うことが「平等ではない」というのである。はたしてこれは本当に「平等ではなかった」のだろうか。結局、私の起草案がそのまま採用されることになった。理由は「総予算は妥当、グレード選択も合理的と判断」されたからである。「同じではないこと」を「平等ではない」と等価と考えることは本質的におかしい。が、少なくとも日本においては「同じではないこと」を「平等ではない」と見做す文化が歴然とある。

 日本の何処に住んでいようと「良質な電力」が供給されるという状況は、「平等」=「同じ」という「平等感」に馴染むものである。だが、グリッドの内部から10mの送電線で繋がる家庭と、グリッドの外縁から更に数kmの専用の送電線で繋がる家庭で電気料金が変わらないというのは本来の意味での「平等」とは思えない。

 「電力自由化」の完全な延長として「発送電分離」を実施した場合、つまり送電事業者にも競争原理を完全に導入すると、経済原則の前には「平等」=「同じ」という「平等感」なんかが立ち入る隙間なんてない。通り一本隔てただけで電気料金が違い、かつそれにはちゃんと理由があるのが実態なのだ。「発送電分離」をしつつ、「平等」=「同じ」という「平等感」を維持するためには、「送電事業者」に義務という形で規制をかけざるを得ないというのが個人的な考えだ。しかし「平等感」の維持にはコストがかかるため「送電料金は高止ま」り、電気料金の低下は限定的となる。逆に完全な競争原理に基づく「発送電分離」が実施されれば、「電気が来るだけマシ」という地域すら生み出しかねないように思う。

 「郵政民営化」の顛末を見ればあながち極端なシナリオとも思えない。「ユニバーサルサービスの維持」は半分本当、残り半分は無意識下での「平等」=「同じ」という「平等感」に基づくものというのが個人的な心象だ。「発送電分離」を実施しても、日本では「送電事業者」に電気料金の低下幅を限定することになる一定の規制を導入せざるを得ないだろう。それが「郵政民営化」の顛末からの教訓ではないかと思う。

 「電力の安定供給」についてはどうか。

 米国で面白い統計がある。カリフォルニア州の「発送電分離」前後の「停電の発生頻度」と「停電からの復旧に要する時間」の変化である。「発送電分離」後、「停電の発生頻度」は増加し、「停電からの復旧に要する時間」は伸びている。「停電からの復旧に要する時間」については、3倍程度という数字や、地域によっては1時間が1日半になったという酷い数字もある。主要な理由は「発電異業者」と「送電事業者」との連携が実質的に取れないことと、分離後の事業者が小規模になったことにある。

 「発送電」全体にわたって市場競争原理を徹底して導入しようとすれば、「発電事業者」と「送電事業者」を完全な別会社とする必要がある。「送電会社」が特定の「発電事業者」と一定以上の資本関係があれば、それは利益を最大とすべく「一体として振る舞う」が故に競争原理が働かない。が、「一体として振る舞う」ことができないが故に、停電の頻度は増え、停電からの復旧に時間がかかることは自然な流れだ。

 「送電事業者」は停電の発生を回避すべく、つまりグリッドを安定化させるべく、グリッド内電力の需要と供給のバランスを常に監視している。ところが、電力需要と供給のバランスが崩れそうになっても、特に供給不足が懸念される事態となっても、自前の「発電設備」を持たない「送電事業者」に打てる手は限られている。時間があれば「電力事業者」から購入する電力量を増やせば良いが、時間が無い場合や電力の購入先が確保できない場合には、「グリッドの一部(サブグリッド)への電力供給を断ち」、限定的な停電を起こすしかない。これをしなければ「グリッド全体がコラプスしかねない」からだ。かくして停電の頻度は増える。

 ところが事態はこれで済まない場合もある。サブグリッドへの送電停止に伴う電力消費量の減少が電力供給不足量を大きく上回ると、グリッド全体としては電力の供給過剰となり、「発電設備」と接続されたサブグリッドがコラプスする可能性が出てくる。サブグリッドのコラプスが発生した場合、そのサブグリッドに接続された「発電設備」は送電先の消失(負荷遮断という)との異常を検知して緊急停止する。異常に基づく停止だから「発電設備」の検査が必要となり、「発電設備」はすぐには復旧できない。最悪のシナリオは、このサブグリッドのコラプスが引き起こした電力の供給不足を引き金として次々とサブグリッドがコラプス、「発電設備」も次々と緊急停止することである。かくして、グリッド全体がコラプスし、停電からの復旧には時間を要することとなる。「発電事業者」、「送電事業者」ともに小規模だと、復旧にかけられる人数もどうしても限られてしまう。

 このような大規模停電の発生メカニズムを考えると、これまで日本で同様の停電が発生してこなかった理由は明確だ。「発電事業者兼送電事業者」であれば、グリッド内の電力需給量を監視しながら、適宜「発電設備」の起動、停止、出力変更が可能だからである。

 カリフォルニア州の「発送電分離」は、電力料金への市場原理の導入との観点からは徹底している。事業者間の資本関係は厳密に制限され、事業者の独立性を確保しているからだ。同様のシステムが日本の「発送電分離」に導入された場合、電力消費者である我々は「安価な電力」を享受できるが、頻度の増えた停電と停電復旧までの時間の長尺化を受け入れなければならない。家庭には蓄電システム、企業には自家発電設備が必須となるだろう。酷い言い回しは承知だが、「(蓄電システムも買えない)貧乏人は電気を使うな。」という心情的には受け入れ難い(これまでの近代日本では選択してこなかった)時代の到来である。酷暑下で大規模コラプスが発生(電力需要が増え、コラプスは発生し易い条件だ)すれば、それこそ人命に関わる事態だ。現在の日本の社会インフラ整備状況では上下水道は止まり、信号の停止で流通は滞り、救急車は目的地にたどり着けない。

 「発送電分離」に先だって、具体性に欠ける「国土強靭化」よりも社会インフラの非常時対策を全国「平等」にやってくれと声を大にして言いたいよ。

 欧州では国営の「独占的な発電事業者兼送電事業者」もあり、「発送電分離」を含む電力インフラの有るべき姿の議論は続いている。カリフォルニア州の状況も横目に見ているせいか、色々な書類を読むに電力料金への市場競争メカニズム導入は限定的とすべきとのトーンが強い。また、「独占的な発電事業者兼送電事業者」の解体は避けられない(フランスはちょっと違うが)としても「まず『地域分割』から」という声も多い。これは「送電事業者」と「発電事業者」との連携不足を恐れてのことと思われる。同じ理由から、「発送電分離」を実施するにしても、むしろ「発電事業者」と「送電事業者」との資本関係を一定の制限下で残すなどして両者が連携を維持し易い体制とすべきと主張する人もいる。

 「発送電分離」はキーワードとして出てきているものの、分離後の形態をどうすべきかという議論は全く聞こえてこない。「発送電分離」を主張する人達の頭にある分離後の日本社会とはどういうものなのだろうか。それを説明せずして「発送電分離」を主張する人の神経は、私の理解をどうしようなく超えている。

 個人的には、現在の日本の電力会社のシステムが悪いものとは思わない。むしろ、「弱者」を極力生まないという点は評価に値するとすら思っている。ただし、「今までそうだったからそのままで良いじゃないの」ということではなく、「『発送電分離』まで含めた検討の結果、これこれはああするものの基本的に現行のシステムを将来的にも選択する」といった具合に陽的に選択することが理想だ。

 「発送電分離」に舵を切る場合も同様、「他国がそうやっているから」なんてバカなことを言いながらやっちゃダメだ。制度によっては「弱者」を生み出しうること、停電などに対して自衛が必要となることにも触れなきゃダメだ。家庭の余った太陽光発電電力の定額買い取り制との馴染みが悪いことも触れなきゃダメだ。

 「スマートグリッド」にすれば良いじゃん、という主張は本質的には正しい。でも、停電を起こしても何らの補償義務がなければ、グリッドのスマート化に投資して停電の発生頻度を下げる場合よりも電気料金は安いんじゃないかなぁ。それが自由化の一面ってもんだろう、ねぇ。

2013/08/24

「発送電分離」について思うこと(その2)

 さて、「発送電分離」に立ち入る前に、「電力自由化」に関して私お得意の思考実験に入ろう。

 「電力自由化」によって「新たな発電事業者」が現れ、「受電者」たる「消費者」は「発電事業者」を選ぶことができるようになる。この結果、「発電事業者」間に価格競争という市場原理が働き、「消費者」にとっての電気料金は全体として下がる筈である。当たり前の話のように聞こえるが、「新たな発電事業者」は「送電設備(グリッド)」を所有していない点に注意が必要だ。「新たな発電事業者」と「既存の発電事業者」との理想的な価格競争には、「送電コスト」が全ての発電事業者にとって同じでなければならない。ところが、日本の「既存の電力事業者」は「発電事業者兼送電事業者」なのである。

 「新たな発電事業者」の電気料金はざっくり、「発電コスト」+「グリッド使用料(送電コスト)」+「利益」となる。同様に、「発電事業者兼送電事業者」の電気料金は、「発電コスト」+「グリッド維持コスト(送電コスト)」+「利益」となる。お分かりの通り、両者の「送電コスト」は質が違う。素直に考えれば、「グリッド使用料」=「グリッド維持コスト」+「利益」だから、「発電コスト」が同じだと、「新たな発電事業者」には勝ち目がない。しかし、「新たな発電事業者」は「発電コスト」において「既存の電力事業者」に対して競争力を持つ。それは何故か?

 「既存の電力事業者」は担当地域内の全電力消費をまかなう義務を負っている。そのため、ピーク時の電力消費量をもカバーできる必要から所有する「発電設備」が過剰気味なのだ。つまり電力消費量のピーク時以外は運転しない「発電設備」も所有し、これら設備の税金やメンテナンス費用といったコストを「発電コスト」で回収しているのである。対して、「新たな発電事業者」は「消費者」との契約を履行するに必要な「発電設備」のみを所有すれば良い。

 「既存の電力事業者」の肩を持つ気はないけれども、これは健全な競争環境とは言えない。

 この不公正をの解決には、①「既存の電力事業者」の発電量に対する義務の撤廃、②「発電事業者兼送電事業者」の「グリッド使用料」の決定の完全自由化、が考えられる。が、①は採算が合わなければ送電されない地域が生じても良いことになる(ユニバーサルサービス体制の崩壊)し、②は「発電事業者兼送電事業者」の電力市場独占を許容することなる。①は、例えば都市規模の中小地方電力会社が立ち上がれば許容できることにはなるが、電力料金の低下は期待できない。②は独占禁止法とかに引っかかってしまうだろう。

 極論、①と②の合わせ技で一番儲かる事業形態の一例は、電力大量消費地や工場などの大量消費設備のみを結ぶグリッドを所有し、送電する電気自体は「新たな発電事業者」達を徹底的に競争させて安価に調達するとともに、補助金などの優遇措置がある期間のみ再生可能エネルギ―発電設備を所有するというものだ。

 しかしこれは余りにエグい。現行の「電力自由化」は実態は「発電事業への参入自由化」でしかない。独自の「グリッド(送電網)」構築も制度上は可能だが、土地取得や建設コストが大きいことや既存「グリッド」と並行に新規「グリッド」を設けるなんて効率が悪いことも甚だしい。

 ここで「発送電分離」という考えの見通しが多少良くなってくる。

 「発電事業者兼送電事業者」は自前の「発電事業」の競争力を「送電事業」も利用して確保しようとする。だから、「送電事業」を分離すれば、「発電事業」の健全な価格競争が期待できる。電力消費があるならば、市場原理に従って「発電事業者」が現れることは期待して良い。他方、送電はユニバーサルサービスの根幹だから、地域独占を許容(発電設備と違って送電設備はその地域になければならいことを思い出そう)し、かつ、採算が取れない地域については公共サービスとして自治体が補助金などの優遇措置を行ってでもグリッドを維持しようということである。

 いよいよ次回は「発送電分離」に踏み込もう。この制度が薔薇色の未来を約束するかどうか、或いはどういう形態が「より理想的」なのかについて触れるつもりだ。キーワードは「消費者にとって良質の電力」とは何か、って辺りかな?

2013/08/22

「発送電分離」について思うこと(その1)

 歴史をひも解くと、日本の電力会社は多数の「民間地域電力会社」の設立からスタートした。これは特定の地域内の電力供給を特定の民間会社一社が担うという形態であり、米国などとほぼ同様で日本特有という訳ではない。対比できる別形態としては「国営電力会社」による独占的な国内電力供給がある。

 日本国内の電力の周波数が50Hzと60Hzの2種類ある理由は、東西の先行した「民間地域電力会社」が米国の別の会社から発電機を導入したことに遠因がある。東は「GE(ざっくり言うとエジソンの会社)」から、西は「ウェスチングハウス(ざっくり言うとテスラの会社)」からそれぞれ発電機を導入し、この時点で電力周波数が違っていたのだ。いずれにしても、日本の電力供給体制はまず民間主導で確立されたと言って良い。ただし、この時点での各電力会社の担当地域は現在の電力会社の担当地域とは必ずしも一致しない。現在の各電力会社の担当地域は、太平洋戦争中の単一電力会社への統合と戦後の解体(分割)の結果である。

 ここでひとつ重要なことは、解体後の各電力会社には電力の地域独占が許されていたことである。裏返しとして、電力料金は国の認可制とされ、担当地域内あまねくへの電力供給義務も負う。日本の良質な電力インフラ、別の言い方をすると(一部離島を除けば)日本中の何処に居てもほぼ同等の価格で必要な電力が利用できる環境は、地域独占と引き換えに電力会社に課せられた制限、義務に負うところが大きいと思う。

 さて、

 地域電力会社は「発電」と「送電」を一括して担うため、「発電設備」、「変電設備」、「グリッド(送電網)」及び「グリッドから受電者(工場や家屋)への送電線」を所有、管理する必要がある(少し厳密さを加えると、「変電設備」の一部と「グリッド」及び「グリッドから受電者への送電線」は担当地域内に必須だが、「発電設備」や「変電設備」の他の部分は必ずしも担当地域内にある必要はない)。以下では簡単化のために「発電設備」と「グリッド」の用語のみ用いるが、それぞれに付随する「変電設備」や「送電線」も含むものとして捉えて頂きたい。

 まず、既に制度としてはスタートしている「電力自由化」について触れる。「電力自由化」の基本的な考え方は、「既存電力会社の電力供給の地域独占の撤廃」である。新規参入会社は「発電設備」を持つ必要があるが、当然ながら以下の状況が現れ得る。
  • 受電者の居住域に発電設備がある。
  • 受電者の居住域とは異なる地域に発電設備がある。
米国は多数の「グリッド」が相互に連結された「グリッド網」を形成しているが、各発電設備が接続された「グリッド」への送電量は大部分の地域で「電力卸売市場」での取引に基づいている。つまり、高い電気料金でしか入札できない発電設備からの電力は「グリッド」へ送電できない。ただし、特定の「グリッド」に着目すると、それに直接接続された発電設備からよりも「隣接するグリッド」から安価な電力が供給できる場合は、「グリッド」がある地域内の発電設備から一切送電させないという選択肢もある。

 米国では具体的には後述する「発送電分離」が進んでいるため、「グリッドを所有する送電者」から見た電力価格は「市場原理に基づく時価」であり、「グリッドを所有する送電者」の利益は基本的に「電力の調達価格を如何に下げるか」に負うところが大きい。「グリッドを所有する送電者」は「受電者」に概して定価で電力を供給しているからだ。「グリッドを所有する送電者」は、常に需要を満たす最小限の送電量をできるだけ安価に所有する「グリッド」に供給する努力をすることになる。米国ではざっくり「送電者」が強く、他の「グリッド」に接続されていたならば十分競争力がある「発電設備」でも同じ「グリッド」に接続された「競合発電設備」との価格競争に敗れればあっさり閉鎖される。安価な「シェールガス」の発電利用が本格化した昨今、老朽化した発電設備の閉鎖は加速する傾向にある。勢い、発電用資源の均質化と総発電可能量の低下は避けられない。結果、米国では電力供給不足発生のリスクが従来よりも大きくなっているのは確実だ。

 一方、ドイツ(厳密にはグリッドが十分に整備されている旧西ドイツ域)では状況が異なる。「受電者」は居住地に関わらず「発電者」を選んで契約することができる。良くある例が、風力や太陽光などの再生可能エネルギーのみで発電している「発電者」との契約である。「発電者」は「受電者」との契約に基づいて電力を「グリッド」に送電することになるが、再生可能エネルギーの発電量は天気次第なところがあるため、概して「グリッド」には「受電者」との契約量よりも大きな電力量が常に供給され(契約量よりも小さいことは基本的にあり得ない)、かつ変動する。「受電者」はあくまで「グリッド」から受電し、かつ「グリッド」には火力などの他の発電設備からの電力も供給されている訳だから、「私は再生可能エネルギーしか使ってません」という「受電者」の思いは現時点では文字通り気持ちの問題でしかない。とは言え、「受電者」の行動が発電方式のシェアに影響することは確かだ。

 ご存じの通り、ドイツは太陽光発電を中心に再生可能エネルギーによる発電量が大きい。再生可能エネルギーの増大自体は良いのだが、「グリッドを所有する送電者」から見た場合、「グリッド」への供給電力量の時間変動はかなりやっかいな問題だ。「グリッド」への電力の供給過剰は「グリッドのコラプス(機能停止、つまり域内一斉停電)」の原因と成り得る。欧州では電力は輸出入の対象であり、ポルトガルから東欧までほぼ単一の「グリッド網」が既に形成されている。特定の大規模な単一「グリッド」のコラプスは、「グリッド網」内の他の「グリッド」のコラプスを引き起こしかねない。これは、コラプスした「グリッド」の少なくとも一部の電力が他の「グリッド」に一気に流れ込み得るからだ。

 欧州での大規模な「グリッド」のコラプスは幸いにしてまだ発生していないが、ドイツの「グリッド」が再生可能エネルギー発電設備からの電力供給の急増に直面し、コラプスを避けるために東欧側の「グリッド網」に余剰電力を急遽送電したことがあったという。「タダで電気が貰えて東欧は大喜び」などと考えることなかれ。東欧の単一「グリッド」の規模はドイツの「グリット」と較べれば小規模、小容量であるため、ドイツからの制御されていない送電は東欧各国の「グリッド」をコラプスさせかねないのだ。送電を受けた東欧数国からは苦言も呈されており(「テロだ」とすら言う人もいる)、また、ドイツ発、東欧経由の全欧州「グリッド網」の連鎖コラプスを警戒する声も挙がっている。

 とまぁ、米国やドイツの話などして脱線しているように思うかも知れないけれども、「電力自由化」や「発送電分離」の行先は決して薔薇色ではないというのが現実問題としてあるということだ。「電力自由化」「発送電分離」の功罪を考えるには、「再生可能エネルギーの普及」「地球温暖化ガス対策の必要性」「シェールガスの利用拡大」「国内の原子力発電設備への公衆受容性の低下」などの動き続ける他の要因も考慮する必要があるし、さらに「発送電分離」の具体的形態については欧州でもまだ議論が続いていて、何気に「発送電一括・地域分割」、つまり現在の日本の発電会社の形態が「受電者の視点に立てば悪い選択ではない」という考えは故有って今でも完全に否定されていないという点も指摘しておこう。

 続きますデス。

2013/08/20

一回は観とけ!再び

 マズい、マズいよYoutube。日本語字幕まで付いてるよ。小学生の時にTVで観て泣きました。「冒険者たち」は文句なく名作!!

2013/08/19

近況、九度。

  • 今日まで夏休み。身体が完全に連休モードで昼間も眠いこと眠いこと。ここ数年の夏休み明けはメールの返事書きに追われていたが、ここ1年ほどネット上のコミュニティへの参加を控えているためか、今年は返事を書くべきメールはなし。その代わりと言っては何だが、帰省中に届いたスパムメールは約760通とやっぱり多かったよ。
  • アニメ「ジャイアントロボ-地球が静止する日-」の音楽はあまり耳にしない形式との印象もあってお気に入りなのだが、実は映画「パリは燃えているか?」の一部楽曲と何気に似ていることが判明。そっかぁ、もともとモーリス・ジャールの曲が好きだからなぁ俺、似たフレーズは映画「ファイヤーフォックス」でも使われてるしね。でも「パリは燃えているか?」の方がなんか「まがい物」感があるんだよなぁ…展開の捻り具合のせいだろうけどね。

    ちなみに「ファイヤーフォックス」はこんな感じ、淡白に見えて実はモーリス度かなり高し。サントラ盤出てた記憶がないんだが、実際どうだったんでしょう?
    さらにちなみに1号機が後方に射出して2号機を撃墜したのは"ВСПЫШКА"。Google翻訳によるとやはり「フレア(赤外線追尾式ミサイルを欺瞞する囮熱源)」で原作小説通りですなぁ。

2013/08/17

Mi Angel | Pogo & John Sean

 ただただ良いよね、という訳でご紹介。SoundCloudにもアップされてるから気に入ったらそっちもチェックして頂戴。

 ちなみに"Mi "は"My"、「サンダーバード」でパーカーがレディー・ペネローペに対して"Yes, Milady.(イエス、ミライディ)"という表現を使ってますね。「レイディ」じゃなくて「ライディ」に聞こえるのも米語じゃなくて英語な感じ。

2013/08/11

2013/08/10 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 1曲目、inktransさんの"Dear Radio(Sytrus Remix)"、良いですね~。

 惜しむらくはニコなんとかがアップ先であること。自らのコンテンツでないものまでクローズドで扱うサービスって言うのはビジネス仁義としてはどうなのよとしか思えず、どうも苦手なんだよなぁ。

 新コーナー「30分で5億売った男 presents ビジネス教習所」第1回の「教官」は、ビジネス書作家の俣野成敏さん。知ってる人は知ってるハズだけど「プロフェッショナルサラリーマン」という言葉が新しいかはグレー。お話の内容はフツー、だけどフツーでない人には彼の本を読んでフツーになってもらいたいとか思いつつも、だけど2「ビジネス書を読む時点でそいつはダメだろう」というのが俺らの認識。新しいことをするのが仕事の身としては、本に書いてあることは「新しい筈がない」のは明らか。とは言え、ビジネス書をやたら読む同僚もいる。その同僚の凄さは、読んだビジネス書の内容を3分以内で説明し、かつ他のビジネス書との比較までしちゃうこと。変にたくさんビジネス書を読むと、相互の矛盾とかに悩むことになるよ。

 個人的意見としては、サラリーマンならばこそ「社内外ともに自分のファンをたくさん作ること」が必要ではないかと思う。「アイツじゃなけりゃ」とか「この話はアイツだな」とか、どれだけ自分が指名されるかが勝負かと思う。自信は後から付いて来させれば良い。勘違いしてはいけないのは、ファンから得るべきが「人気」ではなく「信頼」であること。「信頼」を得るには言行を見せるだけでは不十分で、「結果」が必須。確かに、「一度取り組んだことは絶対形にする」は「結果」を得るための必要条件だ。

 2組目ゲストの伊藤賢治さんとパーソナリティー佐野電磁さんとのやり取りは絶妙。話題の4つの内1つのペースで豪快に心に刺さる。う~ん。
  • 「無人島に持っていきたい3つのコード(和音)」、取り敢えず爆笑。そんな話題、大学時代の音楽仲間の飲み会以来ほぼ15年ぶり。まさか死ぬ前に再びこの話題を耳にすることがあるなんて想像すらしてなかった。
  • リズムボックス Roland CR-8000。こいつは楽器店で触りましたよ。リズムパターン名"ENKA"が「演歌」であることに気付くまでに10秒程のタイムラグ、その後爆笑しましたが。
  • 伊藤さんの演奏するシンセが、え!KAWAI K-1!大学生の時バイトして買いましたよ!キータッチもプリセットの「ピアノ」の音もまさにKAWAIのピアノのもの。丸い感じの耳に優しめの音ですよ。懐かし~。
  • TASCAM PortaOne 4ch MTRも大学生の時バイトして買いましたよ!
  • YAMAHA QX-3シーケンサー。これは買えなかったけど、QX-5FDを大学生の時バイトして買いましたよ!メモリが64kBしかなかったから、一晩かけてベース一曲分を打ち込んだら"Memory Full"とかで進退極まっちゃったりとか。今だからこそ良い思い出、でも当時はマジ洒落にならなかったのな。マクロ機能は使いこなせなかったなぁ。ちなみにメモリが64kBあれば月着陸可能であることは、アポロ計画の月着陸船で実証済み。
  • 伊藤さんが記憶をたよりに演奏した「バスクリン」の昔のCM曲、♪今頃~って感じのあれはけだし名曲。タイトルなどは失念したけど("Good Night"だったっけ?)、音楽雑誌"Techii(テッチー)"のソノシートに収録された読者のデモテープ作品を本人がCM用にリバイズ/再録音したものだった筈。テープ早回し(つまりテープ速度を下げて録音)で、ボーカルのピッチとフォルマントを上げてましたね。ちなみに"Techii"は創刊号から休刊号まで持ってましたよ~。

近況、八度。

  • 私の居住地でもついに夏到来。午前9時半でマイカーの車内温度48℃って、あんた洒落にならないでしょーよ。開けられるところは全て開けて走ってもついに38℃を下回らず。沖合を寒流が流れるせいでこれまであんまり暑いという印象はなかった土地だが、やはりここ2年ほどは天候、気候ともにおかしい。もともと湿気は高いから、暑さが加わるのは冗談抜きでキツい。
  • 今日はちょっと仕事をしたけど、おかげで明日からは完全に夏休みで帰省。ちなみに帰省中は完全なオフライン、基本的に読書三昧の予定。書店で「TOKYO YEAR ZERO/D.ピース」「エラスムスの迷宮/C.L.アンダーソン」「ガガーリン/J.ドーラン, P.ビゾニー」「三重スパイ/J.ウォリック」の4冊を購入。あ、iPod充電しとかないと、もちろん充電器は純正品だからそうそう感電はしないよ。
  • あ~、スパムメールがここ1週間に急増、帰省中の総数は間違いなく1000通を超えるよ。私の契約先は2つ目のメールアドレスを無料で取得できるのだが、半分はそちら宛て。2つ目のメールアドレス取得の目的は実はアドレス流出元の絞り込み用なので、何処にも公開していない。ということは…
  • 今日はVocalod Megpoid Native用の「時をかける少女」のオケデータをいじる。チープな感じを狙ってドラム音を全てCASIO SK-1からのサンプリング音に置き換える。ベースの音色もあまり厚くないものに変えてからLFOとディレイを調整してみたらなんか良い感じだったので採用。もうこれ以上音は足したくないなぁ。

2013/08/06

1ネタ10分でできる間違ったDAWの使い方3題

 いつものように職場の喫煙室で同僚とバカ話、「MADムービー」の「MAD」って何?という話になる。帰宅後ググッてみたところ、昔の同人テープ、通称「キ×ガイテープ」が語源だとか。間違っても「相互確証破壊」ではないですよ。

 あれま、「Crazy」じゃないのね、と思うと同時に、かつて自分が「キ×ガイテープ」の作り手だったことを思い出した。オーディオカセットテープを切り貼りするとか、オープンデッキ3台に1本のオーディオテープを通して再生時間差を作るとか、しかも時間差をデッキ相互の距離で調整したとか、出来たものより作り方の方がよっぽどマッドな感じがしないでもない。ましてやオープンデッキを担いで街中を歩く中学生なんてまずいない。

 当時もアニメ由来ネタは多くて、TVから録音したオープニング曲やエンディング曲を良く素材にしたものだ。師匠筋の人間はいなかったので、作成方法は自分で考えなきゃならなかった。先行作品を聞くに、初心者がまず身につけるべきテクニックは次の二つだろうとの結論に当時至ったものだ。
  • 曲が始まったと思わせておいて終わせる、つまり曲の中間部を抜く。
  • 第1コーラスの歌詞を部分的に第2、第3コーラスの歌詞に置き換える、つまり曲の中間部を入れ換える。
で、土曜日にふと思ったのは、「当時一晩かければ作れたようなものなら、今のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)アプリで10分あれば作れるのでは?」。作れましたよ、あっさり。

2013/08/04

2013/08/03 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 プロ野球中継延長でラジオオンエアは結局10:55始まり。アンビエント・ドローン系音楽ショップ「murmur records」の相田悠希さんの出演部分がオンエアされなかったのは実にもったいない感じ。アンビエント・ドローン系については全くの門外漢である身としては、この種の話が聞けるだけでも貴重。語る対象に対して自覚的、真摯というのは有難いもの、「好き好き」だけでは他人に伝えられることは概して表層的だからねぇ。パーソナリティ佐野氏とのやり取りから覚えている部分をざっくり書き出すとこんな感じ。
  • 「アンビエント/(スラッシュ)ドローン」とひとくくりにされることが多いが、音楽ジャンルとしては全く別物。実のところ音楽ですらない。
  • アンビエントは「概念、考え方」、ドローンは「様式、形式」。故に並置すること自体がおかしい。
  • アンビエントは環境音楽とも呼ばれる。とあるシチュエーションで演奏していたエリック・サティは「私の音楽を聞かないで」と言ったが、そういう音楽こそまさにアンビエント。「アンビエント」という言葉は、ブライアン・イーノが導入。イーノのアルバム"Music for Airports"は実際にラガーディア空港(だったかな?)で使われた。
  • ドローンは絶えない持続音。アーチストにはギタリストも多くて、多数のエフェクターを縦列につないでコード一発で70分鳴りっぱなしとか。ホーミーとかと通じるところもあり、結構プリミティブな音楽様式では?
今時のアンビエントを聞いてみようということで、実はクリス・ワトソンのアルバムを2枚ほど買って聞いてみている。

 クリス・ワトソンは自然音を素材として録音し、設定したコンセプト或いはテーマに基づいて素材を編集することで作品化する手法を取っている。波や風の音、虫や鳥の鳴き声やはばたき音といった本当に自然由来の音、列車の車内外音といった人工物由来の環境音が素材だ。もともとBBCの音響エンジニアだった人らしいので、編集はお手のものということらしい。

 だが、少なくともクリス・ワトソンの作品はちょっと自分には合わないようだ、残念ながら。

 編集による自然由来音の異化、多数の素材それぞれの本来の文脈の分断化が人工的に過ぎるように感じられ、聞いていてつらいのだ。もともと散歩がてら街中の環境音、自然音を聞いて回る趣味があるからかもしれない。つまり、「自分の知っている自然音」との乖離の方が気になって仕方がないということだ。クリス・ワトソンの作品を聞いていると、一瞬一瞬だけれども不協和音を大音量で聞かされたようなどうしようもない違和感に襲われてしまう。要は聞く態度ができていないということなのだが、これはもはや習い性みたいなもので如何ともし難い。まぁ、"The Bee Symphony"はクラシカルの一種と思えば無問題。なんて書いていると、近所の湧水の音をまた聞きにいきたくなっちゃったなぁ。

 完全な脱線だけど、かの大震災のあとの4日程は電気も水も無く、車もほとんど走っていなかった。夜8時も過ぎると陽も暮れて真っ暗である。運転中の自動販売機はとてもうるさいから、近所をふらつくだけでも周囲から聞こえる音は新鮮だった。まぁ、実際のところは空腹でそれどころではなかったんですけどね。

 文脈は省くけど、相田さんは「電子音はかなわない」という発言をされた。個人的にはあくまで条件付きで同意だ。

 シンセの音は、ただしプリセット音ではなくてユーザーによって作られた音は、主体的に生み出された人工音であり、文脈無しでは存在し得ないし、存在する意味がない。そういう音は大事にしたいし、勝ち負けとは別次元で価値のある音だと思うのだ。

2013/08/03

近況、七度。

  • 体調は幸いにしてとても安定しているが、目覚めが中途半端に早くイマイチ睡眠時間が短い。会社でシンセ「π」の波形生成ロジックに関する根拠なき閃きあり、こそこそとExcelで波形を計算してみる。あんまり見かけない波形が結構出てくるのは面白いが、シンセの音は波形だけじゃ決まらないからねぇ。
  • 3DCGソフトウェアLightwave3Dのリハビリ開始。秋頃には再開したいな。
  • スポンサーである関連会社の人と雑談。どうも自分らのグループ会社は競合他社と比べて「相変らず営業が弱い」という結論に至る。とは言え、「営業が強い」から会社も強いって訳じゃないところが難しい。
    某社の某分野は「営業、広報が強く」、大型受注案件や大型投資に関する広報活動も適切で、株価は高めを維持している。が、その後の進展をトレースすると、受注案件のスケジュールが致命的なトラブルで遅延してたり、投資回収に必要な案件の受注に失敗したりと、自分の会社では願い下げな状況が意外に多い。当然、この手のネガティブ情報はあまり表沙汰にはならないから、株価の下振れ要因にはなかなかならない。
    まぁ、今時の米国流会社経営という観点からは某社の方法は正しい。片や私の所属する会社の体制は、上層部こそ米国流だが、私の関連する事業分野は専門性の高さが原因でその直下の階層の権限が他事業分野と較べてはるかに強い。しかも今後の主戦場は欧州の可能性が高い。なかなか米国流とはならないだろうなぁ。
    ちなみに研究開発分野の体制は前時代的なまでに官僚的で、創造性に対する理解がない。最低だ。

2013/07/28

"Bizarre Love Triangle / feat. Megpoid Eng."ギブアップ

 エントリタイトル通り、とにかくギブアップ、今はこれが精一杯。

 クリプトンがボーカロイドエディタ"Piapro Studio"を開発しているけど、ま、これは本家エディタの使いにくさ、より正確には編集・調整という手間に関するコストパフォーマンスの悪さ、へのひとつの回答だろうと思う。

 フォルマント調整にどこまで踏み込むのかは注目点、ここは本家エディタの鬼門のひとつだ。「ジェンダーファクター」とかもっともらしい呼び方をしているけれども、それは「フォルマントの自動調整技術が無いからパラメータにして誤魔化しただけだろう」というのが従来からの個人的見解だ。


2013/07/27 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 アクセスログを確認すると、タグ「電磁マシマシ」を定期的にチェックされている方が若干1名ほどおられるようです。有難うございます。ただ、感想の投稿は日曜日の午前中となりますので、午後からチェックされるのが吉かと思いますデス。

 さて。

 最初のゲストは電子楽器博物館の原田直樹さんと楽器屋さんでは入手できないシンセの数々、貴重回ですよ。「もうシンセはソフトシンセ(つまりPC上)だけにしよう」とのかつての決意がグラつくに十分な内容。ちなみに私の半田付の腕は4級ぐらいかなぁ…一応職業的実験屋だから。

 まず紹介されたシンセはフランス(らしい)のMutable InstrumentsのAnushri、Shruthi、Ambika。これらは基本的に組立キット(基盤、部品だけ。ケースはオプション)での販売で、購入したのはいいものの部品が足りなかったり壊れていたりとなかなか大変だったとのこと。半田付の腕だけじゃ挑めないってことですな。サイトを確認して頂ければ分かる通り、これらシンセの名前はインド由来っぽい。実際、"sh"、"ri"なんかのアルファベット綴りは、ヒンドゥー教の神々や神話での登場人物の名前で良く使われます、"Krishna"とか"Vishnu"とかね。音についてはしっかり太くて良い意味で「普通」だが、フィルタの効き具合などからは「こだわり感」がビシビシ。スペック表から想像できる最高のシンセを期待してもハズさないのでは?、と思わずにはいられない。

 最大の衝撃はチェコ共和国Standuinoのπ(パイ)。残念がらもはや売れ切れなのだが、その振る舞いを知ってしまうとどうしても欲しくなる。ドローン(単音で変化の無い長い音)系シンセは個人的には範疇外なのだが、ランダマイザーとパッチとの組み合わせから生み出される音はおそらく予測不可能、音自体よりも有り様が素晴らしい一品。触っていれば「π」という名前の意味も分かるのでは、という淡い期待もしてみたくなる。昔同じ「π」というタイトルの映画があって、ユダヤ数秘術と円周率との組み合わせにトンデモない秘密が隠されているという内容だったが、一脈通じるところもあるような。


 後半のゲストは「ゆかどち」。いやぁ、アレで良いですよ、前のめったまま行けるところまで行って欲しいと心から思いますよ。次の展開を期待してマス。