2013/10/17

奥さん、論文査読お願いします。:ワン・モア・タイム

 「これから英語の技術論文を書きます」という人に真面目な話をしておきませふ。私が査読する場合は下記の内容にはこだわりますよ。

 論文の1ページ目は大抵、タイトル、オーサー(ズ)、アブストラクト、イントロダクションまでしか収まらない。ここで「読む人」の立場から一種の模範的な1ページ目の書き方について書いておこう。
  • タイトルは本文を全部書いてから決めても良いぐらい重要だ。「タイトルに偽りあり」な論文はほぼ間違いなく中身も酷い。タイトルはまさに「つかみ」だが、アブストラクトやイントロダクションの文章とはイタレーションが必要だ。
  • タイトルで論文に興味を持った人は、アブストラクトを読んでさらに読むべきかを考えるか、アブストラクトをとばしてイントロダクションに入る(コンクルージョン(ズ)は1ページ目には含まれないからここでは「いきなりコンクルージョン(ズ)」の経路は省く)。
    ここで気にして欲しいことは、アブストラクトなりイントロダクションなりを読む人は、間違いなくタイトルを先に読んでいる。だから、アブストラクトやイントロダクションの冒頭で、タイトルで述べている内容に直接触れる必要はない。タイトルとほぼ同じ文章がそのまま書かれていると「オーサー(ズ)は頭が悪い」と思われる可能性を覚悟して良い。実際、アブストラクトの1文目を読んで一気に残りを読む気が失せた論文には事欠かない。
つまり、アブストラクトはタイトルから続けて読まれることを前提に書こう。極端な話、タイトルに書いてあることは書かなくても良い。アブストラクトはタイトルと切り離された状態で読まれることはないと見做して良い。タイトルとアブストラクトを続けて読んだ時にしっくりこない場合はタイトルが拙いと考えるべきだ。より具体的には、タイトルにアブストラクトに書いた方が良い内容が含まれているか、タイトルに書くべき内容が含まれていないか、といったところだろう。

 気持ちは分かるのだが、「タイトルで背伸びし過ぎて」いてアブストラクトとの整合性が悪い場合が多々見受けられる。

 イントロダクションも同様にタイトルから続けて読まれることを前提に書こう。だから、タイトルと同じことをいきなり書くべきではない。また、イントロダクションの出だしの内容は、タイトルを読んだ人がすっと話に入っていけるように書こう。イントロダクションの出だしとタイトルとのミスマッチ(関係性が見えない)を感じたならば、やはりタイトルが拙い可能性も考慮しよう。

0 件のコメント:

コメントを投稿