STAP(スタップ)細胞論文の問題をめぐり、日本分子生物学会の大隅典子理事長は、データの正確な記録や再現性の確認など、科学の世界で決められている手続きを守るよう呼びかけるメッセージを、同学会の全会員に電子メールで送った。あまりに遅い、という気もするけれども、「まっとうな人ほど陥り易い罠」もある。「まっとうな人は他人もまっとうに振る舞うと思いがち」、一種のバカの壁とも言える。ついにこらえきれずに、というのが実態かもしれない。ただ、メール内容の対象がどこまでか、という点は重要だ。学界全体へ、ということにならば少し記事の捉え方も違ってくる。
「プロトコル」とは「手順」だが、使われる文脈によっては「礼儀に適った」というニュアンスをも伴う。以前にも触れたように、某論文の執筆者は技術者、科学者としての礼や品性を著しく欠く。
私は育ちが多少悪いので「仁義を切る」とよく表現する。論文査読にあたって「侮辱」なんて言葉を飛び出させないためにも「仁義を切る」必要がある。一例は、少なくとも戦後の主要関連論文には全て目を通し、一、二世代前の研究者の「常識」をも身につけておくことだ。1950年代の論文に書いてあることを「再発見」しても意味がない。ただの勉強不足と一蹴されるだけだ。
周囲も、仮説だなんだとか言ってる暇があったら再現試験やって結果を発表したらどう?というのが建設的な姿勢ってもんじゃないかな。