2021/11/12

いったんさらば!カニのマークのアレ

 

 本エントリでのカニのマークのアレとはRealtek社のオーデオチップ群を指している。Realtek社のオーディオチップ(サウンドチップ)はPCマザーボードのオンボードオーディオチップとして広く使われていて、かつては「安かろう悪くなかろう」なPCを量産してきたDell社のPCの多くでもそれは例外ではない。だが2020年前期型XPS 8940、テメェは駄目だ。「安かろう悪かろう」では話にならない。

 メインPCである2020年前期型XPS 8940のオンボードオーディオチップはまさしくカニのマークのアレだ。そこまではまぁ良い、カニのアレの音はさして悪くない。特にHDドライバが提供されるようになってからは本当に良くなった。DAW使いでありながらオーディオインターフェース無しでこれまでやってきた理由の一つはまさこの「悪くなかろう」な点だったと言えよう。加えてオンボードチップ故の使い勝手の良さがあった。外付けインターフェースのようにケーブルを引き回す必要もなく、スピーカーとヘッドフォンとの切替のスムーズさには文句のつけようもなかった。

 ところが、2020年前期型XPS 8940ではWAVESうんたらかんたらとか言うクソの役にも立たないオーディオ処理ソフト及びサービスがプレインストールされるようになった。結果、純粋なHDドライバが使えなくなったりMicrosoft社のジェネリックドライバーとの互換性が著しく低下したりしただけでなく、クソのためのソフトウェアレイヤーのせいか音が悪くなった。音の輪郭がボケる、所謂音の粒立ちが悪くなるってやつだ。

 かつてのカニのアレの音を取り戻すべくクソ関連のサービスの停止や仮想ハードウェアの削除などを暫く試みたが、副作用が余りに多くてオンボードオーディオチップの良さが完全にスポイルされる形になってしまった。

 まず、PC起動時にスピーカーなりヘッドフォンなりが接続されていないと、オーディオ入出力用のエンドポイントが作成されない。このため、例えば起動後にヘッドフォンを専用端子に接続してもヘッドフォンが認識されない。この場合のエンドポイントとはハードウェア的にはヘッドフォン端子だから、「端子無し」と認識されている状態で端子に何を刺してもシステムが反応しないのは当然だ。この挙動、どう見てもプラグアンドプレイの否定にしか見えない。従来の大抵のPCでは、ヘッドフォン端子にヘッドフォンを繋ぐと自動的にスピーカー出力がミュートされてヘッドフォンからしか音が出なくなったりしたものなのだが、それで何か問題があろうか?

 確かにWindows10になってからはオーディオ出力先をユーザーが完全に選択できる方向で仕様変更が為されてきていて、最近はその方向で良いと思うようになってきているのだが、起動後にヘッドフォンやスピーカーを接続しても認識しないとか、起動中にヘッドフォンが変更できない(変更前のヘッドフォンを端子から外した時点で端子に対応したエンドポイントが削除される。このため、変更後のヘッドフォンが認識されない)では使い勝手が悪いにも程がある。

 ただ起動中にヘッドフォンやスピーカーが変更できる結線方法はある。エンドポイントの削除は物理的に端子からジャックが抜かれることでトリガーされるので、端子に延長ケーブルを常に接続しておけば、延長ケーブルの端子にヘッドフォンやスピーカーのジャックを抜き差ししてもエンドポイントは削除されない。もっと言うと、起動時に延長ケーブルだけでも良い(ジャックの寸法、形をした全くの別モノでも良い)ので刺しておけば、延長ケーブルが接続された端子に対応したエンドポイントは生成される。

 この時点でもう面倒臭いと言うか、技術的、仕様的に大変筋が悪いのだが、まだ問題は終わらない。WAVES何とかと言うクソに関わるサービス、アプリなどを丁寧に削除することでかつての音をかなり取り戻せるのだが、Windowsアップデートでカニのマークのドライバーがアップデートされると、上記の作業は元の木阿弥となる。停止したサービスは自動起動されるようになり、削除したサービスやソフトウェアコンポネントも復活してしまう。DELL社のツールにアップデートさせようものなら、WAVES(略)なクソアプリまで再インストールされてしまう。レジストリも汚れるばかりだ。

 で、先週の中ごろにカニのアレのドライバーのアップデートが複数回入ってうんざりしていたところに来て、アップデートの後ににこれまで想像もしたことが無い状況が出来して正直キレてしまった。音量の左右バランスがおかしくなってしまったのだ。例えば音楽を聴いたとすると、本来センターにあるべきボーカルやバスドラの音が左方向に1/8~1/16ほどズレた位置から聞こえる有様だった。「バスドラ、ベース、ボーカルがど真ん中配置」な自作曲でも確認したので間違いない。「さらば、カニのマーク」と心から思った瞬間だった。

 それから1週間後の今、メインPCの上にはNative Instruments社のオーディオインターフェースKOMPLETE AUDIO 1が乗っている。安いし小さいし基本的に録音も配信もしない人間には機能的に十分だ。さらにまともなASIOドライバーの提供を期待しても良いだろう。スピーカーもヘッドフォンももはやそれに繋がっている。PC本体のオーディオ端子には万が一を想定してまだエンドポイント生成のために延長ケーブルを接続しているが、この3日程のKOMPLETE AUDIO 1の使用感に照らせば、それら延長ケーブルは早々に抜かれることになりそうだ。

 と言う訳で、低価格品ではあるもののオーディオインターフェースの導入で多数なりともDAWユーザーっぽい機器構成に寄ってきた。専用のASIOドライバーの出来も良いようで、DAW(Cubase Pro11、FL Studio 20)やスタンドアローンモードのソフトシンセの動作も軽快だ(20ms未満の遅延はさすがに短くて、私の目と耳の組み合わせでは遅延は認識できない。まぁディスプレイのリフレッシュレートが60Hz(16ms)なので、遅延による画面と音とのズレは1フレーム以下ではある)。SoundID Referenceとのコンフリクトも起きていない。Windows Audio、ASIOともに音の粒立ちは最新ドライバーが適用されたカニのアレよりも明らかに良い。もちろん、音量の左右バランスもばっちりだ。ああ、「当たり前」とは何と素晴らしいことなのだろう!PCの電源オン・オフ時やASIOモードとWindows Audioモードの切り替え時にスピーカー等から出るノイズはちょっと大き目で多少不快に感じることもあるけどね。

 何も上手く動かせないカニのマークのASIOドライバー、SoundID ReferenceやDAWをクラッシュさせたり音声出力の遅延時間を増やすばかりのWAVES(以下略)とこれでおさらば!

2021/11/04

小林泉美さんのアルバム6タイトル、再販!

 再販なのか、再販の再販なのか。2021年リマスター版が再販に当たるのか、などと私の頭の中にクエスチョンマークは尽きないが、まあ、ね。

 「何故、今?」という経緯については「もうそういうの止めんてくんないか」感はあるのだが、 小林泉美さんのアルバム6タイトルが今月下旬にあらためてリリースされることは目出度い。特にきっかけがあった訳でもないのに氏の作品や氏自身についてより多くの人に知ってもらいたい、と言う一リスナー、一ファンとしての思いがこの数年私の中で大きくなってきていたので、なんかちょっと嬉しくもある。

 アニメ「うる星やつら」への楽曲提供などがあるためか、同氏の楽曲そのものに触れたことのある人は多いように思う。ただ、氏自身の音楽活動自体や比喩的な意味での「顔」を正確に知る人の数は、楽曲に触れたことのある人の数に比べれば余りに少ないのではないかとも同時に思う。私にしても氏に対する初期の認識は「ポップな楽曲を次々生み出すフェアライトCMI使い」だったが、80年代にレコード漁りをしているうちに「おや、ちょっと違うぞ」となったクチだ。今回再販されるタイトルは、基本的にデビューから「一時的に完全にフェアライト使い」になる直前までの作品群だ。演奏家としてはキーボディストということになるんだろうが、とにかく音の一つ一つが聴いてて疲れてしまうぐらい切っ先鋭く、刺激的な楽曲が少なくない。

 ちなみにフェアライトCMIはサンプラー・シーケンサー機能付きの一種の高級シンセサイザーだ。知っている人は知っている、東海林修氏らによるカバーアルバムシリーズである「デジタルトリップ」シリーズのほぼ唯一の音源であり、映画「フルメタル・ジャケット」のサントラでも使われている。なお某書によれば、「デジタルトリップ」の「デジタル」はスタジオが新規購入した「デジタルレコーダー」から採ったもので、シリーズ自体がこのレコーダーの購入費回収手段として企画されたものだという。突然ながら、映画「トップガン2」予告編冒頭の「ゴーン」というベル系の音は個人的には実にフェアライトCMIの音っぽい。

 フェアライトCMIは「一人オーケストラが可能」と当時言われたが、むしろ作詞・作曲、演奏からプロデュースまで一貫した楽曲製作作業が可能なマルチな才能を持つ人々に、まさにそのように使いこなされた印象が本当に強い。そして小林泉美氏もそんな使いこなしをさらりとこなしてしまった一人だと思う。先に高級シンセサイザーとの表現を使ったが、実際のところフェアライトCMIは音楽制作のためのワークステーションとでも呼ぶべき存在であって、現在において対応するのはDAWなのかも知れないなとふと思う。

 閑話休題。

 今回の再販は6タイトルで、内5タイトルについてはレコードを持っているし、iTunesライブラリにも取り込み済だ。ボーナストラックの多さはちょっとズルいぐらいで所有しているタイトルについても購入を考えてしまうぐらいなのだが、それはさておいても問題は所有していない1タイトルを購入するかどうかだ。現時点でCD以外の媒体でのリリースの情報が無いので、先の大地震以来はCD1枚と言えども持ち物を増やしたく身としてはなかなかに悩ましい。

 あと、個人的には映画「翔んだカップル(1980)」のサントラのデジタル再販を強く希望! 実家にレコードは有る筈なのだが・・・

2021/11/02

メインPC、CPUクーラー交換!(その6・結果的に若干の静音化)

  昨日は都内の病院へ、帰りに2.5インチSSDと"noctua NF-A9 PWM" 92mmファンを購入して帰宅した。前者はメインPCの内蔵ハードディスクドライブ(Dドライブ)の置き換え品、後者はケースファン又はCPU冷却ファンの予備品だ。

 Dドライブとして使ってきた3.5インチハードディスクは出荷時取り付け品なのだが、購入から約1年を経てヘッド動作時にがカンカンとかガキン!とか音を立てるようになった。五月蠅いし音自体に突然死とかするんじゃないかとの不安感も煽られた。既存エントリで触れたようにドライブ自体の振動が大きいのも気になっていたので、静音化も兼ねてDドライブをSSD化しようと考えた訳だ。置き換え自体は何のトラブルも無く、ファイルのコピーやドライブレターの変更に時間や手間がかかっただけ、という印象だ。

 いやぁ、PCから聞こえてくる音は電源からのものも含めてファンノイズだけになりましたね、静か。

 購入したファンは使用中のケースファンと同品なのでまさに予備品だ。一方CPUクーラーのファンは単品では販売されていないので、このファンが不調となった際に備えての代替品の意味もある。

 使用しているCPUクーラー"ID-COOLING SE-914-XT"は極めてコストパフォーマンスが高く、DELL社製PCでもファン周りのエラーを吐かずにきっちり動作する良い品だと思う。が、使い続けていると気になるところが二つぐらい出てくるのは致し方ない。一つ目は最大回転数時に聞こえるブーンといったモーター音、二つ目は回転数増減時に一時的に発生するやはりモーター起因と思われるなんとも表現が難しい音だ。両者とも音量は小さいのだが、普段は風切り音しか聞こえないが故に耳についてしまう。前者の原因の一つはおそらくファンの最大回転数が2200rpmと若干高めなことだろうが、後者の原因は良く分からない。

 そこで、CPUクーラーのファンを"noctua NF-A9 PWM"に代えてみた。知っている人は知っているように、このファンは性能も値段もお高い。noctua社が"ID-COOLING SE-914-XT"と同クラスの自社CPUクーラーに採用しているファンでもあり、最大回転数は2000rpmながら送風量のスペックは"ID-COOLING SE-914-XT"付属のファンと同等となっている。色々期待しちゃいませんか?

 さくっと結果。CPUパッケージ出力175W以下の全領域(実際に使い得る全運転条件範囲にほぼ相当)で見て、CPUパッケージ温度は1~1.5℃上昇、PC全体のファンノイズ(本体正面 30cm)は1~3db低下した。つまり冷却能力は若干下がり、静粛性は若干上がった。ケースカバーさえ閉じてしまえばファンノイズは風切り音のみとなった。

 なんとも微妙な結果となったが、今回は2.5インチSSD導入と併せてPCの静音化を選択、CPUクーラーは"noctua NF-A9 PWM"へ置き換えることにした。とは言え、「ミニタワーケースでCPUを空冷する」という要求に対する"ID-COOLING SE-914-XT"のコストパフォーマンスの高さが改めて確認された形にもなった感じだ。価格だけ見ても、"noctua NF-A9 PWM"×2枚より"ID-COOLING SE-914-XT"×1台の方が安いんだよね。

2021/10/25

最近公開エントリ数が少ない理由

 ネタには事欠かない。下記の内容を除けば、実は健康状態はこの3年間のうちで突出して良い。

 そんな中、流行り病のワクチンの2回目接種から既に1ヵ月以上、終日37℃付近の微熱が続いている。吐き気と目のかすみを伴う。37℃以下ならのぼせたようにぼ~としてしまう。37℃を越えると酷い頭痛を起こし、眠れなかったり夜中に目が醒めたりする。湿疹もイマイチおさまらない。やらないといけないことを終えたら横になって過ごす毎日だ。

 ブログどころじゃない。3DCGアプリもDAWも触るのは無理だ。

 ちなみに同じ症状は1回目接種後にも経験したが、3週間程度ですっかり治まった。私の読んだ報道記事が本当なら、同様の症状が2ヵ月続いた人が日本に少なくとも一人いたことにはなるようだが。

 ちなみに県の副反応相談窓口では、私のそれと同様の症状が2週間を越えて続いたという相談は無いそうだ。接種直後は大した発熱も無く済んでほっとしていたらこの有様だ。相談した医者にも考え込まれてしまったし、市販薬で頭痛には対処できるけど毎日飲むってのも考えモノ・・・。

「ファークライ6」に手を出す気が無くなった理由

  マップ内の地域毎にレベルがある・・・この1点のみが理由だ。

 このような仕様は「アサシンクリード」フランチャイズなどで既に採用されているが、プレイフィールに与える影響は実装方法によってかなり変わる。「アサシンクリード」フランチャイズについては「オリジンズ」までで私は手を引いたが、それは「オリジンズ」でのレベルの実装方法が主要な原因だ。

 フランチャイズでは前作にあたる「ブラザーフッド」での地域のレベル(参考値)は、それぞれの地域を支配している勢力の戦闘力などの強さにほぼ対応していた。凶悪性が高く、好戦的でメンバーがよりタフな勢力が支配する地域のレベルが高いのはそれなりに納得感がある。自キャラのレベルが低い場合には、その地域内で苦戦するどころかとにかく逃げるしかなかったりしたが、逃げるにしても頭を使う必要があったりタイトなタイミングを図りつつ移動しなければならなかったり乗り物を使って強行突破を図ったりとかと、それはそれで面白かった。

 一方、「オリジンズ」では同じ野生動物でも地域のレベルに合わせてタフさが変わり、かつレベルによるタフさ加減の変化幅が大きかった。このため自キャラのレベルが低いと、その地域に入った途端に野生動物やモブNPCに瞬殺された。これではレベル上げ無しで相対的にレベルの高い地域に入ることは実質的に不可能で、プレイヤーの行動の自由を著しく制限する。進行に一本道感が出てくるため、こいつは本当に面白くない。特に野生動物やモブNPCのタフさが地域によって大きく変わる仕様には本当に首を傾げたし、それは今も変わらない。

 「ファークライ3」~「ファークライ5」も 、スキルの効率的な獲得などといった観点からならば最適な地域の攻め順はあった。が、さすがに地域境界を越えた途端にモブに瞬殺されるようなことはほぼ無かったので、一本道感は感じなかった。ただし、「ファークライ5」では「自キャラが拉致されるイベント」の発生処理が雑過ぎたので、そちらで一本道感が出てしまったのは本当にしょーもなかった。マップ上での自キャラの選択とほぼ無関係に発生する拉致イベントの「マップなんていらんやん」感には本当に呆れ果てた。

 実のところ、「ファークライ6」での所謂「地域毎のレベルの実装」が具体的にどのようなものかは確認していない。それでも「地域毎のレベルの実装」そのものへの一種の嫌悪感は拭えず、そような仕様であることを知った時点で手を出すことは止めた。まぁ、その後に知った他の仕様でその意は益々強くなっちゃったんですけどね。

 オープンワールドと言うならば、「ゴーストリコン ワイルドランズ」や「サイバーパンク2077」ぐらいの行動の自由度の高さは欲しい。殊に「サイバーパンク2077」は、自キャラのレベルが相応しいものまで上がっていれば3分で終わるようなイベント戦闘を、低いレベルの段階で2~3時間かけて終わらせるなんてこともできた。自キャラの育て方を考えると、そういうプレイをした方が結局のところ効率的と思えた場合もあった訳だ。されど「ゴーストリコン」フランチャイズも「サイバーパンク2077」自体も今や瀕死なのはなんとも・・・。

2021/10/09

メインPC、CPUクーラー交換!(その5・悲しいお知らせ)

 既存エントリに記載した通り、私のメインPCであるDELL XPS 8940(Intel Core i7-10700)はCPUクーラーとリアケースファンの変更で性能的に別物になった、と言うか本来有るべき姿にかなり近づいた。が、上手くいったらいったで更に欲が出てしまう。

上のグラフは、3つの条件でのCPUパッケージ出力とCPUパッケージ温度との関係だ。横軸のCPU出力が大きいほどCPUクロックが高くなるため、引き出されているCPU性能も高いと考えてもらって良い。私のi7-10700個体は約175Wで全コアのクロックが最大値に達し、いわば100%の性能を発揮している状態になる。

 さて、グラフ中に紺色で示すのが出荷時構成での関係で、CPU出力が85W程度でCPUパッケージ温度は80℃を越え、CPU出力が105W程度で100℃に達する。実のところこれは余り望ましくない高温条件であり、出荷時のCPUクーラーの冷却力不足が原因なのは明らかだ。

 一般にCPUパッケージの制限温度は二つあり、一つはCPUのヒートスプレッダの性能低下が回避できる温度(ケース温度)、もう一つがCPUの結線部分が痛まない温度(ジャンクション温度)だ。ヒートスプレッダはCPUの除熱を担う部品だから、この部品の性能低下はCPU温度の上昇を招き、CPU寿命を短くする要因となり得る。Intel CPUならば前者はCPU型番によるバラツキはあるがおおむね72℃、後者は製造方法で決まるのでCPU型番に依らず100℃となる。Intel CPUの出力はジャンクション温度を越えない温度範囲内で出力などが制御されるので、CPUの最大出力(≒最大性能)はジャンクション温度未満で実現できる最大CPU出力で決まる。

 このため、出荷時構成での最大CPU出力はCPUパッケージ温度がジャンクション温度である100℃に達する105W程度となる。i7-10700が最高クロックで動くために必要なCPU出力は約175Wなので、出荷時構成のDELL XPS 8940ではCPUの能力を生かしきれないことになる。また容易にCPUパッケージがケース温度を越え、その状態が維持されるため、CPU劣化が加速する可能性も高い。故のCPUクーラーの交換だった。

 赤色がCPUクーラーとリアケースファン交換後、かつPCケースのカバー閉止時のCPU出力とCPUパッケージ温度との関係だ。CPUパッケージ温度90℃、すなわちジャンクション温度よりも低い温度で約175Wを達成できており、(ケース温度である72℃以上を許容すれば)CPU性能を100%発揮できるようになった。またリアケースファンの交換(80mmから92mm)によりファンノイズも低減できた。ここまでは奇跡的なまでに上手くいったと言って良い。

 で、欲に繋がるのが緑色で示した関係だ。これは赤色で示した構成のまま、PCケースのヵバーを開放した場合のCPU出力とCPUパッケージ温度との関係だ。一般的にカースカバーを開放するとCPUパッケージ温度が5℃程度下がると耳にしていたが、まさにそのような結果(4~6℃)となった。別の見方をすると、ケース内の空気の流れの向きや量(エアフロー)を良くできれば、同じCPUクーラーのままでカバー閉止時のCPUパッケージ温度を数℃は下げられる可能性があると言うことだ。

 良く使われる手は、PCケースへの外気の吸入や内部空気の外気への排出のためのケースファンを追加したり、大容量化することだ。DELL XPS 8940はリア(背面)に排出用ケースファンを1つ持つだけなので、フロントに吸入用ケースファンを単純に追加してみた。使用したケースファンはnoctua NF-A12 PWMで、取り付け位置は下の写真中の「移動前」の3.5インチHDDの位置だ。話が前後するが、写真は右側がフロント、左側がリアになる。

 結論を書いてしまおう。いったんケースファンを追加したものの、CPU温度の実効的な低下が見られず、その癖PC全体のファンノイズが嫌な感じで増えたため、早々に取り外してしまった。下のグラフはフロントケースファンが無い場合とある場合のCPU出力とCPUパッケージ温度の関係だ。フロントケースファンを追加すると(紺色で表示)、むしろCPUパッケージ温度が(1℃程度とは言え)上昇した条件すらある。これはかなり残念な結果だ。

とは言えケースファン追加の効果が皆無かと言うとさも非ず、3.5インチHDDの温度は40℃→35℃と5℃程度低下した。ここまでなら追加したケースファンは残しただろうが、なんとも悪い塩梅にファンノイズが増加してしまった。

 下のグラフはとあるiOSアプリで測定したCPU出力に対するノイズレベルの変化だ。測定位置はPC本体の真正面、距離30cmである。ちなみにPC操作者は、PC本体の真正面から斜め45°方向、距離約90cmの位置に居る。

 ここは個人的な感覚に強く依存した話になってしまうのだが、ノイズレベルが45dbを越える辺りから急にノイズが不快に感じられるようになる。グラフ中の紺色で示すように、フロントケースファンを追加すると、CPU出力100W以上でノイズレベルが45dbを越えてしまう。そして、これに私が耐えられなかったのだ。いやぁ、音を聴いていると何か気持ち悪くなるんですよ。
 
 かくして、更なる、とは言っても良くて2~3℃に過ぎないのだが、CPUパッケージ温度の低下を狙ったフロントケースファンの追加は完全な失敗と言う悲しい結果に終わったのだった、無念。

2021/09/25

「平時」ではない

 昨日実家に電話をし、母親と少し話し込んだ。

 「他者の考えを聞いたうえで自分で判断せよ、判断に足らない情報は自分で集めよ、自分のことは自分で決めよ」が暗黙の家訓みたいな家族なので、新型コロナワクチンを接種するかどうかの判断から接種の手続きまで父母ですら別々だった。だからと言って家族としてバラバラかというとそんなことは無く、むしろ情報交換・コミュニケーションを極めて重視する傾向にある。ただ「自分のことは自分で決めよ」とのスタンスの当然の帰結として、私も含めて皆明らかに頑固者の部類にはなる。と同時に、例えばTV報道内の「(無味乾燥な)事実」の部分とコメンテーターとか言う怪しい存在が口にする「コメント」の部分を分離できるぐらいの情報リテラシーは当然備えている。それが事実ならば「私には分からん」「私は知らん」を平気で口にできる、弱音も吐ける。イデオロギー、権威主義と自分を守るためだけのプライドは家族の中にあっては一切無用だ。

 さて、 

新型コロナ禍については「早く治療ベースの対策フェーズに移行できると良いね」と言う辺りは私と母の共通認識ではあったのだが、ブースター・ワクチンの可否の話などを含めて細かいところでイマイチ話が噛み合わなかった。理由は単純だった。母は良くも悪くも現状に慣れてしまったところがあり、将来の状況を現状の延長で考えている節が明らかにあった。私の認識は「現在は非常時」、少なくとも「平時ではない」なので、そりゃ話が噛まないところが出てくるのは当然だ。

 ワクチンが無料で接種できる、少なくともブースター(3回目接種)までは無料のようだ・・・は「平時ではない」から国が面倒を見てくれているに他ならない(まぁ税金の使い方としては悪くない)、と言うのが私の認識だ。だから新型ワクチンや治療薬と言った実効性ある対策の選択肢が出そろうにつれて国は面倒をみてくれなくなっていく・・・無料から一部補助、そして補助無しへと「平時」へと歩を進めることになる。私にとってはこれは当然の展開なのだが、私の母も含め、その辺りの可能性に未だ思いが至っていない人も多いのではないかと思う。なので「治療薬が一般化したとして、その治療が無料で受けられると思う?新薬は高いよ?」との私の言葉を聞いて、電話の向こうの母が一瞬絶句したのも頷ける。色々気づいちゃった訳だ。

 薬を売る側はそんなことは分かっている。例えば新型コロナとインフルエンザの混合ワクチンといった付加価値の高いワクチンの開発には、「平時において客から選ばれる、競争力のある製品となり得る」ことも重要なドライブ因子となっている筈だ。ここで客は国ではない、個人だ。

 現時点でまず間違いないのは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ製ワクチンについては接種対象となる全ての人に対して(ブースターとなる)3接種目までは国によって(税金で)面倒を見てもらえるだろうことだ。これは接種が無料であるだけでなく、ワクチンの調達・保管・流通・接種体制の構築及び維持も含む。

 私の記憶に間違いなければ、1・2回目接種分のモデルナ製ワクチンの調達は9月納品分で終了する。ファイザーも年内に調達は終了する。以降の調達分はブースター分であって、1・2回目分ではない。つまり、未だワクチン接種を考えていない人のための1・2回目用ワクチンはいずれ期限切れで廃棄され、ワクチンの保管・流通・接種体制の構築及び維持はブースター専用となる。だいたいこのくらいのタイミングで接種券の有効期限が切れるのではないかと思う。2月と言うのは絶妙だ。

 当然、1・2回目の接種をしていない人はブースター接種の対象者にはなれないから、将来的な国によるブースター接種を受けるためには自腹(?)で早期に1・2回目の接種を受けなければならない。廃棄される、或いは緊急性を有する他国に無償供与されることになるかもしれないワクチンには、最初から接種する考えの無い人やその時点まで「様子見」して結局接種しなかった人の分も含まれている(=税金で購入されている)。何らかのセーフティネット的なものは用意されるかもしれないが、以降の1・2回目接種への税金の再投入は、(官僚的な)公平性の観点からは有り得ない。

 調達ルートが変わればワクチンの価格も変わるだろう。もちろん、競争原理により安くなる可能性もある訳だが、さすがに無料にはならない。新型ワクチンや国産ワクチンへの国からの何らかのインセンティブはあるかもしれないが、そこにも接種者に対しては「公平性」が介在することは避けられない。この辺りは流動的だが、そもそものノババックス製ワクチン調達は来年用だった筈だ。来年のノババックス製ワクチン接種が無料(税金)は筋が通り得るが、今年はどうか。筋論としては「税金による無料接種」は有り得ない。例外は、体質的な要因などにより既存のワクチンが接種できないがノババックス製なら接種可能な人ぐらいだろう。

 制度運用における「非常時」か「平時」かは人が決める。「明後日零時をもって平時とする」みたいな時がいずれ来る、来ないと困る。 ただその切替タイミング以降、それまで無料だったものが有料になったり、それまでワクチン接種者が毎日訪れていた場所が空っぽになったりする筈だ。ワクチン接種などに慎重なのは結構だが、その時になって慌てるようでは唯の無定見、ある意味では負け組だ。

 とまぁいった具合に、電話での母との意識のすり合わせはできたのだが、皆さんはどうだろうか。 別エントリにも書いた我が家の合言葉である「罹ったら負け」は、「非常時」「平時」を問わない。

2021/09/17

野党が無能だとこうなる(かもしれない)

 真偽の程は確かではないのだが、とあるYouTuberによれば自民党への入党申請者が直近で増えているらしい。私と同じような考えに至った人が増えてきたのかな、と思ったり思わなかったり。

 まぁ現行政体の一部否定とはなるのだが、事実上野党が存在しない現代日本においては避けがたい状況の出来と言える。かつて野党の機能も果たしていた自民党内の派閥は、その種の機能を失って久しい。

 ちょっと考えてみて。

  • 現行、政権担当能力があるのは自民党だけである。
  • 現行、内閣総理大臣には自民党党首が就任する。 

ならば、

  • 自民党の党首選は、自民党員にとってみれば内閣総理大臣の指名選挙も同然である。
  • 君も自民党員になって、実質的な内閣総理大臣直接選挙に参加しないか!! 日本を諦めるな!!国政選挙だけが君の意思の表現の機会じゃないよ!!

ん~、どこか間違っているかなぁ? 逆用されると、それはそれで怖いけどね。

2021/09/16

モデルナ接種2回目

  エントリタイトル通りに昨日に2回目を接種、もう良い年だからと高をくくっていたら予想以上に副反応が出て笑う、つーかじわじわときつい。予約に年齢制限の無い集団接種だったのもあり、私の前後6人ほどの接種者は明らかに男女の中学生だった。若い方が副反応が激しそうだと思うと、ちょっと複雑な気分になる。代償とは言わないけれど、ワクチン接種によって今後彼らが新型コロナやそれ以外の色々なものから守られ、多少なりとも制限の少ない生活を送れることを心から祈るばかりだ。受験生だっているだろうし、集団スポーツをやってる人もいるだろう。

 モデルナで2回目と言うこともあってか、会場では何度か「解熱剤などは用意されてますか」とそのものズバリ聞かれたし、1回目での副反応についても診断で聞かれた(聞き取り結果記入用のやや急造っぽい書類もあった)。接種する側もやはり副反応について気にしている様が伺えた。

 で具体的な副反応だが、就寝から約2時間経った午前1:30に急に目が覚めたところでそれらしい症状に襲われていることに気づいた。接種(午前11:30ごろ)から約12時間後+αからとなる。ただ寝付きが明らかに悪くて怪訝に思っていたので、軽度の症状は就寝時に出ていたのかもしれない。症状は鼻づまり(鼻水)と発熱(その時は37.8℃)だ。早速用意していた頭痛薬(エスエス製薬 EVE Quick DX)を飲んでなんとか午前6:00ごろまで寝ることができた。7:00までは寝たい人なので、寝不足感は否めない。当然本日は完全なオフだ。

 起床時には鼻づまりは治まっていたが、微熱(37.2℃)は残っていた・・・と言うか、これを書いている午後8:00に至っても相変わらず37.2℃程度の微熱と眉間当たりの頭痛は続いている。接種1回目でも微熱は出たが、接種翌日の夕方の2時間程度と短時間だったから、副反応としての症状は強くなっていると言える。水分摂取量(主にアクエリアス)は通常の2倍程度かな。明日にはおさまっていれば良いんだけどね。

 1回目接種時の副反応(?)の一つとして食欲増進があったが、今回はそれは(未だ?)出ていない。食欲増進と其れに伴うウェストの増加についての話は接種担当医と看護師(ともに私より十分に若い女性)と馬鹿話的に軽く盛り上がったが、看護師の「何Kg太ったんですか」とか「また太りますねぇ」といったストレートなもの言いは・・・まぁいいけどさぁ、爺さん弄り上手過ぎ。

(追記:9/17 17:30)微熱(37.1℃)発生、急激に気分が悪くなる・・・吐きそう。
(追記:9/18 18:00)微熱(37.2℃)が2日間にわたって継続中・・・吐きそう。
(追記:9/20 16:00)結局9/19 20:30ごろまで微熱(37.2℃)と吐き気継続。大体終わりっぽいかな。

2021/09/12

メインPC、CPUクーラー交換!(その4・アフターサーヴィス)

 約1年間に購入したDELL XPS 8940(Intel Core i7-10700)のCPU冷却性能向上及び静音化作業に一区切りがついた。そもそものは6月、たまたま調べたCPU温度の余りの高さに驚いたことから始まった話だ。

 CPUの最高出力を制限することでなんとか誤魔化そうとするところから始まり、色々調べた結果として根本的な対策が必要と判断し、CPUクーラーとケースファンの交換にまで至った。おかげで実効的に使えるCPUパワーの大幅な向上と、静音化が実現できた。ただこの根底には、「そもそもDELL XPS 8940の熱設計が余りに酷い」という悲しい現実がある。海外(≒米国)ではこの問題は多数の個人、メディアのレビューでボッコボコなまでに叩かれており、ほぼ一般知化していると言えるが、同時に参考となる具体的な対策の情報にも事欠かないところがミソだ。また、ことXPS 8940(及びゲーミング用PCバリアントのG5)に関しては流通数が少なくないこともあってか、パーツメーカーが自社製品のマーケティングに陽に(=案件)陰に(=ステマ)に利用している節もある。

 私の見たところ、日米のユーザーのメーカーPCとの付き合い方には結構違いがある。ざっくり言ってしまえば、日本でメーカーPCを買うような人間は製品に多少問題があってもそれに気付かないか、気付いても部品交換までやろうとはしない傾向が強い。またメーカーPCを購入する層と自作派層との間には、「しゃべる言葉が違う」レベルの距離が日本ではある。一方米国はメーカーPCだろうが問題や改善の余地があれば徹底的に弄り、SNSで情報発信したりもする。それは弄り代の少ないDELL製品であっても同様だ。特定のメーカーPCの改良でしか使えない特殊部品の3Dプリンタ用データが無料で利用できるCreative Commons下で公開されている状況からもそれは明らかのように見える。このような状況は日本文化にはほぼ根付いていないハッカー文化の発露にも思える。ガレージでダクトテープを使って・・・といった感じの「改造は日常」というDIY文化の延長だ。

 CPUクーラーの選定には価格.comの日本人の書いたレビューを参考としたが、今回は見送った対策を含めてそれ以外の対策は主に米国人の手になるYouTube動画を参考とした。動画の良さは、英語が聞き取れなくとも画を観ていれば必要な情報が手に入る点だ。

 ただ、少なくともYouTube動画に限ってみれば、PC用パーツのレビューの内容の充実具合や役立ち度は日本人の手になるものが突出して高い。海外、時に米国人によるものは結構淡白で、「使ってみたよ」「ちゃんと取り付けられたよ」「ちゃんと動いたよ」辺りで終わってしまうものが多い。ジャンク品主体のネタ動画ですら定番ベンチマークプログラムを一通り回してしまいがちな日本人自作erってのは世界的に見れば特殊で、愛すべき存在じゃないかと正直思う。

 さて、きっかけから作業終了までの関連エントリは以下だ。

これらに記載した内容と、3.5インチHDDの取り付け位置変更がやった作業の全てだ。

 後で写真も示すが、出荷時の3.5インチHDDの取り付け位置はフロントパネルの裏側の専用ベイで、ケースの空気流入口の一部を塞いでいる。これをケース天井に沿ったもう一ヶ所の3.5インチHDD専用ベイへ移動することで、ケースへの空気流入がよりスムースにできる可能性があった。結果から言うと、ケースファンの騒音が僅かだが明らかに低減した。理由の説明は長くなるので省くが、「力づくで風量を確保する用途には向かない」この種のファンでは、上流側の流れの抵抗が小さい方がファンの駆動系への負荷が下がって静音化し易い。

 換気扇は屋外の風が強いとファン自体は逆回転しなくても短期的に逆流が発生し、時にファンの回転が遅くなったり止まったりする。このような状況下でファンを駆動するモーター軸には逆回転方向の強い負荷がかかっているのは間違いなく、モーターが異音を発したり振動したりする原因となる。HDDの移動は、これとは逆の状況を作る効果を多少なりとも生み出したようだ、きっと、おそらく、多分。

 では手を入れる前の状態の写真・・・と言いたいところだが、当然のように撮影なんかしていなかったので 「パソコン徹底比較購入ガイド」さんのXPS 8940のレビューページから無断引用させて頂く。撮影範囲はケース内の上側3/5ぐらいで、撮影範囲の最下部の水平の基板がグラフィックボード、写真外のその更に下に電源がある。

 写真の上下は実際の上下と一致しており、右側がフロントになる。写真右端の箱状部分が使用中の3.5インチHDDベイで、写真右上の横に細長い口を開いた金属箱部分が未使用の3.5インチHDDベイだ。また、写真左上の空きベイは2.5インチHDD用だ。写真中央がCPUクーラーのファン、写真左側のファンがケースファンだ。

 で、現在の状態が下の写真だ。

3.5インチHDDの移動によって新規CPUクーラーのファンの正面、メモリの空気入口側の空間がより広くなり、メモリの冷却は良くなっていそうだ。他方、写真ではCPUクーラーのすぐ下に位置するSSD(マザーボード基板高さ)の冷却が現状で十分かはイマイチ分からない。モニターしている温度を見る限りは問題無さそうだが、ヒートシンクぐらいは正直付けたくなっている。なお3.5インチHDDの移動によるCPU温度低下は70℃付近で1℃程度と無視できるレベルだ。

 下の別アングルの写真を見ると、CPUクーラーのファン、CPUクーラーのヒートシンク、ケースファンがほぼ同軸の一直線上に並んでいることが分かる。両ファンとも最大風量は約45CFNと同等なので綺麗なエアフロー形成が期待できそうだが、ケース閉止時にはヒートシンクとケースファンの間辺りだけ局所的にケース表面が温かくなるので、ケースファン上流側では大き目の安定した循環流ができているかも知れない。

 騒音だが、ここではiOSアプリで測定したデシベル値(単位はdb)を参考として示す。校正した値ではないので絶対値の正確度は不明だが、大小関係は信用できるだろう。

  • 部屋のバックグラウンド:14~21db
  • ダイソン ホット・アンド・クール(送風のみ・送風量1及び5、側面・距離30cm):32~37db及び41~45db
  • XPS 8940(ターボブースト出力無制限・100%出力時、正面・距離30cm):41~43db
  • パナソニック 電子レンジ(500W、正面・距離30cm):48~50db

別エントリで既に述べているが、一連の対策で騒音は(安いのであまり静かではなさそうな)電子レンジの作動音よりも低く抑えられたようだ。なお、40~45dbはオフィスでの会話レベルだそうだ。

 最後に解決済だが想定外だった騒音について記しておく。それはケースのビリビリいう共振だ。振動源はファンではなく取り付け位置を変更した3.5インチHDDで、マウンタをケース(シャーシ)に固定する2本のネジのうち1本の締め付けが緩んだことが原因で上手くない振動を発生してしまっていたようだ。このため、緩んだネジを締め直すことでケースの振動はあっさり消えた。

 ミニタワーとはいえペラペラした凹凸の無い華奢なケースとの印象を持っていたので、原因が分かった際には正直さもありなんとは思った。昔のフルタワーのXPSでは「XPSロゴ」でケース側壁に凹凸(タブ)を設けたりして、剛性を向上したり共振周波数を高くしていたものだが・・・この辺りも改善の余地がある安さの秘密なのかもしれない。

p.s.:現在の私の構成では、DELL社のファームウェアレベルの構成機器チェックでケースファンが「互換性が無い」と判定されるが、使用においては問題無さそうだ。とあるYouTube動画中でも、同じファンに交換した人が同様の事例を報告している(と言うか、ファン交換作業の動画末に、そのディスプレイ画面をノーコメント・長回しで大写しで挿入)。「互換性が無い」と判断された場合は、機器名や問題の内容が二次元バーコード付きでディスプレイに表示される。ここで鳴らされるのはビープ音といった警告系の音ではなく、キーボードの様々なランプの点滅と同期した小音量の音楽なのが和みポイント(?)だ。