自宅アパートのインターネット接続でIPv6 IPoEが利用可能となった。fast.comなどの速度計測結果からは+5~20%は固そうだ。とある方法を使うと+50%ぐらい(≒300Mbps)までは行けそうに見える計測結果も得られるのだが、光回線マンションタイプの設備は上限速度200Mbps(8戸、平均25Mbps/戸・・・)なので、アパート内回線を独占して使えそうな早朝などにfast.comで速度計測をしてもIPv6 IPoE化以前と同様に速度上限+アルファの250Mbps辺りを叩くだけで終わってしまう。
光回線側の制限または限界(より厳密には複数ユーザによる200Mbpsというもはや全然大きくない*通信帯域の奪い合い)による通信速度のボトルネックの大きさがPPPoEのそれよりも大きい環境という時点で、IPv6 IPoE化(≒PPPoEのボトルネック解消)がユーザエクスペリエンスに与えるインパクトがほぼゼロなのは最初から明らかだ。「でも私が知らない事があったりして、何か変わっちゃわないかな・・・」という期待はしてしまっていた。
*:ネットサーフィン(<2Mbps、バナー広告の通信量が結構馬鹿にならなかった)、Youtube フルHD30fps(<5Mbps)の時代ならともかく、Netflix 4K60fps(≒24~32Mbps)の時代に1ユーザ当たり25Mbpsは大きな通信帯域幅とは言えないだろう。Googleなどインターネットをインフラとして使っている企業への課税の議論の背景の一つに「インフラただ乗り論」があるが、これは「回線の高速化を強いるサービスで儲けている企業から、回線というインフラを整備する企業への金の流れが無い」という現状の反映に私には見える。例えばNTT、結構経営辛いよね。
さて、問題は実効的な速度向上の有無だ。「実効的」の何が厳しいかって言うと、「混雑時間帯」で速度向上や混雑緩和が「体感」できなければならないからだ。結論から言えば、「私の使用環境下では実効的な速度向上は全く見えていない」。そもそも「混雑時間帯のイライラの主因であるアパート内での帯域200Mbpsの奪い合い」の状況はそのままに、プロバイダサイドで実施しているエリア単位、ユーザー単位の動的帯域制限も受けている。特に帯域拡大(速度向上)をしておきながら帯域制限値(使用帯域上限値)は変更されていないようなので、その場合はIPv6 IPoE化による帯域拡大(速度向上)の効果は完全にスポイルされていることになる。
が、以前のエントリで述べた通り、光回線マンションタイプなんていう「安かろう、悪くなかろう」なサービスを利用し、周囲エリアにはPPPoEユーザも多数存在する状況下では、上記のような状況の発生は必然でしかない。ちなみにIPv6 IPoE化に伴うユーザのコスト(時間、費用、作業)と言えば、光回線の屋内設置装置とその接続機器の電源を6分間落としたことぐらいだ。
んじゃぁユーザにとって期待される利点、価値は何か、となると、「混雑時間帯以外」の帯域拡大(高速化)しかない。単純に考えると「リモートワーク民大勝利!」なのだが、実際にリモートワークをしている人なら分かるように、通信速度よりも相手側コンピュータ(サーバー)のレスポンスの悪さにイライラさせられることが多くはないだろうか。と言う訳で、現状の私の環境ではIPv6 IPoE化の利点がイマイチ見えないのが実態だ。IpoV6でサービスインしているNetflixやアマゾンプライムビデオのユーザーなら、きっと恩恵は大きいだろうなぁ・・・
実のところ、現在のアパート入居~2017年まではメタル、光回線と戸別契約してきた。つまり独占使用できるADSL回線やVDSL回線を確保し続けてきた訳だ。が、2015年に光回線マンションタイプが導入されると、光回線事業者から「光回線のマンションタイプに契約変更してください」との封書や電話が相次ぐようになった。しかし、趣味関連のデータ転送量の多さ(3Dモデルデータや非圧縮の動画や音楽データ)から独占使用できる回線は手放し難く、契約変更まで約2年粘った。「マンションタイプに契約変更してください」と連絡してくる会社も本体から明らかな子会社、孫会社っぽい社名の会社、何か交渉専門っぽい会社と変化し、連絡内容も「お願い」から宥めすかすようなものに変化し、最後は脅しっぽい表現や明らかな嘘も含むものとなった。「契約変更します」と連絡した翌日にはさっそく本体から「・・・、有難うございます。つきましては・・・」な柔らかい感じの封書が届いたのはさすがに笑った。
ちなみに私の住むアパートの通信機器スペースの少なくない領域が、既存の光回線を利用した複数社のWiFiルータに埋め尽くされている。電源もWiFiサービス会社毎で用意されているので、機器類による占有空間は馬鹿にならない。ちなみに私がマンションタイプ移行を「お願い」された背景には、その時点でもう新規機器の追加スペースが無くなってしまったこともあったらしい。何れにしても通信機器スペースは今だきっつきっつで、新規光回線事業者にとっては事実上の参入障壁となっている。まぁ、それ以前に大抵の光回線事業者のサービス提供範囲外なんですけどね。
IPv6 IPoEはまぁ速い、が、その利点を実効的に(≒体感できるレベルで)享受するには戸別契約の光回線など、広帯域かつ独占使用できる回線の使用が大前提に思える。「今でも光回線を個別契約したままだったら・・・」と思わず考えてしまわざるを得ない。