2021/03/13

マイバックはお気持ちであってもやはり不合理っぽい

 スーパーへの買い物時には、20年以上前購入したORTLIEBのシティバックを使っている。バイカー用の23リットル防水バックパックで、現在の商品ラインナップのヴェロシティの直系のご先祖様となろう。かれこれ22~23年物、東京都内を自転車で走っていた若いころの名残だ。ちなみに現在のベロシティ、額面で半額近く安くなってるけど頑丈さは以前のままかな?

 スーパーには徒歩で行っているが、まぁ、歳も取ってきてるし、体調不良でふらつくこともあるから、両手が空く背負い型がやっぱり良い。お米10kg袋も大抵入るぞ。

 ただこのシティバッグ、決して「マイバッグ」やその代用品ではない。

 このバッグに折りたたみ傘と、コンビニ買い物時に買ったレジ袋を1枚入れている。冷凍食品や総菜類はレジ袋にまとめた上で、シティバッグにしまう。シティバッグは頑丈さは織り込み済みだし、防水なので洗うのも楽だ。23リットルの容量は、1週間分の食材+アルファにはちょうど良い大きさだ。 

 レジ袋はコンビニでの買い物時、スーパーへの買い物時、部屋のゴミ箱用のゴミ袋の役割をそれぞれ1回果たしてから、自治体指定の可燃物用ゴミ袋の中に放り込まれてゴミ処理車に回収される。ごみ焼却施設は、レジ袋が存在することを前提とした高温対応だった筈である。つまり、設計・建設時に想定した量のレジ袋が入っていないと、燃焼効率が悪くなったり、窒素酸化物などの有害物質量が増える可能性(高温を利用して、生成された有害物質を際分解することが多い)が増える。もしそうなら、明らかに環境に対しては悪影響だ。

 10年以上前、会社の同僚が仕事で炭酸ガス排出量に関する調査をした。その同僚の出した結論の一つが、「マイバッグは炭酸ガス排出量低減の観点からはマイナスである」と言うものであった。

 当時は100円ショップ全盛期であり、安いマイバッグが多く出回っていた。問題はその大部分が中国製で、2日に1回使用では1年と持たない強度しかなかったことだ。レジ袋は石油由来だが、ほぼ他の用途の無い「残り成分」を使う。更に少なくとも国内消費の大部分が日本製であり、製造時などの炭酸ガス排出量が「日本の法律に定めるところの値」を下回っていることを期待して良いだろう。一方、中国製マイバッグ製造時の炭酸ガス排出量は、残念ながら「中国の法律に定めるところの値」よりも高い可能性を残す。ただし、可燃物として処理した場合の炭酸ガス排出量は国内基準で評価して良いだろう。

 さて、件の調査の実施時点での結論をざっくり書くと、製造時の炭酸ガス排出量は「各国の法律の定めるところの値」ベースで計算すると、中国製マイバッグ1枚に対して日本製レジ袋200枚程度となった。当時の私は週レジ袋2枚ペースで買い物をしていたので年間のレジ袋使用量は約100枚となり、中国製マイバッグは2年使えないとむしろ環境に悪い結果となった。更にOECD調査などを信じれば、中国での炭酸ガス排出量は「中国の法律に定めるところの値」よりも一桁大きい公算が高く、となればマイバッグの使用推進はむしろ環境破壊の推進となる。故に、少なくとも中国製のエコバッグとやらをマイバッグとして使おうなんて微塵も考えたことは無い。

 レジ袋を使った方がエコだからだ。

 ちなみに中国の一つの特徴として「法律の内容は世界水準だが、実際には守られていない」と言うものがある。現在、中華人民共和国の炭酸ガス排出量は全世界の約30%を占めるが、この値はあくまで公称値であり、「中国の法律に定めるところの値」をベースに計算されたものである可能性も指摘しておく。

 さて時代は下ってレジ袋は有料化されたが、某報道によると使用量は逆に増えたらしい 。レジ袋使用量の増加自体は公平に言って喜べないが、報道自体はざっくりしたもので「使用量」が「枚数」なのか「重量」なのかも分からない。まとめサイトに目を通すと、「レジ袋有料化を機会に買い物量が減ったのでより小さいレジ袋を選ぶようになった」なんて記述もあったのだが、結局のところ買い物回数が増加していれば「使用枚数」はむしろ増えたことになる。ただ、使用レジ袋の「重量」が増えたかは分からない。

 結局のところ、「減らす」なんて漠然なことしか言わないままで実施、という手順での政策は、「意味があったのか?実効性はあったのか?」の評価もできないまま辞めることも強化していくこともできないという意味で百害あって一利もない。もちろん本来の意味でのセクスィさは一片も備えていない。評価ができないというのは、「法律に定めるところの値」がありながらそれを守っていない状態以下である。環境左派の多くの人間の目の死に具合からは、その後方にある某生体器官の働き具合や使い方具合でも反映しているのかななどと妄想させるだけの何かがある。

 なお上述のように私はコンビニでレジ袋を購入しているが、それは最大サイズ級が必要な場合だけだ。小さいレジ袋に収まるような買い物量ならば、その時点で使っている鞄に入れるか、商品むき出しで手持ちとする。まぁ、そう言うことが可能なコンビニの使い方をしているということだ。

 私は「レジ袋の使用量を減らす派」ではなく「不要なレジ袋使用は無くす(0とする)派」だと思っていただけると幸いだ。本来「エコ」をうたう商品の流通を許すなら、やはり定量的な指標が必要なのだが、類似品を並べて「どっちがよりエコなの?」と問うても、その答えを出す表示類やその基準が現時点では無いのが実態だ。この辺り、ちょっと闇がある風なんですよ。産地表示義務があってもあの手この手を使っての産地偽装が絶えないように、付加価値に関する表示の扱いはやっかいなんですよ。「数字」にならざるを得ないのでね、ごまかす気満々な勢力がいる限り・・・

 最後に、「自分はそんなに頭が固い方ではないと思っていたのだが、決してそうではないのだな」と痛感したことがつい最近あったので最後に触れる。と言うより、このことが本エントリを書くことになった理由である。

 とあるまとめサイトの一文に思わず唸った。その内容は「1000円のマイバッグを買うぐらいなら、(1枚3円の)レジ袋を333枚買う。どうせゴミ袋は買わなければならないのだから、レジ袋を再利用した方が安い」と言うもので、要は「その方が金がかからないじゃん」と言っているだけだ。だが、「その方が金がかからないじゃん」という結論に繋がるような思考を炭酸ガス排出量ばっかり気にして全く放り出していた自分にちょっとがっかりしてしまったのだ。結構ショックなんよ、こういうの。ただ幸いにして、「その方が金がかからないじゃん」という道は「その方が炭酸ガス排出量が少ないじゃん、エコじゃん」とほぼ軌を一にしているのである。

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