本日昼前に自宅の「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続がサービスインした。3/13の「IPoE IPv6」接続のサービスインから24日、3週間ちょっとのラグを経て、紛れもない「IPoE」接続が提供されたことになる。
サービスインに気づいた経緯は以下のような間抜けなものだ。
現在自宅ではメインPCとネットワーク状況監視・分散3DCGレンダリング用のサブPCの2台を運用中で、特に後者は24時間稼働中だ。そして後者の主要操作や監視にはChromeリモートを使っている。つまり、メインPCの画面に取ってきたサブPCの画面を見ながら、メインPCのキーボード及びマウスを使ってサブPCも操作している。リモート操作自体は便利なのだが、うっかりさんな私はサブPCをシャットダウンするつもりでメインPCをシャットダウンしてしまうことがある。そして昼前にそれをやってしまったのだ。幸いにして失ったデータは無かった。
改めてメインPCを起動した訳だが、例えばまずメーラーを起動するとか、起動時特有のルーチン化した作業というのがあるものだ。で、そんなルーチン化した作業の中に、プロバイダが用意している接続状況確認のページへのアクセスがあった・・・と言う流れで「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続のサービスインに気づくこととなった。なお、メインPCは毎朝7時前後に起動している。会社の特定のサービスに毎日アクセスする必要があるからだ。そして本日7時過ぎの段階では、「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続は未だサービスインしていなかった。
「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続は速いか、と言えば当然速い。みんそくの測定結果は、「PPPoE IPv4」での下り約150Mbpsから下り約800Mbpsにまで増大した。何のことは無い、「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続の速度は基本的に「IPoE IPv6」接続の速度となるのが道理だ。ただ実際のところ、IPv4接続サービスへの不満は2、3日に1日ペースで混雑時間帯に発生しているIPv4接続だけの通信速度の異常な低下だ。別エントリで書いているように、実効1Mbpsも出ないではニュース記事も読めないし、メーラーのサーバー接続は確実にタイムアウトする。本件に関してはカスタマーサポートも暖簾に腕押しかつピント外れで全く役に立たない。「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続がサービスインにまず期待しているのは、このような「異常状態の発生」が無くなることだ。
さて、本日をもって自宅のインターネット接続は「IPoE」化された訳だが、その導入にあたってユーザーが事前に知っておくべき情報の提供が、回線業者、プロバイダともに十分にできていないのではないか、との思いを強く抱いた。と言う訳で、ユーザーサポートに聞いてみて初めて分かったことや、時間をかけてネット情報を漁って見つけた情報などを簡単にくどくどしくまとめておこうと思う。
まず私の環境だが、 回線はフレッツ光ネクストマンションタイプハイスピード、プロバイダはOCNだ。屋内終端装置(ホームゲートウェイ、ざっくり言えば光ケーブルを接続する機器)は回線業者からのレンタル品「NTT PR-400MI」だ。内蔵ルーターにPC2台とWi-Fiルータ(動作モードはアクセスポイント(AP)で、ルーター機能は使っていない)を直接有線接続するとともに、ひかり電話も接続している。ひかり電話、内蔵ルーターってのが意外に以下の話で肝となる。
- 業者は「IPoE」とひとまとめに説明しようとする傾向にあるが、「IPoE IPv6」と「IPoE (IPv4 over IPv6)」はサービスとしても技術としても別物である。サービスとして違うということは、それぞれのサービスを享受するために必要な条件が異なるということだ。「IPoE」接続サービスの提供を謳いつつ、現時点では「IPoE IPv6」接続サービスの提供のみとしているプロバイダもある。
- 「IPoE IPv6」接続のサービスインには、基本的にユーザー側でやらなければならない事項はない。屋内終端装置が対応していれば、必要な工事は回線業者の施設内で、設定変更も回線業者とプロバイダのそれぞれ内部で完結する。工事、設定変更が終われば即「IPoE IPv6」接続はサービスイン可能状態となる。「IPoE IPv4 over IPv6」接続のサービスインも基本的にユーザー側でやらなければならない事項はない。が、屋内用終端装置に対して一種の遠隔操作が必要とされる場合がある。スマホのOSやアプリのアップデートみたいな作業(実際は機能追加に近い)が更に必要、ということだ。
私の環境や類似の環境では、屋内用終端装置に専用のソフトウェアを「組み込まない」と、業者側の工事や設定変更が完了しても「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続サービスは使えない。本質は、「ルーターが対応」している必要があるということだ。ここで「ソフトウェアの組み込み」とは、屋内用終端装置内蔵のルーターを「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続サービスに対応させる作業に他ならない。
私の環境とは違って屋内用終端装置がルーターを内蔵しておらず、別途ルーターを使っている場合には、そのルーターが「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続サービスに対応(=「専用ソフトウェアの組み込み」が最初から不要)していれば、「IPoE IPv6」接続と「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続は大抵の業者で同時にサービスインする筈だ(上述のように「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続サービスを提供していないプロバイダの場合は除く)。
くどく繰り返すが、私の環境のようにルーター内蔵の古めの屋内終端機器を使っている場合は、ほぼそのルーター部が「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続サービスに対応していないと考えて良い。そこで、「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続サービスに対応させるために「専用ソフトウェアの組み込み」が必要となる。が、その「専用ソフトウェアの組み込み」がいつ、どうやって行われるか、そもそも「専用ソフトウェアの組み込み」が必要だという情報すら、ユーザーにはほぼ提供されていない。ここがユーザーをやきもきさせる大きな要因となっているのは間違いない。「ラグをラグと諦めて待っていれば良い」のか、「実はサービスが提供される要件を満たしておらず、待っていても意味が無い」のかがユーザーに判断できないのは実に問題だ。 - 「IPoE IPv6」接続と「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続のサービスインの時間差、ラグの原因は、ルーター内蔵の屋内終端装置への「専用ソフトウェアの組み込み」までの待ち時間と見做してよい。
「専用ソフトウェアの組み込み」は、屋内終端装置への「専用ソフトウェアの『配信』」によって行われる。だが「配信」の時期などの情報はユーザーには知らされない(少なくともこれまでは)。加えて「配信」には「ひかり電話回線(タイプ2)」が使われたりする。つまり「ひかり電話」を契約していなかったり、 「ひかり電話回線」が(タイプ1)だったりすると、専用ソフトウェアは「配信」されない、と言うかできない。環境によってひかり電話回線が必須であるとする情報はとにかく少ない。ネット上で私が目にした情報は、個人ブログ1件、NTT資料1件中の注記1行のみだ。
ちなみに私の環境では、配信状況はブラウザから屋内終端装置にアクセスすることで確認できる(http://192.168.1.1:8888/t)。下の図中の、公園の遊具みたいなアイコンが「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続のためのソフトウェアを表すのだろう。今朝の段階では見られなかったものだ。
最後のまとめみたいな何か
「IPoE IPv6」接続はサービスインしたが、「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続がなかなかサービスインしないとやきもきしている方へ。特に自分からサービス導入を申し込んだのではなく、プロバイダから「サービス導入しますよ、嫌な人はここに所定の期日までに登録しておいてね」といった連絡を貰ってそのまま導入することにした方へ。フレッツ光+ひかり電話+OCNな方はまさにピンポイントで命中ですよ。
- 「IPoE」接続サービスとひとくくりに説明されることが多いが、「IPoE IPv6」接続サービスと「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続サービスは全くの別物だ。このため「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続サービス提供には、「IPoE IPv6」接続サービスの為の作業に加えて、回線業者経由でプロバイダが実施する「もう一手間」が必要となる場合がある。
- 「もう一手間」の作業の対象は家庭にある装置だ。作業内容は、「『IPoE (IPv4 over IPv6)』接続サービスに必要なソフトウェアを、プロバイダが遠隔操作でこの装置に新たにインストールする」みたいなものだ。だから、自腹を切って新しい家庭内装置を導入したりしない限り、ユーザー側でできることもすべきこともない。自腹の切り方についてはネットに聞いてね。
- サービスインのラグ(時間差)の原因は、その「もう一手間」の実行待ちと思っていい。私は24日待った。1ヵ月ぐらいは待ってあげても良いのではと思う。ただ「ラグがある」とユーザーに一切伝えないプロバイダがあることは大問題だ。
なお、プロバイダのユーザーサポートに問い合わせても、「IPoE (IPv4 over IPv6)」接続サービスの提供日程は(良くも悪くも)分からないと思う。できるだけ早くという「ベストエフォートが為されている」ことを期待しつつ、屋内終端装置の電源は入れっぱなしで待とう。 - 待っている間に自分の環境が「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続サービスに対応しているかどうかチェックしよう。ここでは回線業者よりもプロバイダにフォーカスしてチェックした方が良い。回線業者側の範囲の確認すべき情報は、プロバイダ側をチェックすることで絞ることができる。
そもそも「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続サービスを提供していないプロバイダもあるので注意。 - 回線業者がNTTグループの場合、「ひかり電話(タイプ2)」契約が「もう一手間」のために必要だったりする。「ひかり電話(タイプ1)」ではダメらしい。ただこの種の必須要件に関わる情報は、サービス導入開始時には回線業者-プロバイダ間で共有され、問題が無いことが確認されている筈だ。
- 何も考えずにIPoE接続サービスを申し込んだり、サービス導入の拒否手続きをしなかったオンラインゲーム好きPS4ユーザーは、「IPoE(IPv4 over IPv6)」接続のサービスインを震えて待て。まぁ、プロバイダや屋内装置構成、ゲームによっては全く問題ないんだけどさ。元々通信に関して評判が良くないあのシリーズはね・・・