米国のキャンペーンは怖い。先のこのエントリやこのエントリで触れているように、米国の韓国離れは既定路線の様に見える。今回はウォールストリートジャーナルの記事「韓国は4年後に日本追い抜く―1人当たり所得で=ムーディーズ」だ。これは対ドルでウォン高を誘導しているようなものだ。
問題は、というか困ったなと思うところは、この種のシグナルを韓国が正しく理解しているようには見えないことだ。
例えば韓国独自の戦闘機開発計画「KFX」に対しては、米国は国内のシンクタンクに「韓国は独力で開発可能」との見解を出させている。普通ならば、「いや、それは…」とその時点で慌てるべきとしか思えないのだが、韓国軍はそれより後に「(ロッキード・マーティン社の)F-35Aを購入するので、KFX計画にロッキード・マーティン社の出資と技術供与を求める」なんてノンキなことを言っている。
F-35Aの購入は随意契約、つまり値段交渉はできない契約だ。追加事項なんて普通は盛り込める余地なんてない。百歩譲ってロッキード・マーティン社がKFXに出資することがあっても、その分の額がF-35Aの購入価格に上乗せされるだけだろう。技術供与についても見通しは暗い。米国は韓国を「軍事技術情報のリーク源」と見做しているという報道は散々されている。どこかの段階で情報リークの証拠を突きつけられるようなことにでもなれば、良くて韓国への技術供与は停止、普通なら韓国に賠償が求められるだろう。
2011年には、F-15K戦闘爆撃機が搭載する赤外線捜査追跡システム「タイガーアイ」を韓国が米国に無断で分解、リバースエンジニアリングした疑惑が持ち上がった。調査結果は韓国はシロとの結論だったが、製造中止を理由に部品価格が既に6倍まで高騰していると聞く。「タイガーアイ」採用国が韓国だけであるため足元を見られている可能性も否定できないが、実は制裁措置だという意地悪な見立てを否定する材料もない。つまり、調査結果自体が韓国に対する米国のシグナルである可能性もあるということだ。
朝鮮半島における戦時作戦統制権の米軍から韓国軍への委譲時期も結局のところ変わらないようだ。戦時作戦統制権の委譲時期は既に延長されたものだが、韓国からの再延長の要請は米国に黙殺されたと見える。戦時作戦統制権の委譲時期については、今後の日朝間の動きも影響因子となり得る。本件に対する韓国の日本への反応は、少なくとも報道に見る内容については、やはり的外れな感じが否めない。視野が狭く、戦略眼が欠けるのは確かだろう。
"You were warned.(警告済み)"、 米国は本当に怖いよ。韓国は変だよ。
追記:
予算不足じゃしようがありませんな。中央日報の記事から。
米上院軍事委員会は2日、予算不足を理由に大邱(テグ)にあるキャンプウォーカーの軍人住宅建設事業に配分された5780万ドル(約590億ウォン)の予算執行を保留した。軍事委は韓米防衛費分担特別協定を利用したり、竜山基地移転計画を見直すことを求めた。
あ~、議会がついに言っちゃった。 つまり、そういうことですね?