2018/06/24

あ、結構ふつー(続)

 アニメ「ひそねとまそたん」11話を観ていない方にとってはネタバレを含みます。

 うん、少なくとも11話終了までの描写では、「マツリゴト」が 「ゴジラ」でも引用された「禍神の鎮めの儀式の変遷過程」ともまた違った、なんか訳の分からないものと神道儀礼っぽいものとの混交物であることが分かった。「ガメラ3」が近いのかもしれないが、あれもさる筋との牽連性は思わせぶりなだけだったし、矛盾だらけだったし。何れにしても「華夷思想に合わせた日本の歴史、皇室解釈」みたいな居心地の悪さ、適当さは辛い(あれだ、欧米研究者の歴史学関係書籍で頻出する「・・・と中国の研究者は主張しているが、全ての研究者が賛同している訳ではない」ってやつに近い)。

 「ゴジラ」の場合、最初の舞台となる孤島・大戸島では、映画でも描かれているように禍神を鎮めるために雅楽の奉納が行われる。この儀式形態はかなり神道的である。一方、土俗的な鎮めの手順として、若い娘を筏に乗せて海に放つ、という風習が以前は為されたとされる。これはまごうことなく生贄の儀式であり、神道とも関連しない。

 一般的に両者がどちらも行われることは無い。理由は簡単、目的を同一としつつも、上述した通りに儀式と風習の起源が全く違うためである。生贄を伴う土俗的風習が(後からやってきた)神道的儀式に置き換えられたというのが、ありがちな歴史的流れだろう。ゴジラを作った世代の人、特に原案を担当した作家・香山滋さんなどはこの辺りがちゃんと分かっていた筈だ。もっと言えば観客の多くも分かっていた筈だ。「大魔神」シリーズでも神(大魔神)はそれが生贄は求めない(生贄の代替である兵士型の埴輪の形をした御神体が生贄を求めるとか、なんという有り得ないシチュエーションか)。

 そもそも、生贄を伴う土俗的風習にも発生起源がある筈だ。時代の推移とともに数を減らしつつも、大戸島の周辺には以前から後にゴジラとなる生物群が生息していた。生物群の食料は回遊魚だが、回遊量が少ない年には漁師の船が襲われたり、大戸島へ上陸して家畜や住民すら襲うこともあったかもしれない。そんな状況下で漁獲量が少ない年に筏で生贄を海へ送り出すことを繰り返したところ、生物群による被害の低減や根絶といった実効がみられたため、生贄は土俗風習化した。その後も風習は続くが、おそらく件の生物数の更なる減少を原因として、風習の実行性は実は失われていた(不要になっていた)。この段階まで至れば、生贄を伴う風習を「生物群を禍神と見做し(宗教普及のためにそういうことにして)、それらを鎮めるための雅楽の奉納」に置き換えてもなんら実害は生じない・・・実益は土俗宗教の神道化、神道の勢力拡大くらいである。そして生贄の風習が失われて幾星霜、「ゴジラ」登場直前までの日常が形成された訳だ。生物群はひっそりと絶滅していた、或いは絶滅する筈だった。が、核兵器開発競争が全てを変える。それが「ゴジラ」という物語のスタートラインだ。

 劇中、ジョアおばさんは「生贄」という表現を使う、「人柱ですらなかったのか」と正直驚かされた。「柱」は神の数を数える時の単位でもあることから分るように、神扱いとして祀る対象ともなる。個人的理解では神道的には人柱もアウト、生贄は論外。まぁ、「楔女が人柱である必然性すら否定した」先行するエントリの妄想内容は壊滅的に大外ししたということになる。

 いやはや、「マツリゴト」にこれほど神道色が無いとは思わなかった。「龍が出てくるんだからしょうがない」と言ってもね、宮内庁の名前を引っ張り出してまでこれはどうなのかな。宮内庁の登場は「生贄」や「人柱」の封印宣言と解釈していたのでどう持っていくのか楽しみでね(生贄は安易すぎるでしょ?)、どちらも神道とはなじまないので・・・と12話で大逆転ですか!?(まだ諦めていない)

2018/06/20

音楽と香りの好みは誰だって激しい

 Snail's House さんの ".-。:+*mal d'amour.。:+*"という楽曲が昨日Youtubeにアップされていた。聴いてみたけど残念、"Pixel Galaxy”みたいにお気に入りにはならなかった。基本アップされれば必ずチェックするので、プロモーション込みであろうがなかろうがアップ自体は有り難い。一応収入もある大人なので、気に入った楽曲が商品として販売されていればちゃんと買うしね。
  ホント、音楽の好みってのは激しい癖に、自分自身でもどういう判断基準に基づいているのか全く分からない。ビル・エバンズトリオの"Waltz for Debby"は"Take2”は大好きなのだが、"Take1"は12~13秒間のある区間を除くと退屈で退屈で聴いていられない。音の響きやタイミングの違いは明らかに分かるのだが、一方は好きになり、他方は退屈で聴いてられない理由との関連なんて全く分からない。

 私はアーティスト聴きは基本的にしない。アーティストの作風は変わるものだし、そもそも好きな曲が2曲以上のアーティスト自体が少ない。

 例えば坂本龍一さんの"Thatness and Thereness"はもう個人的エバーグリーン以外の何物でもなく、「感情すら揺さぶられることがある」と言っても過言ではないぐらい好きな楽曲なのだが・・・他に好きだと言える坂本さんの楽曲は無い。ボーカルのイギー・ポップが良くて聴く"Risky"や(別エントリで触れた)カバー曲の"Free Trading"、映画「ラストエンペラー」のタイトル曲などを聴くことがあるが、それはあくまで「良い」と思う楽曲であって好きな楽曲と言う訳ではない。斯くの如く、好きなのは1人1曲なんてざらで、このままではSnail's House さんもそうなってしまいそうだ。

 とは言え例外が無い訳ではない。まず完全な例外は東海林修さん、次いで変にオカルトがかっていた時期を除く細野晴臣さん 、00年代前半のCAPSULE/中田ヤスタカさん(最近そのまんまのスタイルの海外アーティストを発見して笑う・・・CAPSULEの再現を意識したものなのか、それともスタイル自体がそのアーチストに再発見されてしまったのかは不明ですけどね。)、リプリーズ(レーベル)時代のフランク・シナトラさん・・・約3万曲のiTunesのライブラリや手元にあるレコードを眺めてもこんなもん。

  加えて、「聴きたい曲を聴きたい時に聞く」ことしかできないという面倒なタイプでもある。こんな調子なので、「定額聴き放題サービス」なんてものとの相性は最悪そうで、全然利用したいと思わない・・・そういうサービスでしか音楽が聴けなくなるとしたら、もう音楽を聴くという行為自体を止めることになるのかなぁ・・・

2018/06/18

[隣のDivisionさんがつぅ] あの男が帰ってきた(補足)

 公式に"The Division2"の情報がRedditに投稿されていた。サマリ(まとめ)はここ(英文)だが所詮サマリはサマリ、具体的な情報はリンク先のここ(英文)に書かれている・・・具体”性”は乏しいけどね。

  • "The Division"とは独立したゲームである
  • 初期キャンペーンのレベル上げは30まで、コンテンツ分量或いはプレイ時間は"The Division"と同等である
  • 初年度の無料アドオンは3回提供される
  • 有料アドオンもあり、そのためのプレミアムパス(シーズンパス相当?)も用意される
  • ダークゾーン2.0
  • エンドゲームでは、スキルツリーによるシグネチャーウェポンのアンロック機能が導入される。ツリーは敵勢力及び各勢力の支配地域とリンクされる
  • シャープシューターなどプレイヤーキャラの専門性の選択はレベル30到達後(以前のエントリの記述は不正確でした、でもあの男はそんな制限について何も言・・・)
  • チート対策、バレットスポンジー(敵を倒すのに弾薬がいっぱい必要)対策についてはふにゃふにゃとした意味の無い戯言だけが書かれている。なんとかしようと考えているらしい、と好意的に解釈できなくもないが、別に新しい事は一つも書かれていない。グーグル先生も翻訳に苦労しておられる 
  • ネットコード、クラフト要素に関わる言及は無し
  • ギアの取り扱いに大きな変化はないが、 プレイヤーキャラもアーマーを持つようになる(実際、E3のゲームプレイトレーラー内でプレイヤーキャラのヘルスバーにアーマーを表す白い長方形が確認できる)
  • 銃器のアップグレード方法はアンロック方式に代わる
  • バニティグッズ(見ため用グッズ)を対象としたマイクロトランザクション(ゲーム内販売)を導入する

 プレミアムパスの話、つまり有料アドオン/DLCの話は初耳でした。まぁ、それぐらいかな。

2018/06/17

Emoji、分からなすぎ

 とあるYoutube動画に海外の方から
なるEmojiをコメント頂いたのですが、意味が分からなくて困ったなぁ・・・と。

 80~90年代(The Second Summer Of LoveムーブメントとE(MDMA)の話が音楽雑誌などで同列に紹介されていた時代)が遊び盛りだった世代にとっては、「ドクロ+注射器」は「安楽死」や「死に至るような薬物乱用」のシンボルですから・・・いや、やっぱり分らん。良い意味なんですか?悪い意味なんですか?

大妄想、「ひそねとまそたん」

 今回はただの妄想。ちなみに9話段階です(追記(2018/6/19):やっと10話が見れました。ジョアおばさんの口から「想い人」という言葉が出てきてビビり、予告も一見微妙・・・さて?)。

 五行、四神がらみになるともはや宮内庁管轄になり得ない、手順が分からないからである、とオカルト好きの間では80年代には既に言われていました。

 これは、「皇室の五行関係、特に風水に関わる秘術書類を江戸幕府が江戸整備時に借り出し、そのまま返さなかった。いわんや、それら秘術書類はその後行方不明となっている」なる話があったからです。もちろん、真偽のほどは定かではありません。なお、最終的に日光東照宮に家康公を祀ったのが、上記の秘儀書類の内容に基づく最後の祀りごととも言われていました。

 秘儀書類は皇室秘伝、かつそれらに含まれる智こそ皇室の力の源泉と見做す向きには、
  • 秘儀書類を返さなかったことにより、皇室の力(特殊性)を削ぐことに成功
  • 秘術書類中の智に基づき、風水的にも治水などに優れた都市を構築
  • 秘術書類中の智に基づき、家康公による江戸幕府、都市としての江戸の守護体制を構築
という具合に、江戸幕府の皇室に対する陰湿な仕打ちと解釈する人達もいます。ちなみに中華起源でオリジナルに近い風水では火山(そもそも中華には無い)、大地震(そもそも中華には無い、広州や四川は別地域)が考慮される筈もないので、江戸同様に東京も当然これらの災害への風水的な備えは著しく貧弱なのです。そもそも湿地帯と海浜埋め立て地ですからね、河川をいじっても地震や火山噴火後の降灰、更には大量降雨に対しても脆弱です。これらもあり、個人的には香港、台湾、沖縄経由の風水/家相学が好きです。海洋、台風、地震も考慮されていますので。

 と言う背景も更にあったため、例え「まそたんが青龍に見えようとも」(嗚呼、認めるとまるで平成ガメラシリーズになってしまう・・・)、「マツリゴトが宮内庁管轄とはなり得ない」旨を以前のエントリでは述べました。うんまぁ、うまく誤魔化されていたのか、こっちが真面目に考え過ぎていたのか、とか色々あるんでしょうが。ちなみに防衛省内や自衛隊内では「防衛事務次官」を「事務次官」と省略して呼んでいるのでしょうかね?(学生、学者、チーフエンジニア・・・秘密の陰には色々な呼び名が使われますからね、再軍備宣言前のナチスドイツ、ロケット開発競争時のソビエト連邦・・・)

 で、それでもなお宮内庁管轄と言うならば、マツリゴトの起源を中華に求めず、日本で咀嚼した五行の考えに基づく手順を加えた日本起源の「祀りごと」とでも解釈するしかありません。

 ならば古事記などの国生み神話にでも起源を求めましょうか。例えば、既に劇中に登場した孤島こそが「オノゴロ島」だった・・・とかね。

 国生み神話をベースとすると、一組の男女神、イザナギノミコトとイザナミノミコト、が祀りごとに必要となりそうですね。劇中での候補は、イザナギノミコト(男神)役はほぼ決定(順当に考えれば。が、本エントリ最後まで読むと2人になります)、イザナミノミコト(女神)役は2人(順当に考えれば。が、本エントリ最後まで読むと3人になります)って感じですか。

 「祀りごと」において「男女間」の恋愛感情が「一時的にでも」許容されるのはイザナギノミコト役とイザナミノミコト役だけになります。彼らは依り代である必要はあっても、人柱となる必然性はありません。ただし「楔女」という表現はおどろおどろしいので、「楔女」の帰還は次回の「祀りごと」となる(つまり70年以上後)ぐらいのことは覚悟しないといけないかもしれません。ジョアおばさんの生きがいは「かつての想い人であった『楔女』との再会」かもしれないのです。

  対して、イザナギノミコト(男神)役は「家」が受け持ちます。つまり「祀りごと」において帰還することが前提の可能性が高いと考えられます。これはいわゆる「イザナギノミコトとイザナミノミコトとの結婚(汗」が起きないということであり、換言すれば「国生み」失敗以外の何物でもありません。イザナミノミコトは儀式として失恋を強制され、最後の最後で「黄龍/麒麟のための作られたDパイ」とでも言うべきものになります。

  ならば「祀りごと」の手順として、
  • 新たな位置にオノゴロ島、またはオノゴロ島と成り得る存在を置く
  • オノゴロ島、またはオノゴロ島と成り得る存在の上で、イザナギノミコト役とイザナミノミコト役は天御柱巡りまでの「国生み」の過程を演ずる/舞う
  • イザナギノミコト役とイザナミノミコト役は「結婚」せず、オノゴロ島、またはオノゴロ島と成り得る存在イザナミノミコト役(楔女)のみが残る
  • 文字通り「楔女」を楔とし、オノゴロ島を固定する
 という可能性が考えられます。

 「国生み」の「失敗」により、「すでに現存する日本」は破壊されたり消滅したりすることも無く安泰となります。 まぁ、自国消滅の可能性があるのなら、「祀りごと」の予算がどうのこうのという議論になる筈も無いので、そこまでラジカルな話では無いのでしょうけどね。それでもなおリスクはあります。その一つは、楔女が「儀式における自分の役割」を全うしない、むしろ拒絶する場合です。このとき黄龍/麒麟は楔女を受け入れず、望まない形での「国生み」の「失敗」するのか、逆に黄龍/麒麟は楔女を受け入れて「国生み」のプロセスが再現されたことになるのか。

 再確認。ここで言う「祀りごと」とは、「国生み」のプロセスを模して儀式化された、「国生み」とは別の、或いは全く無関係な一種の祈祷儀礼であるということ。中華から輸入した龍を用いているものの歴史的に日本で為されてきた祈祷儀礼故に「国生み」と関連付けられているが、オリジナルの(中華での)祈祷儀礼の視点からは劇中の孤島は北極星(天)の地上への転写(例えば遷都や都作りの一手順に対応するかの如き手順と言うことに過ぎず、当然儀式上の意味は全く違う)と見るべきかもしれない。まるで彗星を見ながらの占星術や、川のある古都の発掘となると必ず北斗七星や北極星に相当する地形や建築物を見つけてしまう/見つかってしまう某大陸国みたいですけどね。

 では、上記の「国生みごっこ」を前提とした場合のこの先の物語展開として、どんなことが考えられるでしょうか。まず大事なのは「ひそねとまそたん」という作品が、「今回の祀りごとが終わる」までの話なのか「最後の祀りごと」の話なのかです。

 前者については、今回の楔女の暴走によって「国生みごっこ」が成功しそうになるなど、様々にクライシスな状態が想像できますね。でも可能性が多すぎてここで書いたところでねぇ・・・と言う訳で、超妄想版の後者のケースの一例のみを書いておきましょう。
  • 「国生み」プロセスの再現は手順として完遂され、「祀りごと」は失敗する
  • 「国生み」のプロセスは完遂されるも、「国生み」自体は進行しない(=「祀りごと」失敗のペナルティは発生しない、と言うか文字取り進行しないのでペナルティ発生がペンディング状態となる)
  •  ペンディング状態におけるイザナギノミコト役とイザナミノミコト役は、ジョアおばさんと先の祀りごとにおける楔女である
 まぁ、「結婚」の意味を広く捉えましょう、最後は愛が勝つ!ってね。

 でも我ながら全然こんな感じになる気がしないのは、どこか前提が間違っているし、考えていない足りない要素もあるからでしょうね。

2018/06/12

大阪-攻殻機動隊-Cyberpunk2077

 約30年前、士郎正宗さんの大部分の漫画作品の舞台は大阪、または大阪のシミュラクラにしか見えませんでした。「攻殻機動隊」も例外ではありません。

 今回は、いつにも増して「おっさんの感想」。

 後年、押井守さんは映画「攻殻機動隊 Ghost in the Shell」の舞台のモデルに香港を選び、雑多な感じはそのままに、全く肌合いの異なる背景世界を与えました。ウィリアム・ギブスンさんのSF小説で登場したチバシティ以降、アジアンテイストを導入した近未来都市は多くの小説、漫画、はてはMPV(ゴア描写が気にならなければ、Ken IshiiさんのExtraのアニメによるMPVが良い例)で描かれましたが、それらの多くは流行のように東南アジア方面へと移動していきました。21世紀にはなりますが、例えばパオロ・バチガルピさんのSF小説「ねじまき少女」の舞台はタイですね。
 
 なお、80年代後半はアラビックSFなんて呼ばれた作品群が多数現れた時代でもあります。士郎正宗作品は言うまでも無く日本の漫画でイスラームへの言及が出始めるのもこの時期ですし、チャールズ・ストロスさんのSF小説「アッチェレランド」を読んだ時もこの時代の影響は無視できないなと思いました。

 ゲーム"Cybepunk 2077"のかなり前に公開されたティーザートレーラーはある意味スタイリッシュな出来ですが、個人的に感じたのは「どこをどう回ってなのか分からないが、銃器や武装集団の装備、車両類のデザインが'80年代後半の士郎正宗的」という点でした。いやいや、青みが買った灰色の服飾で、上半身逆三角形の体格の武装集団が出てくればOKって訳ではありませんよ。一方、背景に大阪感はほぼありません。
 そして今年のE3で公開されたストーリートレーラー、街並みや建物の構造、いかにも雑多な感じにちょっと士郎正宗さんが描いた大阪のシミュラクラにた風合いを感じてしまいました。また「ワイヤードで電脳を焼かれる」かのような描写は「攻殻機動隊」を代表するビジュアルであり、そのコピーや発展型の描写はアマチュアの小説や漫画作品の多くで目にすることができたものでした。そう、まるで30年ほど前の日本の様です。

 あ、あれは映画「ウエストワールド」へのオマージュかな?

[隣のDivisionさんがつぅ] あの男が帰ってきた

 クラス(職業、専門)は不要、アンダーグラウンドは無限のエリアバリエーション、ダークゾーンは一生遊べ、ストーリーは拡張不要、レイドなんてつまらないよインカージョンだよ、モデファイア最高・・・

そう言ってきた男がE3の舞台に帰ってきました!キャー!ジュリアーーン!!
 つたない英語力を駆使して理解した"The Division 2"の内容はと言うと、
  • ストーリーベースのキャンペーンをコアとする。
  • メインキャンペーン(「メインキャンペーン」自体の意味は不明)で、3つの専門性(シャープシューター、デモリッシオニスト(重火力?)、サバイバリスト)のいずれかをプレイヤーは選ぶ。それぞれの専門性に対して特殊武器(シグネチャーウェポン)がある。アビリティ、特殊スキルのアンロックなど専門性は発展要素を持ち、独自のプレイヤーキャラの育成や他プレイヤーとのシナジー発揮が期待できるだろう。
  • 8人のパートナー構成で挑めるレイドを導入する。 
  • 我々(開発者達)はThe Divisionの経験から多くを、とても多くを学んだ。イヤーワンではコンテンツのメジャーアップデート実施を複数回計画している。エピソード1~3の3つのDLCはそれぞれが新しいストーリー、新しいエリア、新しいアクティビティを提供する。最も重要な点は、これらDLCは完全に無料で全てのプレイヤーに提供されることだ。
という感じで、まさに"The Division"とこれまでの自分の発言の(全面に近い)否定、これまでdisってきたものも含む他作品のパクリっぽい機能の導入宣言に聞こえます。会場にも同じ思いの人が多くいたんじゃないかな?個々の内容は"FarCry"シリーズ、"Ghost Recon Wildlands"、"Destiny"シリーズ、"Assassin's Creed"シリーズ、"Rainbow Six Siege"などのゲームストラクチャー、サービス形態で既におなじみのものにしか見えません。

 まぁ、臆面があろうがなかろうが「変わることを恐れない人」には一目置きたい・・・ところですが、彼が触れていないところの方がまだまだ多いのは確実で、実はこちらの方がよっぽど爆弾っぽい気がしてなりません。DLCも規模次第で印象は変わりますし、ダークゾーンは導入されてるっぽいし。

2018/06/11

diakko・・・

 今回はアニメ「リトルウィッチアカデミア(LWA)」の登場キャラクターを知らないと分からないネタ。LWAはですね、こんな感じのアニメです(嘘ではない)。
 Youtubeがレコメンドしてきた動画のタイトル中に

diakko

なる謎の単語が。

 LWAの主人公のニックネームがアッコ/Akkoなので・・・大アッコ?いやいや 、

ダイアナ×アッコ
(Diana vs. Akko)

が正解でした。ダイアナもLWAの登場人物で、成績優秀・容姿端麗の取り巻き付き名門出身枠のキャラです。もちろん魔法対決なんかじゃありませんよ!もーそこの海外の人、何やってんですか!

 えーと、「× (vs.)」の意味が分からない人はですね、ここから先には進まないように・・・まぁ、英語が分からないこと前提の緩めなところで・・・

[隣のDivisionさんがつぅ] The Division 2 トレーラー映像来る

 E3開催も迫り、"The Division 2"のトレーラーも公開され始めました。(追記:E3でのプレゼンテーションについてはこちら

 舞台はワシントンDC、季節は初夏、プレイ動画では敵のステイタスバーの色として赤、紫、黄が確認できます。現時点でネットコードなどのバックグラウンド処理に関する技術的な情報は無く、ネットワーク経由のPvPゲームとして一皮むけるのかどうかはまだ不明です。ネットコード周りについては"Rainbow Six Siege"や過去のBFシリーズでの対応なども参考に、「3~5年前の常識的な実装」を最低限とし、よりモダンな(笑)、可能であれば20年前の"Quake"を越えるレベルのセキュアな実装をより低いレイテンシで実現して頂きたい。

 まず、ゲームプレイトレイラー。冒頭の

"Actual in-game footage, work in progress"
(開発中の実際のゲームでの映像です)

の一文が泣かせます。

 "The Division"のゲームプレイトレーラーとされたもののほぼ全ては、ゲームとは別のソフト群で作成した言わば「イメージ映像」でした。このため発売された実際のゲームの画面がトレーラーよりしょぼく、プレイヤーから非常にネガティブな評価を受けました。以降、それまで「イメージ映像」路線主体だったUbisoftのトレーラーは「開発中の実際のゲーム画面」を使う方向に一気に舵を切ります。
 プレイヤー主観のUIを極力別画面としない(通常のプレイ画面にオーバーレイ表示する)手法は「イメージ映像」で使われていた"The Division"時代からのコンセプトですが、より実装される方向ということでしょうか?ただ、地図のUIはむしろ初期コンセプトから離れましたね。

 ゲームエンジンの"Snowdrop"は相変わらず出来は良さそうです。NPCの動きはより自然になり、"Farcry5"、"Ghost Recon Wildlands"、"Assassin's Creed Origins"のNPC挙動に感じられる不自然さは感じられません。植生の処理もきれいです。

 いい意味で気になったのは水面の処理、少なくとも味方キャラクターの影がきっちり落ちており、かつ鏡面反射も取り扱っています。静的な背景("The Division"ではリリース以降も開発は動的と主張していましたが、「ヘリコプターがビルの窓に映らない」点を指摘されて以降は「沈黙」しました)だけでなく、動的なプレイヤーキャラやNPCなどの鏡面反射が処理されているとすると、これはちょいと凄いですよ。ゲーム性やプレイスタイルへの影響は大きいと思います。

 "The Division"の「イメージ映像」ではプレイヤーキャラの姿がガラスや水たまりに高頻度で映っていましたが、実際のゲームでは全く映らないというドラキュラ状態でした。反射を利用して角の先の敵の数や向き、待ち伏せの有無を調べる・・・なんてプレイへの期待は完全に裏切られました。更に"The Division"の「イメージ映像」では描かれつつ実装されなかった「壁越しの射撃によるダメージっぽいもの?」の描写も今回のトレイラーにはあります。まさか銃弾で窓のシェードとガラスが壊れる描写で終わり?

 ビルなどの角の向こうで待ち伏せている敵の姿を対面のビルのショーウィンドウの反射で確認し、角の壁越しの銃撃で倒す・・・一緒に戦ってきたエージェントが背後でプレイヤーキャラの頭に急に銃口を向ける姿が車のウィンドウに映っていて、全てプレイヤーに見えている・・・こんなゲーム、ありましたか?

 あくまで開発版の画面ですから、リリース版とは違っていても問題は無い訳ですけどね。でもリリース版にそれら機能が含まれなかった場合は「またダウングレードか!」と言われることが分かり切っている状況下、トレーラーに「そういう描写がある」のは事実で、「それら描写が見られる場所をトレーラー内の戦闘場所に意図的に選んだ」可能性も高いと見做さざるを得ません。また絵面としてはそれら以外に見るべき点は無かったことですし、鏡面反射や壁抜き射撃の機能の実装の有無はワッチしていくべき重要なポイントですよ。

 まぁ"Snowdrop"ですので、車の運転などは相変わらず出来なさそうです。あと、パッチの度に直ったり再発生したりしていたオーディオ処理周りの不具合もつぶしておいてくださいね。

 こちらは作品紹介のトレーラー。約1:30のところに
 
"but how do you save a nation, when its enemies come from within?"
(国の敵が身内(ディビジョン内)から現れた時、どうやって国を救う?)

とあります。今度も「ローグエージェント」って呼ぶのかなぁ・・・ってことですかね。

2018/06/09

ONKYOとかPioneerとか、結構実はエラいことになってた

 タイトルの話をする前にちょっとCakewalkという会社のお話。

 以前のエントリで触れたDAW、Project5や大好きソフトシンセZ3TA+2の開発、販売はCakewalk社でした。その後日本のRoland社がCakewalk社を買収、次いで米国Gibson社がRoland社からCakewalk社を買収します。この時期のGibson社の経営姿勢は割と攻撃的で、日本のONKYO(オンキヨー)社とも資本・業務提携し、同社の筆頭株主となった時期もあったようです。ところが、現在Gibson社はチャプター11適用中で、会社更生を前提として法的保護下で破産状態となってしまいました。そしてCakewalk社資産(明確な範囲は不勉強にして不明です)は現在シンガポールBandLab社が所有するに至りました。

 そんなこともあってZ3TA+2の先行きは更に暗くなってしまい、「Z3TA+2離れ」加速は喫緊の課題となってしまいました。とは言え自作音色の他ソフトシンセでの再現は、余りの数の多さとシンセ毎の特性の違い故に頓挫しつつあります・・・っつーか、今後もきっちり生き残るソフトシンセってあるんですか!って話ですよ。

 続いて、前振りです。

 ほぼうつ症状が現れなくなると同時に「音楽を聴く」ことができるようになりました。携帯音楽プレーヤーも持ち歩くようになり、この2週間程はインナーヘッドホンの新調、壊した場合のバックアップ品の購入などをやっていました。

 なお、ブログ主は如何なる分野においても「性能や作品の良し悪し」を判断できる能力を持っていないことを自負しており、実際に本ブログ中でも「良し悪し」には実質的に触れません。その代わり、「客観的事実や分析に基づく問題の有無」には煩く、「好き嫌い」は激しいとかなり面倒くさい性格であることを今回も明記しておきます。

 さて、今回のインナータイプヘッドホン(以下のヘッドホン)の新調では、経験則に基づく理由も含めて以下の項目を考慮しました。
  1. 価格は¥12,000級とする
  2. 低音ブーストを売りとする品は対象としない
  3. 価格¥12,000級ならSONY社製品は対象としない
  4. audio-technica社製品は対象としない
 まず2.は好みと聞く楽曲との関係からの制限ですね。Futureなんとか類、D&B、アシッドからクラシカル、日本民謡まで聴くような状況下では、ヘッドホン自体に明確な向き不向きがあっては困ります。

 価格帯の主な選定理由は、消耗品との割り切り、地方の量販店でも購入可能であることがまず大きいです。そして、「同一設計に基づく製品の場合、さすがの私でも¥8,000級と¥12,000級との音の違いは判り、後者の方が好みであることが多い」という経験則によります。正直、上記の音の違いの原因の多くは「音場の作り」「音の広がり感の付加と調整」であり、味付け、誤魔化し(音源が携帯音楽プレーヤーなら必要悪かもしれません)に近いものです。ただ「音場の作り」がフラットで奥行方向への広がりが感じられないと、それが原音に忠実であったとしても直ぐに耳が疲れてしまうのです。

 3.は、「同一設計に基づくSONY製品に限っては、¥8,000級と¥12,000級との音の違いが判らず、好みでもない。しかし¥12,000級と¥23,000級との音の違いは判り、後者の方が好みであることが多い。」という経験則に基づきます。最近は違うかもしれませんが、かつてのSONY社製品では意図的な音場は作らない方向性だったと思います。ですから、¥12,000級如きの製品で「本来のものに近い、作ったものではない音場の形成」を期待してはいけないということだったのかもしれません。実のところ、¥12,000級のSONY社製品でも300時間程度の慣らしで好みの音にできた場合もあるのですが、とにかく慣らしが失敗したり効果が無かったりしたケースが多すぎました。あ~、Walkmanで使えば¥12,000級でも良い感じになるんだろうか・・・これは確認要だなぁ。

 4.についてはaudio-technica社には何らの落ち度もありません。まず量販店ではSOLID BASSシリーズの取り扱いが主で2.に抵触すること、そして「audio-technicaはレコード針メーカーである」との刷り込みに私が未だ支配されており、「え?audio-technicaがヘッドホン?」となってしまうことが原因です。業務用も含め、ヘッドホン開発・製造の歴史は長く、以前に使っていた「視聴結果だけで選んだモニターヘッドホン」がaudio-technica社製だったりしたこともあるのですが、あの"○A"のロゴマークを見るとですね・・・

 結局、新調したヘッドホンはPioneer社の¥12,000級製品でした。Pioneer社製品とは我ながら驚きですが、これまで愛用してきたWoodシリーズ前の¥12,000級JVC製品に「音場の作り」が近いんですよ。Woodシリーズは¥20,000級最初期モデルに突撃したのの、余りの音の硬さにびっくり、慣らしにも失敗?した経験から今回は視聴もしませんでした。SONY社製品の¥12,000級は、現行世代もカンカンとやっぱり私の耳にはきつい音でした。

 で、やっと本題です。

 Pioneer社製品を買ったものの、パッケージボックスの文字表記が実に米国製っぽいのです。まぁ、製造は中国だよね・・・で、調べてみると・・・Pioneerブランドのヘッドホンの製造・販売は既にONKYOグループに移管、自社製造製品ラインナップから消えていたんですね、全然知りませんでした。なるほど、ONKYO社のウェブページのホームにはしっかりPioneerのロゴもあります。

 念願のマイホームを購入した際に父が最初導入したのがPioneer社のオーディオコンポーネントシステムでした。値の張るPioneer社製システムはちょっとしたステイタスでもあったのです。しかし、そんなオーディオシステムもヘッドホン同様にONKYOグループに移管済み。

 一方、ONKYO社も 結構経営が厳しいようです。東洋経済の記事「音響機器の名門「オンキヨー」が直面する危機 5期連続最終赤字で債務超過が迫りつつある」によれば、本エントリ冒頭近くで触れたGibson社のチャプター11適用が間接的にONKYO社の経営悪化に影響しているようです。ONKYO社は 相手先ブランド供給(OEM)事業を強化するとのことですが、自社ブランドが十分に確立できずにOEMにのみ頼ると三洋電機社の二の舞になる可能性もあり、楽観はできないでしょう。一方、純OEMメーカーがブランド力とそれを支えてきた技術力を強く欲し、手に入れたら・・・シャープ社の復活劇はそんな成功例に見えます。

 買収したPioneer社事業の欧州での不振は力あるブランド導入の失敗(一時的ではあるかもしれなくとも)、Gibson社倒産の影響はマイナスイメージを持たれたブランドによるまるで風評被害です。自らのブランド力を高めるか、既に手に入れたブランドの力を向上するか、それとも新たな外部ブランドを手に入れるか・・・ONKYO社はOEM戦略の拡大にもつながるようなブランド力を(再)獲得できるでしょうか。しばらくワッチしてみたいと思います。

 OEM界にはすでに巨人が何人もおり、一部はシャープ社を復活させたようにブランド力も獲得、それを確かなものとしています。ライバル達は強力ですよね。