2021/06/29

Windows11互換性 × Dell XPS 8700 = やっかい

 Windows11が公式発表され、互換性チェックプログラムなるものも公開された。互換性チェックプログラムによれば、現行のメインPCは「互換性に問題無し」、先代のメインPCは「互換性に問題あり」となった。この先代のメインPCがDell XPS 8700である。

 で、互換性チェックプログラムをマイクロソフトのサイトからダウンロードしたのは昨夜なのだが、今日の午前中にはダウンロード用のリンクは消滅、「準備中」となっていた。「DellやHPなどの多くのメーカーPCで、互換性が担保できなかったせいではないか」と邪推しているのだが、如何だろうか?実際、私のDell XPS 8700の状況はやっかいだ。

  Dell XPS 8700は2014年モデルで、CPUとして第4世代Intelコア、ハズウェル・リフレッシュ世代のコアを搭載している。私のPCではIntel i7-4790(4コア8スレッド)だ。現時点でこのCPUは対応プロセッサリストに含まれていないが、いやいやまだ切れんでしょうよと思うのだ。だから現時点では未対応でも気にしないことにしている。それに実際のところ、大ボスは別のところにいた。

 さて、Windows11は「UEFIによるセキュアブート」を要件としている。別の書き方をすると「トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0の実装」を必須としている。Dellは幅広いラインナップでTPMを採用しておらず、Intel PTTという安価な代替ソリューションをBIOSレベルで提供している。ここでまず引っかかる。

 ちなみにIntel PTTを採用している大手メーカーのPCは決して少なくなく、マイクロソフトが要件を緩めるか、或いは各メーカー独自でこの辺りの顧客対応をちゃんとしないと、次からそのメーカー製品を選んでもらえなくなる可能性も出てくるのではないかと思う。企業や官庁に自社製品を一括大量導入しているメーカーの中には、リアルタイムで頭抱えてるところもあるんじゃないかな?DELLのサポートは技術仕様書類を公開するだけでトラブルシューティングはもうユーザーコミュニティへ丸投げだから、一部の顧客は捨てることになるんだろう。が、「うちのやり方はDELLとは違います」なんてサポートについてDELLとの違いをアピールしてきたメーカーで「新しいのにWindows11互換性が無い製品が多数」なんてことになったら、技術も含め顧客に直接接する現場は目も当てられない。

 技術畑の人なら理想論としては分かってもらえると思うのだが、この種の要件の導入には1商品サイクルぐらいの移行期間がやっぱり必要だ。Windows10のサポート終了時期こそ、その種のサイクルに基づいて決めたものじゃないのかねぇ?

 閑話休題。

 現時点では「互換性で弾かれる」という意味で駄目なIntel PTTだが、将来的には分からない。上述の通り、この要件はメーカーに対して大きな負荷要因となり得る、つまり少なくとも歓迎はされない。それに特定の機能の有無が問題ならば、BIOSのアップデートは必要かもしれないにしてもPTTでTPMを代替し得る筈だからだ。機能を代替できる(ことになっていた)からこそPTTには意味があったのだ。が、Intel PTTはレガシーBIOSでは使えず、Windowsの起動をUEFIとしないといけない。XPS 8700はWindows7と8.1のプレインストール機が並売された最後の世代の製品であり、かく言う私も「最後のWindows7プレインストール機」故に購入したと言って良い。ここでDellは、Windows7プレインストール機をレガシーBIOS起動でセットアップして出荷した。従って、そのままWindows7からWindows10に無償アップデートしたXPS 8700はレガシーBIOS起動のままなのだ。つまり、Intel PTTすら使えない。

 「じゃあ起動をUEFIに変えれば良いじゃないか」と思うかもしれないが、そうは問屋が卸さない。起動ドライブ(普通はCドライブ)もUEFIに対応していなければならないからだ。具体的には、パーテションがMBRベースではなくGPTベースでなければならない。レガシーBIOSの場合がMBR、UEFIの場合がGPTだ。この点についてはWindows10自体が"mbr2gtp.exe"という変換プログラムを用意しているので、一見対応可能だ。通常は1分程度で変換される。が、Dell製品の多くで、起動ドライブのパーテション分割が独自のもの(OEMパーテションという表現が見られる)となっている。XPS 8700も然りだ。

 "mbr2gtp.exe"は独自のパーテション分割には自動で対応してくれないので、プログラム実行時にユーザーがパーテション情報をオプション(/map=・・・)として具体的に与える必要がある。とは言え、どうやってそのオプションの数値を手に入れるのかも分からんし、入力間違いなどしようものなら変換結果がどうなるかも分かったもんじゃない。OEMパーテションの情報と対応したオプションに関する情報は国内外で蓄積が進んでいるようだが、やっかいな問題であることには変わりなく、余りに建設的ではない作業に能力ある人間の労力が割かれるというのも悲しいばかりだ。

 ちなみに私のDell XPS 8700はこれまたイマイチ建設的ではない用途で24時間稼働中だが、とてもWindows10のサポート終了時まで運用することになるとは思えない。だから本来はWindows11との互換性なんてほっておけば良かったのだが、PCを自作していた10年以上前の気分がちょっと蘇ってしまっていじりだしたのが運の尽きだった。様々な困難や勘違いが生み出した結果に打ちのめされ、結局Windows10のクリーンインストール(ただしUEFI起動に変更)に至るのだが、その過程での知見は上述の通りである。散々調べ、考えて実行した結果、1文字のタイプミスのせいで取り返しのつかない事態を引き起こした・・・なんて醍醐味は久しぶりだなぁ(棒

 思えば最初の作業、BIOSのA13からA14へのアップデートが正常終了しなかった(インストールは終了したのだが、チェックプログラムがクラッシュした)時点で、その後の泥沼、やろうとしていることの筋の悪さを予見すべきだったのかもね。得たものの少なさは正直つれえ。

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