2013/10/16

近況、十三度。:台風一過編

  • 台風最接近のタイミングで病院へ。強風に翻弄されながらも、なんとか傘で雨を避けながら2km強を徒歩で移動。病院では10分ほど停電、最低限の電源は確保されているようで窓口などでの混乱はなし。病院から出るともう地面が乾き始めていて、どうやら台風は通過したよう。
    帰り道で通行止め。見ると送電線のけっこう高い位置に車のカバーらしき大きな布が引っかかっている。周囲区画は未だ停電中のようで、交通信号も沈黙、先の震災での情況が頭をよぎる、電気が使えるのは有難いもの。途中で立ち寄ったコンビニも停電区画内にあったが、レジ用の非常電源は確保されているということで昼飯購入。
    自宅の区画は既に停電から復旧済みで一安心。午後からは出勤。

  • 病院への外出時に携帯電話を持ちだし忘れ。自宅へ帰ると迷惑メールが届いていて、先の震災時の腹立たしい経験を思い出す。
    私の居住地域は3日以上停電したのだが、もちろん基地局も停電でダウンしていて携帯電話は使えない。停電復旧直後は、取り敢えず近所の自販機へ水購入に走ったものだ。
    水入手後に自宅へ帰ると、3、4日分の迷惑メールが携帯電話に届き始める。纏めて届かず、5分おきぐらいに1つづつぽつぽつ届いてそのたびに着信音が鳴るのはかなりウザい、当然メール内容もウザい。加えて通話自体はまだ混んでいて、実家への連絡もままならない。そこへダメ押しのように新たな迷惑メールが届く。
    当たり前だが、迷惑メールは「空気を読まない」。状況によってはどうしようもなく腹が立つものだ。

2013/10/13

うちのiPod touchさん

 今回は私信。

 遠方の友人との電話で、「ついに音楽ライブラリが64GBのiPod touchでも本格的にきつくなってきた、ホーム画面は殺風景だよ」と言ったところ、「んじゃ、見せろ」と。とは言え、実は壁紙だけには少しこだわりがあり、1台毎に違うテーマ、というか違う作家さんの画像データを同期させています。

 アプリもムービーもビデオも今週中盤から全部削除したので、使うのはミュージック、時計、カレンダーぐらい。1台にはアプリとして「ポルトガル語-日本語辞典」だけは入れてありますが。

 1台は長大中さんの絵が壁紙です。複数の画風を持つ人で、「紅衛兵&筆のタッチが残っていてギリギリ写真じゃないことが分かる」という辺りが私のストライクゾーン。一種の制服フェチなのかも知れませんが、皆が同じ服を着るという状況下でこそ個々人の個性が強く出るような気がします。

 ちなみに紅衛兵や文化大革命については、一時期手に入る本は全て読んだ気がします。タイトルは失念しましたが、中国共産党が正式に文化大革命を総括した分厚い論文の日本語版も読みました。知り合いの中国出身の研究者と文化大革命について話をしたことがありますが、極めて否定的な見解を持っていました。個人的には、引き続く「下放」が残した多くの禍根が印象的でした。下放をテーマとした女性視点の映画として米国映画「シュウシュウの季節」があります。ほぼ同時期に中国で製作された「初恋のきた道」と較べてみるのも一興ですぞ。

 もう1台は中村佑介さんのイラストが壁紙です。私が画集を持っている作家さんは、高畠華宵、リキテンシュタイン、そして中村さんの三人だけです。

アクセス解析:検索ワードラウンドアップ:番外その1

 アクセス解析がちょっと面白いので、毎日チェックすることにしました。件数の少ない検索ワードは二、三日で表示されなくなるので、適宜こんな感じで挙げていきます。
  • ios7.0.2って何ですが?
    「何です?」ではなく「何です?」
    ?? 
    キーボード入力ミスとかをあげつらうつもりは毛頭無くて、「何故こんな検索ワードでこのブログが?」という驚き。

"ENOLA GAY/OMD"カラオケ

 146BPM, 44.1kHz/16bit .wav形式。ダウンロードできるので、お気に召しましたら如何様にも使って頂いてけっこうです。ただし、ダウンロード後の取り扱いに起因するいかなる結果にも、私は一切責任を持ちませんが。

 途中でうっすら入っている声は、ハリー・トルーマン大統領(当時)の広島への原爆投下に関する演説の冒頭です。原爆の取り扱いは被曝された方のことも考えればセンシティブにならざるを得ず、ある種の極めて時代的な能天気さへの皮肉として取り扱っているとしても、トルーマン大統領の演説を挿入すること自体に不快感を覚える方もいるでしょう。

 一言だけ言っておきたいのは、私の持つ戦争や核兵器への嫌悪感はおそらく一般的な日本人より遥かに強いだろうと思うということです。私の片方の親の田舎が広島ということもあり、幼少期より原爆や空襲の体験談を聞く機会も多かったのです。また、片方の祖父は南方の小さな島で玉砕、帰らぬ人となったのです。

2013/10/12

FIAT車3台

 さて、今日は朝から隣町に出かける用事があった。隣町への車の移動にはこれまでは国道1本しか経路が無かったのだが、半年ほど前にバイパス道が開通した。今日の移動にはバイパス道を初めて使おうと思っていたのだが、左折で従来通りの国道、右折でバイパスという交差点で左折してしまった。

 理由は、自分の目の前で連続して左折した2台の車がFIAT車だったせいである。1台目が初代PANDA、2台目がおそらく初代PUNTO(いわゆる鉄仮面)、そして私の愛車が2代目PANDA(2004年型)だ。

 カーディーラーの担当者が言っていたのだが、「対向車線を走る車の中で70台に1台以上の割合で見かける車種には、『物珍しさ』を感じなくなる」のだそうだ。近年はFIAT 500がそれなりに売れているが、それより前の世代のFIAT車の国内登録台数は全車種合わせても1/70に遥かに及ばないだろう。おそらく私にとっては一生で一度の機会、「FIAT車3台が続けて走ってます」という状況作りの誘惑に勝てなかったのだ。

1台目


2台目 "Don't You Want Me Baby?"


3台目 "Don't Call Me Baby."

2013/10/10

映画「キャプテンハーロック」ってどうだったの?

 観てもいない映画について触れるのは個人的にはルール違反なのだが、ちょいと思うところだけは書いておこうと思う。

 事実誤認があった場合はごめんなさい。

 「キャプテンハーロック」に関する情報で、正直びっくり半分がっかり半分だった点がある。CGキャラの動きがモーションキャプチャによるものということだ。個人的な意見だけど、キャプチャデータを使っちゃったら「アニメ」じゃない、おそらく"Animation"でもない。「幾らなんでも今時それは無いだろう」、というのが偽らざる感想だ。

 ディズニーに魂売っちゃおうが、Pixer Animation Studioでは3DCGキャラの動きは今だっていわゆる「手付け」だ。CGキャラの等身がどうのとかいう問題じゃない、"Animation Studio"と名乗るのは伊達ではないのだ。アニメーターの経歴もあり、昨今は3DCG演出で存在感のある板野一郎氏も、3DCGキャラの動きはやはり「手付け」が基本だとの考えと聞く。

 私は「キャラの動きにモーションキャプチャデータを使った3DCG作品」を否定したい訳ではない。

 単に、「キャラの動きにモーションキャプチャデータを使った3DCGムービーが作品たり得るなんていう考え自体が大いなる間違いで勘違い、最初っから踏み外してる。加えて言えば、そんなもんに金を出す人間の感性には言葉もない」と言いたいのだ。

 テクスチャーに頼りきったCGキャラ+モーションキャプチャデータによる動き、この組み合わせはPCやコンソールゲーム機のゲーム中ムービーの「かつての」定番手法だ。そのような手法を使いながら「作品たり得るもの」が作れるだけの力量がある人間は、力量があるが故にそんな手法は選ばないだろう。裏を返せば「そのような手法を選んだ」時点で、おそらく製作サイドに私が期待する「力量」はないということだ。

 更に被せるならば、「私が期待する力量」とは「想像力+創造力」である。或いは本人が本当にやりたいことをやりつつ、どうでも良いメロドラマを追加することで大ヒット映画をでっち上げてしまったジェームズ・キャメロン氏が持つような一種の「ずるさ」だ。

 モーションキャプチャ技術は、そもそも3DCGムービー製作のコスト(お金だけでなく時間も)低減のための技術だ。

「キャプチャデータをどう加工し、映像と言う最終的なアウトプットにどれだけの要素を新たに付加できるか」、

「最初」の勝負どころはそこにある。面白いもの、新しいものはその更に先にまで進まなければ手に入らない。キャプチャデータをそのまま使っただけでは何も生み出されない、出来上がりは物理エンジンのデモ映像レベルが関の山だ。30年来のSIGGRAPHウォッチャーとしては、「18年前だったら『凄い!』と言えたかもしれない」って感じかな。

 ちなみにモーションキャプチャ使って製作費30億円って、モーション手付けだと人件費膨らんで100億円とかかかるってことですか?節税対策?なんか変なお金の流れとか無いですか?

Native Instrument社にしてやられる

 "Native Instrument"(以下、NI)はドイツの会社で、モジュラー形式のソフトシンセ、ソフトサンプラー、エフェクターやDJソフトなどを開発、販売している。ここで言うモジュラー形式とは、まずプラットフォームと部品があって、ユーザーが部品の構成をプラットフォーム上で自由に編集できるというものだ。例えば"Reaktor"というプラットフォーム製品の場合、ユーザーは部品を組み合わせてソフトシンセを組み上げることができる。

 NIの商売の巧みなところのひとつは、「部品構成は編集できないが再生だけはできる」ソフトを無料配布し、「編集済みの部品群データ(なんて呼べば良いの?)」を商品として販売していることだ。上述の"Reaktor"の場合、再生専用の"Reaktor Player"が無料配布されている。「編集済みの部品群データ」は良い意味で所詮プリセットデータでしかないから、価格はそこそこに抑えることができるのが強みだ。

 私は"Razor"というソフトシンセ(のデータ)を"Reaktor Player"上で走らせて使っているが、重い(CPU負荷が高い)、不安定、という感は否めない。モジュラー形式というのは自由度の高さでは魅力的なコンセプトだが、リアルタイム性が要求される分野ではまだまだCPUパワーの向上が必要かと思う。JAVAアプリをイメージして欲しい。様々なハードウェア上で動作するものの、動作速度はネイティブコード(特定のハードウェア用の実行形式)には遥かに劣る。

 さてここからが本題。

 NIの製品で"Guitar Rig"というプラットフォーム製品がある。このプラットフォーム上の部品はギターアンプや各種エフェクターである。ユーザーは用意されているアンプ(実在するアンプの特性をシミュレートしたものもある)やエフェクターを好きなだけ組み合わせ、それぞれのパラメータを設定することで、望みの音作りにいそしめる、という趣向である。

 私がこれまで使用していたバージョンは"Guitar Rig 4 LE"というものだったのだが、アップデートパッチを当てたところエラいことになった。これまで見たことの無いアンプやエフェクターが追加され、"Guitar Rig 5"なんてものもインストールされていたのだ。

 「あぁ、アップデートで追加されたのね、有難いねぇ」などと思ったら大間違い。新しいアンプやエフェクターは上位バージョンの"Guitar Rig 5 Pro"で導入されたもので、インストールされた"Guitar Rig 5"の大部分のアンプやエフェクターは30分しか使えないデモ版なのだ。

 困ったことに、追加されたアンプやエフェクターに限って結構良い感じに音をいじってくれる。更に困ったことに、デモ版のあるプリセットが、ここ2週間程試行錯誤を繰り返していた音作りを一気に解決してしまったのだ。お金で解決できる問題は(納得できる額であれば)お金で解決するのが大人の特権であり、悪い癖だ。結局"Guitar Rig 4 LE"を"Guitar Rig 5 Pro"へとアップグレードした。

 偶然の巡り合わせがあったとは言え、アップデートパッチにかこつけてNIにしてやられたのは確かだろう。トロイの木馬も同然である。

 最後に、"Guitar Rig 4 LE"や"Guitar Rig 4"ユーザーで、「ボーカル向けプリセット」を"Vocaloid Editor 3"上で使っている人は要注意。

 "Guitar Rig 4 LE"は"Vocaloid Editor 3"上でも動作するし、実際重宝する。編集時の音が良ければボーカロイド編集作業もノレるというものだ。が、"Guitar Rig 5 Pro"にアップグレードしても「ボーカル向けプリセット」は増えないし、"Guitar Rig 5"自体も"Vocaloid Editor 3"上では使えないようだ。これらはかなり期待外れだったことは明言しておきたい。

2013/10/06

映画の大好きなオープニング3題

 今回のエントリはちょっとまったりと。すっと思い出せる「映画の大好きなオープニング3題」のご紹介です。「大好きな映画」のオープニングではありませんので念の為。

 まずは"The Billion Dollar Brain"。英国と言えばエスピオナージ(スパイ)映画ですが、本作もそんな一本。まぁ、映画のストーリーは原作小説のそれから大きく逸脱して、悪い意味で007寄りになってしまってます。製作のHarry Saltzmanは007シリーズの共同製作者でもあります。オープニングタイトルはコラージュなどを駆使した如何にも当時に多かった形式ですが、本作のものも出来は秀逸です。
 次いでは007シリーズから"Golden Eye"。「ゴールデンアイ制御システム」の如何にも実在しなさそうな佇まいや、ファムケ・ヤンセン演じるのゼニア・オナトップ(すげー名前!)の暴れっぷり(?)とか、何気に好きな作品です。オープニングタイトルは「ソビエト連邦崩壊」という状況をダイレクトに反映したものですが、煙、拳銃の銃口を女性の口から出すなど絵作りはフェチ度が高いと言うかかなり変態的です。まぁ、悪く言えば品がない、ということなんですが。
 最後は"Contact"。尺が長めなので少しダレるところもありますが、基本的には良作でしょう。オープニングタイトルは衛星軌道ぐらいから見下ろした地球の夜側の画、(映画製作時の)今時のラジオ放送っぽい感じの音で始まります。画面の地球が小さくなるにつれラジオらしき音声の内容が古くなっていき、やがて音は無くなります。つまり、画面に映し出されている宇宙空間は、人類がラジオを使い始めた時点の電波すら届いていないぐらい遠いということです。地球からのラジオ電波が届いていないのですから、その空間からの光も地球には届いていません。そして、その宇宙空間の情景を少女時代の主人公は想像力という力で見ています、といった感じのカットでオープニングタイトルは終わります。劇中で、主人公はそんな地球からはるか離れた宇宙の情景を実際に目にすることになるのです。

アクセス解析:検索ワードラウンドアップ

 久々に当ブログのアクセス解析結果を見てみてびっくり、アクセス数が5倍以上に増えている。理由は簡単で、みんなiOS7でエラい目にあっているようです。あなたは決して一人ではないですよ。

 という訳で、当ブログのアクセス解析から分かったみんなが使う検索キーワードまとめ(ラウンドアップ)です。件数よりもインパクト重視ですけどね。
  • iPod touch iOS7 不具合 アップデート
     アクセス数増大の最大要因はiOS7。
     個人的にはiOS7.0.2はかなり良いんではないかという気がしてきました。iOS7.0は無かったことするべきです、あはは。iOS7にアップデートするとカバーフロー表示がアルバムジャケットのタイル表示に置き換えられますが、これも割と使い易い気がしてきてます。ジェスチャでジャケットの拡大・縮小もできるしね。むしろiTunesのアルバム表示も同じようにできないか(アルバムタイトルとか表示しない)っていうぐらいの気分になってます。
     ただし、iOS7ではスワイプや拡大・縮小のジェスチャとか、各画面で要求される操作が整理されていなくて、「こうしたいんだけどどうすりゃいいの?」という状態に何度も陥っています。操作に関しては仕様が論理的ではありませんし、iOS6を基準にすると直感的でもありません。Apple製品ですからそのうち良くなります、iOS8が楽しみです。
     iOS6が基本的に横スワイプとタップだけで操作するように出来ていた訳ですが、iOS7はそうじゃないということを受け入れなければなりません。今回ばかりはMicrosoftチックでもあきらめましょう。「やりたいことははっきりしているのにどう操作すれば良いか分からない」という状態を生むというのは一種の不具合ではありますが、そもそもAppleってそんなしっかりした製品作った試しは無いでしょ?いつものことです。

  • iOS702 アイコン 色
     やっぱりちょっとケバい気はしますよね。個人的にはiPod touchは音楽プレーヤーとしてしか使ってませんから、起動後2~3秒を我慢すればケバケバしい赤い文字にイライラするだけで済みますよ。

  • ios7 アップデート 音質劣化
     iOSアップデートと同時期にそれまで使っていた既に型落ちヘッドフォンを壊してしまったので、iOS変更による音質変化は分かりません。あのビットレートのAAC音源では音質なんか気にしてもしようが無いかとも思いますが如何でしょうか。

  • iPod touch ios7.0.2  右にスライドで検索
     iOS7では縦スワイプで検索です。
    3つまであるどのホーム画面からでも検索にアクセスできるようになったという意味では、こちらの方法の方が合理的ではないでしょうか。iOS6のスワイプは一次元的、iOS7のスワイプは二次元的とも言えるかもしれませんね。

  • ios7でもカバーフローを使いたいios7 横にするとアルバム画面になってしまう
     カバーフローは過去のものです。ダサいです。使うべきではありません…とは言えないよなぁ。気持ちは分かります。
     iOS6でも画面を横にするとカバーフロー画面になりませんでしたっけ?

  • iPhone 脱獄 ios7.0.2
     脱獄???

  • iTunes 11.1 応答なし
     まるで潜水艦が出てくる戦争映画のタイトルみたいです。日常茶飯事なので私は全く気にしていません。
    そもそもAppleってそんなしっかりした製品作った試しは無いでしょ?いつものことです。

  • 2199*駄作、宇宙戦艦ヤマト2199 つまらない、2199 酷い
     まぁ、そうでしょう。

     2199のTV放送されたバージョンは過去のものです。ダサいです。観るべきではありません…とは言えないよなぁ。気持ちは分かります。そもそも×××ってそんなしっかりした作品作った試しは無いでしょ?いつものことです。

  • コスモタイガーⅡ 黒い部分
     確かに気になりますよね。ちなみにバンダイのEXモデルでの解釈は私は大嫌いです。
    おそらくあの部分のみだけいじっても、全体として整合性の取れる解釈は無理だろうと思いますが如何でしょうか。

  • イデオン 絶望
     どういう文脈で出てくる検索ワードなのかが全く推定できません。3日に1回はアクセスログに現れます。

  • 初音ミク V3 アクティベート
     アクティベートサーバーはまだ不調なのかな?

2013/10/01

最終回…で、完全新作劇場版ですか…

 「とんち」の意味をを調べると「その場に応じて即座に出る知恵、機知」ということらしい。

 「機知」はけっこうポジティブなニュアンスが強いから、あんまり自分のアイディアを「とんち」と呼ぶのは危険な気がする。本当にそのアイディアが「機知」と呼べるほどのものかどうか、判断は他人に任せた方が公平だ。

 最終回まで見終えて、ついに「とんち」を感じることがなかったことを明言しよう。

 単にご都合主義で、無用に感傷的で、時に演出が過剰に感覚的で、ネタを散々食い散らかしながら大事なところに限って回収しなかったのが「宇宙戦艦ヤマト2199」だ。物語や世界観との整合を欠いた「ちょっとしたアイディア」は「とんち」ではない。物語や世界観の論理性や合理性の欠如は回を重ねるにつれて耐えがたいレベルにまで達し、夢の機械「コスモリバースシステム」は作品の製作者のためにのみ存在することがあからさまとなり、「青い地球の回復」のカットにカタルシスはない。

 夢の機械は「可能性として有りうる世界」を現実とする一種の量子状態観測装置+αのようだ。2199における「波動」は、量子力学における「波動」と「まるで同義と解釈せざるを得ないように」取り扱われている。量子力学的並行宇宙仮説のひとつに基づけば、「地球が青いまま」の並行宇宙は存在確率がほぼ0%ながら存在する。存在確率が小さくともその状態を観測すれば、「地球が青いまま」の宇宙の存在確率は0%か100%の「どちらか」に収斂する。量子力学的並行宇宙仮説で保証されるのは実はここまでだ。

 一方、夢の機械は「必ず」望む並行宇宙の存在確率が100%の状態のみを選びとる(0%に収斂することを排除する)。つまり、夢の機械の機能は「量子力学的並行宇宙仮説で説明可能」かと見えつつ、実は最後の最後で「前提である(かも知れない)量子力学的並行宇宙仮説から当然得られる結果を否定」してしまっているのだ。「存在確率が100%の状態のみを選びとる」ことは、量子力学的並行宇宙仮説の枠組み内では不可能ということだ。

 考察や理解の浅さか、都合の良いところだけのつまみ喰いか、夢の機械はそんなものにしか見えない。「夢の機械は作品の製作者のためにのみ存在する」というのはそういう意味だ。

 そんな夢の機械の存在を前にしては、如何なる物語も成立し得るが故に如何なる物語も意味がない。それは「とんち」ではなく、世間一般では「ずる」と呼ぶ。比較的近いところでは、「エウレカセブンAO」の「クオーツガン」が夢の機械として「ずる」に加担していた。

 「あなたのやりたい事は分かるし、実際にやってるようだね」という言葉を贈ろう。問題は、「宇宙戦艦ヤマト」でそれらをやることの必然性が全くないことだ。私が改変部や新しいアイディアと物語や世界観との整合にこだわり続けた理由はそこにある。これではまるでファンフィルムであって、プロフェッショナルな仕事とは思えない。「木を見て森を見ない」とはこのことだが、OSTの異常なマスタリングなどに照らせば「木すら見ていない」とも思える。力量がなかった、常識がなかった、と堂々と言えるのならばそれはそれで清々しいが、どこまで自覚があるのだろうか。

 儲かる限り、そんな作品でも作られ続ける。だからそのような作品が生まれ続けることに視聴者側にも一定の責任がある。この辺りはちょっともどかしいところだ。

(2013/10/5加筆修正)