!今回は軽い下ネタを含んでいます!
職場の昼休みにとあるニュースサイトをチェックしていて、最近TVでも使われることのある「ボラリティ」とい言葉に出会う。化学の世界だと、「揮発性の高い」ことを「ヴォラタイル、ヴォラティル(Volatile)」と表現する。それもあって、これまでは「消えちゃう」とか「すぐ変わる」のぐらいのニュアンスで捉えてきたのだが、一度真面目に意味を調べておこうと。が、なんてことなさそうで、そこそこ笑劇的(変換ミスに非ず)な展開となった。
そもそも、英語に「ボラリティ」なんて単語はない。おそらく「ヴォラティリティ、ヴォラティラティ(volatility)」が正解で、別のニュースサイトでは「ボラタリティ」を使っていた。この単語、経済学では株式や為替の変動率、つまり時間当たりの変動幅を指すらしい。つまり「ボラタリティが高い」というのは「乱高下する状態」と言い換え可能で、別に新たな単語を導入するまでもなかろうと思うのだ。
想像力を逞しくすると、「個人的な株取引の過程で、なんかカッコ良さげな"volatility"という言葉に出会い、他人に対して使いたくて使いたくてたまらなくかった。ところが、いざ使う段で『ボラリティ』とう具合に間違って使ってしまった。」とか、発端としては有りそうじゃないですか。気取ったつもりが赤っ恥。若いころにありがちな「痛いパターン」ってヤツですよ。
「シミュレーション(simulation)」ではなくて「シュミレーション」とか、おそらく日本語としての発音のし易さが原因で変なことになっちゃうってのは分からなくもない。かといって英語としても発音しにくい単語とは思えないから、発音がおかしいところは「カタカナ表記した際に違うところ以外」にあるとも考えられる。どーも、というかやっぱり「L」の発音が鬼門なんだろうじゃないかと思う。つまり、「L」をちゃんと「L」で発音すれば、「シミュレーション」の方が発音し易いのではないかということだ。
"english.com"じゃなくて"engrish.com"というサイトがある。英語ネイティブが奇異に感じたり、苦笑せざるを得ない英語の誤用や上手くない使い方を紹介するサイトだ。アドレスは「L」を「R」にしか聞こえない音で発音する様を揶揄していて、当然ながら日本はネタの宝庫である。
カレル・チャペックの小説「山椒魚戦争」では、人語を解する山椒魚が突如東洋に現れ、人類(実際には米、欧~露と言って過言ではないが)相手に戦争を仕掛ける。山椒魚達は英語をしゃべるも、「L」と「R」の発音を区別しないのが特徴だ。あれ? 中学生時代の英語の授業でやたら「R」の発音を練習させられたのだが、日本語のラ行の発音が英語ネイティブには「R」と聞こえるならば、むしろ「L」の発音の練習をすべきではなかったのでは?ん~?
ついさっき久しぶりに"engrish.com"を覗いてみたら、いきなり袋詰めナッツ"My Nuts"の写真で苦笑。"Nuts"にはスラングとして「イカれたヤツ」みたいな意味もあるが、ここでは「オレのキ○タマ」が妥当な訳だろう。「ついつい手が出る」、「カリッと香ばしい」といったパッケージ記載のコピーとも併せると、「オレのキンタ○」では二重三重に痛いよな、痛そう。ちなみに「ポケットモンスター」は海外では"Pokemon"だ。"Pocket monster"は普段はズボンに隠れているモンスター、「男性のイ○モツ」の意味があるからだ、いや~ん。
はい、軌道修正。
とは言え単語の中の音の入れ替えは別に日本語固有ではないようだ。「イスカンダル」は「アレキサンダー(大王)」がアラブ語圏でなまったものとされる。良く使われる説明は、アラブ語の定冠詞(英語なら"the")である"al"が頭に付いていると誤解され、その部分がまず取り去られたというものだ。つまり「イキサンダー」とか「イキサンダル」になる。次いで「キ」と「サ」の順番がなんかの拍子で入れ替わると「イサキンダル」、かなり「イスカンダル」に近付いたよね。このような音の入れ換えの原因は「言い間違いの発生頻度が高い」せいと考えることもでき、それぞれの言語における発音のし難さ/し易さと無関係とは思えないのだ。
"volatility"は「V」と「L」という日本語に無い音を含んでいて、発音が化け易い単語とは言えそうだ。確かに、「ボラリティ」という発音は余りにも「英語的では無さ過ぎる」気もするんだなぁ。
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