宣言 国民と共に立たん(昭和20年11月7日)
支那事変勃発以来、大東亜戦争終結にいたるまで、朝日新聞の果したる重要なる役割にかんがみ、我等ここに責任を国民の前に明らかにするとともに、新たなる機構と陣容とをもって新日本建設に全力を傾倒せんことを期するものである。今回村山社長、上野取締役会長以下全重役、および編集総長、同局長、論説両主幹が総辞職するに至ったのは、開戦より戦時中を通じ、幾多の制約があったとはいえ、真実の報道、厳正なる批判の重責を十分に果し得ず、またこの制約打破に微力、ついに敗戦にいたり、国民をして事態の進展に無知なるまま今日の窮境に陥らしめた罪を天下に謝せんがためである。今後の朝日新聞は、全従業員の総意を基調として運営さるべく、常に国民とともに立ちその声を声とするであろう。いまや狂瀾怒濤の秋、日本民主主義の確立途上来るべき諸々の困難に対し朝日新聞はあくまで国民の機関たることをここに宣言するものである。