佐野電磁さんのラジオ番組「電磁マシマシ」のエンディングテーマ曲であるところの「Dear Radio」をその一部を聞いただけでiTunesですかさず購入しちゃったよ、と言うのは以前のエントリに書いた通り。曲単位で購入ができること、CDという実体を部屋に持ち込まなくても済むことなどがiTunesの利点だが、他方、映画の字幕と並ぶ日本の良き伝統と言える実体物「歌詞カード」は入手できない。
文部省唱歌ですら聞き違えをやってしまう「空耳」な私としては、「Dear Radio」の歌詞の聞き取りが難事業となるのは至極まっとうな流れ。とはいえ、標準語を解する今を生きる日本人としては、「歌詞聞き取りに挫折しました。」と白旗を上げるというのも悔しい話。かつて「言語破壊者」とまで呼ばれ、友人間だけで通じる造語を大増産していた言葉にこだわりのある人間としては、歌詞は充分に味わう価値のある言葉の連なりなのである。
ちなみに、もしエロ同人誌を指す言葉としてかつて使われていた「面妖本」という表現の発祥が1985年ごろの福岡、かつ、某大学のアニ研ならば、最初に使用したのは私ということになりますよ。なお、私はアニ研に属したことはありません。
おっと軌道修正。
さて、件の歌詞の聞き取りは予想通り難航し、何回聞いても2か所がどうもしっくりこない。要はどう考えても「空耳」としか思えないのだ。具体的には下記のような具合だ。
- 「約束はいつも言えない」「約束はいつも見えない」
- 「心を素通り」「心を素通し」「心をスローに」「心をスローリー」
「空耳」の結果に発想が縛られていることが、聞き取りの進展を妨げている原因の一つであることは明らかだ。それ以外にも不要な予備知識や思い込みにより発想が制限されている可能性もある。このような場合は意図的に自分の思考過程の「タガ」を外すしかない。幸いにして本日は出張だったので、帰りの列車の乗車時間である約1時間半をそれに当てることとした。
今回の具体的な手順は下記の通りだ。仕事でアイディアが行き詰ったときの発想転換に良く使っている手法の応用である。
まず、背景情報を整理する。ここで重要なのは、整理すべきは事実のみとし、「空耳」の結果の如き事実とは無関係な情報は意図的に排除することである。整理した具体的な事実は下記の3点だ。
- 件のラジオ番組の終了時刻(11:30、イレブン・サーティ)は歌詞に織り込まれている。
- 件のラジオ番組の開始時刻は午後9:00である。
- 件のラジオ番組はUSTでライブ配信されている。
次いで、おもむろにiPodで楽曲をリピート再生し、ただ無心に「閃き」、或いは「シナプスの爆発」を待つ。再生5回目ぐらいまではつい言葉を聞きにいってしまったが、やがて「聞こえたものに対する自分の脳の反応」が感じられるようになってくる。爆発はリピート10回目ほどで立て続けに起こった。「悟り」の瞬間、と言っても良いかもしれない。結果は以下の通りだ。
- 約束はいつもPM9:00(ピーエムナーイ(ン))
- 心をstreaming(ストリーミン(グ))
「PM9:00」が実は曲者だ。一般的な、或いは英語での使用方法は「9:00PM」だからだ。このような知識は「PM9:00」という聞き取りを明らかに阻害する。実際、「PM」→「11PM」→「明日は東京、日本テレビ。」という連想がデフォルトとして刷り込まれているのが60年代生まれの悲しさだ。
今回は本当にどうでも良い話でしたね。
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