2021/09/25

「平時」ではない

 昨日実家に電話をし、母親と少し話し込んだ。

 「他者の考えを聞いたうえで自分で判断せよ、判断に足らない情報は自分で集めよ、自分のことは自分で決めよ」が暗黙の家訓みたいな家族なので、新型コロナワクチンを接種するかどうかの判断から接種の手続きまで父母ですら別々だった。だからと言って家族としてバラバラかというとそんなことは無く、むしろ情報交換・コミュニケーションを極めて重視する傾向にある。ただ「自分のことは自分で決めよ」とのスタンスの当然の帰結として、私も含めて皆明らかに頑固者の部類にはなる。と同時に、例えばTV報道内の「(無味乾燥な)事実」の部分とコメンテーターとか言う怪しい存在が口にする「コメント」の部分を分離できるぐらいの情報リテラシーは当然備えている。それが事実ならば「私には分からん」「私は知らん」を平気で口にできる、弱音も吐ける。イデオロギー、権威主義と自分を守るためだけのプライドは家族の中にあっては一切無用だ。

 さて、 

新型コロナ禍については「早く治療ベースの対策フェーズに移行できると良いね」と言う辺りは私と母の共通認識ではあったのだが、ブースター・ワクチンの可否の話などを含めて細かいところでイマイチ話が噛み合わなかった。理由は単純だった。母は良くも悪くも現状に慣れてしまったところがあり、将来の状況を現状の延長で考えている節が明らかにあった。私の認識は「現在は非常時」、少なくとも「平時ではない」なので、そりゃ話が噛まないところが出てくるのは当然だ。

 ワクチンが無料で接種できる、少なくともブースター(3回目接種)までは無料のようだ・・・は「平時ではない」から国が面倒を見てくれているに他ならない(まぁ税金の使い方としては悪くない)、と言うのが私の認識だ。だから新型ワクチンや治療薬と言った実効性ある対策の選択肢が出そろうにつれて国は面倒をみてくれなくなっていく・・・無料から一部補助、そして補助無しへと「平時」へと歩を進めることになる。私にとってはこれは当然の展開なのだが、私の母も含め、その辺りの可能性に未だ思いが至っていない人も多いのではないかと思う。なので「治療薬が一般化したとして、その治療が無料で受けられると思う?新薬は高いよ?」との私の言葉を聞いて、電話の向こうの母が一瞬絶句したのも頷ける。色々気づいちゃった訳だ。

 薬を売る側はそんなことは分かっている。例えば新型コロナとインフルエンザの混合ワクチンといった付加価値の高いワクチンの開発には、「平時において客から選ばれる、競争力のある製品となり得る」ことも重要なドライブ因子となっている筈だ。ここで客は国ではない、個人だ。

 現時点でまず間違いないのは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカ製ワクチンについては接種対象となる全ての人に対して(ブースターとなる)3接種目までは国によって(税金で)面倒を見てもらえるだろうことだ。これは接種が無料であるだけでなく、ワクチンの調達・保管・流通・接種体制の構築及び維持も含む。

 私の記憶に間違いなければ、1・2回目接種分のモデルナ製ワクチンの調達は9月納品分で終了する。ファイザーも年内に調達は終了する。以降の調達分はブースター分であって、1・2回目分ではない。つまり、未だワクチン接種を考えていない人のための1・2回目用ワクチンはいずれ期限切れで廃棄され、ワクチンの保管・流通・接種体制の構築及び維持はブースター専用となる。だいたいこのくらいのタイミングで接種券の有効期限が切れるのではないかと思う。2月と言うのは絶妙だ。

 当然、1・2回目の接種をしていない人はブースター接種の対象者にはなれないから、将来的な国によるブースター接種を受けるためには自腹(?)で早期に1・2回目の接種を受けなければならない。廃棄される、或いは緊急性を有する他国に無償供与されることになるかもしれないワクチンには、最初から接種する考えの無い人やその時点まで「様子見」して結局接種しなかった人の分も含まれている(=税金で購入されている)。何らかのセーフティネット的なものは用意されるかもしれないが、以降の1・2回目接種への税金の再投入は、(官僚的な)公平性の観点からは有り得ない。

 調達ルートが変わればワクチンの価格も変わるだろう。もちろん、競争原理により安くなる可能性もある訳だが、さすがに無料にはならない。新型ワクチンや国産ワクチンへの国からの何らかのインセンティブはあるかもしれないが、そこにも接種者に対しては「公平性」が介在することは避けられない。この辺りは流動的だが、そもそものノババックス製ワクチン調達は来年用だった筈だ。来年のノババックス製ワクチン接種が無料(税金)は筋が通り得るが、今年はどうか。筋論としては「税金による無料接種」は有り得ない。例外は、体質的な要因などにより既存のワクチンが接種できないがノババックス製なら接種可能な人ぐらいだろう。

 制度運用における「非常時」か「平時」かは人が決める。「明後日零時をもって平時とする」みたいな時がいずれ来る、来ないと困る。 ただその切替タイミング以降、それまで無料だったものが有料になったり、それまでワクチン接種者が毎日訪れていた場所が空っぽになったりする筈だ。ワクチン接種などに慎重なのは結構だが、その時になって慌てるようでは唯の無定見、ある意味では負け組だ。

 とまぁいった具合に、電話での母との意識のすり合わせはできたのだが、皆さんはどうだろうか。 別エントリにも書いた我が家の合言葉である「罹ったら負け」は、「非常時」「平時」を問わない。

2021/09/17

野党が無能だとこうなる(かもしれない)

 真偽の程は確かではないのだが、とあるYouTuberによれば自民党への入党申請者が直近で増えているらしい。私と同じような考えに至った人が増えてきたのかな、と思ったり思わなかったり。

 まぁ現行政体の一部否定とはなるのだが、事実上野党が存在しない現代日本においては避けがたい状況の出来と言える。かつて野党の機能も果たしていた自民党内の派閥は、その種の機能を失って久しい。

 ちょっと考えてみて。

  • 現行、政権担当能力があるのは自民党だけである。
  • 現行、内閣総理大臣には自民党党首が就任する。 

ならば、

  • 自民党の党首選は、自民党員にとってみれば内閣総理大臣の指名選挙も同然である。
  • 君も自民党員になって、実質的な内閣総理大臣直接選挙に参加しないか!! 日本を諦めるな!!国政選挙だけが君の意思の表現の機会じゃないよ!!

ん~、どこか間違っているかなぁ? 逆用されると、それはそれで怖いけどね。

2021/09/16

モデルナ接種2回目

  エントリタイトル通りに昨日に2回目を接種、もう良い年だからと高をくくっていたら予想以上に副反応が出て笑う、つーかじわじわときつい。予約に年齢制限の無い集団接種だったのもあり、私の前後6人ほどの接種者は明らかに男女の中学生だった。若い方が副反応が激しそうだと思うと、ちょっと複雑な気分になる。代償とは言わないけれど、ワクチン接種によって今後彼らが新型コロナやそれ以外の色々なものから守られ、多少なりとも制限の少ない生活を送れることを心から祈るばかりだ。受験生だっているだろうし、集団スポーツをやってる人もいるだろう。

 モデルナで2回目と言うこともあってか、会場では何度か「解熱剤などは用意されてますか」とそのものズバリ聞かれたし、1回目での副反応についても診断で聞かれた(聞き取り結果記入用のやや急造っぽい書類もあった)。接種する側もやはり副反応について気にしている様が伺えた。

 で具体的な副反応だが、就寝から約2時間経った午前1:30に急に目が覚めたところでそれらしい症状に襲われていることに気づいた。接種(午前11:30ごろ)から約12時間後+αからとなる。ただ寝付きが明らかに悪くて怪訝に思っていたので、軽度の症状は就寝時に出ていたのかもしれない。症状は鼻づまり(鼻水)と発熱(その時は37.8℃)だ。早速用意していた頭痛薬(エスエス製薬 EVE Quick DX)を飲んでなんとか午前6:00ごろまで寝ることができた。7:00までは寝たい人なので、寝不足感は否めない。当然本日は完全なオフだ。

 起床時には鼻づまりは治まっていたが、微熱(37.2℃)は残っていた・・・と言うか、これを書いている午後8:00に至っても相変わらず37.2℃程度の微熱と眉間当たりの頭痛は続いている。接種1回目でも微熱は出たが、接種翌日の夕方の2時間程度と短時間だったから、副反応としての症状は強くなっていると言える。水分摂取量(主にアクエリアス)は通常の2倍程度かな。明日にはおさまっていれば良いんだけどね。

 1回目接種時の副反応(?)の一つとして食欲増進があったが、今回はそれは(未だ?)出ていない。食欲増進と其れに伴うウェストの増加についての話は接種担当医と看護師(ともに私より十分に若い女性)と馬鹿話的に軽く盛り上がったが、看護師の「何Kg太ったんですか」とか「また太りますねぇ」といったストレートなもの言いは・・・まぁいいけどさぁ、爺さん弄り上手過ぎ。

(追記:9/17 17:30)微熱(37.1℃)発生、急激に気分が悪くなる・・・吐きそう。
(追記:9/18 18:00)微熱(37.2℃)が2日間にわたって継続中・・・吐きそう。
(追記:9/20 16:00)結局9/19 20:30ごろまで微熱(37.2℃)と吐き気継続。大体終わりっぽいかな。

2021/09/12

メインPC、CPUクーラー交換!(その4・アフターサーヴィス)

 約1年間に購入したDELL XPS 8940(Intel Core i7-10700)のCPU冷却性能向上及び静音化作業に一区切りがついた。そもそものは6月、たまたま調べたCPU温度の余りの高さに驚いたことから始まった話だ。

 CPUの最高出力を制限することでなんとか誤魔化そうとするところから始まり、色々調べた結果として根本的な対策が必要と判断し、CPUクーラーとケースファンの交換にまで至った。おかげで実効的に使えるCPUパワーの大幅な向上と、静音化が実現できた。ただこの根底には、「そもそもDELL XPS 8940の熱設計が余りに酷い」という悲しい現実がある。海外(≒米国)ではこの問題は多数の個人、メディアのレビューでボッコボコなまでに叩かれており、ほぼ一般知化していると言えるが、同時に参考となる具体的な対策の情報にも事欠かないところがミソだ。また、ことXPS 8940(及びゲーミング用PCバリアントのG5)に関しては流通数が少なくないこともあってか、パーツメーカーが自社製品のマーケティングに陽に(=案件)陰に(=ステマ)に利用している節もある。

 私の見たところ、日米のユーザーのメーカーPCとの付き合い方には結構違いがある。ざっくり言ってしまえば、日本でメーカーPCを買うような人間は製品に多少問題があってもそれに気付かないか、気付いても部品交換までやろうとはしない傾向が強い。またメーカーPCを購入する層と自作派層との間には、「しゃべる言葉が違う」レベルの距離が日本ではある。一方米国はメーカーPCだろうが問題や改善の余地があれば徹底的に弄り、SNSで情報発信したりもする。それは弄り代の少ないDELL製品であっても同様だ。特定のメーカーPCの改良でしか使えない特殊部品の3Dプリンタ用データが無料で利用できるCreative Commons下で公開されている状況からもそれは明らかのように見える。このような状況は日本文化にはほぼ根付いていないハッカー文化の発露にも思える。ガレージでダクトテープを使って・・・といった感じの「改造は日常」というDIY文化の延長だ。

 CPUクーラーの選定には価格.comの日本人の書いたレビューを参考としたが、今回は見送った対策を含めてそれ以外の対策は主に米国人の手になるYouTube動画を参考とした。動画の良さは、英語が聞き取れなくとも画を観ていれば必要な情報が手に入る点だ。

 ただ、少なくともYouTube動画に限ってみれば、PC用パーツのレビューの内容の充実具合や役立ち度は日本人の手になるものが突出して高い。海外、時に米国人によるものは結構淡白で、「使ってみたよ」「ちゃんと取り付けられたよ」「ちゃんと動いたよ」辺りで終わってしまうものが多い。ジャンク品主体のネタ動画ですら定番ベンチマークプログラムを一通り回してしまいがちな日本人自作erってのは世界的に見れば特殊で、愛すべき存在じゃないかと正直思う。

 さて、きっかけから作業終了までの関連エントリは以下だ。

これらに記載した内容と、3.5インチHDDの取り付け位置変更がやった作業の全てだ。

 後で写真も示すが、出荷時の3.5インチHDDの取り付け位置はフロントパネルの裏側の専用ベイで、ケースの空気流入口の一部を塞いでいる。これをケース天井に沿ったもう一ヶ所の3.5インチHDD専用ベイへ移動することで、ケースへの空気流入がよりスムースにできる可能性があった。結果から言うと、ケースファンの騒音が僅かだが明らかに低減した。理由の説明は長くなるので省くが、「力づくで風量を確保する用途には向かない」この種のファンでは、上流側の流れの抵抗が小さい方がファンの駆動系への負荷が下がって静音化し易い。

 換気扇は屋外の風が強いとファン自体は逆回転しなくても短期的に逆流が発生し、時にファンの回転が遅くなったり止まったりする。このような状況下でファンを駆動するモーター軸には逆回転方向の強い負荷がかかっているのは間違いなく、モーターが異音を発したり振動したりする原因となる。HDDの移動は、これとは逆の状況を作る効果を多少なりとも生み出したようだ、きっと、おそらく、多分。

 では手を入れる前の状態の写真・・・と言いたいところだが、当然のように撮影なんかしていなかったので 「パソコン徹底比較購入ガイド」さんのXPS 8940のレビューページから無断引用させて頂く。撮影範囲はケース内の上側3/5ぐらいで、撮影範囲の最下部の水平の基板がグラフィックボード、写真外のその更に下に電源がある。

 写真の上下は実際の上下と一致しており、右側がフロントになる。写真右端の箱状部分が使用中の3.5インチHDDベイで、写真右上の横に細長い口を開いた金属箱部分が未使用の3.5インチHDDベイだ。また、写真左上の空きベイは2.5インチHDD用だ。写真中央がCPUクーラーのファン、写真左側のファンがケースファンだ。

 で、現在の状態が下の写真だ。

3.5インチHDDの移動によって新規CPUクーラーのファンの正面、メモリの空気入口側の空間がより広くなり、メモリの冷却は良くなっていそうだ。他方、写真ではCPUクーラーのすぐ下に位置するSSD(マザーボード基板高さ)の冷却が現状で十分かはイマイチ分からない。モニターしている温度を見る限りは問題無さそうだが、ヒートシンクぐらいは正直付けたくなっている。なお3.5インチHDDの移動によるCPU温度低下は70℃付近で1℃程度と無視できるレベルだ。

 下の別アングルの写真を見ると、CPUクーラーのファン、CPUクーラーのヒートシンク、ケースファンがほぼ同軸の一直線上に並んでいることが分かる。両ファンとも最大風量は約45CFNと同等なので綺麗なエアフロー形成が期待できそうだが、ケース閉止時にはヒートシンクとケースファンの間辺りだけ局所的にケース表面が温かくなるので、ケースファン上流側では大き目の安定した循環流ができているかも知れない。

 騒音だが、ここではiOSアプリで測定したデシベル値(単位はdb)を参考として示す。校正した値ではないので絶対値の正確度は不明だが、大小関係は信用できるだろう。

  • 部屋のバックグラウンド:14~21db
  • ダイソン ホット・アンド・クール(送風のみ・送風量1及び5、側面・距離30cm):32~37db及び41~45db
  • XPS 8940(ターボブースト出力無制限・100%出力時、正面・距離30cm):41~43db
  • パナソニック 電子レンジ(500W、正面・距離30cm):48~50db

別エントリで既に述べているが、一連の対策で騒音は(安いのであまり静かではなさそうな)電子レンジの作動音よりも低く抑えられたようだ。なお、40~45dbはオフィスでの会話レベルだそうだ。

 最後に解決済だが想定外だった騒音について記しておく。それはケースのビリビリいう共振だ。振動源はファンではなく取り付け位置を変更した3.5インチHDDで、マウンタをケース(シャーシ)に固定する2本のネジのうち1本の締め付けが緩んだことが原因で上手くない振動を発生してしまっていたようだ。このため、緩んだネジを締め直すことでケースの振動はあっさり消えた。

 ミニタワーとはいえペラペラした凹凸の無い華奢なケースとの印象を持っていたので、原因が分かった際には正直さもありなんとは思った。昔のフルタワーのXPSでは「XPSロゴ」でケース側壁に凹凸(タブ)を設けたりして、剛性を向上したり共振周波数を高くしていたものだが・・・この辺りも改善の余地がある安さの秘密なのかもしれない。

p.s.:現在の私の構成では、DELL社のファームウェアレベルの構成機器チェックでケースファンが「互換性が無い」と判定されるが、使用においては問題無さそうだ。とあるYouTube動画中でも、同じファンに交換した人が同様の事例を報告している(と言うか、ファン交換作業の動画末に、そのディスプレイ画面をノーコメント・長回しで大写しで挿入)。「互換性が無い」と判断された場合は、機器名や問題の内容が二次元バーコード付きでディスプレイに表示される。ここで鳴らされるのはビープ音といった警告系の音ではなく、キーボードの様々なランプの点滅と同期した小音量の音楽なのが和みポイント(?)だ。

2021/09/07

メインPC、CPUクーラー交換!(その3・おまけ)

 メインPCとして使っているDell XPS 8940(Intel Core i7-10700)のCPUクーラーを交換し、実効性ある結果を得た件については既に述べた。今回は「その後」の話だ。

 CPUクーラー交換後に気になったのがファン音だ。特にCPU出力100Wを超えたあたりから聞こえ始めるブーンといった音が大きく、かつ聞いていて落ち着かなかった。遠心式ポンプやスクリューコンプレッサと言った高速回転機器と仕事上長く付き合ってきたためか、回転軸のブレや潤滑不良を想起させるこの種の音はとにかく苦手なのだ。CPUクーラーの交換で、60Wを超えるCPU出力でもCPU温度をほぼ気にせずに長時間・連続運転できるようになったからこそ生じた問題だ。

 そこでケースの側面板を外して様々なCPU出力で運転してみたところ、件の音の源がケースのリア排気ファン(以下、ケースファン)であることが分かった。出荷時のケースファンはFOXCONN PVA080F12Hで、ファン径80mm、最大4200rpmという高回転数によって最大風量45FCNを叩き出すちょっと癖のある製品だ。ファン回転数は4-pin PWM制御で、低負荷時には回転数を抑えて文字通りの静音運転を実現する。が、高回転運転で風量を稼ぐ仕様なので、高負荷時には色々と音を立ててしまうのは避けられない。ブーンといった音もその一つだ。悪い製品ではないとは思うのだが、積極的に使いたいCPU出力域で五月蠅いのは頂けない。

 と言う訳で、ケースファンをnoctua NF-A9 PWMに交換した。ファン径は一回り大きい92mmだが、最大回転数が2000rpmなので最大風量は約45CFNで交換前と変わらない。静音化のみを目的とした割切った選択だが、選択理由は「ピンと来てしまったから」としか説明できない。公開スペック並べてみると、noctua NF-A9は同径ファンを用いた他製品と比べて最も低ノイズという訳でもなく、正直価格は高めだ。なおDell XPS 8940のケースには80mmケースファン用の取り付け穴だけでなく92mmケースファン用の取り付け穴も用意されているので、noctua NF-A9への交換には何の障害もなかった。

 交換結果を簡単に言えば、CPUの使用可能範囲全域(CPU出力174W以下=CPUの100%性能動作時の出力以下)で、ケースファン音はCPUクーラーのファン音よりも常に小さくなった。当然、ブーンといった不安感を誘う音は無くなった。

 ファン購入費を十二分に取り返したぞ、これは。

 「ファン音が五月蠅い、ファンが壊れるんじゃないかと不安になる」という理由でCPU出力を敢えて抑えて運用する、という選択肢は、睡眠時の連続・全力運転時を除いてもはや無くなった。

 ケースファン交換前はCPU出力120Wでもその音からファンが壊れないか不安になったものだったが、今や170Wでも「廻ってんなぁ」ぐらいにしか思わなくなった。実際、CPU出力120W時のファン音は、半開きのドアを通して隣接するキッチンから聞こえる電子レンジの作動音よりも小さくなってしまったぐらいだ、なんともはや。しかも、CPUパッケージ温度が72℃に達する110Wを超えると、ファン回転数が最大値に達しているようでファン音の大きさはもうCPU出力を上げても変わらない。

 ファン音が静かになったので、取り合えず普段使い時のCPUのターボブースト最大出力を75Wから95Wに上げた。ここで普段使いとは「3DCGIアプリのリアルタイムプレビューが常に動作しており、作業時間の1/3以上でCPU使用率が100%」といった使い方だ。典型的な動作クロックは4.1GHz、CPUコアパッケージ温度は基本的に68℃未満が維持され、CINEBENCH R23のマルチCPUスコアは10169と10000を越える。

 なお、ベンチのベストスコアは12245@ワット数無制限・・・CPUパッケージ温度が90℃にいっちゃうので長時間連続運転には敢えて使わない。が、爆音とまでは言えないレベルのファン音でCPUの性能が100%出せる冷却性能が得られたことは、PCとしては別物になったと言える。CPUクーラー交換前はCPUパッケージ温度が上限値の100℃に達するためCPU出力が110Wまでしか上がらず、CPUクーラー交換後はCPU出力無制限で運転できるようにはなったもののファン音は大きいわケースも共振するわで120W越えの運転はヒヤヒヤしながらだった。が、ケースファンの交換後はCPU出力無制限(実際には174W付近でフルパワーに到達)での運転でも「頑張って廻っとる、国内ブランド安物電子レンジよりは静か」な感じのファン音しかしなくなった。必要な物品の購入コストが約¥3600(CPUクーラー)+¥220(ネジ)+約¥2200(リアケースファン)でこれは安い、安くない?


  では最後はおまけのおまけ。

  • ケース側面板を外しただけで、ケースファン無しでもCPUパッケージ温度が6~7℃下がるCPU出力域があった。世間の評判通り、Dell XPS 8940のエアフロー設計を含む熱設計は余り褒められたものではなさそうだ。

  • 海外の動画などを観ていると、Dell XPS 8940についてはフロントにケースファンを2個追加する例も珍しく無い。そんな中、フロントパネル裏のHDD(HDD自体の冷却を意図してか、ケースの吸気口の一部を実質的に塞ぐ形で設置されている)を外してまでその位置にケースファンを取り付ける理由が分からなった。実はこの位置のケースファンは、サイドフロー型CPUクーラー使用時にはそのファンと向かい合う。つまり、CPUクーラーに吸気したばかりの外気を直接吹き付けるような形となるのだ。なお、もう一つの追加ファンはグラボに吸気を直接吹き付けるためのものだ。

    ケース側面板を外した方がCPUが良く冷える理由は明確ではないが、側面板が取り付けられている状態ではケース内に循環流が発生しており、CPUクーラーのファンの吸気にクーラー下流の高温の空気が混ざっている可能性などが考えられそうだ。今回のケースファン交換では風量は変えていないのでケース内エアフローへの影響は極めて小さいだろうから、CPUパッケージ温度に影響が見られなかったのは当然と思える。半面、ケース内エアフローに改善余地があるのは明らかだろう。

    まずはHDDの位置、変えてみる?

2021/09/03

NHKニュースの岸田連呼

 菅自民党総裁が次期総裁選に不出馬の報、病院の待合室でNHKニュースで知る。

 菅政権の個人的評価は少なくとも1ヵ月先にならないと出来ないが、経済ブレーンの顔触れが究極的に気に食わないだけで、ネガティブな要素はほとんど出ないと思う。この難しい時期に大変だなと心から思う反面、下手に平時だと経済政策辺りで批判的とならざるを得なくなっていたかもしれないとは思う。名は秘すけれど3人ほど道連れにしていただければ無条件に最高評価する。その際は是非自分だけ浮かび上がってきて頂きたい、まだ終わりじゃないですよ。

 ま、むっちゃくちゃ政局を動かしつつ(多くの人にフリーハンドを与えつつ)、国政への影響を最小限にするという意味では、結構良い手かもねとは思った。だからこそ、終わりじゃないですよ、身を切ったこの判断を評価する人はきっといるよ、と言いたい。状況についていけてない野党の無残さには本当に目を覆う。

 それはさておき、

NHKの岸田連呼には閉口した。(NHKの報道によれば)岸田氏の反安倍姿勢が野党並みの低レベルで心底呆れた。なお、私の見たところ、岸田氏の方針には基本的に「国益」の概念が無い。昔から聞くのは、「省益」を調整すると「国益」が入る隙間がなくなるそうだ。岸田氏の方針はどうかな?

 あ、あと岸田氏の方針には「NHKを今後どう扱うか」が無いよな。この辺り、はっきりとしたところ知りたいねぇ。少なくともスーパーハイビジョンとか意味無いものへの投資は一切切って欲しいね。

2021/09/02

引いてる引いてる

 「引いてる感」が凄く出てて笑えないっつーね。

 VTuberとかシーン含めてさっぱり興味無い人間がこの動画に至る経緯は単なる流れだから省くとして、VTuberが「視聴者からの『告白』を受け付ける」といった類のライブからの運営自体による一部切り出し。「子ども時代の笑えるやらかし」とは一味も二味も違う告白の内容にVTuber"Koro"が引く感じがね、凄くてね。因みにこのVTuberの中の人はしゃべらない形態なので念の為。

 あ、英語は特に訳さないよ。

 これ自体はネタっぽいとも言えるけれども、若かりし頃に海外のフリーホスティングサイトで2D絵サイトをやってたころの経験からはガチなヤツもいると言える。ヤバいリクエストは本当にヤバかった。わざわざ「海外」のサービスを使っていた時点でコンテンツの方向性はお察しで、現在の欧米の感覚では絵柄的に〇ポと見られても仕方無さそうな絵への食いつきは、"HENTAI"と言う表現が未だ使われていなかった当時ですら一味違った。感想メールの内容に「そのような目で見られているのか!」とショックを受けてサイトから削除した絵も少なくなかったぐらいだ。でもさ、北欧ではほんの2、3年前までマジもんの児〇が作られてたんだぜ、当時はさ。

 オリジナルはtwitchのライブだ。これを観ると、上記の動画が時間軸ではほぼ編集無しで、"Koro"の顔がクローズアップされたり、チャットの内容が追加されたりしているだけだと分かる。音楽も含めて間の良さはライブ譲りなのだ。

2021/08/31

分かってない。

 某所での新型コロナワクチン職域接種開始の報道を読んで唖然。

 インタビューを受けた接種者曰く、「地元に気軽に帰れるようになるためにもなるべく早く打ちたかった。(後略)」。

 この人、ワクチン接種の意味やワクチン戦略そのものを全く理解していない。加えれば、最近は以前より議論に上がるようになった「スプレッダーになる可能性」も知らないのではないか。ワクチン接種は接種者は守ることにはなるけれど、接種者が感染防止のための行動を緩めれば、緩めた分だけ周囲の人が感染する可能性を上げるのは変わらないんですよ~、分かってないでしょ。接種者の地元が今後危険になりそうな予感。

 さて、私はワクチンパスポートに反対ではないが、そんなものは「それに実効的な意味があると信じて、何らかの判断に使おうとする頭が悪い人間や組織や国」から非合理的な不利益を被らないためには必要だとは考えている。パスポート所有者が得をするような制度はそもそも間違っていると思うよ、国内だけの話ならなおさら「損をしない」ラインまででやめておかないとアカン。

2021/08/29

情報操作の香り

 仮定の話をしよう。

 某省は現状が気に食わない。私に言わせれば政権の意図をサボタージュでご破算とし、更に失策を重ね続けているのだから自業自得でしかないのだが、彼らが気に食わないのはしようがない。そんな某省にとっては与党党首の党内求心力の低下や政権支持率の低下は世論操作の絶好のチャンスだ。

 仮定の話を続けよう。

 とは言え、某省が自らの罪、無能、怠惰などと呼ばれることになるかも知れないことを他者に忘れてもらうためには生贄が必要だ。生贄の一方は省内の現場の人間で、彼らは馬車馬のように働くことになる。もう一方は外部の今ひとつ気に入らないが敵とは言えない組織だ。仮に日本医師会としよう、仮定の話だ。

 仮定の話は続く。

 某省にはなんだかんだと友達は多い。その中には日本医師会(仮名)と距離を持つ者もいる。そこで、その友人に文章をお願いしてネットに上げる。日本医師会(仮名)を生贄に、現在の新型コロナの対策組織の一新を提案する。政権の力が弱ったところを狙って、これまでの自らの罪、無能、怠惰に免罪符を与え、自らの意図に従ってくれる組織の確立、新型コロナ対策組織の乗っ取りが目的だ。

 仮定の話はもうちょっとだけ続くんじゃ。

 だからその種の文章にネットや印刷媒体で出会った時には、上記のような可能性も考慮して欲しい。特に日本医師会(仮名)の責任を追及しながら、厚労省(仮名)の責任には一切触れず、あまつさえ厚労省(仮名)の影響力がより強くなるような提案が為されている場合は要注意だ。論理的なのに客観性が欠如しているような文章は、その意図故にそうならざるを得ない可能性を疑うだけの価値がある。

 さて、

新型コロナ感染症を2類とするか5類とするかの議論とか、ウィズコロナ(新型コロナウィルスとの共存)政策の可否は、治療法の確立や有効な治療薬の存在次第だ。これらが存在して始めて、新型コロナウィルスは初期治療が肝の厄介な風邪と見做し得る。先の安倍政権の新型コロナ対策ではアビガンがフォーカスされたが、これが有効な治療薬となっていれば比較的早期に新型コロナ感染症が全ての病院で取り扱い可とできた可能性があったかもしれない。そうなっていたら、何類とするかの議論はそもそも無意味となり、国としても経済を回すウィズコロナ政策に舵を切ることができる。少なくとも先の安倍政権ではそのようなシナリオも想定していた筈だ。

 が、実際にはそうはならなかった。一時期言われていたようなワクチン利権か、それともアビガン自体が客観的にも相応しいものでなかったのか、そうならなかった原因は未だに有耶無耶だ。実際のところ、日本の新型コロナ政策の迷走、或いは明示的ではない本質的な方針転換はこの辺りから始まったと個人的には見る。ウィズコロナ政策を前提とした政権とワクチン政策を推し進める勢力の政権に対するサボタージュ?をどうしても疑ってしまう所以だ。ワクチン政策の本質にはゼロコロナ政策が横たわっている。

 とある専門家の言行を悪く言う人、評価しない人の中には、対策にはざっくりウィズコロナとゼロコロナの二つの考えがあることを理解していない人が多いように見える。現場を知る専門家が両者の考えに基づく複数の対策を状況に合わせて切り替え、時には混合して適用、時に地域ごとに使い分けなんてことは当たり前だ。感染抑制のためなら全方位に忖度しないのも当たり前だ。

 最近、仮定の話のような情報操作臭い文章にまた新たに触れた。書き手の権威が徐々に上がり、文章の論理展開などもよりしっかりしてきている。だが上記の仮定の話を思い出してもらえれば、避けられない客観性の欠如や誘導の可能性に気づけるだろうと思う。客観性の欠如や文章発表のタイミングは、文章自体や書き手の本来の意図の推定に重要なヒントとなる。新型コロナウィルスの感染拡大や治療といった身近な話にあっても、私たちは情報戦の中にあると思って良い。特定の人達を「彼らは医師とは言え学者ですから」とさも能力不足のように表現するのは明らかに印象操作がある。「感染対策の現場経験と結果を出してきた実績があるかどうか」と言う評価軸から見れば、書き手こそが「経験も実績も無い」存在でしかなく、その文章は「良くても評論」にしかなれない。論文や提言を装った煽情的な評論は、プロパガンダの一手法としてはひとつの典型だ。ゲッベルス的と言うよりも毛沢東的なやり方とも言える。

 昨今はフェス関連で香ばしい話が多いが、未だに補助金などを出していた中央省庁の見識の無さや無責任さ、現行の新型コロナ対策(ゼロコロナ政策)とのミスマッチな行動への言及がマスコミ等でもほとんど無く、今後もそうであろうことは個人的には全く解せない(「何故そうなのか」は個人的な経験から分かる)。これは「今後出しません」「補助を取り消します」といった現在打ち出している今後の対応とは完全に切り離して論じられる話だ。

 まぁ、現政権もゼロコロナ的政策への転換を明言せぬまま「経済を回す」なんて言ってたりするから、国民皆が混乱するのも分かるけどね。個人的には、政権が中央省庁に舐められてるだけっぽく見えるだけですけど。

 広くまんべんなく当事者の姿勢、これまでの行動の是非を評価せずに特定の当事者の責任のみを追及し、かつ評価対象外の影響力が強くなるような主張、結論を導く文章は、どんなに論理的であっても「結論ありき」の文章である可能性を疑うべきだ。特定の当事者の影響力を高めるべきと主張するなら、他の当事者を下げるのではなく、件の当事者を具体的な事実を持って上げるのが競争原理化にある民間組織内ではもはや正道だ。「現与党にお灸をすえる」なんて投票行動もそれを導く思考も同様で、もはや情報リテラシーが無く勉強していない、思考停止しかしていないという状況の裏返しでしかない。

 日本医師会(仮名)の責任を追及するマスコミが現れ、インフルエンサーwとやらがそれに合わせて踊ること自体は日常茶飯事なので半笑いしつつ流すとして、あなたまでが自分の権利をわざわざ投げ出してまで踊る理由は全く無いんですよ。

2021/08/28

Kill all Killer services AGAIN; Kill'em all ABSOLUTELY!

 Dell XPS 8940には"Killer Control Center"及び/またはその関連サービスがプレインストールされていました。このソフトウェアサービス群はネットワーク通信の優先順位などを制御して通信速度を最適化するとされるものですが、実際にはYouTubeなどの特定のサイトに接続できなくなったり、IPv4接続だけ一時的に使えなくなる場合があるなど、ただただ迷惑なものでした。そもそも有線接続、高速回線環境下ではもはや通信速度のボトルネックはPC外にあり、そのような制御は無意味です。そこで別エントリで書いたように、"Killer Control Center"及び/またはその関連サービスは全て停止していました。

 ところが、KillerネットワークサービスのドライバがWindowsアップデート経由でアップデートされたとたん、停止していたサービスが有効化され、不具合が再発しました。Windowsアップデートでドライバが提供される時点で何か関連サービスが動いていた可能性も考えられることから、関連サービスそのものの完全削除に踏み切りました。

 削除したサービスは最終的に6つでした。うち1つは他サービスとの依存関係が一切なく、サービス名から明らかに削除済みのアプリ"Killer Control Center"下で動くものだったので躊躇なく削除しました。一方、残り5つはネットワーク関連の複数のサービスと依存関連があったため、依存関係のあるサービス、ドライバーの機能、内容を一つ一つ確認しながらの慎重な削除作業となりました。

 サービスの削除はリスキーでそれに伴う不具合の責任なんて取れませんから具体的な削除対象や削除手順にここでは触れませんが、サービス削除に"sc"コマンドを使ったことだけは記しておきます。同じようなことをしようと考えている方は「Windows10 サービス 削除」辺りでググってみてくださいね。因みに"sc"コマンドは、サービス登録の解除だけでなく、不要となったレジストリのエントリも削除するとのことです。レジストリが汚くなるのが嫌いな方には嬉しい機能ですが、本来削除してはいけないサービスを削除してしまった際の手動復旧が極めて困難となるので念の為。

 上記のサービス削除から1週間経ちましたが、現時点で不具合は一切出ていません。むしろ通信速度が上がっているのではないか、と思わざるを得ないことも起きています。従来は並行して運用しているLinuxPCにfast.comで測定した通信速度は常に10~15%負けていましたが、上記のサービス削除後は5%程度の負けまで差が詰まりました。

 あと、サービス削除作業中にやはり迷惑プレインストールソフトである"WAVES | MaxxAudio Pro"関連サービスも見つけたので、併せてそのサービスも削除しました。こちらの方は特に変わった事はありませんが、もしかしたらSoundIDのパラメータ変更時に発生していたノイズが消えたかも・・・未だ確信はありませんけど。