2021/03/27

石山先生の「冗談じゃない」

 "那覇市  中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書"をキーワードとして「すべて」でGoogle検索すると、検索結果の1番目の検索結果は、那覇市議会が可決し、内閣総理大臣等に送付した「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」のpdfファイルである。那覇市のウェブサイトで公開されているオフィシャルとも言えるものだ。

 では2番目の検索結果は?大紀元(EPOCH TIMES)の日本語版ニュース記事「那覇市議会で中国人権状況に関する意見書、全会一致で可決」だ。意見書も全文掲載されている。

 さて、キーワードはそのままに、「ニュース」で検索してみる。おやおや、1件のニュースも結果に出てこない。

 本件からも明らかなように、こと特定の国や政党が関わる事項に関しては、海外のみならず国内の話であっても日本国内向けの日本語報道では十分に手に入らない状況にある。このような状況の出来は別に昨日今日のことではないが、習近平が、じゃなくてペーさんが某党で権力を握ったあたりから明らかにその傾向が見られ始めた。具体的には、国内メディアが報道しない国内外の事を、BBCや中国共産党・・・っと、まぁいいや、中国共産党支配地域外に拠点を置く華人メディアから知る、ということが急激に増えだしたのだ。

 当時のソースは新唐人TV(NTDTVJP)のYoutubeチャンネルの日本語版ぐらいだったが、大紀元時報|EPOCH TIMESが日本語版のサイトやYoutubeチャンネルを運営しだす辺りのタイミングで、一気に日本語でのこの種のニュースソースが増えた感がある。本エントリでは煩雑になるから触れないけれど、台湾発も含む中国語による報道の内容を毎日紹介、解説してくれている有難いYoutuberさんもいる。

 成程、新唐人TVにしても大紀元にしても、中国共産党の言行に関する報道内容が中立であることは必ずしも保証されない。特に法輪功が絡んだりすると、多少の偏向はあっても当然と言える。これは「中立でないから全体がダメ」などと言いたいのではなく、「そういうもんだと見る側、読む側である私は承知の上だよ」と言いたいだけだ。新唐人TVは反中国共産党の立場も、運営に海外居住の法輪功学習者が関わっていることも隠していない。また、冒頭の那覇市議会の意見書に関する報道は事実報道なので、基本的に偏向の余地は無い。加えて意見書は全文掲載され、「切り取り+印象操作」された報道とはなっていない。本件に関しては国内報道機関の「報道しない自由の行使」や、検索サービスの「報道されたものを隠す行為の行使」の疑いが拭えない。

 那覇市議会と同様の動きは他の自治体にもみられているとのことだが、現段階でその種の情報をネットで効率よく集めるのは難しい。より厳密には、同様の行動を起こしている自治体が分かれば公式サイト等で公開されている宣言書なり意見書なりそのものを見つけられる可能性は高い。が、「宣言書なり意見書なりを出している自治体」を効率よく見つける検索キーワードは無い。これはまるでセールスマン巡回問題のような「一般的な解法が無い」状態であり、唯一の解法は検索キーワードを変えながら試行錯誤的に検索を繰り返すだけだ(実際には、手掛かりを求めて那覇市議会議員のブログやツイートなどを追うところから始めるだろうが)。ちなみに多数回の試行錯誤を効率よく高速で実行可能とされる技術の代表が量子コンピューティングだ。ただし試行錯誤自体は効率を問わなければ現在の技術でも可能なのだから、それをやっていないだろうことには意味がある。「結果に対して時間や電気代などのコストが見合わないから」と言うのが正解だろうが、「報道されたものを隠す行為の行使」の良い訳にも使えると言うのは意地悪過ぎる見方だろうか。またちなみになのだが、「結果に対してコストが見合う」とされる試行錯誤例は少なくなく、例えば「新薬の候補物質の探索」はその時点での最高速スパーコンピュータを使ってまでも行われる高コストかつ壮大な試行錯誤と言える。

 と、ここで魔物除けのおまじないでも唱えておこうか。翠!六四天安門事件!

 で、実はここまでは前振りで、本エントリの本体はここからだ。

 中国共産党や中国共産党の支配地域で起きている様々なことを知るうえで、「そういう見方や要素は考えたことすらなかった!」とか「アレとコレの原因はこれだったのか!」といった類の発見が多くて、日本語の新作公開が楽しみでしょうがないYoutubeの動画シリーズがある。日本語でのタイトルは「冗談じゃない」、「石山視點 - Shi Shan’s Outlook」というYoutubeチャンネルの動画シリーズ「有冇搞錯(≒誤りがあるぞ)」の日本語吹き替え版で、大紀元系のYoutubeチャンネル「ニュース最前線 香港」で公開されている。

 内容はと言えば、大学の先生とかにいそうなルックスの石山氏(石山先生って呼びたくなるんだな)が様々な時事を解説するというものだ。一見マニアックなテーマであっても分かりやすく、話の内容から一見関係なさそうな別の知見との接点を発見できたりと、新しいことを知ることができるだけでなく、驚きを伴うことが少なくないコンテンツなのだ・・・少なくとも個人的には。

 最新エピソードは「中国 種子の危機 民族の存亡に関わる」とマニアック感満載だが、繁殖用の種豚(これも「種」扱い)や穀物の種の輸出入の話は、他のソースから得られている最近のロシアと中国共産との関係に照らすと更に興味深くなる。

 例えば私は以下のような事前知識を持っていた。米国の政権移行後にロシアと中国共産党は軍事的に関係を深めてきているが、日本の中にもそれは脅威とは捉えず、「ロシアが中国を毟りにかかっているぞ」と分析している人もいる。理由は「それがロシア流だから」だそうだ。では今は何を毟っているのか。また、一昨年来、豚コレラの流行で中国共産党支配地域内の豚肉供給量が不足している。このためロシアなどからの豚の輸入量を増やしたが、そもそも豚コレラはロシアからの輸入豚が持ち込んだ可能性が高いとされている。

 最新エピソード内では、ヒマワリの種などはロシアからの輸入が多いが、この1月にロシアがこれらの輸出関税を大幅に引き上げたことにさらりと触れている。このロシアの行動、中国共産党の足元を見てのものに見えなくもない。少なくとも蜜月感を削ぐ情報ではある。また輸入する豚は繁殖用の種豚が多く、直接食肉用として輸入している訳ではないことを初めて知った。しかも種豚の頭数が限られる以上は遺伝子の多様性などの問題で、繁殖可能な世代数は限られる。石山氏によればそれは4世代であり、再び豚コレラの流行があれば4世代分の豚が一気に失われる可能性があることを指摘している。更に種豚の輸出制限が為されようものなら中国共産党支配地域へのダメージは計り知れないと明確に述べている。

 私はせいぜいミリタリー好きの視点からぐらいでしか対中戦略などを捉えることができなかったが、種豚の輸出制限の影響の大きさの話を知った以上は食糧事情視点も持たざるを得なくなった。当然、日本の食糧事情についても、これまでに無い視点からも見ることになるだろう。中国共産党支配地域への種豚の輸出禁止、食肉用豚または豚肉のみ輸出可能の状態を4年維持ができれば、中国共産党支配地域は支配できなくとも、中華人民共和国人民の胃袋は支配できそうだ。

 ちなみに冒頭のコールが「有冇搞錯(ィュウモウガーゥチョっぽい音だから広東語かな?)」。

2021/03/22

「児童の性的搾取」による販売停止が米Amazonに来た

 "Kawaii"に分類されそうなフィギュアから来たのは実は予想外。文字通り、「【悲報】米Amazonが『俺妹』『ハルヒ』『らきすた』など美少女フィギュアを『児童ポルノ』に認定し販売停止へ」ってことらしい。

 2年ほど前のエントリで、「日本の漫画やアニメ(のスタイルの絵作り)を”性の搾取”の観点から敵視している勢力」が存在することに触れたことがある。このエントリでは、当時Youtubeに氾濫していた【紳士向け】や【R-18】のMMD動画について触れ、これきっかけで今や世界に通じる"HENTAI"の枠組みでの「日本の漫画やアニメ(のスタイルの絵作り)」のポリコレ化の懸念について思うところを書いた。

 個人的に今回の話の意外どころは、"HENTAI"ではなく、むしろ"Kawaii"の枠組みに分類されそうに思えるフィギュアから販売停止になっていることに尽きる。現時点では情報が少なすぎて断言はできないものの、背景に「具現化された"Kawaii"もの=児童ポルノ」というロジックの意図的な拡散や固定化の動きが存在している可能性を懸念する。特に固定化は、ステルスで認知だけは広げておいて、いきなり「デファクトスタンダードな考え方、常識ですよ~、もう*年も言われてましたけど、誰も文句を言ったり反論したりしてこなかったじゃないですか~(ニッコリ)」みたいなやり方をとるのが常道だ。いったんこうなると、「いや、このキャラは24歳ですから児ポにはならないですよ」と言っても、「これ、"Kawaii"ですよね?」と聞かれて「Yes」と答えてしまったら負けなのである。そして、後戻りはほぼ不可能である。

 このロジック(厳密には屁理屈、言いがかりだが、何らかの意図を持つ者達はより権威的な表現を好む)では、「"Kawaii"もの=子供、児童」であり、「自身(絵やフィギュアそのもの)が"Kawaii"ことを視覚的に主張すること("Kawaii"を露出/アピールすること)=ポルノグラフィ」と見做すこととし、「具現化された"Kawaii"もの=児童ポルノ」との結論に一気にもっていくのである。いやはや、思考内容が"HENTAI"なのはどっちだ。今の米国大統領は<自己規制>好きらしいがどうなのか。

 それはさておき、私が「"Kawaii"もの=児童ポルノ」主義者なら、自分の主張を通すためにうまく使えないか一考の価値ある(バカによるバカの為の)論法ではあるね。あれだ、左巻きとかが大声に頼って押し通そうとするような類の、筋の悪い論法なのよな。私の見たところ誤魔化しは最初にあり、本来有り得る命題「大抵において、子供達は可愛い存在である」を表す「子供、児童≒"Kawaii"もの」の「≒」の左右を入れ替え(論展開の順番を逆にし)、更に「≒」を「=」としたところにある。 更に言えば、日本語における「可愛い」と英語使用者の使う"Kawaii"との明確な関係性、或いは"Kawaii"の明確な定義(現時点でもまだ普及過程)が確立していないこともつけ入る隙となっていると考える。

ミャンマーでの事案、それでも「クーデター」とは呼べない理由

 2月初旬、あくまで個人的見解として「ミャンマーでの事案、『クーデター』とは未だ呼べない感の理由」というタイトルのエントリを書いた。そのエントリでは、民主化後のミャンマーの方が先行する軍政時代より少数民族に対する迫害がエスカレートしていること、国家顧問と言う存在・機能が時に憲法を超えるがためにファシズム体制の様相を呈しうること及び最近の民主派政権の中国共産党への接近に触れた上で、軍の行動が国民に一定の支持を受ける可能性を想定した。だが、その後の展開は私の予想とは完全に別方向に進んでいった。

 私の読みの大外しの原因としては、ミャンマー軍も幹部級はさすがにもうリアリストが占めているだろうと根拠無き思い込みがあったこと、ミャンマー軍へのベトナムの影響力を過大評価していたことが挙げられよう。後者は逆に言うと、現在のベトナム軍と中国共産党との関係についての私の認識が間違っている、古いということになる。軍に対するベトナムの影響力が強ければ。そこへ中国共産党の影響は入れないからだ、う~む。

 とは言え、昨今の報道内容に基づけば、やはりこの事案は「クーデター」と呼べない。では何かと言うと、中国共産党習近平派による内部浸食侵略である。他国がミャンマー軍を非難できても、中国共産党を非難できない形でミャンマーは中国共産党の支配地域に落ちつつあるようだ。まさにサイレントインベージョンということになるだろうか。

 ここ数日の複数の報道に、中国共産党人民解放軍の左官級の人間が顧問としてミャンマー軍に派遣されていること、軍により逮捕・殺害された人物の遺体から中国共産党人民解放軍特有の拷問痕が確認されたことへの言及がある。人民解放軍には治安軍(国内向けの軍。いわゆる武装警察の一部と言うか、武装警察全体が実質的に極めて軍隊的な組織に再構築される途中にある)があり、中国共産党支配地域内の民族、宗教など弾圧を担当している。先の拷問痕も治安軍特有の拷問方法のものの可能性が高いとされる。拷問方法の特徴は、苦痛を与えると同時に徐々に肉体的にしゃべられなくする、声を出せなくするところにあり、明らかに自白を引き出すことなどは眼中になく、拷問自体が目的化している嫌な状況をうかがわせるものである。また、そんな拷問痕の残る遺体を親族に引き渡すことは、「声を上げるな」「しゃべるな」といった警告の意図を強く感じる。

 治安軍には、通常軍(陸軍、海軍、空軍など)と 同等の予算が与えられているとされる。このような治安軍の拡大は習近平政権によるものであり、2015年ごろにはその予算の大きさ故に治安軍は経済的に中華人民共和国を傾けるだろう、或いはそこまでしないと国内がまとめられないなら中国共産党も長くないとまで予想する人もいた。が、実際には治安軍は大活躍しているようで、チベット人やウィグル人など少数民族の弾圧、法輪功など反中国共産党を掲げる(或いは弾圧されたため掲げるようになった)各種集団・組織の弾圧、香港の普通選挙要求運動への介入などに投入されているらしい。

 かっては江沢民派は経済界を、李鵬派は通常軍を後ろ盾に持つ一方、習近平には後ろ盾となる組織が無いとされ、それが「お飾りのトップ」を望んだ党指導者層の眼鏡にかなったとも言われた。が、今や治安軍が習近平の後ろ盾となっている。上述したように治安軍は予算規模で通常軍と同等、または凌駕している。また人民への拷問、惨殺も辞さない暴力装置を目の前にして経済界の人間ができることは、戦争のできる大国の庇護下に入るか、媚びへつらうか、死ぬかしかない。中国実業家の海外での転落死の数はやはり不自然に多い。

 初手で大外しした以上、もうミャンマーの将来については私は何も予想できない。ただし、本事案からは明らかに習近平がことを進めることに急いでいる様子が見える。

2021/03/21

昨今のLINEに関する報道にびっくり

 流行りには疎く、周回遅れがデフォルトの私だが、昨今の報道を見るにLINEに関してはどうやら例外だったようだ。何がびっくりって、私が周回遅れどころか先行しているようだからだ。

 その昔、知り合いとの電話で「LINEって何?」と聞かれたことがあったが、その時点で「データは韓国のサーバーに送信されるから使わない方が良いよ」と言った記憶がある。「無料通話」アプリの文脈での話だったから。ホント、かなり昔のことだ。まだLINEの認知は低く、TV番組などで紹介され始めるよりかなり前だ。サーバーの件は、既に明確にこじれ始めていた日韓関係を背景に、韓国や韓国企業に関するニュースなどをネットで追っていた人なら常識だった筈だ。

 ネットのニュース記事では、日本国内で認知度が上がり始めた段階で、韓国内のサーバー上のLINEのデータを全て韓国国家情報院が入手していることも報じられていた(韓国国家情報院が公式にそれを認めているという記事だ)。韓国には通信の秘密保護義務を通信事業者に課す法律が無いため、このような韓国国家情報院の行為は、ユーザーが「LINEの通信データが韓国のサーバーに送られることに合意している」条件下では日韓それぞれの国内法のみならず、国際法上も合法となるようである。少なくとも韓国内では少なくとも法律上は問題とならない。このような話は少なくとも2年以上前に実家に帰った際に居合わせた親戚には話したが、その話がどの程度殻らの認識に響いたかは分からない。

 その後、日本国内のLINEの通信内容は日本国内のサーバーに保管するようになったと知ったが、だからと言ってLINEを使おうとは思わなかったし、もちろん使ったことは無い。利用規約に変更が無ければ、データの韓国サーバーへのコピーは何時でも誰にも知らせることなくできるし、例えコピーがバレても「不正アクセスによるデータ漏洩」といった程度の艇レベルのカバーストーリー(実態を隠したりミスリードさせるためのもっともらしい嘘)を用意すればどうとでもできよう。加えて国会議員、高級官僚、マスコミなどの協力があればなんてことない。LINEは「日本のみで強い」という異常と言うか不思議なシェア構成を示すようになり、運営形態はまず見かけから、そして実態も「LINEは日本のもの」と見えるように徐々に変化してきた。日本国内のサーバー設置は、そのようなプロセスの一環と見える。

 一方、「某雑誌のスクープの情報ソースをたどると、LINEの通信データに至るのではないか」というツイートや報道内での言及は、想像もしていなかったがさもありなんという感じで、ちょっと面白く思った。が、それ以外は報道内容、状況ともに全く笑えない。

 インターネットの普及によって色々な情報に触れることで、20世紀末には単純な自己ルールが確立していた。LINEを使わなかったのも、未だになんとかpayの類を使わないのも、ソフトバンクのサービスを一切使おうと考えたことが無いのも、全てその自己ルールに基づく。すなわち、「中国共産党の支配地域内や韓国内のサーバーに自分の個人情報データを送信する、或いは送信する可能性があるサービスは使わない」という単純なルールである。上述したように、いったん韓国に出た個人情報データは、第三者によって合法的に参照、利用できる道が開いているのである、4~5年前の私の知識が正しければね。

2021/03/17

IPv6 IPoEはまぁ速い(その2)

 まぁインターネット回線接続がIPv6 IPoEに対応した訳だが、プロバイダのウェブサイトのIPoEサービスの説明ページを見ると「IPv4はIPoE(IPv4 over IPv6)で接続する」と読める。が、プロバイダの接続状況確認ページで調べると、IPv6接続はIPoEだが、IPv4接続はPPPoEだった。確かにホームゲートウェイのPPPランプも点いている。

 なんか釈然としなかった。

 それと関係あるのかないのかは未だ不明だが、昨日は真昼間からIPv4接続のみ絶望的な低速度状態となった。みんなのネット回線速度(みんそく)の測定値は

種類  IPv4接続         IPv6接続 接続方式
    PPPoE           IPoE(OCNバーチャルコネクト)
下り  5.6Mbps(遅い)       723.76Mbps(超速い)
上り  0.88Mbps(非常に遅い)    89.94Mbps(速い)

だった。タブブラウザ当たり前の現在ではインターネットサーフィン(死語?)もきつい低速具合だ。ちなみに今朝改めて測定すると、PPPoE IPv4接続は

下り 140.9Mbps(かなり速い)
上り 94.52Mbps(かなり速い)

で全くの別レベルの速度となった。結構恵まれた接続環境にあるのだなと再認識したのだが、これでも混雑時間には帯域が圧迫されているのが体感できるのだ。やっぱりIPv4接続周り、何かおかしくないですかね 。ただ、みんなのネット回線速度の他の人の結果を見ていると、同じ接続構成の人がいない訳ではない。私が使用しているホームゲートウェイと同じものを使っていても、別途ルーターを用意しなければIPoE(IPv4 over IPv6)を使用できない業者もあるようだ。

 という訳で、「接続確認ページで確認するとIPv4接続がPPPoEとなっているのだが、それで良いのか」という単純な一つの疑問を解消しようと、病院に行く前の空き時間を使って気楽にユーザーサポートに電話してみた。問い合わせ先があるならば平気で聞ける、ってのは自意識「過剰」から解放されている年寄りの特権と言える。

 結論から言うと、「順次対応中だからちょっと待っててね、そのうちIPoE(IPv4 over IPv6)接続になるから」らしい[追記:4/6にIPoE(IPv4 over IPv6)接続開始]。ホームゲートウェイに何かプログラム(昨日調べたときに出てきたアレやろうなぁ・・・)を入れるとのことで、ファームウェアの自動アップデートと同様にそのうち深夜に実行されるのだろう。ある朝目が覚めるとREADY状態、って説明だ。調べてみると「IPv6 IPoE利用者の一部」に関わる回線のメンテナンスが居住地を含む地域で数週間内に2回予定されている・・・のが関係するのかなぁ。

 ただ正直言えば、この種のサービスの提供ラグの存在については、サービスの説明のウェブページなり手続き完了メールの本文中なりに一文有って然るべきではないかと思う。これはクレームではなく、提案だ。

 "IPoE(IPv4 over IPv6)"と"IPoE(IPv6)"は全くの別物だが、「"IPoE"の提供」と言われたときの"IPoE"はどう解釈すべきなのだろうか。どちらも同時に提供されるとまず思うよね?思わない?実際、専用ページに表示される私が契約しているサービスの記載内容を「よくあるご質問」ページの説明内容に照らせば、明らかに「IPoE(IPv4 over IPv6)接続を利用できます」となる。現有機器も対応品だ。が、実際に「使用」できているのはIPoE(IPv6)接続だけだ。「提供」されると「利用できる」ことになるが、必ずしも「使用できる」訳ではない・・・って、"IPoE"という単語の意味する範囲だけでも良く分からない使われ方をしているのに、更に「使用できる」を事前に確認する術が必ずしも用意されていないと言うね。なんだかなぁ。

 それはさておき、

別エントリでは回線事業者のユーザーサポートの電話対応などに対して星五つあげたいなんて馬鹿なことを書いたことがあるが、今回のプロバイダのユーザーサポート担当者にも星四つ半はあげたい。マニュアル通りではあろうけれども丁寧な説明、流暢ではないが滑らかなしゃべりなどはほとんどストレスを感じなかったし、何より知りたいことがちゃんと分かった。

 で、残り星半分なのだが、これは会話の流れの影響で出てしまったであろう「(対応は)直ぐだと思いますよ」の一言の分だ。会話の全体の内容から判断するに、「直ぐ」である「具体的な根拠」が無さそうだったからだ。ここで具体的な根拠と言えるものの例は、私の名前も既にリストアップされている対応計画表といったものだ。加えて「直ぐ」は感覚的な表現であり、その程度のほどは個々人の感性に依る。

 私はユーザーサポート担当者のその言葉を嘘とも思ってないし、当人の性格の良さや優しさみたいものが経験不足などの避けられない要因によってちょっと漏れ出てしまったものぐらいに考えている。まぁ3カ月ぐらいは待てますよ、それぐらいの対応をしてもらえました。ただし、「直ぐ」=「今週中以外有り得ない、有り得ない!」な人もいないとは言えないので、結構リスキーな一言だったかもしれないですよ、ということです。

 対して壊滅的通信速度低下に関する別ルートでの問い合わせの回答は困りもので、「夜混んでました」→「いや、真昼間に起きた障害の問い合わせなのですが・・・」などなど、加えて障害とは無関係な話も長かったりで、鬱病時に読んだら絶対病状が悪化するレベルで論理的にカオス。非論理的だったり非合理的だったりで意思疎通に失敗している会話や文章のやり取りは、鬱病患者や元鬱病患者にはご法度中のご法度だ。

 違う、そうじゃない。まずは人の書いたものをちゃんと読んでくれ。

2021/03/16

ブリンケン国務長官「台湾は国」

  米民主党や米国議会の一部は本当に戦争をしたいんだろうなぁ、との思い再び。

 Taiwan Newsのこの記事によると、「ブリンケン国務長官が台湾を国(country)と呼んだ」らしい。そのまま素直に解釈すれば、「一つの中国」に米国はもはやコミットしないということだ。このように、相手側の採れる選択肢をどんどん潰していくやり方は、相手自体が自壊しない限り力の行使に繋がりやすい。対フセイン・イラクも対タリバン・アフガニスタンも、時の米政権は大量破壊兵器が存在する証拠とやらを「でっち上げる」などの手まで使って、相手支配地域内への直接侵攻に持ち込んだ。しかも同盟国まで巻き込んでいる。

 私は台湾周りの扱いについて先の米トランプ政権を好感していたが、その理由は「相手側(中国共産党)の採れる選択肢を限定、可能であれば誘導も試みる」ようなアプローチを採っていたからだ。ウィグル族に対するジェノサイド認定のように、トランプ政権末期のポンペオ国務長官などの発言は中国共産党に対して強硬的ではあった。台湾との国交を制限する多くの国内法も廃止した。だが同時に「一つに中国」のコミットに直接触れるような具体的なアクションはしなかった。このようなトランプ政権の一連の動きは、私の目には「あ~、あんたこのままこんなこと続けてると、さすがに『一つの中国』をコミットし続けることができなくなっちゃうな~(チラッ」といった一種の目くばせに見えた。別の言い方をすれば、トランプ政権は「『一つの中国』へのコミットの維持」を最初から最後まで取引材料とし、相手はどこまでも言っても目の前に選択肢がある状態を作り続けたと言える。

 ただ中国共産党は、或いは習近平国家主席はその取引には乗り気ではなかったようだ。理由は全く分からないが、「時間が味方にならない」とでも悟っていたのだろうか。戦狼外交という「何事も譲らない、交渉や取引はやらない」という姿勢に出た。なお「戦狼」外交の主体は外交経験のない内政畑の官僚とされる。その視点からは、「戦狼」のスタイルとは「国内或いは中華圏固有の流儀そのまま」であり、「その言葉は、自分の党中央への忠誠心のアピールでしかない」可能性が示唆される。実際、言っていること、やっていることは大国間の外交とは程遠い下品なものだ。で、本当に譲れないところもトランプ政権がほのめかす取引も同様に受け入れない方針によって、中国共産党は「真綿で首が絞められる」状態に自らを陥れてしまった。もちろん、中国共産党がその姿勢を続ければ、トランプ政権であっても「『一つの中国』へのコミットの維持」はいずれ現実的ではなくなっただろう。だが、現実的でなくなるその瞬間まで交渉や取引の窓口は開かれており、中国共産党の面子を潰すようなことは極力避けるようにした筈だと信じる。少なくとも北朝鮮の指導層はそれまでの米国流からの変化を決してネガティブには捉えず、色々と将来の可能性について考えたと思しき節がある。少なくとも南の隣国の指導者に対する場合とは違い、トランプ大統領に対して「ば~か!ば~か!」とは言わなかった。

 一方ブリンケン国務長官の今回の発言は、どの程度自覚的か分からないが、はっきり言って中国共産党の面子を潰した。更に、相手方の意思をある程度尊重した順番、内容での交渉、取引を志向してきたトランプ政権流は、左翼政権にありがちは「アレはアーならない?コレはコーならない?次のソレはソーならない?」といった相手へのリスペクトも取引要素も欠く流儀に変容する可能性が極めて高い。実効的な同盟戦力を持たない中国共産党と米国との交渉においては、トランプ政権が「交渉、取引の展開次第では将来的に選択肢となり得る」地位に意図的に置いていた選択肢である「ならば戦争だ」は、今後は双方の交渉のテーブルに最初から乗った状態となり得る。ただ新政権の面子には親中・媚中を指摘される人間が多いが、その割にアジア通はいない。なので、ブンリンケン国務長官が自身の発言の意味を理解していない可能性も残っているのが辛い。

 言い過ぎ覚悟で敢えて言うが、トランプ政権時代の「『一つの中国』へのコミットの維持は無理」に相当するラインは、米国新政権や現在の議会によって「ならば戦争だ」まで押し上げられたようにしか見えないのだ。そして、それは大量の「無知」という飾りつけに彩られた「戦争したい人達の意思」が導いたものだ。

 最近聞いた評論家の発言でなるほどと思ったのは「米国新政権は人権問題を最優先事項とした」という見解だ。換言すれば、中華人民共和国や北朝鮮の内政或いは体制や指導者層の方針の全否定だ。全否定された側にとって交渉や取引の余地は全く無く、まるで太平洋戦争の一因となったハルノートようにその方針は作用しかねない。これは、「ならば戦争だ」と告げるより、「戦争か死か」と問いかけている状態に限りなく近い様態と言える。

 んで提案。米国からのレンタルによる核武装はコストパフォーマンスが極めて高く、短期間での配備も可能なので、専守防衛を貫くならば日本にとっても外せない選択肢だ。まずは周辺国の反応も見ながら、「じっくりと検討」してみては如何だろうか。中距離核ミサイル1発の価格及びメンテナンスコストはF-35A1機よりも安いとの情報もある。巡航ミサイル用核弾頭だけなら間違いなく安い。これは「戦争をしない」「戦争に巻き込まれない」ための選択肢ではなく、戦争の有無とは無関係に「国土が戦場とされない」ための極めて消極的な策についての提案に過ぎないので念のため。

2021/03/15

IPv6 IPoEはまぁ速い

 自宅アパートのインターネット接続でIPv6 IPoEが利用可能となった。fast.comなどの速度計測結果からは+5~20%は固そうだ。とある方法を使うと+50%ぐらい(≒300Mbps)までは行けそうに見える計測結果も得られるのだが、光回線マンションタイプの設備は上限速度200Mbps(8戸、平均25Mbps/戸・・・)なので、アパート内回線を独占して使えそうな早朝などにfast.comで速度計測をしてもIPv6 IPoE化以前と同様に速度上限+アルファの250Mbps辺りを叩くだけで終わってしまう。

 光回線側の制限または限界(より厳密には複数ユーザによる200Mbpsというもはや全然大きくない*通信帯域の奪い合い)による通信速度のボトルネックの大きさがPPPoEのそれよりも大きい環境という時点で、IPv6 IPoE化(≒PPPoEのボトルネック解消)がユーザエクスペリエンスに与えるインパクトがほぼゼロなのは最初から明らかだ。「でも私が知らない事があったりして、何か変わっちゃわないかな・・・」という期待はしてしまっていた。

*:ネットサーフィン(<2Mbps、バナー広告の通信量が結構馬鹿にならなかった)、Youtube フルHD30fps(<5Mbps)の時代ならともかく、Netflix 4K60fps(≒24~32Mbps)の時代に1ユーザ当たり25Mbpsは大きな通信帯域幅とは言えないだろう。Googleなどインターネットをインフラとして使っている企業への課税の議論の背景の一つに「インフラただ乗り論」があるが、これは「回線の高速化を強いるサービスで儲けている企業から、回線というインフラを整備する企業への金の流れが無い」という現状の反映に私には見える。例えばNTT、結構経営辛いよね。

 さて、問題は実効的な速度向上の有無だ。「実効的」の何が厳しいかって言うと、「混雑時間帯」で速度向上や混雑緩和が「体感」できなければならないからだ。結論から言えば、「私の使用環境下では実効的な速度向上は全く見えていない」。そもそも「混雑時間帯のイライラの主因であるアパート内での帯域200Mbpsの奪い合い」の状況はそのままに、プロバイダサイドで実施しているエリア単位、ユーザー単位の動的帯域制限も受けている。特に帯域拡大(速度向上)をしておきながら帯域制限値(使用帯域上限値)は変更されていないようなので、その場合はIPv6 IPoE化による帯域拡大(速度向上)の効果は完全にスポイルされていることになる。

 が、以前のエントリで述べた通り、光回線マンションタイプなんていう「安かろう、悪くなかろう」なサービスを利用し、周囲エリアにはPPPoEユーザも多数存在する状況下では、上記のような状況の発生は必然でしかない。ちなみにIPv6 IPoE化に伴うユーザのコスト(時間、費用、作業)と言えば、光回線の屋内設置装置とその接続機器の電源を6分間落としたことぐらいだ。

 んじゃぁユーザにとって期待される利点、価値は何か、となると、「混雑時間帯以外」の帯域拡大(高速化)しかない。単純に考えると「リモートワーク民大勝利!」なのだが、実際にリモートワークをしている人なら分かるように、通信速度よりも相手側コンピュータ(サーバー)のレスポンスの悪さにイライラさせられることが多くはないだろうか。と言う訳で、現状の私の環境ではIPv6 IPoE化の利点がイマイチ見えないのが実態だ。IpoV6でサービスインしているNetflixやアマゾンプライムビデオのユーザーなら、きっと恩恵は大きいだろうなぁ・・・

 実のところ、現在のアパート入居~2017年まではメタル、光回線と戸別契約してきた。つまり独占使用できるADSL回線やVDSL回線を確保し続けてきた訳だ。が、2015年に光回線マンションタイプが導入されると、光回線事業者から「光回線のマンションタイプに契約変更してください」との封書や電話が相次ぐようになった。しかし、趣味関連のデータ転送量の多さ(3Dモデルデータや非圧縮の動画や音楽データ)から独占使用できる回線は手放し難く、契約変更まで約2年粘った。「マンションタイプに契約変更してください」と連絡してくる会社も本体から明らかな子会社、孫会社っぽい社名の会社、何か交渉専門っぽい会社と変化し、連絡内容も「お願い」から宥めすかすようなものに変化し、最後は脅しっぽい表現や明らかな嘘も含むものとなった。「契約変更します」と連絡した翌日にはさっそく本体から「・・・、有難うございます。つきましては・・・」な柔らかい感じの封書が届いたのはさすがに笑った。

 ちなみに私の住むアパートの通信機器スペースの少なくない領域が、既存の光回線を利用した複数社のWiFiルータに埋め尽くされている。電源もWiFiサービス会社毎で用意されているので、機器類による占有空間は馬鹿にならない。ちなみに私がマンションタイプ移行を「お願い」された背景には、その時点でもう新規機器の追加スペースが無くなってしまったこともあったらしい。何れにしても通信機器スペースは今だきっつきっつで、新規光回線事業者にとっては事実上の参入障壁となっている。まぁ、それ以前に大抵の光回線事業者のサービス提供範囲外なんですけどね。

 IPv6 IPoEはまぁ速い、が、その利点を実効的に(≒体感できるレベルで)享受するには戸別契約の光回線など、広帯域かつ独占使用できる回線の使用が大前提に思える。「今でも光回線を個別契約したままだったら・・・」と思わず考えてしまわざるを得ない。

2021/03/13

そこは「カラシニコフ」ではなく「カラシニコヴァ」

 大学時代のサークル仲間にロシア語を第2外国語に選んでいた人がいた。その人の「名詞すらによって変化するので、もうこれが面倒くさい」とのぼやきは忘れらなくて、約20年後に仕事でロシア語の論文を読まなければならなくなったとき「ああ、これか」と直ぐに合点がいったものだ。固有名詞である人名も変形するのである。

 なお本エントリ内の外国語音のカタカナ表記は、私の耳で近いと感じた音としてある。従って、他の人が使っている表記と異なるものもあると思う。例えばロシア語には、「ア」と「オ」の中間の音としか聞こえない母音や、清音と濁音の区別が難しい子音(例えば「フ」、「ブ」、「ヴ」)がある。厳密さを求めると有気音だ無気音だ有声音だ無声音だとかいった話になるのだが、それはそれで沼なのでこれ以上は立ち入らない。そもそもちゃんとした知識を持っていないのだ。が、標準中国語とも言える普通話には英語や日本語における濁音は存在しないが、代わりに日本語には無い似た別の音が存在する・・・ぐらいは書いておいても良いかな。

 あと、本エントリでは前置詞については触れない、例の分節中に前置詞が出てくることは無い。以降を読めば分かる通り、本エントリではロシア語での「『人名』+の」の表現方法の例に触れている。ただ、紹介する例は「人名の語形変化から人名に先行する前置詞が実質的に特定できるため、実用性や利便性から前置詞が省略されているもの」なので前置詞が含まれていないだけだ。う~ん、この辺りは案外説明が難しいんだよね。

 さて銃器関係のYoutube動画を観ていて、動画制作者はロシアの銃器自体にはやったら詳しいのに、銃器名中の人名の変化についてはお茶を濁していることが少なくない。間違った説明をしている場合もあって、そこ以外の部分が面白かったりすると本当に残念な気持ちになる。分かってしまえばたいしたことではないからだ。

 エントリタイトルの通り、AK-47のAKは「アヴトマット・カラシニコヴァ」であって「アヴトマット・カラシニコフ」ではない。語形変化自体にちゃんと意味がある。アヴトマットはざっくり「自動小銃」の意味で、カラシニコヴァには「カラシニコフの」の意味がある。つまり、表記上は"a"に似たキリル文字を末尾に付けることで(Калашников→Калашникова)、「~の」の意味を付加しているのである。これでアヴトマット・カラシニコヴァは晴れて「カラシニコフの自動小銃」の意味となる。

 ちなみにギリシャ文字を知っていると、キリル文字の英語アルファベットへの書き換えルールは覚えやすい。例えば、лはλ/Λ(ラムダ)でL、пはπ/Π(パイ)でP、уはυ/Υ(ウプシロン)でU、 гはγ/Γ(ガンマ)でG、Фはφ/Φ(ファイ)でfといった具合だ。早い段階で個別で覚えておくと良いのが、рがR、иがi、йがii、ШがSh(シュ)、нがN、вがVまたはWまたはB、CがS辺りだ。「ウラー!」は英語アルファベットで"Uraaaa!"なのでキリル文字では"Ураааа!"、うっかり無理やり「ヤパー!」などとは読まないようにお互い気を付けようぜ。

 AN-94のANはアヴトマット・ニコノヴァ("автомат Никонова")で「ニコノフ("Никонов")の自動小銃」の略だ。またPPSh-41のPPShは"пистолет-пулемёт Шпагина"の略だが、最後の"Шпагина"はシュパーギン(Шпагин)に"а"が付くことで「シュパーギンの」の意味となっている。ちなみに先に説明した英語アルファベット書き換えルールに従えば、Никонов→Nikonov、Шпагин→Shpaginとなり、当たらずとも遠からずの発音が推定できる。

 地名の分りやすい語形変化例は、「ソ連(ロシア)宇宙軍の歌」の歌詞中にある。ロケット発射場で有名なバイカヌールが、「バイカヌールの砂漠」の意味の文章内で使われる際に「バイカヌーラ」に変化している。動画中には変化していない「バイカヌール(Байконур)」の看板がしっかりと映る一方、歌詞を見ると「バイカヌーラ(Байконура)」となっていて聞き取りも十分できると思う。 歌詞中の"Старт"はまんま"Start"だ。

♪カスミチェスキエ・バイスカ~

 なお2:44ごろに「ツィオルコフスカガ イ カロリョヴァ("Циолковского и Королёва" )」という「ツィオルコフスキーとコロリョフの」という意味の歌詞がある。ここで"и"は英語の"and"に相当する。どちらもロシアの宇宙開発史における偉人の名前だが、「ツィオルコフスキーの」に相当する"Циолковского"の末尾は"а"ではないばかりか、変化前の"Циолковский"ともかなり違う。お察しの通り、ここから先はロシア語の語形変化の沼なので流して欲しい。「名前の末尾の文字が"а"の場合はどうするの?」などの疑問を解くのは私ではない、っつーことやで。

 あとソ連国歌の歌詞でも「レーニンの党」の部分で「レーニン(Ленин)」ではなく「レーニナ(Ленина)」が使われている。蛇足ながら、"Πартия Ленина"(パルティーヤ・レーニナ)→"Partiya Lenina"なので、これは"(The) Party of Lenin"とか"Lenin's party"といった「レーニンの党」を意味する英語に簡単に書き換え可能だね。

 とまぁ「固有名詞の末尾への"а"の付加」という名詞の語形変化についてここまで書いてきた。だが、固有名詞の語形変化に限ってもこの先にある沼は深く、上述の通り"а"を付けるだけで済むのは「特定の格に対する規則変化」の「一部」に過ぎず、更には覚えるしかない「不規則変化」も控えている。例えば歴史的人物の名前「ピョートル大帝」の変化具合は凄まじい。冒頭に登場した人物に一度説明してもらったのだが、原形をとどめない変化ぶりに具体的な内容は全く覚えていない。もちろん、そんな沼に足を踏み込むつもりはない。

Kill all Killer survices!!またはDellはもうダメかもしれんね

 本エントリは
・2019~2020年に購入したDell Technologies社PCのユーザー

・フレッツ光回線でIPv6 IPoEサービスを使用開始
したところ
・Youtubeへのアクセス自体が遮断されて困っている方
に役立つかもしれないメモです。FacebookなどIPv6でしか提供されていないサービスでの類似トラブルも、同じ方法で解決できるかもしれません。お約束ですが、本エントリの内容は私のトラブル対応経験と感想です。トラブル対応手順などの説明を意図したものではなく、本エントリの記載内容に基づき発生した如何なるトラブルに対しても責任は持ちませんのであしからず。

 で、原因はプレインストールされている"Killer Control Center"及び/またはその関連サービスのようです。このKiller~の名前のソフトウェアサービス群はネットワーク通信の優先順位などを制御していますが、私に言わせればメモリやCPU負荷の無駄です。「目論見通り動作すればストリームビデオ視聴も常時接続ゲームも快適」となるのでしょうが、高速のインターネット回線に直接接続されている環境以外ではメリットが見出せません。当然「安かろう、悪くなかろう」なマンションタイプ光回線利用者にはそもそも制御するだけの価値のあるデータ通信量が得られないので、こんなソフトウェアサービスの使用は電気の無駄。

 ネットを調べると、「タスクトレイにある"Killer Control Center"を起動し、制御設定を変更(通信内容の優先順位を変更)したら解決した」といった例もあるようですが、ここでは全てのサービスを使わないようにする(無効化する)手順にのみ触れます。なお、使わない機能は削除(アンインストール)する方が筋が良いですし、すっきりします。しかし、DellSupportAssistを有効にしている場合はアップデート時に自動的に再インストールされるらしく、むしろ無効化しておいた方が煩雑になりません。使いたければ何時でも有効化できますし、アップデートされても無効化している限りは動作しません。

 やることは以下の通りです。
①"Killer Control Center"をOS起動時に起動しないようにします。つまり、スタートアップ項目から外します。
② 関連するすべてのサービスを無効化します。

 まず①ですが、図の左下のウィンドウを参照してください。タスクマネージャー>スタートアップタブで"Killer Control Center"を選択し、右下の「無効にする」ボタン(図は無効化後なので、逆に「有効にする」となっている)を押します。「状態」が「無効」になればOKです。あと、タスクトレイ内にある"Killer Control Center"の終了をお忘れなく。

 ②では"msconfig"というコマンドを使います。
 タスクバーに検索窓がある場合は"msconfig"と入力してエンターキーを押します。すると図中左上のような「システム構成」のウインドウが開きます。検索窓が無い場合は、プログラム>Windowsシステムツール>コマンドプロンプトで図中右上のような黒背景のウィンドウを開くので、やはり"msconfig"と入力してエンターキーを押せば「システム構成」のウインドウが開きます。
 システム構成>サービスタブを選び、「製造元」を押して製造元の名前順にサービスを並べ替えます。そして製造元が"Rivet Networks"及び"Rivet Networks, LLC."のサービスの左側(左端)のボックスのチェックを全て外します。ウィンドウ右下の「適用」ボタンを押し、状態が「停止」となればOKです。

 この時点でYoutubeに正常にアクセスできるか試してください。トラブルの原因が私と同じであればアクセスできるようになっている筈です。もしそれでもトラブルが解決していない場合は他のネット上の知恵に頼ってください、現時点では私は白旗を上げます。

 Dell社(当時)は"SmartByte"というやはり"Rivet Networks"社のソフトウェアで過去に類似のトラブルを起こしています。検索すればそれに関するブログ記事などを見つけることができるでしょう。そんなブログの幾つかには「Dell社のサポートが役に立たなかった」旨が書かれていました。今回の件でも、同様にDell technologies社のサポートが役に立たない可能性は高いと思います。以前のエントリで書いたように、別の(機能を結構売りとしている)プレインストールソフトは使用開始直後にやはり無効化してますし、不具合の多いOSのアップデートもやらかしています。DellSupportAssistも信用できないので、私はアップデートも含めて全て手動で使っています。

 プレインストールソフトの不具合への対応の悪さ、或いは不具合に対応できない状況は、経験的にかなり不味い兆候です。 それらは消えたGateway2000社や90年代末の低迷期のApple社の状況を彷彿とさせます。実のところDell社製品との付き合いは公私含めて長いのですが、この4年程はいろいろとやらかし(トラブルの原因が自社にありながら、自社では解決できない事例)が増えている気がします。「これ、暫くダメかもしれんね」って思わず思うことがありますね。

マイバックはお気持ちであってもやはり不合理っぽい

 スーパーへの買い物時には、20年以上前購入したORTLIEBのシティバックを使っている。バイカー用の23リットル防水バックパックで、現在の商品ラインナップのヴェロシティの直系のご先祖様となろう。かれこれ22~23年物、東京都内を自転車で走っていた若いころの名残だ。ちなみに現在のベロシティ、額面で半額近く安くなってるけど頑丈さは以前のままかな?

 スーパーには徒歩で行っているが、まぁ、歳も取ってきてるし、体調不良でふらつくこともあるから、両手が空く背負い型がやっぱり良い。お米10kg袋も大抵入るぞ。

 ただこのシティバッグ、決して「マイバッグ」やその代用品ではない。

 このバッグに折りたたみ傘と、コンビニ買い物時に買ったレジ袋を1枚入れている。冷凍食品や総菜類はレジ袋にまとめた上で、シティバッグにしまう。シティバッグは頑丈さは織り込み済みだし、防水なので洗うのも楽だ。23リットルの容量は、1週間分の食材+アルファにはちょうど良い大きさだ。 

 レジ袋はコンビニでの買い物時、スーパーへの買い物時、部屋のゴミ箱用のゴミ袋の役割をそれぞれ1回果たしてから、自治体指定の可燃物用ゴミ袋の中に放り込まれてゴミ処理車に回収される。ごみ焼却施設は、レジ袋が存在することを前提とした高温対応だった筈である。つまり、設計・建設時に想定した量のレジ袋が入っていないと、燃焼効率が悪くなったり、窒素酸化物などの有害物質量が増える可能性(高温を利用して、生成された有害物質を際分解することが多い)が増える。もしそうなら、明らかに環境に対しては悪影響だ。

 10年以上前、会社の同僚が仕事で炭酸ガス排出量に関する調査をした。その同僚の出した結論の一つが、「マイバッグは炭酸ガス排出量低減の観点からはマイナスである」と言うものであった。

 当時は100円ショップ全盛期であり、安いマイバッグが多く出回っていた。問題はその大部分が中国製で、2日に1回使用では1年と持たない強度しかなかったことだ。レジ袋は石油由来だが、ほぼ他の用途の無い「残り成分」を使う。更に少なくとも国内消費の大部分が日本製であり、製造時などの炭酸ガス排出量が「日本の法律に定めるところの値」を下回っていることを期待して良いだろう。一方、中国製マイバッグ製造時の炭酸ガス排出量は、残念ながら「中国の法律に定めるところの値」よりも高い可能性を残す。ただし、可燃物として処理した場合の炭酸ガス排出量は国内基準で評価して良いだろう。

 さて、件の調査の実施時点での結論をざっくり書くと、製造時の炭酸ガス排出量は「各国の法律の定めるところの値」ベースで計算すると、中国製マイバッグ1枚に対して日本製レジ袋200枚程度となった。当時の私は週レジ袋2枚ペースで買い物をしていたので年間のレジ袋使用量は約100枚となり、中国製マイバッグは2年使えないとむしろ環境に悪い結果となった。更にOECD調査などを信じれば、中国での炭酸ガス排出量は「中国の法律に定めるところの値」よりも一桁大きい公算が高く、となればマイバッグの使用推進はむしろ環境破壊の推進となる。故に、少なくとも中国製のエコバッグとやらをマイバッグとして使おうなんて微塵も考えたことは無い。

 レジ袋を使った方がエコだからだ。

 ちなみに中国の一つの特徴として「法律の内容は世界水準だが、実際には守られていない」と言うものがある。現在、中華人民共和国の炭酸ガス排出量は全世界の約30%を占めるが、この値はあくまで公称値であり、「中国の法律に定めるところの値」をベースに計算されたものである可能性も指摘しておく。

 さて時代は下ってレジ袋は有料化されたが、某報道によると使用量は逆に増えたらしい 。レジ袋使用量の増加自体は公平に言って喜べないが、報道自体はざっくりしたもので「使用量」が「枚数」なのか「重量」なのかも分からない。まとめサイトに目を通すと、「レジ袋有料化を機会に買い物量が減ったのでより小さいレジ袋を選ぶようになった」なんて記述もあったのだが、結局のところ買い物回数が増加していれば「使用枚数」はむしろ増えたことになる。ただ、使用レジ袋の「重量」が増えたかは分からない。

 結局のところ、「減らす」なんて漠然なことしか言わないままで実施、という手順での政策は、「意味があったのか?実効性はあったのか?」の評価もできないまま辞めることも強化していくこともできないという意味で百害あって一利もない。もちろん本来の意味でのセクスィさは一片も備えていない。評価ができないというのは、「法律に定めるところの値」がありながらそれを守っていない状態以下である。環境左派の多くの人間の目の死に具合からは、その後方にある某生体器官の働き具合や使い方具合でも反映しているのかななどと妄想させるだけの何かがある。

 なお上述のように私はコンビニでレジ袋を購入しているが、それは最大サイズ級が必要な場合だけだ。小さいレジ袋に収まるような買い物量ならば、その時点で使っている鞄に入れるか、商品むき出しで手持ちとする。まぁ、そう言うことが可能なコンビニの使い方をしているということだ。

 私は「レジ袋の使用量を減らす派」ではなく「不要なレジ袋使用は無くす(0とする)派」だと思っていただけると幸いだ。本来「エコ」をうたう商品の流通を許すなら、やはり定量的な指標が必要なのだが、類似品を並べて「どっちがよりエコなの?」と問うても、その答えを出す表示類やその基準が現時点では無いのが実態だ。この辺り、ちょっと闇がある風なんですよ。産地表示義務があってもあの手この手を使っての産地偽装が絶えないように、付加価値に関する表示の扱いはやっかいなんですよ。「数字」にならざるを得ないのでね、ごまかす気満々な勢力がいる限り・・・

 最後に、「自分はそんなに頭が固い方ではないと思っていたのだが、決してそうではないのだな」と痛感したことがつい最近あったので最後に触れる。と言うより、このことが本エントリを書くことになった理由である。

 とあるまとめサイトの一文に思わず唸った。その内容は「1000円のマイバッグを買うぐらいなら、(1枚3円の)レジ袋を333枚買う。どうせゴミ袋は買わなければならないのだから、レジ袋を再利用した方が安い」と言うもので、要は「その方が金がかからないじゃん」と言っているだけだ。だが、「その方が金がかからないじゃん」という結論に繋がるような思考を炭酸ガス排出量ばっかり気にして全く放り出していた自分にちょっとがっかりしてしまったのだ。結構ショックなんよ、こういうの。ただ幸いにして、「その方が金がかからないじゃん」という道は「その方が炭酸ガス排出量が少ないじゃん、エコじゃん」とほぼ軌を一にしているのである。