ゲストはSEGAのHiro氏とmaimaiちゃん(の中の人こと、SEAG広報の方。もちろん女性ですよ) 。もう近所のゲーセンは全て壊滅して久しいのでゲーム"maimai"なんてプレイするどころか見る機会もないのだが、チップチューンユニットYMCKの楽曲はチェックしているので「maimaiちゃんのテーマ」は既に購入していたりする。
ゲーム音楽にはとんと疎いのでHiro氏と聞いてもピンとこなかったのだが、「ゲーム"After Burner"の音楽も担当した人ですよ。」と分かってしまっては「私にも是非『Hiro師匠』と呼ばせて下さい!」という感じ(苦笑)。家庭用ゲームコンソールを購入したのは就職後で機種は"SEGA MegaDrive"。もちろん"After Burner"を自宅でプレイしたかったから。
今回のポイントは、何といってもHiro氏のSEGA入社直後の音源の紹介(いわゆる「バナナパフェ」)。時期的には1985~88年ごろということで、音源はオーディオカセットテープ、しかも4トラックMTR(マルチトラックレコーダー)で録音したものも混じっているという説得力の高さ。
内容は、いわば楽曲スケッチ~チーム内検討用デモといったところとのことで、没になった"After Burner"用楽曲のスケッチ(メロディの一部は採用)も飛び出す貴重さ加減。初期のスケッチはポップキーボードの伴奏機能(数小節のドラム、ベース、コードの基本パターンは編集できて、再生中にキーボードでコードを左手で押さえるとベースやコードがリアルタイムに変化する機能)+メロディのリアルタイム演奏なので、勢いがビシビシ。スケッチということで録音のし直しなんてしていないということなので、メロディ演奏に時折躊躇してるようなニュアンスも乗っかっていたりして、ライブ感?いや「息遣い感」がとても良い。特にMTRでリアルタイム演奏のギターを重ねているスケッチでは「勢い」も「息遣い感」も気持ち良い。
また、ラジオでは分からないHiro氏が「MTRの各トラック出力のレベル、イコライザー、定位を再生中にちゃっちゃっといじる姿」は当然のことながらとても様になっているとか、「20年以上前の自分の演奏するギターのチューニングのずれ」にダメ出しするとか、とにかく貴重回。
番組最後の20分はHiro氏による"KORG M01D"楽曲製作ライブ状態。初めて触るということで、佐野氏の説明を受けつつも「成程。」を連発しながら4小節(だったかな?)の楽曲を製作してしまう。「(NINTENDO 3DSソフトなので画面は3Dで表示されるのを指して)無駄な機能だよね、音は3Dにしないの?」と当然と言えば当然のインプレッションで佐野氏を慌てさせ、「キーボード画面とスタイラスペンを使ってリアルタイムMIDIレコーディングは出来ないの?」という想定外質問でさらに佐野氏を一瞬凍りつかせるといった飽きない展開。幸い、後者はリピート再生を止めて単音なら(スタイラスペンでは一度に一つの鍵盤しか押せないから)できちゃうことが実証されました。良かった良かった。
MTR(既にSEGA社内には無いらしい)を今時用意しちゃう番組スタッフも実は凄い。
一点だけちょっとびっくりしたのは、佐野氏もHiro氏もYMCK製作のチップチューン用VSTiプラグイン "Magical 8bit Plug"のことは余り知らない様子で、プラグイン名称が出てこなかったこと。シンセサイザーで楽曲製作する人にも、ざっくり楽曲製作寄りの人と音色作り寄りの人がいるけれども、お二人とも基本的に前者ということなのかなぁ…。
ちなみにこ1980年代後半は私は大学生で、CASIOのポップキーボードやMTR(TASCAM PortaOne)を使って友人達とワイワイガヤガヤ多重録音をやっていたころ。Hiro氏は「最初のころはまだMIDIシーケンサーが無くて…」と発言していたのでネット上で確認したところ、確かにMIDIシーケンサーの普及開始時期は1987年付近。当時バイトして買った"KORG SQ-8"が1986年発売(約3万円)、とても手が出なかった"Roland MC-500"も同年発売…あぁ、懐かしい。
ネットで拾った"KORG SQ-8"の写真、けっこう小さいことが分かるでしょ?厚みはあるけど、MIDI端子の大きさ、電池の内蔵を考えるとこれ以上は薄くできないのだ。8トラックで最大6400音ってぇのは当時の私には十分すぎる機能。ただ基本的にデータ保存メディアは無かったから、再生後の音しか残せなかったのよ。
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