2021/04/05

オンラインのイベント集中回避へ“日時共有” 通信量急増対策

 エントリタイトル通りのタイトルのNHK記事によれば、総務省が何かやろうとしているらしい。要は、「同じタイミングでライブストリーミングをやらないように、業界内での調整のための仕組みを作る」ということらしい。個人的には「技術的知識がある人こそ、落としどころとしてそれぐらいしか提案できまい」とは思う。

 NTTに対して「機器更新に投資して通信容量増やせ」と言う人もいるだろうが、本質はそこじゃない。それも対処療法に過ぎず、極めて効率の悪い投資となることを理解されたい。新型光ケーブル(従来の1本分のスペースで50本だったかな?)開発とか、数年内に実用化予定の通信容量拡大のためのハードウェア技術開発にはきっちり投資しているし、実用化の目途も見えているようだ。機器更新するにも新型光ケーブルぐらいまでは待つべきだろう。

 もちろん5G技術は何の解決にもならない。5G網は末端(ラスト1マイル)に過ぎず、上流側の基幹線の通信容量拡大には全く寄与しない。無線かつ機器数増は通信速度のボトルネック要因となり得、基幹線から端末へなかなか送信できないデータの増加要因となるかも知れない。送信できないデータがあるということは基幹線にデータが留まるということなので、基幹線の通信容量を実質的に下げる要因とならないかと危惧する。

 他方、IPoE IPv6化だけでも最大+50%~+275%(さすがに4倍、+300%は無理)の通信速度増が私の環境でも見られている。最近IPoE IPv6とIPoE (IPv4 over IPv6)の導入が加速しているが、少なくとも直近の投資としては極めて筋が通っているように見える。5G網同様に基幹線の容量拡大には全く寄与しないが、末端~基幹線間で通信速度のボトルネック要因がほとんど無いため、基幹線の通信容量をより効率良く利用できる(通信データが基幹線に留まる時間が短縮される)可能性が高いと見ている。ただ私の環境、上り速度がいまいち出ない。

 過去エントリで触れているように、ライブストリーミングはTCP/IP通信プロトコルと極めて相性が悪い。通信容量が無限大でない限り、プロトコル違反前提のサービスとしか未だに思えない。根っこは「GoogleのStadiaサービス向け自社ゲームスタジオの閉鎖」と同じじゃないすかね。

2021/03/30

IPv6 IPoEはまぁ速い(その3)っつーか、これは色々とヤバいかもしれない

 PCゲーム「サイバーパンク2077」のアップデートパッチ1.2が来たので、Steam経由でダウンロード。含むところがあって所謂混雑時間帯に実行した。

 ダウンロード速度がヤバい、定常的に750Mbps出た。うちの光回線マンションタイプの容量は200Mbpsではなかったか。上述の含むところとは、SteamのダウンロードがIPv6をサポートしていることを知っていたことだ。「混雑時間帯でのIPv6 IPoEの威力とやら、見せてもらおう」・・・結果から言えば、余り気楽に試すものではなかった。

 速いのは良いのだが、絶対にアパート内の他のユーザーの通信状況に影響が出ている筈、という意味でヤバい気がする、と言うか「ごめんなさい」。200Mbpsを超える通信が一定時間発生すると、少なくともPPPoE IPv4接続を使うしかないアパート内のPS4・CoD民は壊滅だ。アパート内の他のユーザーが同じようにダウンロードを実行した場合、その間の私の通信状態はどうなってしまうのか。

  購入時のダウンロードは早朝で、ダウンロード速度は200Mbpsに張り付いた。「なるほど、回線の仕様通りだな」と思ったものだ。購入時はIPv4もIPv6もPPPoE、パッチダウンロード時の現在はPPPoE IPv4+IPoE IPv6だ。

 パッチサイズは27.6GB。約19GBをダウンロードした時点で送り手かプロバイダの制御が入ったようで、ダウンロードは間欠的となった。ただし速度は750Mbpsのままだった。ダウンロードに要した時間は21分55秒なので、計算が間違っていなければ時間平均値は約170Mbpsとなる。回線の契約内容に照らせば十分速い。

 ただ、現時点でこの高速の恩恵は限られる。以前のエントリでも書いたように、最近は混雑時間帯を問わずPPPoE IPv4が激重となることが多い。NetflixとかAmazon Prime Videoなどのサービスを利用していない身では、こうなるとYoutubeぐらいしかまともに使えるサービスがない。Google検索はIPv6サービスなので速度低下は無いが、検索結果のサイトがほぼIPv4サービスで閲覧不可では検索すること自体に意味が無い。twitch.tvもIPv6サービスはサポートしていない。

 ただし、理屈通りと言うか、ちょっと引っかかるところはあるものの、約750Mbpsでパッチをダウンロードしている間でもYoutubeの動画は普通に視聴できたし、twitch.tvの音楽ストリームも接続は維持された。これは通信容量の話ではなく、通信タイミングのスケジューリングなどの制御の話だ。ちなみに通信タイミング制御の重要部分はアパート各部屋のONUが担う。アパートの他の部屋の使用帯域を知らないままの制御なので、他の部屋の通信状況に悪影響を及ぼしていてもおかしくない。下流がIPoEでは、総通信量は制御できても各部屋の通信間の協調制御はできない。

 とまぁこんな文章を書いているうちに、PPPoE IPv4通信が激重となった。IPv6サービスで200Mbps近く出ようとも、IPv4サービスが1Mbps未満では情報源としてのインターネットは意味が無い。

 IPv4接続の通信速度に問題が無い別地域のPCを、IPv6をサポートするリモートソフトで操作、画面も取ってくる・・・馬鹿らし過ぎてやろうとも思わんけど、実現可能な一つの解決法だわね。

2021/03/28

うちの自治体ではランニングシューズは可燃ごみになる。

 ゴミの種類毎に対応した有料ゴミ袋を使わないとゴミ出しできないが、ゴミの種類自体は変に細かく分かれていない。ざっくり、可燃物、不燃物、粗大ごみ(大、中、小)だ。ただし再生資源ごみの分別は、例えばガラス瓶なら色毎に分ける、といったようにかなり細かいし、不要となった小型電子機器類(電子基板を含む小型機器)については、別途回収ボックスが公共の場所に有ったりする。

 で、次回出す可燃ごみの袋にアシックスのランニングシューズを昼過ぎに放り込んだ。買って間もない未使用品だ。ま、それだけのこと。「あなたがたは間違っている(What you said is wrong.)」ではなく、「あなたがたは間違っている(You are wrong.)」という言葉を贈ろう。

 高校でラグビーをやっていたころは、アシックスのオレンジのラインのラグビーシューズを愛用していた。そう、それだけのこと。元々思い出の中だけの話だし、これからもそう。幸いにして、思い出補正が無くとも素晴らしいと言える多くの経験は素晴らしいもののまま。

 現時点では、諸外国からのアシックスへの容赦無い直接的な制裁を期待する。現状のままなら日本にも、日本政府もいい加減にせいよ、と。こんなことにならないよう、某社はちゃんとした対応を早く頼むぜ。

2021/03/27

石山先生の「冗談じゃない」

 "那覇市  中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書"をキーワードとして「すべて」でGoogle検索すると、検索結果の1番目の検索結果は、那覇市議会が可決し、内閣総理大臣等に送付した「中華人民共和国による人権侵害問題に対する調査及び抗議を求める意見書」のpdfファイルである。那覇市のウェブサイトで公開されているオフィシャルとも言えるものだ。

 では2番目の検索結果は?大紀元(EPOCH TIMES)の日本語版ニュース記事「那覇市議会で中国人権状況に関する意見書、全会一致で可決」だ。意見書も全文掲載されている。

 さて、キーワードはそのままに、「ニュース」で検索してみる。おやおや、1件のニュースも結果に出てこない。

 本件からも明らかなように、こと特定の国や政党が関わる事項に関しては、海外のみならず国内の話であっても日本国内向けの日本語報道では十分に手に入らない状況にある。このような状況の出来は別に昨日今日のことではないが、習近平が、じゃなくてペーさんが某党で権力を握ったあたりから明らかにその傾向が見られ始めた。具体的には、国内メディアが報道しない国内外の事を、BBCや中国共産党・・・っと、まぁいいや、中国共産党支配地域外に拠点を置く華人メディアから知る、ということが急激に増えだしたのだ。

 当時のソースは新唐人TV(NTDTVJP)のYoutubeチャンネルの日本語版ぐらいだったが、大紀元時報|EPOCH TIMESが日本語版のサイトやYoutubeチャンネルを運営しだす辺りのタイミングで、一気に日本語でのこの種のニュースソースが増えた感がある。本エントリでは煩雑になるから触れないけれど、台湾発も含む中国語による報道の内容を毎日紹介、解説してくれている有難いYoutuberさんもいる。

 成程、新唐人TVにしても大紀元にしても、中国共産党の言行に関する報道内容が中立であることは必ずしも保証されない。特に法輪功が絡んだりすると、多少の偏向はあっても当然と言える。これは「中立でないから全体がダメ」などと言いたいのではなく、「そういうもんだと見る側、読む側である私は承知の上だよ」と言いたいだけだ。新唐人TVは反中国共産党の立場も、運営に海外居住の法輪功学習者が関わっていることも隠していない。また、冒頭の那覇市議会の意見書に関する報道は事実報道なので、基本的に偏向の余地は無い。加えて意見書は全文掲載され、「切り取り+印象操作」された報道とはなっていない。本件に関しては国内報道機関の「報道しない自由の行使」や、検索サービスの「報道されたものを隠す行為の行使」の疑いが拭えない。

 那覇市議会と同様の動きは他の自治体にもみられているとのことだが、現段階でその種の情報をネットで効率よく集めるのは難しい。より厳密には、同様の行動を起こしている自治体が分かれば公式サイト等で公開されている宣言書なり意見書なりそのものを見つけられる可能性は高い。が、「宣言書なり意見書なりを出している自治体」を効率よく見つける検索キーワードは無い。これはまるでセールスマン巡回問題のような「一般的な解法が無い」状態であり、唯一の解法は検索キーワードを変えながら試行錯誤的に検索を繰り返すだけだ(実際には、手掛かりを求めて那覇市議会議員のブログやツイートなどを追うところから始めるだろうが)。ちなみに多数回の試行錯誤を効率よく高速で実行可能とされる技術の代表が量子コンピューティングだ。ただし試行錯誤自体は効率を問わなければ現在の技術でも可能なのだから、それをやっていないだろうことには意味がある。「結果に対して時間や電気代などのコストが見合わないから」と言うのが正解だろうが、「報道されたものを隠す行為の行使」の良い訳にも使えると言うのは意地悪過ぎる見方だろうか。またちなみになのだが、「結果に対してコストが見合う」とされる試行錯誤例は少なくなく、例えば「新薬の候補物質の探索」はその時点での最高速スパーコンピュータを使ってまでも行われる高コストかつ壮大な試行錯誤と言える。

 と、ここで魔物除けのおまじないでも唱えておこうか。翠!六四天安門事件!

 で、実はここまでは前振りで、本エントリの本体はここからだ。

 中国共産党や中国共産党の支配地域で起きている様々なことを知るうえで、「そういう見方や要素は考えたことすらなかった!」とか「アレとコレの原因はこれだったのか!」といった類の発見が多くて、日本語の新作公開が楽しみでしょうがないYoutubeの動画シリーズがある。日本語でのタイトルは「冗談じゃない」、「石山視點 - Shi Shan’s Outlook」というYoutubeチャンネルの動画シリーズ「有冇搞錯(≒誤りがあるぞ)」の日本語吹き替え版で、大紀元系のYoutubeチャンネル「ニュース最前線 香港」で公開されている。

 内容はと言えば、大学の先生とかにいそうなルックスの石山氏(石山先生って呼びたくなるんだな)が様々な時事を解説するというものだ。一見マニアックなテーマであっても分かりやすく、話の内容から一見関係なさそうな別の知見との接点を発見できたりと、新しいことを知ることができるだけでなく、驚きを伴うことが少なくないコンテンツなのだ・・・少なくとも個人的には。

 最新エピソードは「中国 種子の危機 民族の存亡に関わる」とマニアック感満載だが、繁殖用の種豚(これも「種」扱い)や穀物の種の輸出入の話は、他のソースから得られている最近のロシアと中国共産との関係に照らすと更に興味深くなる。

 例えば私は以下のような事前知識を持っていた。米国の政権移行後にロシアと中国共産党は軍事的に関係を深めてきているが、日本の中にもそれは脅威とは捉えず、「ロシアが中国を毟りにかかっているぞ」と分析している人もいる。理由は「それがロシア流だから」だそうだ。では今は何を毟っているのか。また、一昨年来、豚コレラの流行で中国共産党支配地域内の豚肉供給量が不足している。このためロシアなどからの豚の輸入量を増やしたが、そもそも豚コレラはロシアからの輸入豚が持ち込んだ可能性が高いとされている。

 最新エピソード内では、ヒマワリの種などはロシアからの輸入が多いが、この1月にロシアがこれらの輸出関税を大幅に引き上げたことにさらりと触れている。このロシアの行動、中国共産党の足元を見てのものに見えなくもない。少なくとも蜜月感を削ぐ情報ではある。また輸入する豚は繁殖用の種豚が多く、直接食肉用として輸入している訳ではないことを初めて知った。しかも種豚の頭数が限られる以上は遺伝子の多様性などの問題で、繁殖可能な世代数は限られる。石山氏によればそれは4世代であり、再び豚コレラの流行があれば4世代分の豚が一気に失われる可能性があることを指摘している。更に種豚の輸出制限が為されようものなら中国共産党支配地域へのダメージは計り知れないと明確に述べている。

 私はせいぜいミリタリー好きの視点からぐらいでしか対中戦略などを捉えることができなかったが、種豚の輸出制限の影響の大きさの話を知った以上は食糧事情視点も持たざるを得なくなった。当然、日本の食糧事情についても、これまでに無い視点からも見ることになるだろう。中国共産党支配地域への種豚の輸出禁止、食肉用豚または豚肉のみ輸出可能の状態を4年維持ができれば、中国共産党支配地域は支配できなくとも、中華人民共和国人民の胃袋は支配できそうだ。

 ちなみに冒頭のコールが「有冇搞錯(ィュウモウガーゥチョっぽい音だから広東語かな?)」。

2021/03/22

「児童の性的搾取」による販売停止が米Amazonに来た

 "Kawaii"に分類されそうなフィギュアから来たのは実は予想外。文字通り、「【悲報】米Amazonが『俺妹』『ハルヒ』『らきすた』など美少女フィギュアを『児童ポルノ』に認定し販売停止へ」ってことらしい。

 2年ほど前のエントリで、「日本の漫画やアニメ(のスタイルの絵作り)を”性の搾取”の観点から敵視している勢力」が存在することに触れたことがある。このエントリでは、当時Youtubeに氾濫していた【紳士向け】や【R-18】のMMD動画について触れ、これきっかけで今や世界に通じる"HENTAI"の枠組みでの「日本の漫画やアニメ(のスタイルの絵作り)」のポリコレ化の懸念について思うところを書いた。

 個人的に今回の話の意外どころは、"HENTAI"ではなく、むしろ"Kawaii"の枠組みに分類されそうに思えるフィギュアから販売停止になっていることに尽きる。現時点では情報が少なすぎて断言はできないものの、背景に「具現化された"Kawaii"もの=児童ポルノ」というロジックの意図的な拡散や固定化の動きが存在している可能性を懸念する。特に固定化は、ステルスで認知だけは広げておいて、いきなり「デファクトスタンダードな考え方、常識ですよ~、もう*年も言われてましたけど、誰も文句を言ったり反論したりしてこなかったじゃないですか~(ニッコリ)」みたいなやり方をとるのが常道だ。いったんこうなると、「いや、このキャラは24歳ですから児ポにはならないですよ」と言っても、「これ、"Kawaii"ですよね?」と聞かれて「Yes」と答えてしまったら負けなのである。そして、後戻りはほぼ不可能である。

 このロジック(厳密には屁理屈、言いがかりだが、何らかの意図を持つ者達はより権威的な表現を好む)では、「"Kawaii"もの=子供、児童」であり、「自身(絵やフィギュアそのもの)が"Kawaii"ことを視覚的に主張すること("Kawaii"を露出/アピールすること)=ポルノグラフィ」と見做すこととし、「具現化された"Kawaii"もの=児童ポルノ」との結論に一気にもっていくのである。いやはや、思考内容が"HENTAI"なのはどっちだ。今の米国大統領は<自己規制>好きらしいがどうなのか。

 それはさておき、私が「"Kawaii"もの=児童ポルノ」主義者なら、自分の主張を通すためにうまく使えないか一考の価値ある(バカによるバカの為の)論法ではあるね。あれだ、左巻きとかが大声に頼って押し通そうとするような類の、筋の悪い論法なのよな。私の見たところ誤魔化しは最初にあり、本来有り得る命題「大抵において、子供達は可愛い存在である」を表す「子供、児童≒"Kawaii"もの」の「≒」の左右を入れ替え(論展開の順番を逆にし)、更に「≒」を「=」としたところにある。 更に言えば、日本語における「可愛い」と英語使用者の使う"Kawaii"との明確な関係性、或いは"Kawaii"の明確な定義(現時点でもまだ普及過程)が確立していないこともつけ入る隙となっていると考える。

ミャンマーでの事案、それでも「クーデター」とは呼べない理由

 2月初旬、あくまで個人的見解として「ミャンマーでの事案、『クーデター』とは未だ呼べない感の理由」というタイトルのエントリを書いた。そのエントリでは、民主化後のミャンマーの方が先行する軍政時代より少数民族に対する迫害がエスカレートしていること、国家顧問と言う存在・機能が時に憲法を超えるがためにファシズム体制の様相を呈しうること及び最近の民主派政権の中国共産党への接近に触れた上で、軍の行動が国民に一定の支持を受ける可能性を想定した。だが、その後の展開は私の予想とは完全に別方向に進んでいった。

 私の読みの大外しの原因としては、ミャンマー軍も幹部級はさすがにもうリアリストが占めているだろうと根拠無き思い込みがあったこと、ミャンマー軍へのベトナムの影響力を過大評価していたことが挙げられよう。後者は逆に言うと、現在のベトナム軍と中国共産党との関係についての私の認識が間違っている、古いということになる。軍に対するベトナムの影響力が強ければ。そこへ中国共産党の影響は入れないからだ、う~む。

 とは言え、昨今の報道内容に基づけば、やはりこの事案は「クーデター」と呼べない。では何かと言うと、中国共産党習近平派による内部浸食侵略である。他国がミャンマー軍を非難できても、中国共産党を非難できない形でミャンマーは中国共産党の支配地域に落ちつつあるようだ。まさにサイレントインベージョンということになるだろうか。

 ここ数日の複数の報道に、中国共産党人民解放軍の左官級の人間が顧問としてミャンマー軍に派遣されていること、軍により逮捕・殺害された人物の遺体から中国共産党人民解放軍特有の拷問痕が確認されたことへの言及がある。人民解放軍には治安軍(国内向けの軍。いわゆる武装警察の一部と言うか、武装警察全体が実質的に極めて軍隊的な組織に再構築される途中にある)があり、中国共産党支配地域内の民族、宗教など弾圧を担当している。先の拷問痕も治安軍特有の拷問方法のものの可能性が高いとされる。拷問方法の特徴は、苦痛を与えると同時に徐々に肉体的にしゃべられなくする、声を出せなくするところにあり、明らかに自白を引き出すことなどは眼中になく、拷問自体が目的化している嫌な状況をうかがわせるものである。また、そんな拷問痕の残る遺体を親族に引き渡すことは、「声を上げるな」「しゃべるな」といった警告の意図を強く感じる。

 治安軍には、通常軍(陸軍、海軍、空軍など)と 同等の予算が与えられているとされる。このような治安軍の拡大は習近平政権によるものであり、2015年ごろにはその予算の大きさ故に治安軍は経済的に中華人民共和国を傾けるだろう、或いはそこまでしないと国内がまとめられないなら中国共産党も長くないとまで予想する人もいた。が、実際には治安軍は大活躍しているようで、チベット人やウィグル人など少数民族の弾圧、法輪功など反中国共産党を掲げる(或いは弾圧されたため掲げるようになった)各種集団・組織の弾圧、香港の普通選挙要求運動への介入などに投入されているらしい。

 かっては江沢民派は経済界を、李鵬派は通常軍を後ろ盾に持つ一方、習近平には後ろ盾となる組織が無いとされ、それが「お飾りのトップ」を望んだ党指導者層の眼鏡にかなったとも言われた。が、今や治安軍が習近平の後ろ盾となっている。上述したように治安軍は予算規模で通常軍と同等、または凌駕している。また人民への拷問、惨殺も辞さない暴力装置を目の前にして経済界の人間ができることは、戦争のできる大国の庇護下に入るか、媚びへつらうか、死ぬかしかない。中国実業家の海外での転落死の数はやはり不自然に多い。

 初手で大外しした以上、もうミャンマーの将来については私は何も予想できない。ただし、本事案からは明らかに習近平がことを進めることに急いでいる様子が見える。

2021/03/21

昨今のLINEに関する報道にびっくり

 流行りには疎く、周回遅れがデフォルトの私だが、昨今の報道を見るにLINEに関してはどうやら例外だったようだ。何がびっくりって、私が周回遅れどころか先行しているようだからだ。

 その昔、知り合いとの電話で「LINEって何?」と聞かれたことがあったが、その時点で「データは韓国のサーバーに送信されるから使わない方が良いよ」と言った記憶がある。「無料通話」アプリの文脈での話だったから。ホント、かなり昔のことだ。まだLINEの認知は低く、TV番組などで紹介され始めるよりかなり前だ。サーバーの件は、既に明確にこじれ始めていた日韓関係を背景に、韓国や韓国企業に関するニュースなどをネットで追っていた人なら常識だった筈だ。

 ネットのニュース記事では、日本国内で認知度が上がり始めた段階で、韓国内のサーバー上のLINEのデータを全て韓国国家情報院が入手していることも報じられていた(韓国国家情報院が公式にそれを認めているという記事だ)。韓国には通信の秘密保護義務を通信事業者に課す法律が無いため、このような韓国国家情報院の行為は、ユーザーが「LINEの通信データが韓国のサーバーに送られることに合意している」条件下では日韓それぞれの国内法のみならず、国際法上も合法となるようである。少なくとも韓国内では少なくとも法律上は問題とならない。このような話は少なくとも2年以上前に実家に帰った際に居合わせた親戚には話したが、その話がどの程度殻らの認識に響いたかは分からない。

 その後、日本国内のLINEの通信内容は日本国内のサーバーに保管するようになったと知ったが、だからと言ってLINEを使おうとは思わなかったし、もちろん使ったことは無い。利用規約に変更が無ければ、データの韓国サーバーへのコピーは何時でも誰にも知らせることなくできるし、例えコピーがバレても「不正アクセスによるデータ漏洩」といった程度の艇レベルのカバーストーリー(実態を隠したりミスリードさせるためのもっともらしい嘘)を用意すればどうとでもできよう。加えて国会議員、高級官僚、マスコミなどの協力があればなんてことない。LINEは「日本のみで強い」という異常と言うか不思議なシェア構成を示すようになり、運営形態はまず見かけから、そして実態も「LINEは日本のもの」と見えるように徐々に変化してきた。日本国内のサーバー設置は、そのようなプロセスの一環と見える。

 一方、「某雑誌のスクープの情報ソースをたどると、LINEの通信データに至るのではないか」というツイートや報道内での言及は、想像もしていなかったがさもありなんという感じで、ちょっと面白く思った。が、それ以外は報道内容、状況ともに全く笑えない。

 インターネットの普及によって色々な情報に触れることで、20世紀末には単純な自己ルールが確立していた。LINEを使わなかったのも、未だになんとかpayの類を使わないのも、ソフトバンクのサービスを一切使おうと考えたことが無いのも、全てその自己ルールに基づく。すなわち、「中国共産党の支配地域内や韓国内のサーバーに自分の個人情報データを送信する、或いは送信する可能性があるサービスは使わない」という単純なルールである。上述したように、いったん韓国に出た個人情報データは、第三者によって合法的に参照、利用できる道が開いているのである、4~5年前の私の知識が正しければね。

2021/03/17

IPv6 IPoEはまぁ速い(その2)

 まぁインターネット回線接続がIPv6 IPoEに対応した訳だが、プロバイダのウェブサイトのIPoEサービスの説明ページを見ると「IPv4はIPoE(IPv4 over IPv6)で接続する」と読める。が、プロバイダの接続状況確認ページで調べると、IPv6接続はIPoEだが、IPv4接続はPPPoEだった。確かにホームゲートウェイのPPPランプも点いている。

 なんか釈然としなかった。

 それと関係あるのかないのかは未だ不明だが、昨日は真昼間からIPv4接続のみ絶望的な低速度状態となった。みんなのネット回線速度(みんそく)の測定値は

種類  IPv4接続         IPv6接続 接続方式
    PPPoE           IPoE(OCNバーチャルコネクト)
下り  5.6Mbps(遅い)       723.76Mbps(超速い)
上り  0.88Mbps(非常に遅い)    89.94Mbps(速い)

だった。タブブラウザ当たり前の現在ではインターネットサーフィン(死語?)もきつい低速具合だ。ちなみに今朝改めて測定すると、PPPoE IPv4接続は

下り 140.9Mbps(かなり速い)
上り 94.52Mbps(かなり速い)

で全くの別レベルの速度となった。結構恵まれた接続環境にあるのだなと再認識したのだが、これでも混雑時間には帯域が圧迫されているのが体感できるのだ。やっぱりIPv4接続周り、何かおかしくないですかね 。ただ、みんなのネット回線速度の他の人の結果を見ていると、同じ接続構成の人がいない訳ではない。私が使用しているホームゲートウェイと同じものを使っていても、別途ルーターを用意しなければIPoE(IPv4 over IPv6)を使用できない業者もあるようだ。

 という訳で、「接続確認ページで確認するとIPv4接続がPPPoEとなっているのだが、それで良いのか」という単純な一つの疑問を解消しようと、病院に行く前の空き時間を使って気楽にユーザーサポートに電話してみた。問い合わせ先があるならば平気で聞ける、ってのは自意識「過剰」から解放されている年寄りの特権と言える。

 結論から言うと、「順次対応中だからちょっと待っててね、そのうちIPoE(IPv4 over IPv6)接続になるから」らしい[追記:4/6にIPoE(IPv4 over IPv6)接続開始]。ホームゲートウェイに何かプログラム(昨日調べたときに出てきたアレやろうなぁ・・・)を入れるとのことで、ファームウェアの自動アップデートと同様にそのうち深夜に実行されるのだろう。ある朝目が覚めるとREADY状態、って説明だ。調べてみると「IPv6 IPoE利用者の一部」に関わる回線のメンテナンスが居住地を含む地域で数週間内に2回予定されている・・・のが関係するのかなぁ。

 ただ正直言えば、この種のサービスの提供ラグの存在については、サービスの説明のウェブページなり手続き完了メールの本文中なりに一文有って然るべきではないかと思う。これはクレームではなく、提案だ。

 "IPoE(IPv4 over IPv6)"と"IPoE(IPv6)"は全くの別物だが、「"IPoE"の提供」と言われたときの"IPoE"はどう解釈すべきなのだろうか。どちらも同時に提供されるとまず思うよね?思わない?実際、専用ページに表示される私が契約しているサービスの記載内容を「よくあるご質問」ページの説明内容に照らせば、明らかに「IPoE(IPv4 over IPv6)接続を利用できます」となる。現有機器も対応品だ。が、実際に「使用」できているのはIPoE(IPv6)接続だけだ。「提供」されると「利用できる」ことになるが、必ずしも「使用できる」訳ではない・・・って、"IPoE"という単語の意味する範囲だけでも良く分からない使われ方をしているのに、更に「使用できる」を事前に確認する術が必ずしも用意されていないと言うね。なんだかなぁ。

 それはさておき、

別エントリでは回線事業者のユーザーサポートの電話対応などに対して星五つあげたいなんて馬鹿なことを書いたことがあるが、今回のプロバイダのユーザーサポート担当者にも星四つ半はあげたい。マニュアル通りではあろうけれども丁寧な説明、流暢ではないが滑らかなしゃべりなどはほとんどストレスを感じなかったし、何より知りたいことがちゃんと分かった。

 で、残り星半分なのだが、これは会話の流れの影響で出てしまったであろう「(対応は)直ぐだと思いますよ」の一言の分だ。会話の全体の内容から判断するに、「直ぐ」である「具体的な根拠」が無さそうだったからだ。ここで具体的な根拠と言えるものの例は、私の名前も既にリストアップされている対応計画表といったものだ。加えて「直ぐ」は感覚的な表現であり、その程度のほどは個々人の感性に依る。

 私はユーザーサポート担当者のその言葉を嘘とも思ってないし、当人の性格の良さや優しさみたいものが経験不足などの避けられない要因によってちょっと漏れ出てしまったものぐらいに考えている。まぁ3カ月ぐらいは待てますよ、それぐらいの対応をしてもらえました。ただし、「直ぐ」=「今週中以外有り得ない、有り得ない!」な人もいないとは言えないので、結構リスキーな一言だったかもしれないですよ、ということです。

 対して壊滅的通信速度低下に関する別ルートでの問い合わせの回答は困りもので、「夜混んでました」→「いや、真昼間に起きた障害の問い合わせなのですが・・・」などなど、加えて障害とは無関係な話も長かったりで、鬱病時に読んだら絶対病状が悪化するレベルで論理的にカオス。非論理的だったり非合理的だったりで意思疎通に失敗している会話や文章のやり取りは、鬱病患者や元鬱病患者にはご法度中のご法度だ。

 違う、そうじゃない。まずは人の書いたものをちゃんと読んでくれ。

2021/03/16

ブリンケン国務長官「台湾は国」

  米民主党や米国議会の一部は本当に戦争をしたいんだろうなぁ、との思い再び。

 Taiwan Newsのこの記事によると、「ブリンケン国務長官が台湾を国(country)と呼んだ」らしい。そのまま素直に解釈すれば、「一つの中国」に米国はもはやコミットしないということだ。このように、相手側の採れる選択肢をどんどん潰していくやり方は、相手自体が自壊しない限り力の行使に繋がりやすい。対フセイン・イラクも対タリバン・アフガニスタンも、時の米政権は大量破壊兵器が存在する証拠とやらを「でっち上げる」などの手まで使って、相手支配地域内への直接侵攻に持ち込んだ。しかも同盟国まで巻き込んでいる。

 私は台湾周りの扱いについて先の米トランプ政権を好感していたが、その理由は「相手側(中国共産党)の採れる選択肢を限定、可能であれば誘導も試みる」ようなアプローチを採っていたからだ。ウィグル族に対するジェノサイド認定のように、トランプ政権末期のポンペオ国務長官などの発言は中国共産党に対して強硬的ではあった。台湾との国交を制限する多くの国内法も廃止した。だが同時に「一つに中国」のコミットに直接触れるような具体的なアクションはしなかった。このようなトランプ政権の一連の動きは、私の目には「あ~、あんたこのままこんなこと続けてると、さすがに『一つの中国』をコミットし続けることができなくなっちゃうな~(チラッ」といった一種の目くばせに見えた。別の言い方をすれば、トランプ政権は「『一つの中国』へのコミットの維持」を最初から最後まで取引材料とし、相手はどこまでも言っても目の前に選択肢がある状態を作り続けたと言える。

 ただ中国共産党は、或いは習近平国家主席はその取引には乗り気ではなかったようだ。理由は全く分からないが、「時間が味方にならない」とでも悟っていたのだろうか。戦狼外交という「何事も譲らない、交渉や取引はやらない」という姿勢に出た。なお「戦狼」外交の主体は外交経験のない内政畑の官僚とされる。その視点からは、「戦狼」のスタイルとは「国内或いは中華圏固有の流儀そのまま」であり、「その言葉は、自分の党中央への忠誠心のアピールでしかない」可能性が示唆される。実際、言っていること、やっていることは大国間の外交とは程遠い下品なものだ。で、本当に譲れないところもトランプ政権がほのめかす取引も同様に受け入れない方針によって、中国共産党は「真綿で首が絞められる」状態に自らを陥れてしまった。もちろん、中国共産党がその姿勢を続ければ、トランプ政権であっても「『一つの中国』へのコミットの維持」はいずれ現実的ではなくなっただろう。だが、現実的でなくなるその瞬間まで交渉や取引の窓口は開かれており、中国共産党の面子を潰すようなことは極力避けるようにした筈だと信じる。少なくとも北朝鮮の指導層はそれまでの米国流からの変化を決してネガティブには捉えず、色々と将来の可能性について考えたと思しき節がある。少なくとも南の隣国の指導者に対する場合とは違い、トランプ大統領に対して「ば~か!ば~か!」とは言わなかった。

 一方ブリンケン国務長官の今回の発言は、どの程度自覚的か分からないが、はっきり言って中国共産党の面子を潰した。更に、相手方の意思をある程度尊重した順番、内容での交渉、取引を志向してきたトランプ政権流は、左翼政権にありがちは「アレはアーならない?コレはコーならない?次のソレはソーならない?」といった相手へのリスペクトも取引要素も欠く流儀に変容する可能性が極めて高い。実効的な同盟戦力を持たない中国共産党と米国との交渉においては、トランプ政権が「交渉、取引の展開次第では将来的に選択肢となり得る」地位に意図的に置いていた選択肢である「ならば戦争だ」は、今後は双方の交渉のテーブルに最初から乗った状態となり得る。ただ新政権の面子には親中・媚中を指摘される人間が多いが、その割にアジア通はいない。なので、ブンリンケン国務長官が自身の発言の意味を理解していない可能性も残っているのが辛い。

 言い過ぎ覚悟で敢えて言うが、トランプ政権時代の「『一つの中国』へのコミットの維持は無理」に相当するラインは、米国新政権や現在の議会によって「ならば戦争だ」まで押し上げられたようにしか見えないのだ。そして、それは大量の「無知」という飾りつけに彩られた「戦争したい人達の意思」が導いたものだ。

 最近聞いた評論家の発言でなるほどと思ったのは「米国新政権は人権問題を最優先事項とした」という見解だ。換言すれば、中華人民共和国や北朝鮮の内政或いは体制や指導者層の方針の全否定だ。全否定された側にとって交渉や取引の余地は全く無く、まるで太平洋戦争の一因となったハルノートようにその方針は作用しかねない。これは、「ならば戦争だ」と告げるより、「戦争か死か」と問いかけている状態に限りなく近い様態と言える。

 んで提案。米国からのレンタルによる核武装はコストパフォーマンスが極めて高く、短期間での配備も可能なので、専守防衛を貫くならば日本にとっても外せない選択肢だ。まずは周辺国の反応も見ながら、「じっくりと検討」してみては如何だろうか。中距離核ミサイル1発の価格及びメンテナンスコストはF-35A1機よりも安いとの情報もある。巡航ミサイル用核弾頭だけなら間違いなく安い。これは「戦争をしない」「戦争に巻き込まれない」ための選択肢ではなく、戦争の有無とは無関係に「国土が戦場とされない」ための極めて消極的な策についての提案に過ぎないので念のため。

2021/03/15

IPv6 IPoEはまぁ速い

 自宅アパートのインターネット接続でIPv6 IPoEが利用可能となった。fast.comなどの速度計測結果からは+5~20%は固そうだ。とある方法を使うと+50%ぐらい(≒300Mbps)までは行けそうに見える計測結果も得られるのだが、光回線マンションタイプの設備は上限速度200Mbps(8戸、平均25Mbps/戸・・・)なので、アパート内回線を独占して使えそうな早朝などにfast.comで速度計測をしてもIPv6 IPoE化以前と同様に速度上限+アルファの250Mbps辺りを叩くだけで終わってしまう。

 光回線側の制限または限界(より厳密には複数ユーザによる200Mbpsというもはや全然大きくない*通信帯域の奪い合い)による通信速度のボトルネックの大きさがPPPoEのそれよりも大きい環境という時点で、IPv6 IPoE化(≒PPPoEのボトルネック解消)がユーザエクスペリエンスに与えるインパクトがほぼゼロなのは最初から明らかだ。「でも私が知らない事があったりして、何か変わっちゃわないかな・・・」という期待はしてしまっていた。

*:ネットサーフィン(<2Mbps、バナー広告の通信量が結構馬鹿にならなかった)、Youtube フルHD30fps(<5Mbps)の時代ならともかく、Netflix 4K60fps(≒24~32Mbps)の時代に1ユーザ当たり25Mbpsは大きな通信帯域幅とは言えないだろう。Googleなどインターネットをインフラとして使っている企業への課税の議論の背景の一つに「インフラただ乗り論」があるが、これは「回線の高速化を強いるサービスで儲けている企業から、回線というインフラを整備する企業への金の流れが無い」という現状の反映に私には見える。例えばNTT、結構経営辛いよね。

 さて、問題は実効的な速度向上の有無だ。「実効的」の何が厳しいかって言うと、「混雑時間帯」で速度向上や混雑緩和が「体感」できなければならないからだ。結論から言えば、「私の使用環境下では実効的な速度向上は全く見えていない」。そもそも「混雑時間帯のイライラの主因であるアパート内での帯域200Mbpsの奪い合い」の状況はそのままに、プロバイダサイドで実施しているエリア単位、ユーザー単位の動的帯域制限も受けている。特に帯域拡大(速度向上)をしておきながら帯域制限値(使用帯域上限値)は変更されていないようなので、その場合はIPv6 IPoE化による帯域拡大(速度向上)の効果は完全にスポイルされていることになる。

 が、以前のエントリで述べた通り、光回線マンションタイプなんていう「安かろう、悪くなかろう」なサービスを利用し、周囲エリアにはPPPoEユーザも多数存在する状況下では、上記のような状況の発生は必然でしかない。ちなみにIPv6 IPoE化に伴うユーザのコスト(時間、費用、作業)と言えば、光回線の屋内設置装置とその接続機器の電源を6分間落としたことぐらいだ。

 んじゃぁユーザにとって期待される利点、価値は何か、となると、「混雑時間帯以外」の帯域拡大(高速化)しかない。単純に考えると「リモートワーク民大勝利!」なのだが、実際にリモートワークをしている人なら分かるように、通信速度よりも相手側コンピュータ(サーバー)のレスポンスの悪さにイライラさせられることが多くはないだろうか。と言う訳で、現状の私の環境ではIPv6 IPoE化の利点がイマイチ見えないのが実態だ。IpoV6でサービスインしているNetflixやアマゾンプライムビデオのユーザーなら、きっと恩恵は大きいだろうなぁ・・・

 実のところ、現在のアパート入居~2017年まではメタル、光回線と戸別契約してきた。つまり独占使用できるADSL回線やVDSL回線を確保し続けてきた訳だ。が、2015年に光回線マンションタイプが導入されると、光回線事業者から「光回線のマンションタイプに契約変更してください」との封書や電話が相次ぐようになった。しかし、趣味関連のデータ転送量の多さ(3Dモデルデータや非圧縮の動画や音楽データ)から独占使用できる回線は手放し難く、契約変更まで約2年粘った。「マンションタイプに契約変更してください」と連絡してくる会社も本体から明らかな子会社、孫会社っぽい社名の会社、何か交渉専門っぽい会社と変化し、連絡内容も「お願い」から宥めすかすようなものに変化し、最後は脅しっぽい表現や明らかな嘘も含むものとなった。「契約変更します」と連絡した翌日にはさっそく本体から「・・・、有難うございます。つきましては・・・」な柔らかい感じの封書が届いたのはさすがに笑った。

 ちなみに私の住むアパートの通信機器スペースの少なくない領域が、既存の光回線を利用した複数社のWiFiルータに埋め尽くされている。電源もWiFiサービス会社毎で用意されているので、機器類による占有空間は馬鹿にならない。ちなみに私がマンションタイプ移行を「お願い」された背景には、その時点でもう新規機器の追加スペースが無くなってしまったこともあったらしい。何れにしても通信機器スペースは今だきっつきっつで、新規光回線事業者にとっては事実上の参入障壁となっている。まぁ、それ以前に大抵の光回線事業者のサービス提供範囲外なんですけどね。

 IPv6 IPoEはまぁ速い、が、その利点を実効的に(≒体感できるレベルで)享受するには戸別契約の光回線など、広帯域かつ独占使用できる回線の使用が大前提に思える。「今でも光回線を個別契約したままだったら・・・」と思わず考えてしまわざるを得ない。