2018/05/07

[隣のDivisionさん] 2018年度初頭のゲーム内経済

 Ubisoftの会計年度は4月~3月で、日本の多くの企業と同じである。だからUbisoftにとっても現在は2018年度初頭、年度の最初の一カ月が経過したところである。

 プレイしている方ならご存知の通り、The Division内の経済基盤はディビジョンテックに大きく移行した。オープンワールドの戦闘任務やクラフト任務の報酬にもディビジョンテック(25個)が含まれるようになり、シーズンパス所有者へのサプライドロップにもディビジョンテック(100個)が含まれる。名前付き武器やクラシファイド装備を分解すればもれなく、高品質の武器や装備を分解しても低確率だがディビジョンテックが入手できる。オープンワールド追加地域内のアラート任務の成功報酬もディビジョンテックだ。

 ディビジョンテックの使い道は、現実として最適化ステーションでの武器や装備の最適化しかない。最適化1回に必要なディビジョンテック量は50個と決して少なく無い。が、ドロップ品の品質に期待できないことに変わりない以上、ギアスコアアップ向上策として最適化ステーションは活用せざるを得ない。

 個人の最適化結果について記しておこう。
  • 平均ギアスコア274から288(現在)への上昇はほぼ最適化だけによる。
  • 初期のギアスコアが280未満である武器や装備の場合、最大限にまで最適化して到達できるギアスコアはほぼ286、またはそれ未満である。ギアスコアの上昇幅としては8~10が典型的だが、後述するように例外がある。
  • 現行のギア構成では、3つの全武器、6つ中の5つの装備のギアスコアが286である。最適化ステーションでのギアスコア上昇は既に全て不可である。
  • 現行のギア構成での装備単体の最高ギアスコアは295である。この装備はドロップ品であり、ドロップ時のギアスコアは277だった。つまりこの装備のギアスコアの上昇幅は18であり、例外的に大きい。
となれば、プレイ時間が限られるなどドロップ品数やキャッシュの入手数自体が制限されるプレイヤーほど、ディビジョンテック取得数を増やすことに力点を置いた方が効率よくギアスコアを上げられるように見える。例外品がそうであるかを確認するにも例外品を最適化するにも、相応のディビジョンテックがなければならないからだ。

 最適化ステーションは明らかにゲームチェンジャーだ。これの登場によって、ワールドティアや敵レベルを上げずとも、新しく高いギアスコアを導入しなくとも、プレイヤーにはギアスコアを高め続けられる可能性が、あくまで可能性が残される。

 そして運営は楽チンだ。だらだらとプレイし続けるプレイヤーを繋ぎとめる仕組みとしてはなかなか良い・・・最も気に入っているのは値段だ・・・有償アップデートでこのような怠惰な運営をしようものならプレイヤーを怒らせかねない。

 最適化ステーションとディビジョンテックを基盤とするゲーム内経済の変更はゲーム延命を望む運営サイドにとって低コストという意味で名案だが、複数キャラクター間のクレジットなどの共有化といった他のシステム変更とは(目立たないながらも)すこぶる相性が悪い、かなりザルと言って良さそうに見える。

 例を挙げよう。

 実のところ本エントリでは「ゲーム内経済」と言う言葉をわざわざ使っている。これはクラフト機能を介することで、例えば武器パーツなどを「一定比率=一定の交換レート」でディビジョンテックに変換できるからである。クレジット種を増やし続けつつそれらの間の一定比率交換、すなわち一種のゲーム内経済の確立を拒絶し続けたのがThe Divisionだった。だが、「名前付き武器を分解すれば1つのディビジョンテックが必ず入手できる」という新たな仕組みと「名前付き武器のブループリントを使ったクラフト」を利用すれば、クラフト→分解の過程でクラフトに必要なパーツとディビジョンテックとの間の交換レートが「明確に」決まる。クラフトした武器は通常クレジットの定額で買い取ってもらえるから、ディビジョンテックと通常クレジットとの交換レートも「明確に」決まる。まず交換レートが存在し、それら交換レートに「確率的変動が発生しない」という状態は、The Division内では初めてだろう。

 「運営サイドにそんな意図は無かったのに、ゲーム内に交換レートが生まれてしまった」なら、運営は恥の上塗りをしたと言えよう。いつものようにこの開発会社のやることは薄っぺらい。

 で、実はここが最大の問題なのだが、「名前付き武器のブループリント」は現在入手可能なのだろうか?昨日ぶらついた時には「名前付き武器のブループリント」自体を店で見つけられなかったのだが・・・。つまり購入可能時期に「名前付き武器のブループリント」を購入したプレイヤーだけが現在多めにディビジョンテックが入手できる不平等状態になっていないか?という話だ。(コメント頂いた通り、ストーリーミッションをクリアしたプレイヤーは拳銃「ダマスカス」のブループリントを所有しています。)

 ちなみに私はテネブラエのブループリントを所有している。クラフトに必要な武器パーツは黄色6個と決して多くはない。オープンワールド旧範囲巡回だけで50黄色武器パーツ/30分程度の入手は可能なので、1時間当たり20個程度のディビジョンテックが追加で、かつ確実に入手できることになる(分解して得られた武器パーツはクラフトに再利用できるので、実はクラフトに必要な武器パーツは1個マイナスの黄色5個となることに注意!)。これを大きいと見るか小さいと見るか・・・個人的には大きい。同数のディビジョンテック入手には5回程度のアラート任務達成が必要だが、任務内容によっては30分近いプレイ時間が求められる。

 名前付き武器の購入は1ディビジョンテックの入手と同等なので、フェニックスクレジットとディビジョンテックとの間にも、実は「一定範囲内の交換レート」が既に存在する。更に・・・とは言え大事なことので繰り返しておく。 「名前付き武器のブループリント」を持たないプレイヤーはこのゲーム内経済には参加できないのだ。

2 件のコメント:

  1. こんにちは
    クラフトで手にはいるエキゾチック武器ですがダマスカスの設計図は全プレイヤーが取得しています。たしかロシア領事館か国連クリア時に必ずもらえます。
    なのでクラフト→分解は全てのプレイヤーに平等に権利があります。
    話は変わりまして私は最適化は反対派です
    アイテムのドロップに一喜一憂しながらミッション回したり、ダークゾーン回収したりとする
    楽しみがディビジョンを続けるモチベーションでした。最適化が導入されてからはタレントさえ目的の物を揃えれば最高品質にできるとあれば装備を掘る楽しみは半減します
    結果的にゲームの寿命を縮める運命かと…
    とはいえ最近は新規もちらほらみかけるので
    初心者にはとっつきやすくなったのでしょうか
    運営にとって古参のプレイヤーは必要ないってことですかね

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    1. ああっ!ダマスカスがありましたね!しかもクラフトに必要な武器パーツは5個!私の拳銃への興味の無さが如術に現れた気がします。コメンデーション結果を見れば歴然、アサルトライフルやLMGでのキル数は10,000超ですが、サイドアームキル数は未だ0なのです。

      最適化に関するお考えには大きく共感するところがあります。ただし、The Divisionのドロップ品テーブル/リスト/ドロップ確率が、多くのプライヤーにとって「アイテムのドロップに一喜一憂」に値するものだったとは考えていません。まさにこれらの出来の悪さが「上手く働いたかもしれなかった仕組み」を台無しにした原因と見做しています。

      ちなみにThe Divisionのゲーム内経済設計はしょっちゅう求人広告が出ていた職種なので、質も一貫性も期待すべきではないと思います。昨今の名前付き装備や武器のドロップ品リスト/ドロップ確率の変更は、ディビジョンテックの価値の変更と同様、従来のゲーム内経済の実質的な全否定に見えます。ちぐはぐな感じがあるのは、「ドロップ品リスト/ドロップ確率の変更」はドロップ品のバラエティを増やす方向なので装備を掘るモチを増加させ得る要素の筈なのですが・・・コメントを拝見すると全然そんな感じじゃなさそうですね。欲しいのは機能やタレント、装備や武器はそれらの媒体に過ぎないという事かも知れませんね。私は今や名前付き武器を一切使っていませんが、これは「変更不可能なタレント」がプレイスタイルに合わない故に使い物にならないからですね。また私が最適化を使うのは、「せっかくそろえたプレイスタイルにマッチしたタレント群」を変えずに性能アップが図れるからでしょうか。あ、ノマド装備の理由はサーバーラグやクライアントのメモリーリーク対策以外の何物でも無いですね。

      ほぼご指摘されている通り、現行のアイテムシステムは初心者と古参の装備差を小さくするためのものと見做しています。理由は、今後実装が予定されている新機能も介した上で、The Division2開始時点でのプレイヤー間の装備差を揃えるためです。Ubisoftは、The Division2発売をテコにThe Divisionの売り上げをもう一度増やす算段をしていると思います。

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