2018/06/12

大阪-攻殻機動隊-Cyberpunk2077

 約30年前、士郎正宗さんの大部分の漫画作品の舞台は大阪、または大阪のシミュラクラにしか見えませんでした。「攻殻機動隊」も例外ではありません。

 今回は、いつにも増して「おっさんの感想」。

 後年、押井守さんは映画「攻殻機動隊 Ghost in the Shell」の舞台のモデルに香港を選び、雑多な感じはそのままに、全く肌合いの異なる背景世界を与えました。ウィリアム・ギブスンさんのSF小説で登場したチバシティ以降、アジアンテイストを導入した近未来都市は多くの小説、漫画、はてはMPV(ゴア描写が気にならなければ、Ken IshiiさんのExtraのアニメによるMPVが良い例)で描かれましたが、それらの多くは流行のように東南アジア方面へと移動していきました。21世紀にはなりますが、例えばパオロ・バチガルピさんのSF小説「ねじまき少女」の舞台はタイですね。
 
 なお、80年代後半はアラビックSFなんて呼ばれた作品群が多数現れた時代でもあります。士郎正宗作品は言うまでも無く日本の漫画でイスラームへの言及が出始めるのもこの時期ですし、チャールズ・ストロスさんのSF小説「アッチェレランド」を読んだ時もこの時代の影響は無視できないなと思いました。

 ゲーム"Cybepunk 2077"のかなり前に公開されたティーザートレーラーはある意味スタイリッシュな出来ですが、個人的に感じたのは「どこをどう回ってなのか分からないが、銃器や武装集団の装備、車両類のデザインが'80年代後半の士郎正宗的」という点でした。いやいや、青みが買った灰色の服飾で、上半身逆三角形の体格の武装集団が出てくればOKって訳ではありませんよ。一方、背景に大阪感はほぼありません。
 そして今年のE3で公開されたストーリートレーラー、街並みや建物の構造、いかにも雑多な感じにちょっと士郎正宗さんが描いた大阪のシミュラクラにた風合いを感じてしまいました。また「ワイヤードで電脳を焼かれる」かのような描写は「攻殻機動隊」を代表するビジュアルであり、そのコピーや発展型の描写はアマチュアの小説や漫画作品の多くで目にすることができたものでした。そう、まるで30年ほど前の日本の様です。

 あ、あれは映画「ウエストワールド」へのオマージュかな?

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