まだ半分も読んでいない段階だが、wired.jpの記事に引用されている図(下図と同じ)の意味と論文で使用されている手法の大枠ぐらいは説明できる。
図中の点または小さな丸をここでは「節点」と呼ぼう。同様に節点間を結んでいる線を「腕」と呼ぼう。節点はSNSのメンバー、腕はメンバー同士が「友達」であることを表していると考えれば良い。任意の2人のメンバー間には腕がないか、あっても1本である。また、上下関係といったような「向き」は腕にはない。つまり、腕で繋がれたメンバーは互いに対等な「友達」と考えよう。
ここまで来れば第一の大枠の考え方、「『互いに友達の友達が友達』なメンバーで構成されるコミュニティは密なコミュニティ」とみなせる、というのはそう異論はないと思う。図的には、ある節点からスタートして「同じ腕を1回しか通らず」にスタートした節点に戻るルートがたくさんある状態だ。
次に、wired.jpの記事中でも触れられているk-コア(k-core)が重要な概念となる。ここでk-コアとは、腕を「k」本以上持つ接点だけで構成されている部分コミュニティネットワークのことだ。なぬ、とか言わずに上図を見ながら続きを読んで欲しい。上図中のAがコミュニティネットワークの全体である。この中には、k=3、すなわち腕が3本以上の節点だけで構成された部分コミュニティネットワークが一つ含まれている。Aから腕が2本以下の節点を削除したのがBだ。k-コアを求めるには、同じ操作を削除する節点が無くなるまで繰り返すだけだ。A→C→D→Eがその節点削除操作を繰り返した過程であり(当然、ネットワークBとネットワークCは同じになる)、部分コミュニティーネットワークEがコミュニティネットワークAのk=3におけるk-コアである。k-コアを構成する節点に対応するメンバーは、そのコミュニティの中心メンバーとみなして良いだろう。
一気に話を単純化しよう。「特定のコミュニティネットワークが安定的に存在する、つまりコミュニティが活発であり続けるには、コミュニティネットワークがk=3以上のk-コアを一つ以上含んでいる必要がある」としてみる。その上で図中のk-コアEからどれでも良いので節点を一つ削除してみよう。これは中心メンバーのコミュニティからの離脱に相当することは明確だ。さて、Eから節点を一つ削除したコミュニティネットワークには腕を3本以上持つ節点が含まれない。つまり、k=3におけるk-コアは消失する。これはコミュニティが活発な状態から実質的に活動停止状態になった瞬間だ。
k-コアの概念の重要な点は、Eの状態から削除した同じ節点をAの状態から削除しても、やはりk=3におけるk-コアが消失するところにある。つまり、どんなに巨大なコミュニティネットワークでも、kが最大となるk-コアに含まれる節点を一つ削除するだけで、最大でも(k-1)に対するk-コア((k-1)-コアと呼ぶべきか)しか持てなくなり得るのである。裏を返せば、Aの状態からE(k=3におけるAのk-コア)に含まれない節点を削除しても、上述したk-コアを求める操作の結果はやはりEなのである。
取り合えず、今晩はここまで。
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