これまで最後に読んだ船戸与一氏の小説は「蝦夷地別件」だった。初版で読んだので、もはや15年以上前になる。本当は「満州国演義」を買うつもりだったのだが、あいにく近所の大型書店に在庫すらなく、船戸与一リハビリのつもりで昨年12月に手に取ったのが「夢は荒れ地を」だった。
船戸与一氏の小説タイトルは、内容が想像できる割とストレートな場合と漠然とし過ぎて内容がさっぱり読めない場合がある。「夢は荒れ地を」は後者だろう。と言うこともあって、読み始めたのは買ってから3ヶ月ほど経った今朝になった。文庫で約800ページ、比較的大著かとも思うがほぼ3時間半で読了、文句なく力作、傑作。
船戸与一氏の作品との出合いはもうかれこれ25年前、「猛き箱舟」になる。当時は3冊ぐらいの小説を常に平行して読んでいたのだが、同時に読んでいたのが村上龍氏の「愛と幻想のファシズム」、小林久三氏の「皇帝のいない八月」だったことをはっきり覚えている。「5日ほどのめったにない濃密な読書体験」の記憶の中でも「猛き箱舟」の輝きは褪せない。
しまった!「マギの聖骨」、「ナチの亡霊」、「ユダの覚醒」、「宙の地図」なんてつまらん作品を読んでる場合じゃなかった!
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