Dell XPS 8700で下記の問題症状が出ている場合は、ジャンパスイッチをいじってCMOS設定をリセットしよう。ジャンパスイッチの位置やリセット方法などは、Dellのサポートページにあるオーナーズ・マニュアルのpdfででも確認して頂戴。そのものズバリの名称の章がある。「dell 8700 サポート マニュアル」辺りでググれば見つかる。私はこれで「頻繁なオンボードLANの機能停止」と「たまに問答無用に発生するOSの再起動」を克服シマシタ。
そもそものトラブルの原因はCMOS内の「ログ」の破損と思われる。Dellユーザーコミュニティへのとある投稿(英語)では、同じ症状の解決にはBIOSだけでなくOSのバージョンも出荷時に戻す必要があることを示唆しているが、これは間違いと思われる。BIOSのバージョンを出荷時に戻す操作はCMOS設定のリセットに他ならないから必要だが、OSを出荷時に戻す必要性は技術的視点から全く見いだせない。
で、問題の症状。OSはWindows10だ。
- BIOSアップデータ実行時に、BIOS自体は更新されるが、バージョンが取得できないことが原因で「ME」とやらの更新に失敗する。ちなみに「ME」はManagement Engineの頭文字だ。
- デバイスマネージャーのIntel Management Engine Interfaceに「!」マークが付いている。ドライバーは当たっているが、デバイス起動に失敗している。
- UEFIブートの場合、起動中にDellのロゴが表示される時間が1分以上と明らかに長い。
CMOS設定をリセットしたら、あとはOSを再起動してBIOSアップデータを実行するだけ*だ。
*:アップデータのBIOSのバージョンが現状と同じか古い場合は、コマンドプロンプトかパワーシェル上で"/ForceIt"オプション(大文字小文字は区別しないので、"/forceit"でも"/fORcEiT"でも結果は同じ)を付けてアップデータを実行すれば良い。例えばバージョンA14のBIOSにバージョンA14を強制的に上書きする場合は
<フォルダ>\XPS_8700_BIOS_A14.EXE /forceit [ENTERキー]
とする。アップデータである"XPS_8700_BIOS_A14.EXE"がHドライブのルート(\)に有る場合は
H:\XPS_8700_BIOS_A14.EXE /forceit [ENTERキー]
となる。ちなみに、BIOSのバージョンをA03やA06からA14へ直接アップデートできることは確認している。逆にA14からA06やA03への書き換えも、意味は無いが可能である。
なおCMOS設定のリセットでBIOS周りの設定やログが初期化されるので、BIOS/UEFIの設定が一度必要だ。警告っぽいビープ音1回を伴うPCの再起動が2~3回発生すると思うが、そこは驚かず気にせず淡々と画面の指示に従うだけだ。ビープ音1回ならばむしろリセット成功を知らせていると見做して良い。また、特に理由が無い限り、BIOS/UEFIでは何も考えずにデフォルト設定をロードしてしまうことをお勧めする。まずはBIOS/UEFI起動に成功してナンボだから、その可能性が最も高い状況から始めるべきだ。設定をいじるのは、起動することを確認してからでも遅くない。
似た症状で、
- デバイスマネージャーのSMバスコントローラに「!」マークが付いている。そもそもドライバーが当たっていない。
というのもあるが、こちらは上記の件とは無関係に、「Dellが提供するIntel関連のドライバーの最新版を一切合切インストールする」ことで解決できている。私の場合はWindows10をクリーンインストールした際に現れた症状だ。Chipset関連は当然ながら、せっかくだからBluetoothやWirelessLAN関連のドライバーも更新しておこう。OS起動が遅い原因が特定のBluetoothドライバーせいだった、なんて疑いが拭えないケースの情報もかつてネット上で読んだことがある。因みにデバイスの動作に問題が無い場合、デバイスマネージャー上に「SMバスコントローラ」なんてデバイスは最初っから現れない。「SMバスコントローラ」とは機器名称が特定できないために使われた仮名みたいなもののようで、そのようにデバイスの認識に失敗している状態では適切なドライバーが当たる筈も無い。なお正常状態における「SMバスコントローラ」の名称とか、或いはそのデバイス自体がデバイスマネージャーに表示されるのかどうか等は確認していない。
この「!」を放置すると「OSの再起動が頻発する症状」に見舞われる可能性があるので軽く見ない方が良い。
ここでドライバーが「Dellが提供する最新版」である点を強調しておきたい。Intelは第4世代コアベースのシステムのサポートを既に打ち切っているため、Windowsアップデート経由も含めてIntelからXPS 8700への適用が保証されたドライバーやツールを入手することはもはや期待できない。結局「今は存在しない、Intelサイト上のファイルへのリンク」に行き着くばかりなので、本件に関しては2020年以前の口コミやブログ記事をググっても時間の無駄に終わる可能性が高い。故にインストーラーに「古いドライバーで置き換えますか?」と聞かれてもここはまずはYes一択だ。最新版ドライバーで動作していない時点で、最善の策は古いドライバーを試してみることだ。現時点でIntel提供の最新版ドライバーやツールがサポートしているのは、第7世代以降のコアとそれらをベースとしたシステムだけと考えてほぼ間違いない。