ひょんなことから、Youtubeで「窪田晴男+甲田益也子Thatness and Thereness(坂本龍一)」を見つける。
コメントの中に、「この曲にボサのリズムが新鮮」といった表現を見つけて一瞬驚いてしまった。何故かというと、私が坂本龍一氏の”Thatness and Thereness”を一回聞いただけで好きになってしまった理由が「リズムが極めてボサ的であった」からだ。3拍子とも4拍子とも解釈できるリズム構造は、ノリの突き詰め方によって直ぐにボサ的な様相を呈するんじゃよ、オレ的にはね。そもそもオリジナル曲の坂本氏の歌唱法からして確信犯っぽい。
ちなみにVocaloid用オケとして2年以上いじっている曲に、ドラムンベース風の”Thatness and Thereness”がある。「3拍子の曲を無理やり4拍子にした結果、歌メロがちょっとボサっぽくなった」という辺りが狙いどころなのだが、どうもこだわりが強くて一向にまとめられる気がしない。対して「窪田晴男+甲田益也子Thatness and Thereness」の仕上がりは、「Vocaloidによる歌唱の拙さ」を含めて私の狙っているあたりに極めて近い。聞いてから「しまった」と思うことしきりなのである。
2013/03/28
2013/03/27
Alice by Pogo
お気に入りなので貼っておくよ。
この曲はディズニーの映画「不思議の国のアリス」のサウンドを用いたリミックス曲です。正確なところは英語読むのが面倒くさいので確認していませんが、Pogo氏は10年間の米国入国禁止措置を受けたとのこと。推定するに著作権がらみでしょうか、本家を激怒させたのなら大したもの。本質的かつ破壊的なものこそ次のスタンダードの必要条件ですよ。
この曲はディズニーの映画「不思議の国のアリス」のサウンドを用いたリミックス曲です。正確なところは英語読むのが面倒くさいので確認していませんが、Pogo氏は10年間の米国入国禁止措置を受けたとのこと。推定するに著作権がらみでしょうか、本家を激怒させたのなら大したもの。本質的かつ破壊的なものこそ次のスタンダードの必要条件ですよ。
wired.jpの記事 「どのようにSNSは死を迎えるか」が面白い(その6)
今回もブレークです。その4のエントリで下記のように書きました。
グラフサーチの運用開始はまだ先の様ですが、「そのメンバーの望む利益が得られる局所的に密なネットワークがあるのだろうか?あってもそれは何処なのか?」というユーザーの問いにダイレクトに答えちゃう機能のように思えます。
その効能や如何に?
新しい局所的にコア度の高いネットワークへの参加は、余程の幸運に恵まれたとしても、それまでの「何倍もの大きさ」の損失を必要とするだろう。そもそも、そのメンバーの望む利益が得られる局所的に密なネットワークがあるのだろうか?あってもそれは何処なのか?そんな状況で、そのメンバーは損失(労力)の大規模な増大を受け入れるだろうか?おそらく答えは否で、そのメンバーもコミュニティから離脱するだろう。そんな事を書かれるのをまるで見透かしていたかの様にwired.jpにニュース「Facebookの進化:グラフサーチ、その革命的検索システムの正体」がupされています。
グラフサーチの運用開始はまだ先の様ですが、「そのメンバーの望む利益が得られる局所的に密なネットワークがあるのだろうか?あってもそれは何処なのか?」というユーザーの問いにダイレクトに答えちゃう機能のように思えます。
その効能や如何に?
2013/03/24
wired.jpの記事 「どのようにSNSは死を迎えるか」が面白い(その5)
さて、独断と偏見に基づく論文(David Garcia, Pavlin Mavrodiev, Frank Schweitzer: "Social Resilience in Online Communities: The Autopsy of Friendster", arXiv:1302.6109v1(2013).)の読解、第4回です。文体がこれまでと違うのはご愛嬌ということで。
前回は、OSN(Online Social Network)の「弾力性」(resilience)という概念、すなわち「メンバーが離脱した際にコミュニティが受けるダメージへの耐性」のお話でした。「弾力性」の高いことが期待できるコミュニティの特性として、下記の二点を挙げました。
① 利得がプラスとなっているメンバーの割合が高いこと
② 大量メンバーの一斉離脱が発生した場合に残ったメンバーのc/b(損失(=労力や手間)/利益)またはKが大きいこと
では、上記の二つの特性について、実際のOSNについて見ていきましょう。下図は5つのOSNについて、ある特性を比較したグラフです。先に断っておくと、このグラフで示されている値をどうやって計算したかについての具体的な手順は論文に記述がありません。従って、このグラフ自体が正しいかどうか、妥当かどうかといった点には本稿では触れません。
まず数字には目をつぶって、横軸と縦軸から説明します。横軸は"ks"ですからコア度(coreness)であることは明らかです。縦軸の"P(ks > K)"はちょっとやっかいなので、まずカッコ内の"ks > K"に着目しましょう。これは、以前に示した下記の式と似ています。
K = (c/b)+1 …(6)式
ksi ≧ K …(7)式
(6)、(7)式は、メンバーが利得を得ている(だろう、筈だ)という仮定の下で得られた関係式であることを思い出して下さい。"i"はメンバーの番号を表しますから、一般形としては(7)式中の"i"は省略可能です。つまり
ks ≧ K …(7)'式
(7)'式の関係を満たせば。コア度ksのメンバーは利得を得られます。ならば、コア度ksが等号(イコール)を含まない"ks > K"の条件を満たすメンバーは必ず利得を得ていることになります。次いで"P()"ですが、これは確率密度関数と呼ばれる関数です。
「はて?なんのことやら」という人が大部分かと思いますが、ここは踏ん張りどころですよ。ここでは、カッコ内の条件を満たす、すなわち利得を得ているメンバーの割合を表しています。
さて、5つのOSNともにグラフの曲線は右下がりです。これは横軸のコア度ksが大きくなるにつれて、利得を得られるメンバーの割合が減っていくことを示しています。ちなみに縦軸の値について触れると、100が100%、10-1が10%、10-2が1%に相当します。
「コア度が高ければ利益も大きいだろう」というのが感覚的にしっくりくる人も多いかと思いますが、それは実のところ「各メンバーの発信情報量が均等」といった特殊なケースでしか成り立ちません。実際にはメンバー毎の発信情報量にはばらつきがあり、更に言えば「情報発信量の多いメンバーは限られており、その数はコア度以下」であるのが実体ということです。グラフ中の曲線が右へ行くほど急激に下がっていくように見えるという特性は、コア度の増加に対して情報発信するメンバーの増加が追いついていないと見なすことも出来そうです。(対数グラフの見方が分かっている人には申し訳ないですが、今回は感覚的な分かりやすさを優先してちょっと不正確な表現も使います。)
現時点でも成功していると見なされているOSNであるFacebook(赤破線)を見てみましょう。曲線は横軸が50程度の辺りから急激に低下し、さらに言えば横軸が100(102)にまで届いていません。曲線の右端の高さは10-4~10-3の間ですから、Facebookでコア度Ksが100のメンバーのうち利得が得られているメンバーの割合は10-3未満、つまり0.1%未満となります。
次いで失敗したOSNであるFriendster(オレンジ実線)を見てみましょう。全てのコア度においてFacebook(赤破線)よりも上にあります。つまり、全てのコア度において、失敗したFriendsterの方が成功しているFacebookよりも利得を得ているメンバーの割合が高いことを示しています。
今「あれ?」と思ったあなた、そう、「① 利得がプラスとなっているメンバーの割合が高いこと」の観点からは明らかにFriendsterの方がFacebookよりも「弾力性が高い」のです!
さらに駄目を押しましょう。グラフには縦軸0.2(20%)の高さに水平の細かい破線が引かれています。この細かい破線より下側のメンバー全員(20%より下なので全メンバー数の80%に相当)が一斉にOSNから離脱したという危機的状況を考えてみましょう。このときの最大のコア度(横軸)は、Facebook(赤破線)で10(101)程度、Friendster(オレンジ実線)で60前後となります。そう、「② 大量メンバーの一斉離脱が発生した場合に残ったメンバーのc/b(損失(=労力や手間)/利益)またはKが大きいこと」という観点からも、Friendsterの方が「弾力性が高い」のです。
え~~~~~~~~~~~~!!!
初めてここまで論文を読んだ時には私も思わず大声を上げてしまいましたよ、しかも職場で、就業時間中に(つまり業務遂行上必要な資料を読んでるふりをしてサボってた…)。
ここに至って論文の著者らは白旗をいったん掲げます。実際、こう書いています。
え~~~~~~~~~~~~!!!
「じゃ、ここまでの小難しい話は全く無駄になるの?」と問われればさも有らず、「『十分ではない』ということですよ」とまずは答えておきましょう。では、どうすれば「十分」となるのか、何が足りないのか?
ここまでの議論は、OSNのネットワークが「ある状態」から「別の状態」に変化した場合の「変化前後の違い」を「変化前に成立している関係」を用いて分析してきました。実は「変化前に成立している関係」を用いるというのが曲者で、「実際のコミュニティネットワークの崩壊過程では、崩壊に伴って様々な関係が変化する」という至極当たり前の視点が欠けていた訳です。
さて、「崩壊に伴って様々な関係が変化する」という視点を持ち込むと、Friendsterの崩壊はどのように説明できるのか?次回完結!…予定。
前回は、OSN(Online Social Network)の「弾力性」(resilience)という概念、すなわち「メンバーが離脱した際にコミュニティが受けるダメージへの耐性」のお話でした。「弾力性」の高いことが期待できるコミュニティの特性として、下記の二点を挙げました。
① 利得がプラスとなっているメンバーの割合が高いこと
② 大量メンバーの一斉離脱が発生した場合に残ったメンバーのc/b(損失(=労力や手間)/利益)またはKが大きいこと
では、上記の二つの特性について、実際のOSNについて見ていきましょう。下図は5つのOSNについて、ある特性を比較したグラフです。先に断っておくと、このグラフで示されている値をどうやって計算したかについての具体的な手順は論文に記述がありません。従って、このグラフ自体が正しいかどうか、妥当かどうかといった点には本稿では触れません。
K = (c/b)+1 …(6)式
ksi ≧ K …(7)式
(6)、(7)式は、メンバーが利得を得ている(だろう、筈だ)という仮定の下で得られた関係式であることを思い出して下さい。"i"はメンバーの番号を表しますから、一般形としては(7)式中の"i"は省略可能です。つまり
ks ≧ K …(7)'式
(7)'式の関係を満たせば。コア度ksのメンバーは利得を得られます。ならば、コア度ksが等号(イコール)を含まない"ks > K"の条件を満たすメンバーは必ず利得を得ていることになります。次いで"P()"ですが、これは確率密度関数と呼ばれる関数です。
「はて?なんのことやら」という人が大部分かと思いますが、ここは踏ん張りどころですよ。ここでは、カッコ内の条件を満たす、すなわち利得を得ているメンバーの割合を表しています。
さて、5つのOSNともにグラフの曲線は右下がりです。これは横軸のコア度ksが大きくなるにつれて、利得を得られるメンバーの割合が減っていくことを示しています。ちなみに縦軸の値について触れると、100が100%、10-1が10%、10-2が1%に相当します。
「コア度が高ければ利益も大きいだろう」というのが感覚的にしっくりくる人も多いかと思いますが、それは実のところ「各メンバーの発信情報量が均等」といった特殊なケースでしか成り立ちません。実際にはメンバー毎の発信情報量にはばらつきがあり、更に言えば「情報発信量の多いメンバーは限られており、その数はコア度以下」であるのが実体ということです。グラフ中の曲線が右へ行くほど急激に下がっていくように見えるという特性は、コア度の増加に対して情報発信するメンバーの増加が追いついていないと見なすことも出来そうです。(対数グラフの見方が分かっている人には申し訳ないですが、今回は感覚的な分かりやすさを優先してちょっと不正確な表現も使います。)
現時点でも成功していると見なされているOSNであるFacebook(赤破線)を見てみましょう。曲線は横軸が50程度の辺りから急激に低下し、さらに言えば横軸が100(102)にまで届いていません。曲線の右端の高さは10-4~10-3の間ですから、Facebookでコア度Ksが100のメンバーのうち利得が得られているメンバーの割合は10-3未満、つまり0.1%未満となります。
次いで失敗したOSNであるFriendster(オレンジ実線)を見てみましょう。全てのコア度においてFacebook(赤破線)よりも上にあります。つまり、全てのコア度において、失敗したFriendsterの方が成功しているFacebookよりも利得を得ているメンバーの割合が高いことを示しています。
今「あれ?」と思ったあなた、そう、「① 利得がプラスとなっているメンバーの割合が高いこと」の観点からは明らかにFriendsterの方がFacebookよりも「弾力性が高い」のです!
さらに駄目を押しましょう。グラフには縦軸0.2(20%)の高さに水平の細かい破線が引かれています。この細かい破線より下側のメンバー全員(20%より下なので全メンバー数の80%に相当)が一斉にOSNから離脱したという危機的状況を考えてみましょう。このときの最大のコア度(横軸)は、Facebook(赤破線)で10(101)程度、Friendster(オレンジ実線)で60前後となります。そう、「② 大量メンバーの一斉離脱が発生した場合に残ったメンバーのc/b(損失(=労力や手間)/利益)またはKが大きいこと」という観点からも、Friendsterの方が「弾力性が高い」のです。
え~~~~~~~~~~~~!!!
初めてここまで論文を読んだ時には私も思わず大声を上げてしまいましたよ、しかも職場で、就業時間中に(つまり業務遂行上必要な資料を読んでるふりをしてサボってた…)。
ここに至って論文の著者らは白旗をいったん掲げます。実際、こう書いています。
This means that the topology of their social network is not enough to explain their collapse...かいつまめば、「『弾力性』という概念に至るここまでの式やモデルは、失敗したOSNの崩壊を説明するに『十分ではない』。」と明確に述べている訳です。
え~~~~~~~~~~~~!!!
「じゃ、ここまでの小難しい話は全く無駄になるの?」と問われればさも有らず、「『十分ではない』ということですよ」とまずは答えておきましょう。では、どうすれば「十分」となるのか、何が足りないのか?
ここまでの議論は、OSNのネットワークが「ある状態」から「別の状態」に変化した場合の「変化前後の違い」を「変化前に成立している関係」を用いて分析してきました。実は「変化前に成立している関係」を用いるというのが曲者で、「実際のコミュニティネットワークの崩壊過程では、崩壊に伴って様々な関係が変化する」という至極当たり前の視点が欠けていた訳です。
さて、「崩壊に伴って様々な関係が変化する」という視点を持ち込むと、Friendsterの崩壊はどのように説明できるのか?次回完結!…予定。
wired.jpの記事 「どのようにSNSは死を迎えるか」が面白い(その4)
さて、独断と偏見に基づく論文(David Garcia, Pavlin Mavrodiev, Frank Schweitzer: "Social Resilience in Online Communities: The Autopsy of Friendster", arXiv:1302.6109v1(2013).)の読解、第3回です。
あるSNSのメンバーがコミュニティに参加し続けるには、何らかの利得がなければならない。参加し続けるためには自らが情報発信したり友人のページを閲覧たりするための「時間」や「手間」といった損失がある。これを c としよう。他方、直接の友人からの情報、すなわち利益を b×Ni とモデル化しよう。ここで bは情報当たりの価値、Ni はi番目のメンバーのSNS内での直接の友人の数である。以上から、利得は b×Ni - c となり、もしこれがマイナスならそのメンバーがコミュニティに参加し続ける意味はない…というのが、前回の最後の話。
さて、コア度がksiのi番目のメンバーの直接の友人数、ネットワークモデルでは腕の数、は幾つだろうか?答えはksi以上である。つまり;
Ni ≧ ksi …(1)式
極端な例を挙げてみよう。とあるメンバーに相当する節点を中心として、放射状に1000本の腕が伸び、当然その腕の先には別のメンバーに相当する節点がある「だけ」のネットワークを考えよう。このネットワークに「腕を1本しか持たない節点を削除する操作」を繰り返すと、最終的に節点は無くなる。つまり、ここで考えた放射状のネットワークはk=1におけるk-コアに過ぎない。中心の接点は1000本の腕を持つにも関わらず、その節点のコア度は他の1000個の接点のコア度と同じ1しかないのだ。
何度も繰り返すが、コミュニティネットワーク内の安定している部分ネットワークの各メンバーの利得はプラスのはずだ。つまり
b×Ni- c > 0 …(2)式
上式を変形すると次式が得られる。
Ni> (c/b) …(3)式
(1)式と(3)式を見比べれば、次式の関係は明らかだ。
Ni≧ ksi > (c/b) …(4)式
ここで、i番目のメンバーのコア度ksiは自然数(1以上の整数)でなければならないが、上式中の(c/b)は正の実数であれば良い。従って(4)式の関係から、利得がプラス(つまり(2)式の関係を満たす)という条件では、次式の関係が成立するはずだ。
ksi ≧ (c/b)+1 …(5)式
あらためて上式の右辺を K と定義する。つまり
K = (c/b)+1 …(6)式
ksi ≧ K …(7)式
最後に「弾力性」(resilience)という概念を導入しよう。これはざっくり言うと「メンバーが離脱した際にコミュニティが受けるダメージへの耐性」であり、別の言い方をすると「メンバー1人ぐらい抜けてもコア度などのコミュニティの特性が変わらない」ネットワーク構造を持つ方が「弾力性が高い」だろうということだ。
もう少し具体的に状況をイメージしてみよう。まずメンバーの数が時間的に変化していないコミュニティがあるとする。これは構成メンバーが変わらないという意味ではなくて、参加する人と離脱する人の数が一致している理想的な状態が維持され続けていると考えよう。参加したばかりの人はまだ直接の友達が少なくて利得がまだマイナスかもしれない。離脱する人は利得がマイナスになったか、参加はしたものの利得がついにプラスに出来ずに脱落していったのかもしれない。逆に、離脱しない人の利得はおそらくプラスであるはずだ。つまり、ここで考えているコミュニティでは、全てのメンバーの利得がプラスという訳ではない。
このようなコミュニティを考えたとき、「弾力性」の高いコミュニティの備えるべき第一の特徴は「利得がプラスとなっているメンバーの割合が高いこと」と言える。そもそもコミュニティの崩壊とは、メンバーの離脱が他のメンバーの利得低下を引き起こして新たなるメンバー離脱を引き起こすという負の連鎖の結果、コミュニティ規模が短時間で縮小する現象を具体的には指している。利得がプラスのメンバーの割合が高いということは、離脱の可能性が高い利得がマイナスのメンバーの割合が少ないということであり、コミュニティ崩壊の引き金となり得る「大量メンバーの一斉離脱」が発生しにくいと言って良いだろう。
次いで、仮に「大量メンバーの一斉離脱」が発生した場合に、真っ先に利得がマイナスに転じる可能性が高いメンバーの特徴とはどのようなものだろうか。これについては結果の先取りで多少恣意的ではあるが、「これまで小さい損失で相対的に大きな利益を得てきた((c/b)が小さかった)」という点が挙げられよう。
そもそも損失cが大きくないので、このようなメンバーの利益bもコミュニティ全体内では相対的に小さいはずだ。小さいが損失に対しては見合う利益が得られているということは、その利益はコミュニティネットワークの一部かつ局所的にコア度の高いネットワークから得られているとほぼ考えて良い。従って「大量メンバーの一斉離脱」がそのメンバーを含む局所的にコア度の高いネットワーク内で発生した場合、そのメンバーは瞬時に大部分の利益を失ってしまうことになる。逆に、「大量メンバーの一斉離脱」がそのメンバーの属さない局所的にコア度の高いネットワークでのみ発生した場合、そのメンバーの利益は少なくとも短期的には影響を受けない。つまり、「これまで小さい損失で相対的に大きな利益を得てきた」メンバーは、「大量メンバーの一斉離脱」に対して利益が一気に失われるか、全く影響を受けないかの何れかとなる。
利益を一気に失ったメンバーはどう振る舞うだろうか?
新しい局所的にコア度の高いネットワークへの参加は、余程の幸運に恵まれたとしても、それまでの「何倍もの大きさ」の損失を必要とするだろう。そもそも、そのメンバーの望む利益が得られる局所的に密なネットワークがあるのだろうか?あってもそれは何処なのか?そんな状況で、そのメンバーは損失(労力)の大規模な増大を受け入れるだろうか?おそらく答えは否で、そのメンバーもコミュニティから離脱するだろう。他方、損失が大きくとも(労力をかけても)それに見合う利益を得られてきたメンバー(cもbも大きい)は、一時的に多少の利益の減少があってもメンバーであり続けようとするだろう。さらに、それまでと同等の利益を得るためだと割り切れば損失の多少の増大には目をつぶるだろう。それまで彼らは大きい損失を許容してきたのだ、数パーセントの損失増加は許容してしまうだろう。
上記ように、「弾力性」の高いコミュニティの備えるべき第二の特徴は「大量メンバーの一斉離脱が発生した後でも、残ったメンバーのc/bまたはK((6)式)が大きいこと」と言える。
ここに至ってやっと道具立てが終わった。では、実際のOSN(Online Social Network)のデータを実際に分析しよう。論文で分析対象としたOSNの一覧が下表だ。
名前(name)はOSNの名称である。状態(status)は「成功」(successful)、「衰退傾向」(in decline)、「失敗(失敗した)」(failed)の三つに分類されている。メンバー数(users)およびリンク数(links)中の「K」は1,000(キロ)、「M」は1,000,000(メガ、またはミリオン)をそれぞれ表している。注目すべきはFriendsterで、117MというFacebookの40倍近いメンバー数を一時的とは言え抱えながら、現在はサービスが終了している失敗したOSNなのだ。
さて、失敗したOSNのネットワークは、本当に「弾力性」の低い、脆弱なものだったのだろうか?衝撃の次回をお楽しみに。
あるSNSのメンバーがコミュニティに参加し続けるには、何らかの利得がなければならない。参加し続けるためには自らが情報発信したり友人のページを閲覧たりするための「時間」や「手間」といった損失がある。これを c としよう。他方、直接の友人からの情報、すなわち利益を b×Ni とモデル化しよう。ここで bは情報当たりの価値、Ni はi番目のメンバーのSNS内での直接の友人の数である。以上から、利得は b×Ni - c となり、もしこれがマイナスならそのメンバーがコミュニティに参加し続ける意味はない…というのが、前回の最後の話。
さて、コア度がksiのi番目のメンバーの直接の友人数、ネットワークモデルでは腕の数、は幾つだろうか?答えはksi以上である。つまり;
Ni ≧ ksi …(1)式
極端な例を挙げてみよう。とあるメンバーに相当する節点を中心として、放射状に1000本の腕が伸び、当然その腕の先には別のメンバーに相当する節点がある「だけ」のネットワークを考えよう。このネットワークに「腕を1本しか持たない節点を削除する操作」を繰り返すと、最終的に節点は無くなる。つまり、ここで考えた放射状のネットワークはk=1におけるk-コアに過ぎない。中心の接点は1000本の腕を持つにも関わらず、その節点のコア度は他の1000個の接点のコア度と同じ1しかないのだ。
何度も繰り返すが、コミュニティネットワーク内の安定している部分ネットワークの各メンバーの利得はプラスのはずだ。つまり
b×Ni- c > 0 …(2)式
上式を変形すると次式が得られる。
Ni> (c/b) …(3)式
(1)式と(3)式を見比べれば、次式の関係は明らかだ。
Ni≧ ksi > (c/b) …(4)式
ここで、i番目のメンバーのコア度ksiは自然数(1以上の整数)でなければならないが、上式中の(c/b)は正の実数であれば良い。従って(4)式の関係から、利得がプラス(つまり(2)式の関係を満たす)という条件では、次式の関係が成立するはずだ。
ksi ≧ (c/b)+1 …(5)式
あらためて上式の右辺を K と定義する。つまり
K = (c/b)+1 …(6)式
ksi ≧ K …(7)式
最後に「弾力性」(resilience)という概念を導入しよう。これはざっくり言うと「メンバーが離脱した際にコミュニティが受けるダメージへの耐性」であり、別の言い方をすると「メンバー1人ぐらい抜けてもコア度などのコミュニティの特性が変わらない」ネットワーク構造を持つ方が「弾力性が高い」だろうということだ。
もう少し具体的に状況をイメージしてみよう。まずメンバーの数が時間的に変化していないコミュニティがあるとする。これは構成メンバーが変わらないという意味ではなくて、参加する人と離脱する人の数が一致している理想的な状態が維持され続けていると考えよう。参加したばかりの人はまだ直接の友達が少なくて利得がまだマイナスかもしれない。離脱する人は利得がマイナスになったか、参加はしたものの利得がついにプラスに出来ずに脱落していったのかもしれない。逆に、離脱しない人の利得はおそらくプラスであるはずだ。つまり、ここで考えているコミュニティでは、全てのメンバーの利得がプラスという訳ではない。
このようなコミュニティを考えたとき、「弾力性」の高いコミュニティの備えるべき第一の特徴は「利得がプラスとなっているメンバーの割合が高いこと」と言える。そもそもコミュニティの崩壊とは、メンバーの離脱が他のメンバーの利得低下を引き起こして新たなるメンバー離脱を引き起こすという負の連鎖の結果、コミュニティ規模が短時間で縮小する現象を具体的には指している。利得がプラスのメンバーの割合が高いということは、離脱の可能性が高い利得がマイナスのメンバーの割合が少ないということであり、コミュニティ崩壊の引き金となり得る「大量メンバーの一斉離脱」が発生しにくいと言って良いだろう。
次いで、仮に「大量メンバーの一斉離脱」が発生した場合に、真っ先に利得がマイナスに転じる可能性が高いメンバーの特徴とはどのようなものだろうか。これについては結果の先取りで多少恣意的ではあるが、「これまで小さい損失で相対的に大きな利益を得てきた((c/b)が小さかった)」という点が挙げられよう。
そもそも損失cが大きくないので、このようなメンバーの利益bもコミュニティ全体内では相対的に小さいはずだ。小さいが損失に対しては見合う利益が得られているということは、その利益はコミュニティネットワークの一部かつ局所的にコア度の高いネットワークから得られているとほぼ考えて良い。従って「大量メンバーの一斉離脱」がそのメンバーを含む局所的にコア度の高いネットワーク内で発生した場合、そのメンバーは瞬時に大部分の利益を失ってしまうことになる。逆に、「大量メンバーの一斉離脱」がそのメンバーの属さない局所的にコア度の高いネットワークでのみ発生した場合、そのメンバーの利益は少なくとも短期的には影響を受けない。つまり、「これまで小さい損失で相対的に大きな利益を得てきた」メンバーは、「大量メンバーの一斉離脱」に対して利益が一気に失われるか、全く影響を受けないかの何れかとなる。
利益を一気に失ったメンバーはどう振る舞うだろうか?
新しい局所的にコア度の高いネットワークへの参加は、余程の幸運に恵まれたとしても、それまでの「何倍もの大きさ」の損失を必要とするだろう。そもそも、そのメンバーの望む利益が得られる局所的に密なネットワークがあるのだろうか?あってもそれは何処なのか?そんな状況で、そのメンバーは損失(労力)の大規模な増大を受け入れるだろうか?おそらく答えは否で、そのメンバーもコミュニティから離脱するだろう。他方、損失が大きくとも(労力をかけても)それに見合う利益を得られてきたメンバー(cもbも大きい)は、一時的に多少の利益の減少があってもメンバーであり続けようとするだろう。さらに、それまでと同等の利益を得るためだと割り切れば損失の多少の増大には目をつぶるだろう。それまで彼らは大きい損失を許容してきたのだ、数パーセントの損失増加は許容してしまうだろう。
上記ように、「弾力性」の高いコミュニティの備えるべき第二の特徴は「大量メンバーの一斉離脱が発生した後でも、残ったメンバーのc/bまたはK((6)式)が大きいこと」と言える。
ここに至ってやっと道具立てが終わった。では、実際のOSN(Online Social Network)のデータを実際に分析しよう。論文で分析対象としたOSNの一覧が下表だ。
名前(name)はOSNの名称である。状態(status)は「成功」(successful)、「衰退傾向」(in decline)、「失敗(失敗した)」(failed)の三つに分類されている。メンバー数(users)およびリンク数(links)中の「K」は1,000(キロ)、「M」は1,000,000(メガ、またはミリオン)をそれぞれ表している。注目すべきはFriendsterで、117MというFacebookの40倍近いメンバー数を一時的とは言え抱えながら、現在はサービスが終了している失敗したOSNなのだ。
さて、失敗したOSNのネットワークは、本当に「弾力性」の低い、脆弱なものだったのだろうか?衝撃の次回をお楽しみに。
2013/03/20
近況。
近況です。
年度末進行で仕事がエラいことになっているところに、名のある先生の研究室の学生がエラく困った内容のペーパーを国際会議にサブミット、とばっちりでこっちまでさらにエラいことになってます。引用文献ぐらいちゃんと全部書け!他人の論文のグラフに間違いがないか位は自分で確認しろ(電卓と時間が10分もあれば横軸の数値が間違ってることは定量的に確認できる、専門家なら縦軸か横軸の少なくとも一方がおかしいことは一目で分かる)!!査読者は何やってんだ!!!
ま、結論はオレの考えと同じではあるのだが、ものには言い方というものがあるし、学究の場にだってそれなりに仁義の切り方というものもある。
もはや何周遅れか?「水曜どうでしょう」の未見エピソードを友人の協力あって視聴中。面白いのだが、観て笑っているだけというのは休日の過ごし方としても余りに非生産的。とは言え、未だ投薬で気分を持ちあげている状態では、豪快に疲れる3DCGモデリングは無理。今後もしばらくは封印。
1年ほどちまちま一から組んでいた"Bizarre Love Triangle/New Order"のオケが80%ぐらいの完成度、取り合えずVocaloid Editorを立ち上げてみよう。
年度末進行で仕事がエラいことになっているところに、名のある先生の研究室の学生がエラく困った内容のペーパーを国際会議にサブミット、とばっちりでこっちまでさらにエラいことになってます。引用文献ぐらいちゃんと全部書け!他人の論文のグラフに間違いがないか位は自分で確認しろ(電卓と時間が10分もあれば横軸の数値が間違ってることは定量的に確認できる、専門家なら縦軸か横軸の少なくとも一方がおかしいことは一目で分かる)!!査読者は何やってんだ!!!
ま、結論はオレの考えと同じではあるのだが、ものには言い方というものがあるし、学究の場にだってそれなりに仁義の切り方というものもある。
もはや何周遅れか?「水曜どうでしょう」の未見エピソードを友人の協力あって視聴中。面白いのだが、観て笑っているだけというのは休日の過ごし方としても余りに非生産的。とは言え、未だ投薬で気分を持ちあげている状態では、豪快に疲れる3DCGモデリングは無理。今後もしばらくは封印。
1年ほどちまちま一から組んでいた"Bizarre Love Triangle/New Order"のオケが80%ぐらいの完成度、取り合えずVocaloid Editorを立ち上げてみよう。
2013/03/11
BSG: B&CのバイパーはMk.IIBということらしい
"Battlestar Galactica Blood & Chrome"に登場したViperはMk.IIIらしいと以前書きましたが、本当はMk.IIBらしいということが判明。なにせデザインした本人がそう書いてるんだからねぇ。
2013/03/10
成程、船戸与一「夢は荒れ地を」は力作、傑作
これまで最後に読んだ船戸与一氏の小説は「蝦夷地別件」だった。初版で読んだので、もはや15年以上前になる。本当は「満州国演義」を買うつもりだったのだが、あいにく近所の大型書店に在庫すらなく、船戸与一リハビリのつもりで昨年12月に手に取ったのが「夢は荒れ地を」だった。
船戸与一氏の小説タイトルは、内容が想像できる割とストレートな場合と漠然とし過ぎて内容がさっぱり読めない場合がある。「夢は荒れ地を」は後者だろう。と言うこともあって、読み始めたのは買ってから3ヶ月ほど経った今朝になった。文庫で約800ページ、比較的大著かとも思うがほぼ3時間半で読了、文句なく力作、傑作。
船戸与一氏の作品との出合いはもうかれこれ25年前、「猛き箱舟」になる。当時は3冊ぐらいの小説を常に平行して読んでいたのだが、同時に読んでいたのが村上龍氏の「愛と幻想のファシズム」、小林久三氏の「皇帝のいない八月」だったことをはっきり覚えている。「5日ほどのめったにない濃密な読書体験」の記憶の中でも「猛き箱舟」の輝きは褪せない。
しまった!「マギの聖骨」、「ナチの亡霊」、「ユダの覚醒」、「宙の地図」なんてつまらん作品を読んでる場合じゃなかった!
船戸与一氏の小説タイトルは、内容が想像できる割とストレートな場合と漠然とし過ぎて内容がさっぱり読めない場合がある。「夢は荒れ地を」は後者だろう。と言うこともあって、読み始めたのは買ってから3ヶ月ほど経った今朝になった。文庫で約800ページ、比較的大著かとも思うがほぼ3時間半で読了、文句なく力作、傑作。
船戸与一氏の作品との出合いはもうかれこれ25年前、「猛き箱舟」になる。当時は3冊ぐらいの小説を常に平行して読んでいたのだが、同時に読んでいたのが村上龍氏の「愛と幻想のファシズム」、小林久三氏の「皇帝のいない八月」だったことをはっきり覚えている。「5日ほどのめったにない濃密な読書体験」の記憶の中でも「猛き箱舟」の輝きは褪せない。
しまった!「マギの聖骨」、「ナチの亡霊」、「ユダの覚醒」、「宙の地図」なんてつまらん作品を読んでる場合じゃなかった!
2013/03/09
GyaoでTVシリーズ「うる星やつら」の第一話を観る
タイトルの通りです。映画監督になる遥か前の押井守氏がチーフディレクターを務めた作品ですね。
デジタルリマスター版とかいう話なので、第一話に関しては「乳首」が残されているかを気にしつつ視聴しました。はい、残ってました。
TVシリーズ初期の「うる星やつら」と言えば、OPとED、小林泉美氏の曲と南家講二氏のアニメとのコラボの半端ない素晴らしさが光ります。タイトルロゴの後にまずピンク色を持ってくる南家氏のセンスには今観てもシビレます。キャラ達の動きも小林氏の曲のリズムを上手く活かしていて、相乗効果の良い見本じゃないかと思いますよ、ええ。
小林氏の曲はリズムにクセがあるものが多く(時に変態的)、ビートはジャストを基本をしつつも「やっぱちょっと跳ねてないかい?」といった感じを曲全体で出すのが上手い印象があります。作曲家として、キーボディストとして、そしてシンガーとして、間違いなく私の中のエバーグリーンの一人。小林氏はキティフィルム繋がりで鶴見辰吾氏主演の映画「翔んだカップル」の音楽も担当、サントラ盤は良質のインストテクノポップアルバムの感すらあります。
まぁ、ザラつき感も無いけど芯も無い「如何にもフェアライトCMIって音が好き」っていうのもあるんですが。敢えて名づけるなら「8ビットチップチューン」(ファミコンは実は4ビットだったらしいが)ならぬ「擬似16ビットチップチューン」(モトローラ6800/8ビットCPU×2台)みたいな。
「翔んだカップル」と「フェアライトCMI」、どっちも分かる人って今の日本にどれくらいいるのかなぁ(笑)
デジタルリマスター版とかいう話なので、第一話に関しては「乳首」が残されているかを気にしつつ視聴しました。はい、残ってました。
TVシリーズ初期の「うる星やつら」と言えば、OPとED、小林泉美氏の曲と南家講二氏のアニメとのコラボの半端ない素晴らしさが光ります。タイトルロゴの後にまずピンク色を持ってくる南家氏のセンスには今観てもシビレます。キャラ達の動きも小林氏の曲のリズムを上手く活かしていて、相乗効果の良い見本じゃないかと思いますよ、ええ。
小林氏の曲はリズムにクセがあるものが多く(時に変態的)、ビートはジャストを基本をしつつも「やっぱちょっと跳ねてないかい?」といった感じを曲全体で出すのが上手い印象があります。作曲家として、キーボディストとして、そしてシンガーとして、間違いなく私の中のエバーグリーンの一人。小林氏はキティフィルム繋がりで鶴見辰吾氏主演の映画「翔んだカップル」の音楽も担当、サントラ盤は良質のインストテクノポップアルバムの感すらあります。
まぁ、ザラつき感も無いけど芯も無い「如何にもフェアライトCMIって音が好き」っていうのもあるんですが。敢えて名づけるなら「8ビットチップチューン」(ファミコンは実は4ビットだったらしいが)ならぬ「擬似16ビットチップチューン」(モトローラ6800/8ビットCPU×2台)みたいな。
「翔んだカップル」と「フェアライトCMI」、どっちも分かる人って今の日本にどれくらいいるのかなぁ(笑)
2013/03/08
wired.jpの記事 「どのようにSNSは死を迎えるか」が面白い(その3)
今回はブレークとして、自分にとってのインターネットコミュニティにおける損失と利益について思うところを書いておく。
まず本ブログ。読んでくれる人が居るだけで幸せ、ということで利益は全く期待していない。よって、かけるコスト(=損失)は最小限、友達リストなんて使う気もない。表示オプションの変更操作(=損失)も億くうなぐらいで、遠方の友人からのツッコミメールが季節毎に1つでもあれば十分に報われる。コメント機能もスパム対応(=損失)が面倒臭いので使っていない。
3DCGコミュニティで実質的にアクティブと言えるのはFoundation3Dだけだ。
Foundation3Dへの参加において最も大きなコスト(=損失)は英語を読み書きする必要があることだ。何気に英語を読み書きしているように見えるかも知れないが、実際は今でも辞書片手に四苦八苦している。今はほとんど無くなったが、以前はスラングの解釈ミスが元でコミュニケーションがぎくしゃくした事もある。とにかく続けること、6年も踏ん張れば経験値は上がるものだ。
では、利益はどうか。これが実は大きい。Foundation3Dはカナダ中心のコミュニティである。カナダはアメリカのTVシリーズの撮影場所として良く使われ、今やVFXの一大発注先でもある。英連邦であるせいかイギリスのTVや映画のVFXに携わっている人も多い。結果として、Foundation3Dのメンバーには3DCGモデリング、シーン編集や合成のプロが多いのだ。
職業なり趣味なりで実際に手を動かしているメンバーのコメントは適切で、なるほどと思わされることに事欠かない。互いにリスペクトがあるから、自分のCGモデルが褒められれば単純にうれしい。運営方針はきっちりしており、メンバーには良い意味での礼儀正しさが求められる。メンバー間の距離感は付かず離れずといったところで、アメリカ的なフレンドリーさ(なれなれしさと表裏一体だ)とは一線を画している。個人的には心理的な負荷が無い理想的な距離感だ。反面、的外れな、或いはどうでも良いコメントには手厳しい場合があり、単なる評論家は居ずらいコミュニティという側面も持つ。これも個人的には良いと思う点だ。
単なる評論家が居ずらいということで、コミュニティの規模は大きくない。しかし、互いに互いの作品にコメントしあうという関係が成り立っているので、規模に較べてメンバーのコア度は高いのではないかと思う。
かつて主な活動場所としていた別のコミュニティは、英語コミュニティへのデビュー先という意味で思い入れは強い。が、コミュニティ規模が大きいと同時にコメントのみのメンバーの比率が高く、コミュニケーションが一方的になりがちだった。節点間の腕は対称的な接続を表すので、一方向的なコミュニケーションは腕とはなり得ない。だからコア度が高いとは言えない。また運営方針がおおらか過ぎて、想定外の損失が発生したりした。
代表的な想定外の損失として、そのコミュニティ内で共有していた自分のCGモデル(メンバーなら自由にダウンロードできる)の派生物をさらに別のコミュニティで売りに出した人間への対応が挙げられる。データに添付したファイルに記載した使用条件は「商用利用以外は実質的に制限しないもの」であったが、それでもそんな事が起こってしまったのだ。ただCGモデルを共有していたコミュニティの規模が大きかったのが幸いし、私が商用利用を禁止していることを知っているメンバーから早い段階で通報があった。結局、複数のコミュニティの管理者や3Dプリンティングサービス会社のカスタマーサービス窓口とのやり取り(英語!)に1週間分以上の余暇を費やした。時間に加えて心理的な負荷も大きく、バカにならない損失と言える。
もちろん、同様の経験をしたメンバーは少なくないようだ。そして、私も含むそのような経験をしたメンバーの大部分が根本的な原因の根絶を図る。つまり、CGモデルの共有の中止と実質的なコミュニティからの離脱である。金儲けに使えそうと思わせるだけのCGモデルを作ってしまうスキルを持つメンバーは、そのコミュニティで影響力が大きい存在であると考えて良い。そして、そんなメンバーのコミュニティからの離脱は、間違いなくそのコミュニティの価値を下げる。運営方針のおおらかさが凶と出た良い例かと思う。実際、そのコミュニティはすっかりつまらなくなってしまった。
取り合えず、ブレークはここまで。
まず本ブログ。読んでくれる人が居るだけで幸せ、ということで利益は全く期待していない。よって、かけるコスト(=損失)は最小限、友達リストなんて使う気もない。表示オプションの変更操作(=損失)も億くうなぐらいで、遠方の友人からのツッコミメールが季節毎に1つでもあれば十分に報われる。コメント機能もスパム対応(=損失)が面倒臭いので使っていない。
3DCGコミュニティで実質的にアクティブと言えるのはFoundation3Dだけだ。
Foundation3Dへの参加において最も大きなコスト(=損失)は英語を読み書きする必要があることだ。何気に英語を読み書きしているように見えるかも知れないが、実際は今でも辞書片手に四苦八苦している。今はほとんど無くなったが、以前はスラングの解釈ミスが元でコミュニケーションがぎくしゃくした事もある。とにかく続けること、6年も踏ん張れば経験値は上がるものだ。
では、利益はどうか。これが実は大きい。Foundation3Dはカナダ中心のコミュニティである。カナダはアメリカのTVシリーズの撮影場所として良く使われ、今やVFXの一大発注先でもある。英連邦であるせいかイギリスのTVや映画のVFXに携わっている人も多い。結果として、Foundation3Dのメンバーには3DCGモデリング、シーン編集や合成のプロが多いのだ。
職業なり趣味なりで実際に手を動かしているメンバーのコメントは適切で、なるほどと思わされることに事欠かない。互いにリスペクトがあるから、自分のCGモデルが褒められれば単純にうれしい。運営方針はきっちりしており、メンバーには良い意味での礼儀正しさが求められる。メンバー間の距離感は付かず離れずといったところで、アメリカ的なフレンドリーさ(なれなれしさと表裏一体だ)とは一線を画している。個人的には心理的な負荷が無い理想的な距離感だ。反面、的外れな、或いはどうでも良いコメントには手厳しい場合があり、単なる評論家は居ずらいコミュニティという側面も持つ。これも個人的には良いと思う点だ。
単なる評論家が居ずらいということで、コミュニティの規模は大きくない。しかし、互いに互いの作品にコメントしあうという関係が成り立っているので、規模に較べてメンバーのコア度は高いのではないかと思う。
かつて主な活動場所としていた別のコミュニティは、英語コミュニティへのデビュー先という意味で思い入れは強い。が、コミュニティ規模が大きいと同時にコメントのみのメンバーの比率が高く、コミュニケーションが一方的になりがちだった。節点間の腕は対称的な接続を表すので、一方向的なコミュニケーションは腕とはなり得ない。だからコア度が高いとは言えない。また運営方針がおおらか過ぎて、想定外の損失が発生したりした。
代表的な想定外の損失として、そのコミュニティ内で共有していた自分のCGモデル(メンバーなら自由にダウンロードできる)の派生物をさらに別のコミュニティで売りに出した人間への対応が挙げられる。データに添付したファイルに記載した使用条件は「商用利用以外は実質的に制限しないもの」であったが、それでもそんな事が起こってしまったのだ。ただCGモデルを共有していたコミュニティの規模が大きかったのが幸いし、私が商用利用を禁止していることを知っているメンバーから早い段階で通報があった。結局、複数のコミュニティの管理者や3Dプリンティングサービス会社のカスタマーサービス窓口とのやり取り(英語!)に1週間分以上の余暇を費やした。時間に加えて心理的な負荷も大きく、バカにならない損失と言える。
もちろん、同様の経験をしたメンバーは少なくないようだ。そして、私も含むそのような経験をしたメンバーの大部分が根本的な原因の根絶を図る。つまり、CGモデルの共有の中止と実質的なコミュニティからの離脱である。金儲けに使えそうと思わせるだけのCGモデルを作ってしまうスキルを持つメンバーは、そのコミュニティで影響力が大きい存在であると考えて良い。そして、そんなメンバーのコミュニティからの離脱は、間違いなくそのコミュニティの価値を下げる。運営方針のおおらかさが凶と出た良い例かと思う。実際、そのコミュニティはすっかりつまらなくなってしまった。
取り合えず、ブレークはここまで。
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