昨年の終わりの段階では、割と今年の世界情勢の見通しが読める気がしていたけど、年明け早々に状況が変わってしまった。
昨年末時点の不透明事項と言えば、米国のサウジアラビア政策が読めないことぐらいだった。原油価格の低迷は総じて産油国の経済や体制にダメージを与えているが、複数のニュースソースを見る限りサウジアラビアの体制へのダメージは突出して大きい様だ。サウジアラビアの政治体制は、敢えて単純化してしまえば、「金離れの良い独裁者による独裁体制」だ。オイルマネーなどが国内に還流している限りは安泰かもしれないが、既に始まっている公共料金の値上げや緊縮財政政策の影響は全く読めない。宗派対立の機微はごく普通の日本人である私には決して理解できないだろう。
昨年末、米国議会は米国からの原油輸出をついに許可した。当然、原油価格の更なる低下が予測されたが、サウジアラビアとイランとの国交断絶でそれも分からなくなった。サウジアラビア軍は規模が大きく、米国軍需産業のお得意様だった。しかし、ここ1年ほどの報道などを見るに、米国はサウジアラビアから距離を取りつつあるように見える。もっと言えば、米国の中東政策が全く見えなくなっている。イスラエルと米国の関係もかなりぎくしゃくしている。
原油安はガソリン安や火力発電のコスト低下にも繋がる。一見すると経済的にはプラスの様だが、足元でエネルギー関連企業の経営体力の衰えの原因ともなっているとされる。つまり、新たなオイルショック などが発生した際の柔軟性が落ちていると言える。また、サウジアラビアは歳入減少に対して対外投資の回収や所有資産の清算も進めているらしい。これは、日本も影響を受けている世界規模での株価低迷の原因の一つとされる。産油国からの市場への通貨供給量が減っているということだ。また中国の経済低迷は明確で、かつてのような原油を買いあさるような様子は見られない。おそらく中国国内の石油関連企業の多くが、レアメタル企業のような状態になりつつあるのではないか。
ロシアの天然ガスや原油はもとより、北海油田も採算割れが既に発生している様だ。シェール潰しも噂された原油価格抑制策だが、蓋を開けてみるとイラクの油田とシェールの両方を抑えている企業が最も打てる手が多い状況となっている。とは言え、それでもそれら企業が安泰とは言えない。
現在エネルギー関連では一息ついているドイツの政情も読めない。原油価格が上昇に転じれば、税制政策などをきっかけにドイツ国内が揉める可能性もある。メルケル政権のエネルギー政策は基本的に一貫性が無いが故に余計に危険な気がする。彼女はやはり西側指導者には成り切れていないし、土壇場で口を閉ざすのは基本的に旧東側の流儀だ。
ロシアと中共は軍事オプションの存在を隠さない。朝鮮半島は相変わらずマイペース過ぎて困惑しか生まない(少しは空気読めって)。
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