2013/08/24

「発送電分離」について思うこと(その2)

 さて、「発送電分離」に立ち入る前に、「電力自由化」に関して私お得意の思考実験に入ろう。

 「電力自由化」によって「新たな発電事業者」が現れ、「受電者」たる「消費者」は「発電事業者」を選ぶことができるようになる。この結果、「発電事業者」間に価格競争という市場原理が働き、「消費者」にとっての電気料金は全体として下がる筈である。当たり前の話のように聞こえるが、「新たな発電事業者」は「送電設備(グリッド)」を所有していない点に注意が必要だ。「新たな発電事業者」と「既存の発電事業者」との理想的な価格競争には、「送電コスト」が全ての発電事業者にとって同じでなければならない。ところが、日本の「既存の電力事業者」は「発電事業者兼送電事業者」なのである。

 「新たな発電事業者」の電気料金はざっくり、「発電コスト」+「グリッド使用料(送電コスト)」+「利益」となる。同様に、「発電事業者兼送電事業者」の電気料金は、「発電コスト」+「グリッド維持コスト(送電コスト)」+「利益」となる。お分かりの通り、両者の「送電コスト」は質が違う。素直に考えれば、「グリッド使用料」=「グリッド維持コスト」+「利益」だから、「発電コスト」が同じだと、「新たな発電事業者」には勝ち目がない。しかし、「新たな発電事業者」は「発電コスト」において「既存の電力事業者」に対して競争力を持つ。それは何故か?

 「既存の電力事業者」は担当地域内の全電力消費をまかなう義務を負っている。そのため、ピーク時の電力消費量をもカバーできる必要から所有する「発電設備」が過剰気味なのだ。つまり電力消費量のピーク時以外は運転しない「発電設備」も所有し、これら設備の税金やメンテナンス費用といったコストを「発電コスト」で回収しているのである。対して、「新たな発電事業者」は「消費者」との契約を履行するに必要な「発電設備」のみを所有すれば良い。

 「既存の電力事業者」の肩を持つ気はないけれども、これは健全な競争環境とは言えない。

 この不公正をの解決には、①「既存の電力事業者」の発電量に対する義務の撤廃、②「発電事業者兼送電事業者」の「グリッド使用料」の決定の完全自由化、が考えられる。が、①は採算が合わなければ送電されない地域が生じても良いことになる(ユニバーサルサービス体制の崩壊)し、②は「発電事業者兼送電事業者」の電力市場独占を許容することなる。①は、例えば都市規模の中小地方電力会社が立ち上がれば許容できることにはなるが、電力料金の低下は期待できない。②は独占禁止法とかに引っかかってしまうだろう。

 極論、①と②の合わせ技で一番儲かる事業形態の一例は、電力大量消費地や工場などの大量消費設備のみを結ぶグリッドを所有し、送電する電気自体は「新たな発電事業者」達を徹底的に競争させて安価に調達するとともに、補助金などの優遇措置がある期間のみ再生可能エネルギ―発電設備を所有するというものだ。

 しかしこれは余りにエグい。現行の「電力自由化」は実態は「発電事業への参入自由化」でしかない。独自の「グリッド(送電網)」構築も制度上は可能だが、土地取得や建設コストが大きいことや既存「グリッド」と並行に新規「グリッド」を設けるなんて効率が悪いことも甚だしい。

 ここで「発送電分離」という考えの見通しが多少良くなってくる。

 「発電事業者兼送電事業者」は自前の「発電事業」の競争力を「送電事業」も利用して確保しようとする。だから、「送電事業」を分離すれば、「発電事業」の健全な価格競争が期待できる。電力消費があるならば、市場原理に従って「発電事業者」が現れることは期待して良い。他方、送電はユニバーサルサービスの根幹だから、地域独占を許容(発電設備と違って送電設備はその地域になければならいことを思い出そう)し、かつ、採算が取れない地域については公共サービスとして自治体が補助金などの優遇措置を行ってでもグリッドを維持しようということである。

 いよいよ次回は「発送電分離」に踏み込もう。この制度が薔薇色の未来を約束するかどうか、或いはどういう形態が「より理想的」なのかについて触れるつもりだ。キーワードは「消費者にとって良質の電力」とは何か、って辺りかな?

2013/08/22

「発送電分離」について思うこと(その1)

 歴史をひも解くと、日本の電力会社は多数の「民間地域電力会社」の設立からスタートした。これは特定の地域内の電力供給を特定の民間会社一社が担うという形態であり、米国などとほぼ同様で日本特有という訳ではない。対比できる別形態としては「国営電力会社」による独占的な国内電力供給がある。

 日本国内の電力の周波数が50Hzと60Hzの2種類ある理由は、東西の先行した「民間地域電力会社」が米国の別の会社から発電機を導入したことに遠因がある。東は「GE(ざっくり言うとエジソンの会社)」から、西は「ウェスチングハウス(ざっくり言うとテスラの会社)」からそれぞれ発電機を導入し、この時点で電力周波数が違っていたのだ。いずれにしても、日本の電力供給体制はまず民間主導で確立されたと言って良い。ただし、この時点での各電力会社の担当地域は現在の電力会社の担当地域とは必ずしも一致しない。現在の各電力会社の担当地域は、太平洋戦争中の単一電力会社への統合と戦後の解体(分割)の結果である。

 ここでひとつ重要なことは、解体後の各電力会社には電力の地域独占が許されていたことである。裏返しとして、電力料金は国の認可制とされ、担当地域内あまねくへの電力供給義務も負う。日本の良質な電力インフラ、別の言い方をすると(一部離島を除けば)日本中の何処に居てもほぼ同等の価格で必要な電力が利用できる環境は、地域独占と引き換えに電力会社に課せられた制限、義務に負うところが大きいと思う。

 さて、

 地域電力会社は「発電」と「送電」を一括して担うため、「発電設備」、「変電設備」、「グリッド(送電網)」及び「グリッドから受電者(工場や家屋)への送電線」を所有、管理する必要がある(少し厳密さを加えると、「変電設備」の一部と「グリッド」及び「グリッドから受電者への送電線」は担当地域内に必須だが、「発電設備」や「変電設備」の他の部分は必ずしも担当地域内にある必要はない)。以下では簡単化のために「発電設備」と「グリッド」の用語のみ用いるが、それぞれに付随する「変電設備」や「送電線」も含むものとして捉えて頂きたい。

 まず、既に制度としてはスタートしている「電力自由化」について触れる。「電力自由化」の基本的な考え方は、「既存電力会社の電力供給の地域独占の撤廃」である。新規参入会社は「発電設備」を持つ必要があるが、当然ながら以下の状況が現れ得る。
  • 受電者の居住域に発電設備がある。
  • 受電者の居住域とは異なる地域に発電設備がある。
米国は多数の「グリッド」が相互に連結された「グリッド網」を形成しているが、各発電設備が接続された「グリッド」への送電量は大部分の地域で「電力卸売市場」での取引に基づいている。つまり、高い電気料金でしか入札できない発電設備からの電力は「グリッド」へ送電できない。ただし、特定の「グリッド」に着目すると、それに直接接続された発電設備からよりも「隣接するグリッド」から安価な電力が供給できる場合は、「グリッド」がある地域内の発電設備から一切送電させないという選択肢もある。

 米国では具体的には後述する「発送電分離」が進んでいるため、「グリッドを所有する送電者」から見た電力価格は「市場原理に基づく時価」であり、「グリッドを所有する送電者」の利益は基本的に「電力の調達価格を如何に下げるか」に負うところが大きい。「グリッドを所有する送電者」は「受電者」に概して定価で電力を供給しているからだ。「グリッドを所有する送電者」は、常に需要を満たす最小限の送電量をできるだけ安価に所有する「グリッド」に供給する努力をすることになる。米国ではざっくり「送電者」が強く、他の「グリッド」に接続されていたならば十分競争力がある「発電設備」でも同じ「グリッド」に接続された「競合発電設備」との価格競争に敗れればあっさり閉鎖される。安価な「シェールガス」の発電利用が本格化した昨今、老朽化した発電設備の閉鎖は加速する傾向にある。勢い、発電用資源の均質化と総発電可能量の低下は避けられない。結果、米国では電力供給不足発生のリスクが従来よりも大きくなっているのは確実だ。

 一方、ドイツ(厳密にはグリッドが十分に整備されている旧西ドイツ域)では状況が異なる。「受電者」は居住地に関わらず「発電者」を選んで契約することができる。良くある例が、風力や太陽光などの再生可能エネルギーのみで発電している「発電者」との契約である。「発電者」は「受電者」との契約に基づいて電力を「グリッド」に送電することになるが、再生可能エネルギーの発電量は天気次第なところがあるため、概して「グリッド」には「受電者」との契約量よりも大きな電力量が常に供給され(契約量よりも小さいことは基本的にあり得ない)、かつ変動する。「受電者」はあくまで「グリッド」から受電し、かつ「グリッド」には火力などの他の発電設備からの電力も供給されている訳だから、「私は再生可能エネルギーしか使ってません」という「受電者」の思いは現時点では文字通り気持ちの問題でしかない。とは言え、「受電者」の行動が発電方式のシェアに影響することは確かだ。

 ご存じの通り、ドイツは太陽光発電を中心に再生可能エネルギーによる発電量が大きい。再生可能エネルギーの増大自体は良いのだが、「グリッドを所有する送電者」から見た場合、「グリッド」への供給電力量の時間変動はかなりやっかいな問題だ。「グリッド」への電力の供給過剰は「グリッドのコラプス(機能停止、つまり域内一斉停電)」の原因と成り得る。欧州では電力は輸出入の対象であり、ポルトガルから東欧までほぼ単一の「グリッド網」が既に形成されている。特定の大規模な単一「グリッド」のコラプスは、「グリッド網」内の他の「グリッド」のコラプスを引き起こしかねない。これは、コラプスした「グリッド」の少なくとも一部の電力が他の「グリッド」に一気に流れ込み得るからだ。

 欧州での大規模な「グリッド」のコラプスは幸いにしてまだ発生していないが、ドイツの「グリッド」が再生可能エネルギー発電設備からの電力供給の急増に直面し、コラプスを避けるために東欧側の「グリッド網」に余剰電力を急遽送電したことがあったという。「タダで電気が貰えて東欧は大喜び」などと考えることなかれ。東欧の単一「グリッド」の規模はドイツの「グリット」と較べれば小規模、小容量であるため、ドイツからの制御されていない送電は東欧各国の「グリッド」をコラプスさせかねないのだ。送電を受けた東欧数国からは苦言も呈されており(「テロだ」とすら言う人もいる)、また、ドイツ発、東欧経由の全欧州「グリッド網」の連鎖コラプスを警戒する声も挙がっている。

 とまぁ、米国やドイツの話などして脱線しているように思うかも知れないけれども、「電力自由化」や「発送電分離」の行先は決して薔薇色ではないというのが現実問題としてあるということだ。「電力自由化」「発送電分離」の功罪を考えるには、「再生可能エネルギーの普及」「地球温暖化ガス対策の必要性」「シェールガスの利用拡大」「国内の原子力発電設備への公衆受容性の低下」などの動き続ける他の要因も考慮する必要があるし、さらに「発送電分離」の具体的形態については欧州でもまだ議論が続いていて、何気に「発送電一括・地域分割」、つまり現在の日本の発電会社の形態が「受電者の視点に立てば悪い選択ではない」という考えは故有って今でも完全に否定されていないという点も指摘しておこう。

 続きますデス。

2013/08/20

一回は観とけ!再び

 マズい、マズいよYoutube。日本語字幕まで付いてるよ。小学生の時にTVで観て泣きました。「冒険者たち」は文句なく名作!!

2013/08/19

近況、九度。

  • 今日まで夏休み。身体が完全に連休モードで昼間も眠いこと眠いこと。ここ数年の夏休み明けはメールの返事書きに追われていたが、ここ1年ほどネット上のコミュニティへの参加を控えているためか、今年は返事を書くべきメールはなし。その代わりと言っては何だが、帰省中に届いたスパムメールは約760通とやっぱり多かったよ。
  • アニメ「ジャイアントロボ-地球が静止する日-」の音楽はあまり耳にしない形式との印象もあってお気に入りなのだが、実は映画「パリは燃えているか?」の一部楽曲と何気に似ていることが判明。そっかぁ、もともとモーリス・ジャールの曲が好きだからなぁ俺、似たフレーズは映画「ファイヤーフォックス」でも使われてるしね。でも「パリは燃えているか?」の方がなんか「まがい物」感があるんだよなぁ…展開の捻り具合のせいだろうけどね。

    ちなみに「ファイヤーフォックス」はこんな感じ、淡白に見えて実はモーリス度かなり高し。サントラ盤出てた記憶がないんだが、実際どうだったんでしょう?
    さらにちなみに1号機が後方に射出して2号機を撃墜したのは"ВСПЫШКА"。Google翻訳によるとやはり「フレア(赤外線追尾式ミサイルを欺瞞する囮熱源)」で原作小説通りですなぁ。

2013/08/17

Mi Angel | Pogo & John Sean

 ただただ良いよね、という訳でご紹介。SoundCloudにもアップされてるから気に入ったらそっちもチェックして頂戴。

 ちなみに"Mi "は"My"、「サンダーバード」でパーカーがレディー・ペネローペに対して"Yes, Milady.(イエス、ミライディ)"という表現を使ってますね。「レイディ」じゃなくて「ライディ」に聞こえるのも米語じゃなくて英語な感じ。

2013/08/11

2013/08/10 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 1曲目、inktransさんの"Dear Radio(Sytrus Remix)"、良いですね~。

 惜しむらくはニコなんとかがアップ先であること。自らのコンテンツでないものまでクローズドで扱うサービスって言うのはビジネス仁義としてはどうなのよとしか思えず、どうも苦手なんだよなぁ。

 新コーナー「30分で5億売った男 presents ビジネス教習所」第1回の「教官」は、ビジネス書作家の俣野成敏さん。知ってる人は知ってるハズだけど「プロフェッショナルサラリーマン」という言葉が新しいかはグレー。お話の内容はフツー、だけどフツーでない人には彼の本を読んでフツーになってもらいたいとか思いつつも、だけど2「ビジネス書を読む時点でそいつはダメだろう」というのが俺らの認識。新しいことをするのが仕事の身としては、本に書いてあることは「新しい筈がない」のは明らか。とは言え、ビジネス書をやたら読む同僚もいる。その同僚の凄さは、読んだビジネス書の内容を3分以内で説明し、かつ他のビジネス書との比較までしちゃうこと。変にたくさんビジネス書を読むと、相互の矛盾とかに悩むことになるよ。

 個人的意見としては、サラリーマンならばこそ「社内外ともに自分のファンをたくさん作ること」が必要ではないかと思う。「アイツじゃなけりゃ」とか「この話はアイツだな」とか、どれだけ自分が指名されるかが勝負かと思う。自信は後から付いて来させれば良い。勘違いしてはいけないのは、ファンから得るべきが「人気」ではなく「信頼」であること。「信頼」を得るには言行を見せるだけでは不十分で、「結果」が必須。確かに、「一度取り組んだことは絶対形にする」は「結果」を得るための必要条件だ。

 2組目ゲストの伊藤賢治さんとパーソナリティー佐野電磁さんとのやり取りは絶妙。話題の4つの内1つのペースで豪快に心に刺さる。う~ん。
  • 「無人島に持っていきたい3つのコード(和音)」、取り敢えず爆笑。そんな話題、大学時代の音楽仲間の飲み会以来ほぼ15年ぶり。まさか死ぬ前に再びこの話題を耳にすることがあるなんて想像すらしてなかった。
  • リズムボックス Roland CR-8000。こいつは楽器店で触りましたよ。リズムパターン名"ENKA"が「演歌」であることに気付くまでに10秒程のタイムラグ、その後爆笑しましたが。
  • 伊藤さんの演奏するシンセが、え!KAWAI K-1!大学生の時バイトして買いましたよ!キータッチもプリセットの「ピアノ」の音もまさにKAWAIのピアノのもの。丸い感じの耳に優しめの音ですよ。懐かし~。
  • TASCAM PortaOne 4ch MTRも大学生の時バイトして買いましたよ!
  • YAMAHA QX-3シーケンサー。これは買えなかったけど、QX-5FDを大学生の時バイトして買いましたよ!メモリが64kBしかなかったから、一晩かけてベース一曲分を打ち込んだら"Memory Full"とかで進退極まっちゃったりとか。今だからこそ良い思い出、でも当時はマジ洒落にならなかったのな。マクロ機能は使いこなせなかったなぁ。ちなみにメモリが64kBあれば月着陸可能であることは、アポロ計画の月着陸船で実証済み。
  • 伊藤さんが記憶をたよりに演奏した「バスクリン」の昔のCM曲、♪今頃~って感じのあれはけだし名曲。タイトルなどは失念したけど("Good Night"だったっけ?)、音楽雑誌"Techii(テッチー)"のソノシートに収録された読者のデモテープ作品を本人がCM用にリバイズ/再録音したものだった筈。テープ早回し(つまりテープ速度を下げて録音)で、ボーカルのピッチとフォルマントを上げてましたね。ちなみに"Techii"は創刊号から休刊号まで持ってましたよ~。

近況、八度。

  • 私の居住地でもついに夏到来。午前9時半でマイカーの車内温度48℃って、あんた洒落にならないでしょーよ。開けられるところは全て開けて走ってもついに38℃を下回らず。沖合を寒流が流れるせいでこれまであんまり暑いという印象はなかった土地だが、やはりここ2年ほどは天候、気候ともにおかしい。もともと湿気は高いから、暑さが加わるのは冗談抜きでキツい。
  • 今日はちょっと仕事をしたけど、おかげで明日からは完全に夏休みで帰省。ちなみに帰省中は完全なオフライン、基本的に読書三昧の予定。書店で「TOKYO YEAR ZERO/D.ピース」「エラスムスの迷宮/C.L.アンダーソン」「ガガーリン/J.ドーラン, P.ビゾニー」「三重スパイ/J.ウォリック」の4冊を購入。あ、iPod充電しとかないと、もちろん充電器は純正品だからそうそう感電はしないよ。
  • あ~、スパムメールがここ1週間に急増、帰省中の総数は間違いなく1000通を超えるよ。私の契約先は2つ目のメールアドレスを無料で取得できるのだが、半分はそちら宛て。2つ目のメールアドレス取得の目的は実はアドレス流出元の絞り込み用なので、何処にも公開していない。ということは…
  • 今日はVocalod Megpoid Native用の「時をかける少女」のオケデータをいじる。チープな感じを狙ってドラム音を全てCASIO SK-1からのサンプリング音に置き換える。ベースの音色もあまり厚くないものに変えてからLFOとディレイを調整してみたらなんか良い感じだったので採用。もうこれ以上音は足したくないなぁ。

2013/08/06

1ネタ10分でできる間違ったDAWの使い方3題

 いつものように職場の喫煙室で同僚とバカ話、「MADムービー」の「MAD」って何?という話になる。帰宅後ググッてみたところ、昔の同人テープ、通称「キ×ガイテープ」が語源だとか。間違っても「相互確証破壊」ではないですよ。

 あれま、「Crazy」じゃないのね、と思うと同時に、かつて自分が「キ×ガイテープ」の作り手だったことを思い出した。オーディオカセットテープを切り貼りするとか、オープンデッキ3台に1本のオーディオテープを通して再生時間差を作るとか、しかも時間差をデッキ相互の距離で調整したとか、出来たものより作り方の方がよっぽどマッドな感じがしないでもない。ましてやオープンデッキを担いで街中を歩く中学生なんてまずいない。

 当時もアニメ由来ネタは多くて、TVから録音したオープニング曲やエンディング曲を良く素材にしたものだ。師匠筋の人間はいなかったので、作成方法は自分で考えなきゃならなかった。先行作品を聞くに、初心者がまず身につけるべきテクニックは次の二つだろうとの結論に当時至ったものだ。
  • 曲が始まったと思わせておいて終わせる、つまり曲の中間部を抜く。
  • 第1コーラスの歌詞を部分的に第2、第3コーラスの歌詞に置き換える、つまり曲の中間部を入れ換える。
で、土曜日にふと思ったのは、「当時一晩かければ作れたようなものなら、今のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)アプリで10分あれば作れるのでは?」。作れましたよ、あっさり。

2013/08/04

2013/08/03 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 プロ野球中継延長でラジオオンエアは結局10:55始まり。アンビエント・ドローン系音楽ショップ「murmur records」の相田悠希さんの出演部分がオンエアされなかったのは実にもったいない感じ。アンビエント・ドローン系については全くの門外漢である身としては、この種の話が聞けるだけでも貴重。語る対象に対して自覚的、真摯というのは有難いもの、「好き好き」だけでは他人に伝えられることは概して表層的だからねぇ。パーソナリティ佐野氏とのやり取りから覚えている部分をざっくり書き出すとこんな感じ。
  • 「アンビエント/(スラッシュ)ドローン」とひとくくりにされることが多いが、音楽ジャンルとしては全く別物。実のところ音楽ですらない。
  • アンビエントは「概念、考え方」、ドローンは「様式、形式」。故に並置すること自体がおかしい。
  • アンビエントは環境音楽とも呼ばれる。とあるシチュエーションで演奏していたエリック・サティは「私の音楽を聞かないで」と言ったが、そういう音楽こそまさにアンビエント。「アンビエント」という言葉は、ブライアン・イーノが導入。イーノのアルバム"Music for Airports"は実際にラガーディア空港(だったかな?)で使われた。
  • ドローンは絶えない持続音。アーチストにはギタリストも多くて、多数のエフェクターを縦列につないでコード一発で70分鳴りっぱなしとか。ホーミーとかと通じるところもあり、結構プリミティブな音楽様式では?
今時のアンビエントを聞いてみようということで、実はクリス・ワトソンのアルバムを2枚ほど買って聞いてみている。

 クリス・ワトソンは自然音を素材として録音し、設定したコンセプト或いはテーマに基づいて素材を編集することで作品化する手法を取っている。波や風の音、虫や鳥の鳴き声やはばたき音といった本当に自然由来の音、列車の車内外音といった人工物由来の環境音が素材だ。もともとBBCの音響エンジニアだった人らしいので、編集はお手のものということらしい。

 だが、少なくともクリス・ワトソンの作品はちょっと自分には合わないようだ、残念ながら。

 編集による自然由来音の異化、多数の素材それぞれの本来の文脈の分断化が人工的に過ぎるように感じられ、聞いていてつらいのだ。もともと散歩がてら街中の環境音、自然音を聞いて回る趣味があるからかもしれない。つまり、「自分の知っている自然音」との乖離の方が気になって仕方がないということだ。クリス・ワトソンの作品を聞いていると、一瞬一瞬だけれども不協和音を大音量で聞かされたようなどうしようもない違和感に襲われてしまう。要は聞く態度ができていないということなのだが、これはもはや習い性みたいなもので如何ともし難い。まぁ、"The Bee Symphony"はクラシカルの一種と思えば無問題。なんて書いていると、近所の湧水の音をまた聞きにいきたくなっちゃったなぁ。

 完全な脱線だけど、かの大震災のあとの4日程は電気も水も無く、車もほとんど走っていなかった。夜8時も過ぎると陽も暮れて真っ暗である。運転中の自動販売機はとてもうるさいから、近所をふらつくだけでも周囲から聞こえる音は新鮮だった。まぁ、実際のところは空腹でそれどころではなかったんですけどね。

 文脈は省くけど、相田さんは「電子音はかなわない」という発言をされた。個人的にはあくまで条件付きで同意だ。

 シンセの音は、ただしプリセット音ではなくてユーザーによって作られた音は、主体的に生み出された人工音であり、文脈無しでは存在し得ないし、存在する意味がない。そういう音は大事にしたいし、勝ち負けとは別次元で価値のある音だと思うのだ。

2013/08/03

近況、七度。

  • 体調は幸いにしてとても安定しているが、目覚めが中途半端に早くイマイチ睡眠時間が短い。会社でシンセ「π」の波形生成ロジックに関する根拠なき閃きあり、こそこそとExcelで波形を計算してみる。あんまり見かけない波形が結構出てくるのは面白いが、シンセの音は波形だけじゃ決まらないからねぇ。
  • 3DCGソフトウェアLightwave3Dのリハビリ開始。秋頃には再開したいな。
  • スポンサーである関連会社の人と雑談。どうも自分らのグループ会社は競合他社と比べて「相変らず営業が弱い」という結論に至る。とは言え、「営業が強い」から会社も強いって訳じゃないところが難しい。
    某社の某分野は「営業、広報が強く」、大型受注案件や大型投資に関する広報活動も適切で、株価は高めを維持している。が、その後の進展をトレースすると、受注案件のスケジュールが致命的なトラブルで遅延してたり、投資回収に必要な案件の受注に失敗したりと、自分の会社では願い下げな状況が意外に多い。当然、この手のネガティブ情報はあまり表沙汰にはならないから、株価の下振れ要因にはなかなかならない。
    まぁ、今時の米国流会社経営という観点からは某社の方法は正しい。片や私の所属する会社の体制は、上層部こそ米国流だが、私の関連する事業分野は専門性の高さが原因でその直下の階層の権限が他事業分野と較べてはるかに強い。しかも今後の主戦場は欧州の可能性が高い。なかなか米国流とはならないだろうなぁ。
    ちなみに研究開発分野の体制は前時代的なまでに官僚的で、創造性に対する理解がない。最低だ。