2013/08/11

2013/08/10 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 1曲目、inktransさんの"Dear Radio(Sytrus Remix)"、良いですね~。

 惜しむらくはニコなんとかがアップ先であること。自らのコンテンツでないものまでクローズドで扱うサービスって言うのはビジネス仁義としてはどうなのよとしか思えず、どうも苦手なんだよなぁ。

 新コーナー「30分で5億売った男 presents ビジネス教習所」第1回の「教官」は、ビジネス書作家の俣野成敏さん。知ってる人は知ってるハズだけど「プロフェッショナルサラリーマン」という言葉が新しいかはグレー。お話の内容はフツー、だけどフツーでない人には彼の本を読んでフツーになってもらいたいとか思いつつも、だけど2「ビジネス書を読む時点でそいつはダメだろう」というのが俺らの認識。新しいことをするのが仕事の身としては、本に書いてあることは「新しい筈がない」のは明らか。とは言え、ビジネス書をやたら読む同僚もいる。その同僚の凄さは、読んだビジネス書の内容を3分以内で説明し、かつ他のビジネス書との比較までしちゃうこと。変にたくさんビジネス書を読むと、相互の矛盾とかに悩むことになるよ。

 個人的意見としては、サラリーマンならばこそ「社内外ともに自分のファンをたくさん作ること」が必要ではないかと思う。「アイツじゃなけりゃ」とか「この話はアイツだな」とか、どれだけ自分が指名されるかが勝負かと思う。自信は後から付いて来させれば良い。勘違いしてはいけないのは、ファンから得るべきが「人気」ではなく「信頼」であること。「信頼」を得るには言行を見せるだけでは不十分で、「結果」が必須。確かに、「一度取り組んだことは絶対形にする」は「結果」を得るための必要条件だ。

 2組目ゲストの伊藤賢治さんとパーソナリティー佐野電磁さんとのやり取りは絶妙。話題の4つの内1つのペースで豪快に心に刺さる。う~ん。
  • 「無人島に持っていきたい3つのコード(和音)」、取り敢えず爆笑。そんな話題、大学時代の音楽仲間の飲み会以来ほぼ15年ぶり。まさか死ぬ前に再びこの話題を耳にすることがあるなんて想像すらしてなかった。
  • リズムボックス Roland CR-8000。こいつは楽器店で触りましたよ。リズムパターン名"ENKA"が「演歌」であることに気付くまでに10秒程のタイムラグ、その後爆笑しましたが。
  • 伊藤さんの演奏するシンセが、え!KAWAI K-1!大学生の時バイトして買いましたよ!キータッチもプリセットの「ピアノ」の音もまさにKAWAIのピアノのもの。丸い感じの耳に優しめの音ですよ。懐かし~。
  • TASCAM PortaOne 4ch MTRも大学生の時バイトして買いましたよ!
  • YAMAHA QX-3シーケンサー。これは買えなかったけど、QX-5FDを大学生の時バイトして買いましたよ!メモリが64kBしかなかったから、一晩かけてベース一曲分を打ち込んだら"Memory Full"とかで進退極まっちゃったりとか。今だからこそ良い思い出、でも当時はマジ洒落にならなかったのな。マクロ機能は使いこなせなかったなぁ。ちなみにメモリが64kBあれば月着陸可能であることは、アポロ計画の月着陸船で実証済み。
  • 伊藤さんが記憶をたよりに演奏した「バスクリン」の昔のCM曲、♪今頃~って感じのあれはけだし名曲。タイトルなどは失念したけど("Good Night"だったっけ?)、音楽雑誌"Techii(テッチー)"のソノシートに収録された読者のデモテープ作品を本人がCM用にリバイズ/再録音したものだった筈。テープ早回し(つまりテープ速度を下げて録音)で、ボーカルのピッチとフォルマントを上げてましたね。ちなみに"Techii"は創刊号から休刊号まで持ってましたよ~。

近況、八度。

  • 私の居住地でもついに夏到来。午前9時半でマイカーの車内温度48℃って、あんた洒落にならないでしょーよ。開けられるところは全て開けて走ってもついに38℃を下回らず。沖合を寒流が流れるせいでこれまであんまり暑いという印象はなかった土地だが、やはりここ2年ほどは天候、気候ともにおかしい。もともと湿気は高いから、暑さが加わるのは冗談抜きでキツい。
  • 今日はちょっと仕事をしたけど、おかげで明日からは完全に夏休みで帰省。ちなみに帰省中は完全なオフライン、基本的に読書三昧の予定。書店で「TOKYO YEAR ZERO/D.ピース」「エラスムスの迷宮/C.L.アンダーソン」「ガガーリン/J.ドーラン, P.ビゾニー」「三重スパイ/J.ウォリック」の4冊を購入。あ、iPod充電しとかないと、もちろん充電器は純正品だからそうそう感電はしないよ。
  • あ~、スパムメールがここ1週間に急増、帰省中の総数は間違いなく1000通を超えるよ。私の契約先は2つ目のメールアドレスを無料で取得できるのだが、半分はそちら宛て。2つ目のメールアドレス取得の目的は実はアドレス流出元の絞り込み用なので、何処にも公開していない。ということは…
  • 今日はVocalod Megpoid Native用の「時をかける少女」のオケデータをいじる。チープな感じを狙ってドラム音を全てCASIO SK-1からのサンプリング音に置き換える。ベースの音色もあまり厚くないものに変えてからLFOとディレイを調整してみたらなんか良い感じだったので採用。もうこれ以上音は足したくないなぁ。

2013/08/06

1ネタ10分でできる間違ったDAWの使い方3題

 いつものように職場の喫煙室で同僚とバカ話、「MADムービー」の「MAD」って何?という話になる。帰宅後ググッてみたところ、昔の同人テープ、通称「キ×ガイテープ」が語源だとか。間違っても「相互確証破壊」ではないですよ。

 あれま、「Crazy」じゃないのね、と思うと同時に、かつて自分が「キ×ガイテープ」の作り手だったことを思い出した。オーディオカセットテープを切り貼りするとか、オープンデッキ3台に1本のオーディオテープを通して再生時間差を作るとか、しかも時間差をデッキ相互の距離で調整したとか、出来たものより作り方の方がよっぽどマッドな感じがしないでもない。ましてやオープンデッキを担いで街中を歩く中学生なんてまずいない。

 当時もアニメ由来ネタは多くて、TVから録音したオープニング曲やエンディング曲を良く素材にしたものだ。師匠筋の人間はいなかったので、作成方法は自分で考えなきゃならなかった。先行作品を聞くに、初心者がまず身につけるべきテクニックは次の二つだろうとの結論に当時至ったものだ。
  • 曲が始まったと思わせておいて終わせる、つまり曲の中間部を抜く。
  • 第1コーラスの歌詞を部分的に第2、第3コーラスの歌詞に置き換える、つまり曲の中間部を入れ換える。
で、土曜日にふと思ったのは、「当時一晩かければ作れたようなものなら、今のDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)アプリで10分あれば作れるのでは?」。作れましたよ、あっさり。

2013/08/04

2013/08/03 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 プロ野球中継延長でラジオオンエアは結局10:55始まり。アンビエント・ドローン系音楽ショップ「murmur records」の相田悠希さんの出演部分がオンエアされなかったのは実にもったいない感じ。アンビエント・ドローン系については全くの門外漢である身としては、この種の話が聞けるだけでも貴重。語る対象に対して自覚的、真摯というのは有難いもの、「好き好き」だけでは他人に伝えられることは概して表層的だからねぇ。パーソナリティ佐野氏とのやり取りから覚えている部分をざっくり書き出すとこんな感じ。
  • 「アンビエント/(スラッシュ)ドローン」とひとくくりにされることが多いが、音楽ジャンルとしては全く別物。実のところ音楽ですらない。
  • アンビエントは「概念、考え方」、ドローンは「様式、形式」。故に並置すること自体がおかしい。
  • アンビエントは環境音楽とも呼ばれる。とあるシチュエーションで演奏していたエリック・サティは「私の音楽を聞かないで」と言ったが、そういう音楽こそまさにアンビエント。「アンビエント」という言葉は、ブライアン・イーノが導入。イーノのアルバム"Music for Airports"は実際にラガーディア空港(だったかな?)で使われた。
  • ドローンは絶えない持続音。アーチストにはギタリストも多くて、多数のエフェクターを縦列につないでコード一発で70分鳴りっぱなしとか。ホーミーとかと通じるところもあり、結構プリミティブな音楽様式では?
今時のアンビエントを聞いてみようということで、実はクリス・ワトソンのアルバムを2枚ほど買って聞いてみている。

 クリス・ワトソンは自然音を素材として録音し、設定したコンセプト或いはテーマに基づいて素材を編集することで作品化する手法を取っている。波や風の音、虫や鳥の鳴き声やはばたき音といった本当に自然由来の音、列車の車内外音といった人工物由来の環境音が素材だ。もともとBBCの音響エンジニアだった人らしいので、編集はお手のものということらしい。

 だが、少なくともクリス・ワトソンの作品はちょっと自分には合わないようだ、残念ながら。

 編集による自然由来音の異化、多数の素材それぞれの本来の文脈の分断化が人工的に過ぎるように感じられ、聞いていてつらいのだ。もともと散歩がてら街中の環境音、自然音を聞いて回る趣味があるからかもしれない。つまり、「自分の知っている自然音」との乖離の方が気になって仕方がないということだ。クリス・ワトソンの作品を聞いていると、一瞬一瞬だけれども不協和音を大音量で聞かされたようなどうしようもない違和感に襲われてしまう。要は聞く態度ができていないということなのだが、これはもはや習い性みたいなもので如何ともし難い。まぁ、"The Bee Symphony"はクラシカルの一種と思えば無問題。なんて書いていると、近所の湧水の音をまた聞きにいきたくなっちゃったなぁ。

 完全な脱線だけど、かの大震災のあとの4日程は電気も水も無く、車もほとんど走っていなかった。夜8時も過ぎると陽も暮れて真っ暗である。運転中の自動販売機はとてもうるさいから、近所をふらつくだけでも周囲から聞こえる音は新鮮だった。まぁ、実際のところは空腹でそれどころではなかったんですけどね。

 文脈は省くけど、相田さんは「電子音はかなわない」という発言をされた。個人的にはあくまで条件付きで同意だ。

 シンセの音は、ただしプリセット音ではなくてユーザーによって作られた音は、主体的に生み出された人工音であり、文脈無しでは存在し得ないし、存在する意味がない。そういう音は大事にしたいし、勝ち負けとは別次元で価値のある音だと思うのだ。

2013/08/03

近況、七度。

  • 体調は幸いにしてとても安定しているが、目覚めが中途半端に早くイマイチ睡眠時間が短い。会社でシンセ「π」の波形生成ロジックに関する根拠なき閃きあり、こそこそとExcelで波形を計算してみる。あんまり見かけない波形が結構出てくるのは面白いが、シンセの音は波形だけじゃ決まらないからねぇ。
  • 3DCGソフトウェアLightwave3Dのリハビリ開始。秋頃には再開したいな。
  • スポンサーである関連会社の人と雑談。どうも自分らのグループ会社は競合他社と比べて「相変らず営業が弱い」という結論に至る。とは言え、「営業が強い」から会社も強いって訳じゃないところが難しい。
    某社の某分野は「営業、広報が強く」、大型受注案件や大型投資に関する広報活動も適切で、株価は高めを維持している。が、その後の進展をトレースすると、受注案件のスケジュールが致命的なトラブルで遅延してたり、投資回収に必要な案件の受注に失敗したりと、自分の会社では願い下げな状況が意外に多い。当然、この手のネガティブ情報はあまり表沙汰にはならないから、株価の下振れ要因にはなかなかならない。
    まぁ、今時の米国流会社経営という観点からは某社の方法は正しい。片や私の所属する会社の体制は、上層部こそ米国流だが、私の関連する事業分野は専門性の高さが原因でその直下の階層の権限が他事業分野と較べてはるかに強い。しかも今後の主戦場は欧州の可能性が高い。なかなか米国流とはならないだろうなぁ。
    ちなみに研究開発分野の体制は前時代的なまでに官僚的で、創造性に対する理解がない。最低だ。

2013/07/28

"Bizarre Love Triangle / feat. Megpoid Eng."ギブアップ

 エントリタイトル通り、とにかくギブアップ、今はこれが精一杯。

 クリプトンがボーカロイドエディタ"Piapro Studio"を開発しているけど、ま、これは本家エディタの使いにくさ、より正確には編集・調整という手間に関するコストパフォーマンスの悪さ、へのひとつの回答だろうと思う。

 フォルマント調整にどこまで踏み込むのかは注目点、ここは本家エディタの鬼門のひとつだ。「ジェンダーファクター」とかもっともらしい呼び方をしているけれども、それは「フォルマントの自動調整技術が無いからパラメータにして誤魔化しただけだろう」というのが従来からの個人的見解だ。


2013/07/27 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 アクセスログを確認すると、タグ「電磁マシマシ」を定期的にチェックされている方が若干1名ほどおられるようです。有難うございます。ただ、感想の投稿は日曜日の午前中となりますので、午後からチェックされるのが吉かと思いますデス。

 さて。

 最初のゲストは電子楽器博物館の原田直樹さんと楽器屋さんでは入手できないシンセの数々、貴重回ですよ。「もうシンセはソフトシンセ(つまりPC上)だけにしよう」とのかつての決意がグラつくに十分な内容。ちなみに私の半田付の腕は4級ぐらいかなぁ…一応職業的実験屋だから。

 まず紹介されたシンセはフランス(らしい)のMutable InstrumentsのAnushri、Shruthi、Ambika。これらは基本的に組立キット(基盤、部品だけ。ケースはオプション)での販売で、購入したのはいいものの部品が足りなかったり壊れていたりとなかなか大変だったとのこと。半田付の腕だけじゃ挑めないってことですな。サイトを確認して頂ければ分かる通り、これらシンセの名前はインド由来っぽい。実際、"sh"、"ri"なんかのアルファベット綴りは、ヒンドゥー教の神々や神話での登場人物の名前で良く使われます、"Krishna"とか"Vishnu"とかね。音についてはしっかり太くて良い意味で「普通」だが、フィルタの効き具合などからは「こだわり感」がビシビシ。スペック表から想像できる最高のシンセを期待してもハズさないのでは?、と思わずにはいられない。

 最大の衝撃はチェコ共和国Standuinoのπ(パイ)。残念がらもはや売れ切れなのだが、その振る舞いを知ってしまうとどうしても欲しくなる。ドローン(単音で変化の無い長い音)系シンセは個人的には範疇外なのだが、ランダマイザーとパッチとの組み合わせから生み出される音はおそらく予測不可能、音自体よりも有り様が素晴らしい一品。触っていれば「π」という名前の意味も分かるのでは、という淡い期待もしてみたくなる。昔同じ「π」というタイトルの映画があって、ユダヤ数秘術と円周率との組み合わせにトンデモない秘密が隠されているという内容だったが、一脈通じるところもあるような。


 後半のゲストは「ゆかどち」。いやぁ、アレで良いですよ、前のめったまま行けるところまで行って欲しいと心から思いますよ。次の展開を期待してマス。

「宇宙戦艦ヤマト2199」Vol.6まで来ましたな

 流通量の大幅減は明らか、TV放送も始めてしまった今となっては映像ソフトパッケージなんて売れないだろうという判断はおそらく妥当。TV放映開始も当初の想定よりも早かったのではないかとも思う。送り手側が賞味期限切れと判断したとなればコンテンツが余りに哀れだ。もしそうなら、「送り手側にも賞味期限切れ、乃至はそもそも作品作りに取り組む能力が無かった、という認識も同時に持てよ」と声を大にして言いたい。

 当ブログのアクセスログに残る検索キーワードも、最近は「ヤマト2199 おもしろくない」「ヤマト2199 つまらない」「ヤマト2199 ひどい」となかなか容赦ない。

 さて、まずは訂正。ガミラス帝国にとって「バラン」は豪快に辺境だったことが判明。あはは、ゲシュタムジャンプでも本星まで30日とか。「ゲシュタムの門」ネットワークは弾力性が低いようですなぁ…あと「コスモなんとか」が有るようです、名前からは波動砲よりもヤバそうな代物に思えます。

 で、Vol.5までは結構真面目に観てたんだけど、本ヴォリュームの4話は心底キツくて、ツッこむ気も完全に失せてしまったのよ、実際んとこ。こんな展開だと最初から分かってたらトレースなんてしなかった、この期におよんで自分に腹が立ってしまう。

 ご都合主義を超えて、本4話はもはや「全く面白くないコメディ」だ。これは演出とか表層的なレベルの話じゃない、物語の論理的構造と作品の有様の問題だ。各話のタイトルの選択も元ネタの手垢の付き具合が半端じゃなくてうまくない感じ。また作画レベルが時折下がるのも悪い兆候、作品がもはや作り手に愛されていない可能性を感じさせてしまいます。

 本ヴォリュームは充分に事故、いや事件ですよ。

2013/07/21

2013/07/20 CBCラジオ×U-strip夜用スーパー「電磁マシマシ」

 KORGの商品企画・坂巻匡彦さん、開発・高橋達也さん、KORG特集ではお約束の山口愛実さんを迎えての「KORG Volca特集」。

 "Volca"はシーケンサ機能を持ったアナログシンセ(一部PCMサンプリング音源搭載)で、ベースシンセの"Volca Bass"、ドラムマシーンの"Volca Beats"及びコードやメロディ演奏用の"Volca Keys"の3種類。スタジオには4セット、合計12台が用意され、全台同期演奏可能状態という事前情報もあって色々と期待していたのですが…

 坂巻さん、高橋さんのやり取りからは、"Volca"シリーズ開発時の状況の大変さだけでなく一種のユルさも覗えて面白かったのだが(「喫煙所始まり」とか良いじゃないですか)、後半に進むにつれて…なんとも期待していたのとは全く違う展開に。「ユルさの中にちらちら見えるプロの凄さ」みたいところが覗えることが多いのが 私にとっての「電磁マシマシ」という番組の面白さであり期待しているところ。今回ばかりは展開上そういうものが欠けてしまって不完全燃焼感が残っちゃったねぇ…ゲストの坂巻さん、高橋さん、そして"Volca"シリーズには全く非が無いだけに困っちゃうなぁ。

Gyaoで映画「WINDS OF GOD」(1995)を改めて観る

 やはり個々人の「映画の観方、読み方」が何気に露わになりそうな映画。

 明らかに舞台上のセットでの撮影、窓外があからさまに書き割りなセットでの撮影、ラストの漫才シーンに代表されるロケーション撮影などと、冒頭の「WINDS OF GOD」を上演しているという劇場のカットとの関連性をどう捉えるか…解釈は解釈に過ぎないし、語られる物語自体の価値には影響しないものの、元々舞台劇であったものを映画にすることの意味合いには個人差が出てしまうだろう。

 何かが変わってしまったことの映像表現には少なくと二つ方法がある。ひとつは、変わったものを変えてしまうこと、もう一つは変わったもの以外を全て変えてしまうこと。カメラが切り取った映像の主体を誰とするかが一つのキーだ。

 『映画「WINDS OF GOD」』は「構造」だけでもけっこう味わい深く、他人の「読み方」がどうしようもなく気になるのだ。

 零戦の色が地上と空中で違うとか、特攻機なのにドロップタンク付けてるとかは「それらをちゃんとできない(そういう事に感度が無い、他人が同じことをやっても気づかないか気にしない)人達」が作ったんだから、と納得しましょう。決して笑いどころではありません。出来ん人は出来んのですよ。