2025/04/12

One more thing…

 Bluetooth音声コーデック絡みで追加の雑感。

 欧州でもTWS(トゥルーワイヤレス)製品へのLDACの採用が目立ってきた。Bang & Olufsen H100がaptX LosslessどころかaptX系コーデックを一切採用しなかったことには正直驚くとともにがっかりもした。HXもEXもaptX Adaptiveサポートが売りだったのにね。もちろんWi-fi系コーデックも無しだ。ドライバにいくら拘ろうとLDAC接続では宝の持ち腐れとなろう。有線で使うぐらいならコスパの観点からだけでも別の製品を選んだ方が絶対良い。まぁ、ファームウェアのアップデート待ちでLDACはまだ使えないらしいんですけどね。

 aptXコーデック(或いはSnapdragon Sound)のライセンスに関するポートフォリオをQualcomm社は見直した方が良くないかと思う。要は儲けを捨ててでも普及に全振りすべきでは?ということだ。

 音質全振り規格aptX HDの普及失敗の轍を再び踏もうとしているのか。音質よりも接続性を優先するあまり聴いててうんざりすることすらあるレベルで音質が一定に保たれないaptX Adaptiveは、音楽を聴くに相応しいコーデックとは思えない(LDACは音質と接続性の優先順位をユーザが選択できる。LDACをサポートした大抵のAndroid機器ならば開発者モードを有効にすることでLDAC設定にアクセスできる。対して音質全振りaptX Adaptive≒aptX HDなので、aptX Adaptiveが接続性優先であること自体は理解できる。が、音質を捨て過ぎだ)。

 自分の耳を信じるならば、aptX Losslessが普及しないのは本当にもったいない。FiiO BTR17で聴き比べる限り、音質についてはLDACより印象が良い。LDACはベターではあるけれどもベストには程遠い。私が2年程前に夢見たLDACの有るべき立ち位置は、レガシーに片足をどっぷり突っ込んでいるというものだ。かつてのminiDISCと同様、LDACは登場時点で規格としては先が無いどん詰まりであることが約束されている。あなたが使っているTWS機器の機能の多くがLDACでは使えなかったりしないだろうか。つまりLDACは競争すべき相手ではなく、後方互換性維持のために使って(残して)やるぐらいの意味しかないのではないかということだ。斯くして現状は全くもってつまらないばかりだ。

AKG N5 Hybridの謎挙動と対処療法

 LDAC接続時のワイヤレスイヤホンAKG N5 Hybridの音はスタジオ寄り*でかなりのお気に入り(LC3ドングル接続時の音はスカスカで駄目)なのだが、時々ノイズキャンセリングが動作しないなどの不具合が起きる。例えばイヤホンからもソフトウェアからもノイズキャンセリングが有効化できなくなる。ただ、このような不具合が出た場合の私の個体での対処方法が少し見えた。

 不具合発生時は、どうやら左右イヤホンのBluetooth接続状態の認識がOS上かどこかでおかしくなっているようだ。左右ともにちゃんと音は出ているが、例えば「使用中に左右一方のイヤホンを耳から外すと再生が停止する」といった機能が動作しない。また、専用ソフトウェアで「その他>最適なフィット感をチェックする」を実行しようとしても「両イヤホンを装着してください」のメッセージから先に進めない。

 対処療法に繋がる状況を端的に述べよう。AKG N5 Hybridでは、Bluetooth接続を知らせる音声メッセージが左右のイヤホンから別々に、別のタイミングで出る。このとき、右イヤホンから先に音声メッセージが出ると大抵不具合を起こす。逆に左イヤホンから先に音声メッセージが出ればノイズキャンセリングなどの機能はちゃんと動作する。これはLC3ドングル接続時も同じだ。なので、接続時の音声メッセージが左イヤホンから先に出る状況を作ることを考える。

 対処療法の一つは、イヤホンをケースから取り出さずにBluetooth接続した後、左イヤホンを先にケースから取り出してみることだ。私の個体では高確率で不具合を回避できる。

 理由は全くの不明。不具合の原因は機械的な故障ではなくて、AKG N5 Hybrid側のファームウェアの不具合か、接続機器のOS(のBluetooth関連部分)との相性の可能性が高い気がする。Technics EAH-AZ100でも右イヤホンを先に接続すると左イヤホンのコントロールが死んじゃうことがあるんだよねぇ・・・

*:音の横方向の広がりは大きめなので、あくまで「寄り」。低音不足と感じる人は多いかと思うが私が欲しい音はこの辺。LDAC接続前提でリスニング用途ならば価格の近いTechnics EAH-AZ100(又は80)を個人的にお勧めするが、ちょっと安めのNothing EarとかCMF Buds Pro 2とかでも良いんでないかいとは実際に愛用している身としては思う。

2024/12/28

FiiOのBTR17がゲームチェンジャー過ぎた

 そもそもBTR7がゲームチェンジャー過ぎた。BTR7の購入はBluetoothオーディオの使用を音質込みで考えるきっかけで、まさに沼の入り口だった。トランスミッターを買ったつもりで手にしてみたら実はレシーバーだったと言う話は今の自分でも笑える。出会いということに対してとにかくツキがあるのか、守り神でもついているのか。

 さて、BTR17はBTR7の後継だ。価格帯を据え置きつつ、音質、操作法ともに正常進化したものとしか言いようがない。もはやBTR7へは戻れない・・・かもしれんね。 少なくともLDACを明らかに超えるコーデックが登場しない限り、この辺りは変わらない気もする。LC3では不十分なのは自分の耳では確定だ。Apt-X Losslessではどうなのだろう?

2024/10/20

インターネットスラングも変わるよ

 招待され、昨日から久しぶりに海外の趣味のコミュニティに参加した。10以上年ぶりとなる。とは言え、絶頂期の5%も能力が発揮できなくなった現在の私にできることは無いと言って良い。実態としては「狭い世界の中だが、頻繁に画像や動画のクレジットで見た名前の当人が来た」ってところで多少の賑わいとなることぐらいだろう。

 20年前のコミュニティは、インターネット上とは言え地域性が感じられることが多かった。メンバーが米国ベースと英連邦ベースではメッセージでの文章表現の距離感も違った。とにかく英語が使えないとダメだった(真面目な話、勉強した。趣味の話に限るなら多くの人が結構頑張れると思う)。私は「距離感が程よい」ところからカナダベースの今は無くなってしまったコミュニティに入り浸ったが、このコミュニティへ参加することになったきっかけはとある人からのメールによる招待だった。今回の招待を受けた際、上記の突然のメールでの招待を思い出した。

 10年以上ぶりにこの種のコミュニティに参加して、たった一日で多くの変化を感じた。

 まず、地域性が極めて薄くなったこと。私は日本からだが、チェコからの人もいる。これはコミュニティのバックボーンが、レンタルサーバー上のデータベースソフトからクラウドベースのDiscordのようなコミュニケーションサービスに移行したことから当然かとも思う。かつてはPC限定だった接続デバイスの制限も実質的に無くなった。ただし、通信量の制限はむしろ厳しい印象も受けた。この辺りは少し「縮み志向っぽい」が、「テキストベースながら豪華で多機能なポータル」と思えばなんということは無い。その背後には、クラウドベースの膨大なデータが以前よりも大量に存在する。1日如きでは見えないが、時間差の影響も以前とは違うだろう。

 二点目は、使われるスラングの変化。コミュニティが地域性を持つならば、チャットやメッセージで使われるスラングはその地域性をそのまま反映する。より具体的には、街中で特定の世代がしゃべっているスラングがそのまま使われる。やっかいなのは古典的には「極めてネガティブな意味を持つ表現」が、逆に「極めてポジティブな意味を持つ表現」として使われる場合だ。時間をかけてネットで調べればどちらか判断できる場合もあるが、一読では悩むこと必至だし、コミュニケーション上の誤解の原因ともなる。ならば今はどうか。ネット上でしか使われていない(らしい)スラングがチャットやメッセージ内で目に付く。ちょっと面倒なのがGoogle翻訳もDeepLも全く追いついていない点だ。Wiktionary辺りで明確に「ネットスラング」とか書かれていないと、誤読の原因となりかねない。例えば”holy based”には1時間ほど悩まされた。これ単独はとてつもなくポジティブな意味を持つが、とてつもないが故に文章全体の文脈からは皮肉っぽさを感じなくなくもないという…ね。

 三点目は、ローマ字表記で正確な日本語表記ができる人が一人や二人ではなかったこと。これは以前は無かった。例外は「Arigato」ぐらいのものだった。こっちが日本人であること、英語が得意ではないことは基本的にバレているから(隠してもいないし)、明らかに気を使ってくれていると言える。海外出身の英語教師でもないのに、日本語と英語のダジャレさえ使う英語ネイティブの存在はやや衝撃だ。「私の苗字は日本語ではキリスト教徒です」→「苗字はクリスチャン?」ってな感じのチャットをローマ字日本語と英語でやったということだ。 

 久々過ぎるエントリ。まぁ、それぐらいのことがこの土日に有ったということだ。

2024/02/23

市内で引っ越してみた

  先のアパートには10年以上住んでいた。夜は静かで、調度品も質が良かった。神社も近かった。引っ越した理由は単純で夜の安寧が破られたからだ。平たく言えば夜間の騒音問題だ。睡眠不足のダメージはデカく、趣味どころの騒ぎではないばかりか仕事にも影響した。そんな状態が断続的に2年以上続いた、

 で、新しいアパートに引っ越したわけだ。古い物件であることは納得済で入居したものの、想定を超える隙間風の多さにびっくりしている。早速暫定的に隙間を埋めているが、部屋は借り物だからできることは限られている。畳やフローリング床は新しくてきれいだが「ただそれだけ」と言うのが恐らく正しく、歩みに合わせて発生する軋み音からは床の下の構造が何となく想像できる。大学生時代に住んでいたアパートと似た雰囲気があるのはご愛敬とも言える。

 まぁ、「住めば都」とも言う。まだ過ごしたのは二晩だけだが、隣室がやや五月蠅い(朝のTVの音が大きめだとか、フローリングの床をかかとで打ちながら歩くとか)ことを除けば平安そのものだ。まだ床に入る際は耳栓無しでは落ち着かないというのが実態だし、眠る側としての少しずつ慣らしていく必要もある。

 明日は新居にて初の本格的な洗濯を予定している。

 2年以上進捗が止まっている趣味方面も4月ごろから再始動できればと思う。どっこいまだ生きている。あ、ネットは割と高速だよ、と。

2023/06/14

聴いてみたいの

[追記:2023/6/18の7:30ごろ] クラファン達成!製作者Osamu Sugiyama a.k.a Staris自身の生配信効果は大きかったかも。チャットを介して製作者当人(当人曰く、結果として今の日本では珍しい200人の人にレコードを売った男)が視聴者とやり取りをしたり、そのやり取りを聞いている別の視聴者にも「購入しようかな?どうしようかな?」と考えさせつつ、人柄の良さとか今回のリリースに対する強い意欲とかも併せて伝わってくる生配信でした。[追記ここまで]

 少なくともハイレゾ音源周りについては、極めて実証主義的なところがこの方の動画のミソ。で、聴いてみたいなこのEP。クラファンもあと10日(~6/24 24:00)、気になったら是非。アナログ盤だけでなくデジタル版がダウンロードできますよ。

2023/06/09

一筋縄ではいかないヘッドホン選び

 今回は知人への生存表明のようなエントリ。内容は個人の趣味・指向の話で、間違ってもレビュー記事なんかじゃない。

 病気でうんうん唸ること約4年、最新ヘッドホンがSonyのWH-1000XM3だったなんて有様だった。本機のノイキャン機能は現時点でも結構通用する優れモノだが、音は産廃モノだ。ただ、マスタリングした楽曲が「本機でもちゃんと聴くに堪える音になっているか」の判断は、この種の音作りに慣れた耳が多い現実を前にしては無視できない。故に手放せない。

 さて、直近のエントリでは、外出用のイヤホン(カナル型/インナー型ヘッドホン)の選択での悩み(ただし結論は無し)や、ひょんな弾みで購入したら色々世界観が変わってしまった携帯用DAC・Fiio BTR7について触れた。本エントリでは、現時点のヘッドホン環境について簡単に触れるに留める。そこに至る顛末に特に面白いことが無いから仕方ないじゃないですか。あと、「お金持ち!」と思う方もおられようが、関連する出費はもうすぐ貰えるボーナスを当然のように当てにしている。ネットでの購入ではあらゆるところであらゆるタイミングでセールに直面することになるが、個人的な結論は「買うべきといったん腹を括ったモノの購入は次のセールで」である。運が良いのか、半年~1年単位で見れば極めて高確率で最安値を引いているし、「在庫なしでがっくり」という目にも会ってきていない。

 私がヘッドホンに求めるのは、音の定位感や粒立ちが明確な極めてモニター寄りの特性だ。実はSenheiserのHD599も持っているが、購入は発売直後と大概昔だし、そもそもピュアにリスニング用として入手したものだ。結果としては先の産廃と同様、マスタリング音源のチェック用リファレンスとして最適な一品だ。これで聴いて「駄目だこりゃ」となるような音源は本当に駄目だろう。あと本エントリでは触れないが、リスニング用途にはBluetoothヘッドホンも数本入手している。

 さて、このような特性を求める理由はもちろんモニター用途で使用するためでもあるが、リスニング用途時、或いは普段使い時の機器構成や接続構成との相性もある。モニター用途の場合はDAWを動かしているPCに接続したオーディオインターフェースへの有線直刺しとなるが、外出時や普段使いでの構成は全く違う。常に再生機器とヘッドホンの間にDACが入るが、これは再生機器であるタブレットのDACがどう見ても音楽再生向きではないからだ。機器や接続の構成はざっくり下記の2パターンだ。

 ①再生機器→USBケーブル→DAC(Fiio BTR7 or iFi GRYPHON) →有線→ヘッドホン
 ②
再生機器→Bluetooth(LDAC)→DAC(Fiio BTR7) →有線→ヘッドホン

①は自宅での基本構成だ。iFi GRYPHONは基本的に持ち出さない半据え置き状態で、現行所有する唯一のMQAフルデコーダ搭載機器だ。②は外出時の基本構成だ。以下の記載内容は、これら構成での使用が前提となる。

 で、本題。

 まずオーバーイヤー型ヘッドホンは、audio-technica ATH-M70x一択だ。これまではYamaha HPH-MP8がこの位置を占めていたが、つい先月購入していきなり音の粒立ちの良さに打ちのめされた。例えば、音数の多いYoasobiの「アイドル」の音の見え方がHPH-MP8と全く違う。

 ただしこれは良い悪いではなく、個人の好みと聴く楽曲との相性が絡んでいるのは間違いない。再生周波数特性に明確な違いがあるのだから聴こえ方が違うのは当然で、主観ながらHPH-MP8が70年代のスタジオのモニタースピーカーのそれに近く、ATH-M70xは現在の一般的なリスニング用ヘッドホンに寄せてあるように思える。ならば、如何にも今時の音作りになっているだろう「アイドル」の聞こえ方が違うことに不思議はない。

 すいません、audio-technicaさん。量販店に並ぶなんとかBASSなどの製品群を目にしながら舐めてかかってました。本当にすいませんでした。

 がっかりと言うか判断に困っているのがSONYのMDR-MV1だ。オープン型で、その軽さとも相まって2時間位装着していても疲れは感じない。自宅での使用なので環境がノイジーではなく、音量を上げなくても良いのもそれに拍車をかけているだろう。幾つかのレビューで見た通り、縦方向の音の分離は良い。が、粒立ちは余り強くなく、輪郭のボケが気になる。360 Reality Audioへの対応なんかはどうでも良いとなると、再生周波数特性が近めな(スタジオモニター的な)HPH-MP8に対するメリットが見えないのだ。軽さやオープンであることだけでは、価格差を埋めるには不十分だと感じる。悪くはないんだよ、良いところが見えない。

 次いでカナル型ヘッドホンはSenheiser IE 400 Pro推しだ。カナル型ヘッドホンは壊すこともあるだろう外出先での使用が前提なので、正直5万円でも高いと考えている。実は本機の購入は今週なのだが、②の構成でとあるライブ音源を聞いていた際にリアルに「こんな音が鳴っていたのか!」体験をしてしまったことで、一気に一推し製品となった。購入の理由は、まず価格(-24%引ぐらい)、とあるYouTube動画での好意的な紹介だ。更に直近の一推しがリケーブルしたSenheiser IE 100 Proだったので、レビューでの相対的な評価が判断材料にし易かったことも結果的に購入するとの判断にプラスに働いている。

 Senheiser IE 100 Proは1万円未満で買えたので3本持ちで、1本がリケーブルしたもの、1本が純正Bluetoothユニットに接続したもの(LDACをサポートしていない機器とapt X AdaptiveでBluetooth接続しないといけない場合がある)、残り1本が純正ケーブル使用品だ。3本ともイヤーピースはAZLA SednaEarfit Crystal(L)にしてある。チビのくせに外耳道が広いみたいで、これぐらいぴっちりと耳を塞ぐイヤーピースを使わないと低音が生かせない。リケーブルしたものは明らかに高音のキレが良くなったので、きっちり出ている低音を逃さないようにしないと音のバランスが悪くなるので尚更イヤーピースの選択は重要だ。

 「推し」という表現を使った理由はイヤーピースの変更が前提、手放しではお勧めできるかどうかに疑問が残るからだ。だが事実として、同じ上記のイヤーピースを用いた条件の下、リケーブルしたIE 100 Proでも聞き取れなかった音(間奏でのボーカルの『微かな』ハミング、「懐かしのバイアーナ(Live at Aoi Heya, Shibuya - November 2007)」、blue marbleのアルバム「ヴァレリー(Remastered)」収録)がIE 400 Proでは思わず聞こえたのだから仕方ない。

 IE 100 Proも悪いモノとは全く思わない。「そんな音(周波数成分)無いだろう」みたいなヘッドホンが当たり前に存在する中、再生音の周波数特性はともかくも誤魔化しの無い音を綺麗に出している(と信じている)のは重要だ。これは「駄目な音源はちゃんと駄目に聴こえるだろう」と言う意味でもあり、つまりは私が求めている特性だ。複数のレビューを参照すると、①音の分解能(定位や粒立ち)、再生周波数特性ともにIE 400 Proの方が一枚も二枚も上手、②IE 400 Proの再生周波数特性はIE 100 Proの中域を持ち上げた感じに近い(IE 400 Pro基準だとややドンシャリ寄りと言うことか?)、③最後は個人の好みによる、と言った辺りの評価が見えてくる。③は「どっちも持っておいてその時の気分で選べば?」と言っていると解釈してもらって構わない。そういうレビューが案外あると言うことだ。

 さて、本エントリは上記の「リアルに『こんな音が鳴っていたのか!」』体験をしてしまった」ところからの流れで書いている。では他のヘッドホンでもその音が聴こえるか試してみましょうか!

2023/04/18

FiiOのBTR7がゲームチェンジャー過ぎた

 タイトルの通り。

 有線ヘッドホンに求める音への要求が全く変わってしまい、有線ヘッドホン選びはこの2ヵ月ほど混沌状態のままだ。気が付くとBTR7は2台持ち、要は故障などによるBTR7ロスが怖過ぎるのだ。音の鋭さが良い。かつての憧れ、iFi Audio Gryphonの音は余りに眠く、代替にはなれない(ただしMQA音源再生時は一味違う)。他のドングル型DACも駄目だ。

 現状、外出時のインナーヘッドホンは4.4mmバランスにリケーブルしたSenheiser IE 100 Proで、LDAC接続したBTR7との組み合わせが大前提、イヤーピースも低音の漏れを最小限に抑えるべく選びに選んだものだ。沼だ沼…

2023/02/19

一筋縄ではいかない外出時用ヘッドホン選び(承前)

 さて、iPod touchシリーズの終焉と言う外部要因に強いられる形で外出時の音楽鑑賞環境の見直しを始めて久しい。当面の再生環境は8inch級画面のAndroidタブレット+Musicolet(ローカル音楽ファイル再生に特化した音楽再生アプリ)で固まり、次はインナーイヤーヘッドホンをどうするかとなったのだが、ひょんな弾みで色々と面白いと言うか個人的には興味深い経験をする羽目に陥っている。「ひょんな弾み」とは、「勘違いから」FiiOのBTR7と言うBluetoothレシーバー/USB接続DACを購入してしまったことを指すのだが、本エントリではそこは取り合えずすっ飛ばす。

 外出時、特に特急列車移動中に音楽を聴く際に使っているヘッドホンはPioneer SE-CH9Tだ。2017年春ごろにハイレゾ対応を謳って発売された有線式インナーイヤーヘッドホンで、事前知識も入れず、視聴もせず、近所の大型家電量販店にふらっと立ち寄って直観にのみ従って価格も気にせず購入したものだ。所謂「SHURE掛け」に戸惑ったものの、音はまさに私が求めていたものだった。一聴して余りに音が気に入ってしまったため、当日のうちに改めて件の家電量販店に車を走らせてもう一本追加購入してしまった程だ。なお追加購入品は今でも未使用のまま保管してある。あと5年以上前の製品を未だ使っている理由の一つは、2018~2021年は体調を崩していてヘッドホンの更新どころではなかったからである。

 先行するエントリでは再生環境にSoundID(ちょっと特殊なヘッドホン向けイコライザーアプリ)が必須と書いたが、それはノイズキャンセリング機能やドライバーなどは(恐らく)優れているのに、正気を疑わざるを得ない音の味付けをされる某SONY社の可哀そうな製品を使う場合の話だ。実際、SoundIDを通して鳴らした某SONY社製ヘッドホンの音は概して好みではある。

 と、SoundIDが何をするアプリかを知っている人ならば、この時点で私が好む音の方向性は分かるだろう。ヘッドホンなどの音響機器メーカーがユーザーに押し付ける迷惑な「味付け」、例えば低音域を強調するといったもの、を極力排した、作り手や送り手の意図したものに近い筈だと信じられる音だ。業務用のモニターヘッドホンの音かと言われればそれは違うと明言できる。が、極めてモニターヘッドホン寄りの、リスニングヘッドホンの音と言うことにはなる。粒立ちの良い音、分離の良い音を好んでいるのは間違いない。別の言い方をすれば、ヘッドホンの味付けが適切に効力を発揮するためには音源自体が味付けされていないことが前提となる訳で、私が欲しい音はその「味付けされることも想定した、味付けの無い音源自体の素の音」となる。それはモニターヘッドホンやモニタースピーカーをも使ってプロが作った、リスニングヘッドホンやスピーカーの為の音の筈だ。

 オーバーイヤーヘッドホンになるが、Yamaha HPH-MP8の低音域を多少持ち上げると割とそんな音となるのではないかと思っている(異論は認める)。SoundIDのメーカーであるSonarworks社が測定したYamaha HPH-MP8の再生周波数特性(SoundIDで確認できる)は低音域の再生時レベルがやや下がっているので、SoundIDを通してこの部分のレベルを少し上げてやると「少なくとも低域は」良い塩梅となる。まぁ8kHz以上の高音域は少し下げ過ぎな感じもするが、これは私が加齢で高音が聞こえにくくなっている所為かも知れない。

 ではPioneer SE-CH9Tの音はどうかと言うと、上記のSoundIDを通した際のYamaha HPH-MP8の音の変化の説明を基準にすれば、高音域は下げず、低音域をもう少し(+2デシベル~25%増しくらい?聴覚上音量が2倍大きく聞こえるのが+6デシベル)持ち上げた上で、全体の音の粒立ちを少し抑えた感じだろうか。長時間聞いていても疲れないぐらいに高音域、低音域ともにまろやかで、特に「刺さるような高音」が良い塩梅に無い。ただし音の分離はあくまで良い。

 まぁそんなに言うならPioneer SE-CH9Tを使い続ければ良いんじゃない?、と思ったあなた、あなたは完全に正しい。そして、エゴ丸出しのこんな文章をここまで読んでくれてありがとう、とも言いたい。だが、エントリタイトルが指す内容の本番はまだ先だ。

 未使用の予備を所有しているとは言えPioneer SE-CH9Tは既にカタログ落ちして久しく、ネット上の評判やレビューをチェックする限りは、使われている技術はともかく、音の味付けまで含めて考えると直系と呼べる後継製品は見当たらない。故に、仕事柄「一歩先の状況に対して手を打っておく」ことが習い性となっている身としては、「私にとってのPioneer SE-CH9Tの後継品」を見つけるまではイマイチ落ち着かない。加えて先に触れたFiiOのBTR7の導入で、音楽プレーヤーアプリが動作しているタブレットと有線ヘッドホンとの接続方法は「タブレットのヘッドホン端子に直接プラグを刺す」だけではなくなった。当然、接続方法によって音も変わる。後継候補品もそれは同じで、更に接続する機器がサポートするBluetoothのオーディオコーデックの違いも加わり、混沌の度は深まるばかりとなったのだった。

 ちなみに選んだ後継候補品はSennheiser IE 100 Pro、モニターヘッドホンだがネット上ではリスニングユースでも評判が良いロングセラー品だ。まさに現在テスト中で、この土日の自由な時間はほぼIE 100 Proの視聴で潰れている。とは言え本製品には既に問題が判明している。昨日Sennheiser社のウェブページにアクセスしたところ、ん~カタログ落ちしたん?・・・続く。