今回は知人への生存表明のようなエントリ。内容は個人の趣味・指向の話で、間違ってもレビュー記事なんかじゃない。
病気でうんうん唸ること約4年、最新ヘッドホンがSonyのWH-1000XM3だったなんて有様だった。本機のノイキャン機能は現時点でも結構通用する優れモノだが、音は産廃モノだ。ただ、マスタリングした楽曲が「本機でもちゃんと聴くに堪える音になっているか」の判断は、この種の音作りに慣れた耳が多い現実を前にしては無視できない。故に手放せない。
さて、直近のエントリでは、外出用のイヤホン(カナル型/インナー型ヘッドホン)の選択での悩み(ただし結論は無し)や、ひょんな弾みで購入したら色々世界観が変わってしまった携帯用DAC・Fiio BTR7について触れた。本エントリでは、現時点のヘッドホン環境について簡単に触れるに留める。そこに至る顛末に特に面白いことが無いから仕方ないじゃないですか。あと、「お金持ち!」と思う方もおられようが、関連する出費はもうすぐ貰えるボーナスを当然のように当てにしている。ネットでの購入ではあらゆるところであらゆるタイミングでセールに直面することになるが、個人的な結論は「買うべきといったん腹を括ったモノの購入は次のセールで」である。運が良いのか、半年~1年単位で見れば極めて高確率で最安値を引いているし、「在庫なしでがっくり」という目にも会ってきていない。
私がヘッドホンに求めるのは、音の定位感や粒立ちが明確な極めてモニター寄りの特性だ。実はSenheiserのHD599も持っているが、購入は発売直後と大概昔だし、そもそもピュアにリスニング用として入手したものだ。結果としては先の産廃と同様、マスタリング音源のチェック用リファレンスとして最適な一品だ。これで聴いて「駄目だこりゃ」となるような音源は本当に駄目だろう。あと本エントリでは触れないが、リスニング用途にはBluetoothヘッドホンも数本入手している。
さて、このような特性を求める理由はもちろんモニター用途で使用するためでもあるが、リスニング用途時、或いは普段使い時の機器構成や接続構成との相性もある。モニター用途の場合はDAWを動かしているPCに接続したオーディオインターフェースへの有線直刺しとなるが、外出時や普段使いでの構成は全く違う。常に再生機器とヘッドホンの間にDACが入るが、これは再生機器であるタブレットのDACがどう見ても音楽再生向きではないからだ。機器や接続の構成はざっくり下記の2パターンだ。
①再生機器→USBケーブル→DAC(Fiio BTR7 or iFi GRYPHON) →有線→ヘッドホン
②再生機器→Bluetooth(LDAC)→DAC(Fiio BTR7) →有線→ヘッドホン
①は自宅での基本構成だ。iFi GRYPHONは基本的に持ち出さない半据え置き状態で、現行所有する唯一のMQAフルデコーダ搭載機器だ。②は外出時の基本構成だ。以下の記載内容は、これら構成での使用が前提となる。
で、本題。
まずオーバーイヤー型ヘッドホンは、audio-technica ATH-M70x一択だ。これまではYamaha HPH-MP8がこの位置を占めていたが、つい先月購入していきなり音の粒立ちの良さに打ちのめされた。例えば、音数の多いYoasobiの「アイドル」の音の見え方がHPH-MP8と全く違う。
ただしこれは良い悪いではなく、個人の好みと聴く楽曲との相性が絡んでいるのは間違いない。再生周波数特性に明確な違いがあるのだから聴こえ方が違うのは当然で、主観ながらHPH-MP8が70年代のスタジオのモニタースピーカーのそれに近く、ATH-M70xは現在の一般的なリスニング用ヘッドホンに寄せてあるように思える。ならば、如何にも今時の音作りになっているだろう「アイドル」の聞こえ方が違うことに不思議はない。
すいません、audio-technicaさん。量販店に並ぶなんとかBASSなどの製品群を目にしながら舐めてかかってました。本当にすいませんでした。
がっかりと言うか判断に困っているのがSONYのMDR-MV1だ。オープン型で、その軽さとも相まって2時間位装着していても疲れは感じない。自宅での使用なので環境がノイジーではなく、音量を上げなくても良いのもそれに拍車をかけているだろう。幾つかのレビューで見た通り、縦方向の音の分離は良い。が、粒立ちは余り強くなく、輪郭のボケが気になる。360 Reality Audioへの対応なんかはどうでも良いとなると、再生周波数特性が近めな(スタジオモニター的な)HPH-MP8に対するメリットが見えないのだ。軽さやオープンであることだけでは、価格差を埋めるには不十分だと感じる。悪くはないんだよ、良いところが見えない。
次いでカナル型ヘッドホンはSenheiser IE 400 Pro推しだ。カナル型ヘッドホンは壊すこともあるだろう外出先での使用が前提なので、正直5万円でも高いと考えている。実は本機の購入は今週なのだが、②の構成でとあるライブ音源を聞いていた際にリアルに「こんな音が鳴っていたのか!」体験をしてしまったことで、一気に一推し製品となった。購入の理由は、まず価格(-24%引ぐらい)、とあるYouTube動画での好意的な紹介だ。更に直近の一推しがリケーブルしたSenheiser IE 100 Proだったので、レビューでの相対的な評価が判断材料にし易かったことも結果的に購入するとの判断にプラスに働いている。
Senheiser IE 100 Proは1万円未満で買えたので3本持ちで、1本がリケーブルしたもの、1本が純正Bluetoothユニットに接続したもの(LDACをサポートしていない機器とapt X AdaptiveでBluetooth接続しないといけない場合がある)、残り1本が純正ケーブル使用品だ。3本ともイヤーピースはAZLA SednaEarfit Crystal(L)にしてある。チビのくせに外耳道が広いみたいで、これぐらいぴっちりと耳を塞ぐイヤーピースを使わないと低音が生かせない。リケーブルしたものは明らかに高音のキレが良くなったので、きっちり出ている低音を逃さないようにしないと音のバランスが悪くなるので尚更イヤーピースの選択は重要だ。
「推し」という表現を使った理由はイヤーピースの変更が前提、手放しではお勧めできるかどうかに疑問が残るからだ。だが事実として、同じ上記のイヤーピースを用いた条件の下、リケーブルしたIE 100 Proでも聞き取れなかった音(間奏でのボーカルの『微かな』ハミング、「懐かしのバイアーナ(Live at Aoi Heya, Shibuya - November 2007)」、blue marbleのアルバム「ヴァレリー(Remastered)」収録)がIE 400 Proでは思わず聞こえたのだから仕方ない。
IE 100 Proも悪いモノとは全く思わない。「そんな音(周波数成分)無いだろう」みたいなヘッドホンが当たり前に存在する中、再生音の周波数特性はともかくも誤魔化しの無い音を綺麗に出している(と信じている)のは重要だ。これは「駄目な音源はちゃんと駄目に聴こえるだろう」と言う意味でもあり、つまりは私が求めている特性だ。複数のレビューを参照すると、①音の分解能(定位や粒立ち)、再生周波数特性ともにIE 400 Proの方が一枚も二枚も上手、②IE 400 Proの再生周波数特性はIE 100 Proの中域を持ち上げた感じに近い(IE 400 Pro基準だとややドンシャリ寄りと言うことか?)、③最後は個人の好みによる、と言った辺りの評価が見えてくる。③は「どっちも持っておいてその時の気分で選べば?」と言っていると解釈してもらって構わない。そういうレビューが案外あると言うことだ。
さて、本エントリは上記の「リアルに『こんな音が鳴っていたのか!」』体験をしてしまった」ところからの流れで書いている。では他のヘッドホンでもその音が聴こえるか試してみましょうか!
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