2015/05/27

THUNDERBiRDS ARE GO、良いねぇ

 本当はマズいんだろうけど、英国では放送が既に始まっている"THUNDERBiRDS ARE GO"がYoutubeに上がっている(2015/5/29:さすがに一斉に削除された模様)。日本でも東北新社が放映権を確保し、TV放送も想定しているそうだ。テンポが良くてなかなか良い。やはり英国のTV番組、「華麗なるペテン師たち(Hustle)」のノリに近い感じかな?音楽もところどころに007シリーズの楽曲を多く手がけたジョン・バリー風の展開があり、英国風と言えなくもないかと。

 個人的にはエピソード8、エピソード9がお気に入りだ。

 エピソード8はサンダーバード5号(宇宙ステーション)のコンピュータの反乱、導入から「2001年宇宙の旅」のオマージュであることを隠そうともしない変な潔さがある。ラストはちょっと日本的かもしれない。日本人の感性では「何のこともなく」アリなのだが、英国はさておいて、少なくとも米国では文化的に抵抗を感じる人も居るのではないかと思う。

 エピソード9は鉱山作業者が一人居るだけの小惑星が太陽フレアが原因で太陽直撃軌道に乗ってしまうというもの、エピソード3に続いてサンダーバード3号(赤い宇宙船)の活躍回だ。パイロットであるアランはコメディー担当キャラなのだが、声優の演技、キャラ造形及びモーションのバランスがとても良く、まったくいやみったらしい感じやあざとい感じがしないのは見事だ。ラストの1秒には思わず笑わされた。このカットが示すのは「アランは機転が利いてコンテクスト(文脈)を踏まえた学習能力が高い」ということだ。そういう人は何をやっても憎めず、信頼できるものだ。ただ、台詞も含めた「間」がとっても大事なシークエンスなので、日本語版が製作された際に上手く処理されるかちょっと心配。

  • サンダーバード5号が実にかっこ良い。リング構造を進行方向側に完全に寄せたのはデザイン的におそらく大正解。
  • 女性キャラ"Kayo" 、日本人だと「カヨ」と読んでしまうだろうが、実際の発音は「ケイョオゥ」に近い。最初は「ケイオ(ス)」に聞こえて、「何でカオスなん?」
  • "Thunderbirds are go!"、"Thunderbird one is go!"という表現、"go"は動詞じゃない訳だ。
  • "We have a situation."という表現、あの「状況開始」といった変な?日本語における「状況」ってこれかな?

2015/05/22

THUNDERBiRDS ARE GOの舞台裏!

 まぁドキュメンタリーというよりはプロモーションなのでしょうが、なかなか興味深いカットやオールドファンだからこそニヤリとしてしまうカットが多々あります。

 パーカーの声がどうなるのかなぁと気になっていたのですが、なんと!という展開。オリジナルの製作者の一人で当時のレディ・ペネロペの声も担当したシルヴィア・アンダーソンさんも登場、さすがにお歳を召されて、え~、テラホークスの某キャラクターにちょっと似てき・・・

2015/05/17

「急がないで」

 PCゲーム"War Thunder"のトレーラーで使用されている楽曲が気になって調べてみた。

 ややシャンソン寄りという感じだが、ソビエトの楽曲「НЕ СПЕШИ (急がないで)」ということだ。聞いてみると分かるけど、60~70年代前半の日本の歌謡曲にも共通する風合いがある。日本の歌謡曲のメロディーが結構ソビエト~ロシアに受け入れられているという点も考えると、あながち不思議なことでもないのかもしれない。

 こちらは別バージョン、私好みの所謂ブブブもの(ベースが単調にブ・ブ・ブ・ブと鳴り続けマス)。劇場版パトレイバーのサウンドトラックなど川井楽曲を思い出すようなあなたとならきっと友達になれる!

2015/05/16

朝日新聞 「過去の報道が誤っていたと紙面で明らかにすべき場合はあるが、法的義務はない」

 そんなこたぁ言われなくたって分かっている。法的義務があればとっくの昔に刑事罰対象だ。馬鹿なの?(zakzakの記事

 こいつは一種のハラスメントみたいな事案だ。自称報道機関によるパワーハラスメントと言って良い。「そんなつもりは無かった」は通用しない非合理とも言える世界が待っているかもしれないよ、それにこれで終わりじゃない。お前ら不愉快だ、俺はお前らの報道に心から傷ついているぞ、なんてね。

 さぁ、消耗戦の始まりだね。

2015/05/09

FARCRY3、これは数学だ!

 これまた何周遅れですかって話。

 "FARCRY3"はオープンワールドベースのFPS(プレイヤー視点シューティング)ゲーム、2010年のゲームだから丸4年前のものだ。とりあえず難易度"Survivor(通常)"でクリアしてから"Master(最高難度、選択時の説明曰く「マラリアより酷い」)"で2回目に入った。成る程、評判が良いのもうなずける出来、されど既に"FARCRY4"がリリース済だ。

 オープンワールドのミソは自由度。昔からのFPS好きなのだが、"DOOM3"や"Halo"はつまらなかった。これはハードウェア能力の限界などからプレイヤーは一本道を進むしかなく、左右上下の空間を使ったような戦術をプレイヤーが使えなかったせいだ。先行する"DOOM"では左右前後だけでなく攻める順番も選べたことを思えば、残念ながらゲーム的には退化としか思えなかった。対して"FARCRY3"はそのような不満とは全く無縁だ。

 オープンスペースを実現する"CRY"エンジン(厳密には全面改訂版の本流とは別ブランチだ)については特に触れないが、 すこぶる出来が良い。どのようなメモリ管理をやっているのか技術的にも気になる。メタルギアソリッド用に開発された"Fox"エンジンは明らかに"CRY"エンジンの影響下にあるものだろう。

 最高なのはノンプレイヤーキャラクター、特に動物達の振る舞いだ。

 コモドドラゴンやサメやワニには食いつかれ、バッファローには谷底へ弾き落とされ、クマには引掻かれ、鳥には突っつかれ、トラやレパードには飛び掛られる……時に腹立たしく、プレイヤーキャラクターが死んでしまうことも少なくない。が、それはプレイヤーが敵対するノンプレイヤーキャラクターである海賊や私兵集団にとっても同じだ。野犬の群れに追われるままに(自棄になって)海賊のキャンプに突入したら、野犬と相打ちで海賊たちが全滅なんてことが起きてしまう。リアルとは言わないけど、「プログラム上起き得ることは起きるんだ」という意味でちょっとした驚きだった。海賊の所有する武器の構成が違えば、また違う結果にもなっていただろう。

 なんともカオスティック、単純な局所的ルールの適用結果が相互作用し より大局的な結果を引き起こすとは!これは数学だ!…なんちゃって。

 これは上手くまとめてるなぁ。

それは違う

 いろんな意味で「それは違う感」と言うか「何を今更感」が強い。この監督はやっぱり映像に関しては上手くない。本作においても「新しさ」みたいなものは皆無で、「既に手垢のついた手法の焼き直し」との印象が強い。情報密度も低く、かといって新しい視点も加えないでは、「なぜ3DCGなのか」という問いへの答えは作品に宿らない。

 要は、「3DCGはもはや手法の一つであり、それが積極的に選択された理由が当然求められる」時代の作品とは言えないということだ。「ふ~ん」で終わる値の張ったガラクタである。若い人達にとっての反面教師ぐらいの価値しかない、お金を出す側の人達は過去から学ぶという真摯さが無いようなので。スティーブン2も少なくともここまでは不甲斐ないばかりだ。

 スタンダードな手法ではなく映像作品の歴史から見れば既に飽きられた邪道とも言える手法を使いながら、何のひねりも無いというのはある意味究極の映像センス欠如と見える。ただでさえ素材は新しくないのだから、それ以外のところで何か光るものを見せてくれないとつまらない。

 このBGMを選んでおいて(既存のイメージ群に正面から戦いを挑むという意味でハードルを上げておいて)"Another"足らんとすれば、大量のパワーとイマジネーションを作品へ投入する必要がある筈だ。が、そんな点に気づいていないのかのような熱の無い映像には、観ている側が無力感に囚われかねない。これは高コストな同人誌的活動の域を出ない、つまりプロの作品じゃない。

 作家性が無いのは分かる、色彩も含めて映像的に創造性を志向していないのも分かる。最後のカットの色彩感覚やレイアウトの平凡さ加減は特筆に価する。上に噛み付く製作スタッフとか居なかったのかとも心配になる、もしそうなら今後も何も期待できない。

 evangelion: Another Impact

2015/04/30

テ○朝必死だな

 連休で帰省するので取り急ぎ一言だけ。

 必死だが、内容が斜め上なのが清しいまでに痛々しい。「中国や韓国や」「国際社会」ではなく、「中国(中共)と韓国が」でしょうがねぇ…

2015/04/25

Krayレンダラーを試す!

 GW明けぐらいから3DCGモデリングにも再び取り組もうと思い、操作方法を思い出すべくLightwave3D 2015をいじっている。現状は既存のデータを読み込んでいじる程度だが、再開に備えて新たに2つのソフトウェアも入手した。ひとつはFusion 7、もうひとつはKray 2.5だ。

 Fusion 7は合成(コンポジット)ソフトウェアで、映画製作やTV製作の現場で使われているソフトウェアの下位バージョン・フリー版だ。 この種の技術の進歩は日進月歩、現在の下位バージョンと言えば3~4年前の上位バージョンと出来ることはほとんど変わらない。趣味で使う分には十分過ぎる機能を備えていると言える。特に「素材作りの環境は既に持っているけど合成がね・・・」という人には導入コストが決して低いとは言えないAdobe Aftereffectsよりもお勧めする。なおフリーで利用できる合成ソフトウェアとしてはプロ向ツールNukeの非商用使用制限バージョンもある。以前に紹介したDAWソフトウェアProtools | Firstもそうだが、プロ向けツールのフリー版の登場はオープンソースソフトウェア開発コミュニティにとっては多少なりとも打撃となりそうだ。

 さて、出来ることがプロとほぼ同じソフトウェアを使うことの利点は、プロが発しているネット上のノウハウがそのまま使えること、メンバーにプロが多いネットコミュニティでの情報収集や交換がスムースになることなどが挙げられる。しかしFusion 7の導入は、これまでの「Lightwave3Dに始まりLightwave3Dで終わる」という私のワークフローをいったんガラガラポンすることにもなる。でも、だからこそ面白そうなのだ。FusionにしてもNukeにしても「レイヤー」の概念はもはや排除されており、その操作のフレームワークや思想は3DCGのそれらにむしろ近いと言える。

 KrayはLightwave3Dに対応したレンダラーで、試用版をいじり倒した結果購入を決めたものだ。Lightwave3Dのレンダラーは高速かつ仕上がりは綺麗だが、できないことや仕上がりに対して必要な手間というコストが割に合わないことも当然ある。ずばり、Krayの肝となる機能である「フォトンマッピング」が実現できることがそのひとつだ。

 3DCGおけるレンダリングとは、モデルの表面がカメラからどう見えるかをシミュレートするものだ。直感的なレンダリング方法としてまずレイトレーシングがある。これはモデル表面からカメラに到達する光の「軌跡」を計算する方法だ。至極当たり前の方法であり、理想的にはこの方法で問題無いと思うかもしれない。しかし、実際のところ有限の時間内で自然界の光の挙動をシミュレートするにはレイトレーシングは正攻法過ぎるのだ。例えばレイトレーシング計算では、光の反射回数を制限しないと計算が何時までたっても終わらない可能性がある。真っ暗な空間に点光源が複数しかないような特殊な条件でしか、(光の波動性が無視できるスケールに対して)レイトレーシングが厳密な結果を与えることは無い。実際、線光源や面光源は多数の点光源で近似するのが一般的だ。指向性の無い(等方的な)面光源はレイトレーシング向きではないが、これこそ私たちの暮らす世界では最も一般的な光源のひとつなのだ。

 空は青く見える、と言うことは空は青い光を放つ光源と言える。3DCGソフトウェア内の世界の中心に置かれたモデルから見れば、空は方向によって色や光の強さが変化する半球状の面光源だ。

 フォトンマッピング計算では光は「有限な」多数子の粒子で近似し、最初っから厳密には取り扱わない。光の強度のモデル表面への影響は、その表面に「ぶつかって『蓄積された』粒子の数に比例する」ものとして統計的に取り扱われる。フォトンマッピングのレンダリング結果は「カメラから見てモデル表面が(蓄積された光の粒子によって)どう輝くか」に相当する。ただし、統計的にエラーの少ない結果を得るためにはできるだけ多数の光の粒子を飛ばしてやらなければならない。だから「統計的に取り扱う」のは厳密にはレンダリング結果を得る段階のみの話であり、計算自体は「投機的」である。つまりフォトンマッピングは基本的に効率の良いレンダリング方法とは言えない。しかし、計算する膨大な粒子数というコストさえかけることができれば、いわゆるフォトリアリスティックなレンダリング結果を得られる。

  リアリティに何が効くかと言うと、「照り返し」と「影のエッジのブレ」だ。両者ともに単に光の反射計算だけでは再現できないから、レイトレーシングでの再現には何らかのトリックが必要だ。でもフォトンマッピングが使えるKrayなら、計算する粒子数にさえ気をつけておけば静止画で変なレンダリング結果が得られることはまずない。下図はKrayのレンダリング結果だ。光源は太陽と空、白い面からの照り返しや影のエッジのブレもあっさり再現されていてちょっと感動してしまいましたよ。

2015/04/19

Megpoid + Vocaloid4 Engine

 Vocaloid4 Engineを使ってMegpoid Whisperをレンダリングすると、どうも気持ち悪い高周波成分が乗る。聞いていると思わず奥歯を噛み締めてしまう。200Hz付近にも不自然な周波数成分がある。

 Vocaloid3 Engineで有効だった「耳障りを良くする方法」は全く歯が立たなくなってしまった。反面、1~5kHzあたりの周波数成分は充実していて、低周波数領域をフィルターで削っても音痩せしにくい(か細い音になり難い)。だが、Megpoid Whisperに限ってはむしろ音痩せしてくれた方が個人的には嬉しい、いやはや。

次は合成、ライティング?

 昨夜TVで放送していた映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」は、映画としての出来はともかく、日本映画での3DCGの習熟度を計る上でひとつのマイルストーンだったと思う。

 日本の特撮映画において水、ひいては海は鬼門だった。水は表面張力という曲者のせいで代表的な物理的スケールがあり、そのスケール単独での縮小が不可能故にミニチュア特撮の敵と言える。ここで物理的スケールとは液滴や液塊、気泡の大きさや波の大きさと速度との関係などである。私達は水の挙動を経験的に知っているため、例えば球形で存在できる水の塊の大きさなどを基準に、画面の中の物体の大きさを無意識に測っている。ミニチュアがミニチュアに急に見えるようになる瞬間は、往々にして水がらみであることが多い。裏返せば、水側のスケールをコントロールしてやれば画面内の物体の大きさを錯覚させられると言うことであり、3DCGによる水表現によるトリックの肝中の肝と言える。 「聯合艦隊司令長官 山本五十六」は、この部分に関しては成功作と言え、感心もしたものだ。

 一方、煙とライティング(すなわち影)はかなり不味く、特にライティングはプロの不在を思わせる。水と同様に煙も物理的スケールを持っているが、物理シミュレーションで作成されているだろうから水同様にスケールの問題はほぼ発生していない。しかし、煙が自分自身に落とす影や透過度の表現はゲーム画面レベルの低次元のものだ。画作りのワークフロー上は合成(コンポジット)作業過程の不手際と言えるだろうか、本質はライティングのディレクション不在にあると思う。

 終盤の山本五十六搭乗機の撃墜CGシーンは完全にライティングで失敗している。影の不在は援護の零戦をミニチュア然と見せるばかりだし、そもそもライブアクションシーンのライティングともマッチしていない。山本五十六搭乗機の撃墜は、ブーゲンビル島上空、4月18日の午前8時ごろである。ライブアクションシーンのライティングは日の出直後乃至は日の入り近くと思われるオレンジがかった低い太陽のものである。

 ところが、CGカットのライティングは方向が不明確で照度が均一、白色光である。このような状況は、現実には晴天時に存在しない。朝とは言え太陽光は強く、機体の反射光や照り返し光が飽和して画面上で白く抜けるような状態が現れもおかしくないのが現実だ。強い太陽光に照らされた機体があの明るさならば、空中から見えるジャングルは黒く見えなければならない。だが、画面上のジャングルは青々としていた。

 山本五十六搭乗機の撃墜シーンは本映画のクライマックスのはずだが、ライティングに関わる2つの問題のせいでそれがスポイルされている。一つ目はCGカットとライブアクションカットのライティングが一致していないこと、二つ目が上述のCGカットのライティングの不自然さである。欧米のCGインダストリーではライティングはクレジットされる専門職であり、プロフェッショナルな仕事が求められると言える。 映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六」はライティングの出来にムラが大きすぎ、一貫性が無いのは返す返すも残念だ。

 さて、 ブーゲンビル島上空、4月18日午前8時の晴天時の状態をシミュレートすると下の図の如くなる。太陽光が強いので、手前主翼端付近はほとんど輪郭が見えないぐらい一部が明るくとんでしまっている。また、光はややオレンジがかっている。ライブアクションカットのライティングは、やや照度不足と言う気はするけど、かなり正確と言えよう。ならばCGカットのライティングは出鱈目と言う事になる、残念ながら。