2022/08/15

YAMAHA HPH-MT8の購入をお考えの方は、是非試着(視聴ではない)を

 約1年ほど前から機会があれば絶対視聴したいと思っていたヘッドホン、YAMAHA HPH-MT8を先週購入した。Amazonの「おすすめ商品」に唐突に出て来たのを見ていったん天を仰いだが、1分と経たずにポチってしまった。結局視聴はしないままだった。

 さて、YAMAHA HPH-MT8はスタジオモニターヘッドホンと銘打つだけあって、なんとかベースとかいった類の特定の周波数域の再生音量をブーストするような味付けはされていない。そのうち別エントリで触れることもあるかもしれないが、私の耳の特性には昔からちょっと癖があって、低域(400Hzぐらい以下)の感度が周囲の人より高い。以前は感覚的にそうだとしか言えない状態だったが、最近はヘッドホンの再生特性をイコライザ経由で自分好みに調節できるアプリ、ツールが有り、自分の耳の特性が定量的に測定できるようになった。なので、今は一種の測定結果に基づいて自信をもってそうだと言えるようになった。

 そんなアプリの代表がSoundIDで、PC(これだけは有料)、スマホ、タブレット、携帯音楽プレーヤーと、ヘッドホンで音楽を聴く可能性のあるデバイスには漏れなくインストールしてある。SoundIDを使うことで、ヘッドホンが違っても「自分好みに聞こえる」状態を実現できる。要は、なんとかベースの類を全てキャンセルできると言うことだ。ただし、そのような処理のためにCPUパワー(≒電力)を余分に食うし、デバイスによっては目に見えて分かる再生遅延がある。

 YAMAHA HPH-MT8への期待は「SoundIDを介さずとも使えるもの、SoundIDが不要なもの」だった。この観点からはほぼ満点だ。PCでDAWを使う場合など、モニタリング用途ではもうこれ一択になるだろうし、ワイヤードで問題無い自宅での普段使いにも重宝しそうだ。

 が、問題が二つある。

 一点目はどうしようもない、残念なもので、ケーブル、ハウジングやカップが衣類などに触れて擦れたり、それらに指で触れたりした際にカップ内に響くゴソゴソといった音が所有するヘッドホンの中ではひときわ大きい。頭が埋もれるようなクッションと併用していると、頭や体をちょっと動かすだけでゴソゴソ聞こえて煩わしい。

 二点目は全く想定外だったもので、アームを全く伸ばさない最短状態でもカップの押し付け圧が足らず、ヘッドフォンが直ぐにずり落ちてしまう。挙句には耳たぶ上部にぶら下がっている感じになってしまい、耳たぶ周りが直ぐに痛くなる有様だった。なので、現在はミニタオルの「リボン」を付けている。脳天に接する部分に7~8mmのクッションを入れて、この脳天でもヘッドフォンを支えようという苦肉の策だ(写真では少し片側に寄せてあるけど)。

 自らを小顔とは言わないが、なりが小さい(衣類のサイズはSのほぼ上限)ことは純然たる事実だ。それでも二点目の問題はちょっとマズい気がする。例えばあくまで個人的な経験則だが、私よりも頭の小さな女性は成人でも少なくない。小柄との自覚がある方でYAMAHA HPH-MT8の購入をお考えの向きには、是非試着(当然ながら視聴も)をお勧めする。