外出時のデフォルトのイヤホン型TWSはTechnics EAH-AZ100で、基本はLDAC接続でしか使いませんよ、が前提なので念のため。
さて、この2年程は¥1~2万円級でもそれなりの音のTWSが入手できるようになった。個人的な解釈は、ドライバーの性能向上に加えて装着感や密閉感に直に影響するイヤホンの形状がこなれてきたため、音を「好みのもの」にイコライザで調整してしまえばかなりどうとでもなるようになったと言うものだ。再生周波数特性においてハーマンカーブが本当にベストと言えるかは分からないが、リスナーにまず提供する特性の一つのリファレンスであることも疑い無さそうだ。とは言え高額TWSは概してハードウェアであるところのドライバーが良い訳で、ハードウェア自体の「上限の性能」と価格とは切り離せない。半面、「望む音、理想の音」から一歩引いて「好みの音」が得られれば十分とするならば、結局のところ使い易さや接続性の良さなどの音以外の要素から普段使い品が選ばれることだって当たり前にあろう。
ざっくり Nothing Earは¥2万、CMF by Nothing Buds Pro 2は¥1万だ。どちらか1本を選べと言われれば、私なら条件付きで後者を選ぶ。条件はシンプルで、別途¥3.5~4万級も購入を考えよう、というものだ。これは「高額品を追加購入しなければならない」という意味ではなく、まずTWSを使おうと思うならCMF by Nothing Buds Pro 2は良いリファレンスとなるので、これを基準に色々と比べたり調べたりしてみようというものだ。ただし、後述するように装着感ばかりはどうしようもないのでそこは別扱いだ。
で、個人的にBuds Pro 2をお勧めする理由をまとめると、以下の通りとなる。
- LDACが使え、かつ接続の安定性が高い。Technics EAH-AZ100では時折ブチブチといった音が聴こえるレベルで接続が不安定となる環境下(特急電車の隣の席でPCとスマホをBluetoothでテザリングされるとか)でも、安定した接続が維持できることなどざら。なので列車移動時間の長い旅行時や出張時にはEAH-AZ100と2本持ちとする場合が多くなっている。
- インイヤー検出(イヤホンを耳から外すと再生停止、付け直すと再生再開)といった昨今では当たり前の機能をちゃんと備えている。
- ケースで音量、再生・停止、曲送りなどができる。個人的には重宝しており、これら操作でストレスをあまり感じないのは大きな魅力だ。
- 悪くないノイズキャンセリング性能。
まぁドライバーは値段相応で、ちょっと低域は嘘っぽい音ではある。Nothing Earではこのあたりはかなりマシだが、それまでと言えばそれまでというところが弱いとも言える。嘘が無いのでドライバー自体の音は少しスカスカした感じになる。とは言え、ドライバー自体の素性は良いので、イコライザを用いての音の弄りがいは増す。ただ、Nothing Earにはとてつもない問題がある(個体の特性かも知れないが、知らんけど)。
- ノイズキャンセリングの強度やモードを変えると、再生周波数特性ががらっと変わる。強度「高」を基準とすると、他の設定では低域が相対的に弱くなる。
この点に気づいた時には本当に驚いた、理由(ワケ)分からん。あと、操作スイッチがタッチセンサではなくカチカチと音を立てるつまんで使う形式の物理スイッチなのは悪くないが、個人的にはスイッチの押し込み圧が弱く、誤操作が多くなりがちだ。プラスチッキーなクリアパーツを多用したデザインはNothingの特長だが、安っぽく感じる人も多かろうとは思う。
まぁ使った上ではっきりと言っておかなければいけないと思う点は、「Nothing EarとCMF by Nothing Buds Pro 2は別系統の製品であり、どちらかが上位、下位といった関係性はない」と言うことだ。当然と言えば当然なのだが。
最後にタイトルとは全く関係ないTechnics製品の装着感の話。EAH-AZシリーズはイヤーピースだけでなく耳の窪み部も使ってイヤホンを支えるデザインだ(いわゆるコンチャフィットデザインってやつね)。EAH-AZ100はすんなりイヤホンが固定されて長時間付けていても抵抗ないのだが、EAH-AZ80は5分もすると右耳だけ痛くなる。事程左様に装着感はちょっとしたイヤホンのデザイン変更で変わり得る訳だ。音はEAH-AZ80の方が好きなだけに悩ましいところではある。ではイヤーピースだけで支えるNothing Earなどではその辺どうかと言うと、別途購入済みの「自分の耳の形や寸法に最も合うイヤピース」のストック品を使うので製品ごとの装着感はほぼ変わらない。